Electrify Americaが電気自動車用の新しい充電料金とモバイルアプリを発表

フォルクスワーゲンアメリカの子会社である「Electrify America」が、電気自動車用の便利なモバイルアプリと充電料金プラン(会員制度)を発表しました。ステーションも急ピッチで拡大する方向で、電気自動車用のインフラがアメリカで整いつつあります。以下全文翻訳をお送りします。

Electrify Americaが電気自動車用の新しい充電料金とモバイルアプリを発表

元記事『Electrify America shows new mobile app, reveals new pricing plans』
By Jeff Nisewanger on May 6, 2019
※アイキャッチ写真は、Electrify Americaのヴァージニアにあるテスト施設(testing facility in Virginia)。

財布を取り出すことなくスマホで充電完了

Electrify Americaは今月後半に基本料金が約20%安くなる価格戦略と共に、新しいモバイルアプリを出すことを発表しました。割引きされたサブスクリプション・プラン(定額料金制度)と、車両の充電容量によって3段階に分かれる価格モデルも導入されます。

iOSとAndroid用の新しいアプリは、充電器の場所を探して特定し、ユーザーが物理的にクレジットカードを取り出して使うことなく支払いを済ませ、充電を開始させることができます。

Electrify Americaの代表取締役でCEOであるGiovanni Palazzo氏は「私達は電気自動車の適応にコミットしており、常に充電体験をできるだけ便利で利用しやすいものになるよう追求し続けています。この新しいアプリに、あなたがポケットの中で電気自動車を充電するために必要な全ての情報と機能を入れ、充電を今までになく簡単なものにしました。新しい会員制度と組み合わせ、私達の超高速充電器での充電体験を効率的になるよう整備しているのです」

画像は全て元記事サイトから引用

新しい料金は分刻みの時間制になり、3つのレベルの車両の充電出力受け入れ能力によって異なります。75kW以下、76kW~125kW、126kW以上のカテゴリーです。最適な価格レベルは毎回車のプラグが差し込まれ充電が開始された時に測定され、充電が終わるまで変わりません。

レベルごとの実際の価格は州毎に異なっており、今月後半に明らかになります。しかしElectrify Americaのスタッフは、一番低い価格帯では以前の30~35セント/分よりも大体20%安くなり、これはたとえサブスクリプション登録していなくても現在ある全ての車両に当てはまると既に言及しました。

その場に乗り付けてクレジットカードで払う事も可能ですが、月4ドルの「Pass+」アカウントにサインアップすれば、新しいモバイルアプリをダウンロードして登録したユーザーは割引き付きのサブスクリプション価格で充電することができます。

月会費を払わない登録でも、専用のウェブサイトでそのユーザーは自分の車の充電ステータスなどの詳細を見ることが出来ます。さらに特定の携帯機種でアプリにクレジットカードの登録をすると、NFC(near field communication=ある種の無線通信技術)リーダーが付いた充電器に携帯を一瞬触れるだけで、「タッチ・ペイ」の機能を使えます。また、Electrify Americaとのインターネット接続を使って、アプリを通して充電セッションを開始することも出来ます。

分刻みでの価格は、ピーク時の充電レートが75kW以下であるシボレー・ボルトEVのような車で最安値になります。大体100kWまでの電力で充電出来るジャガー I-PACEだと、150+kWの充電器に接続された際に真ん中の価格帯の値段を払うことになります。最後に、アウディe-トロンSUVやポルシェ・タイカン・スポーツセダンは両方126kW以上の電力で充電されるので、タイカンが明らかに300kW近くで充電できるのに対しe-トロンでは150kWまでで制限されているとしても、両車は同じ値段を払うことになります。

より高い電力で充電する車は、比例してより高い値段を毎分払う事になりますが、毎分多くのエネルギーと走行距離を得る事が出来るので、追加された走行距離の実際の料金効率は複雑で多岐に渡ります。

会社は最近、新しい機能を使えるようにするために、充電ステーションの設備用ソフトウェアをアップデートしました。ユーザーの一部が過去、不安定な充電器のクレジットカード読み取り機に不満を表したからです。社のチーフ・エンジニア、Seth Cutler氏によりますと、充電器には昨年多くのソフトウェアアップデートが施されましたが、最新のものでは主な内部デザインを変更しています。

各自動車メーカーがElectrify Americaと契約

今年末までにElectrify Americaは比較的新しいモデルの車種がプラグを差し込まれた時に自動的に自らを充電器に認識させる「プラグ&チャージ」機能を有効にするよう計画していて、これはテスラ車がスーパーチャージャーのある場所で自らを認識させる方法と多少似たものになります。

この新しい機能をサポートしていない車種に載っているユーザーは引き続きクレジットカードをスワイプするか、新しいモバイルアプリで充電を指示する必要があります。アウディ、ポルシェ、メルセデス・ベンツの新しいモデルは「プラグ&チャージ」機能をサポートすると見られており、Electrify America社スタッフは「他の自動車メーカーも公式に発表はしていないものの、この機能をサポートするように動いている」ことを匂わせました。

もう一つの国中をカバーしている充電器プロバイダーであるEVgoは、オランダのプロバイダーであるFastnedがヨーロッパで既に使用しているAutoCharge(自動充電)メカニズムを機器に埋め込むことを発表しました。AutoChargeは、CCS充電をサポートする既存のほとんどの電気自動車のために使われているというアドバンテージがありますが、Electrify Americaにより投入されるプラグ&チャージよりも安全性が劣っています。

自動車メーカーはElectrify Americaとのカスタマイズされたプリペイド充電契約も準備しています。アウディe-トロンは最初4年間の使用中に1,000kWhまでの充電ができます。ポルシェ・タイカンのオーナーは最初3年間に無制限の30分の充電セッションをできるようになります。次の数週間でさらに他の自動車メーカーとの契約が発表されると見られています。

ユーザーインターフェースのデモンストレーションをするチーフエンジニアのSeth Cutler氏。

本社から遠くない場所に、色々な車種をElectrify Americaが導入する様々な充電機器でテストする施設があります。

Electrify America社のスタッフは「ユーザーが手を伸ばし、車に差し込む際に不便な部分があった初期のプラグ設備から学習した」と話しました。より長くなった液体冷却ケーブルが現在いくつかのサイトで導入され、ケーブルは車の挿入口の正しい位置に差し込むためにひねる動作がより少なくなるように再構築されました。

最高執行責任者であるBrendan Jones氏は今年急激に多くの新しいハイ・パワー・サイトが設置されることに言及し、これはテスラの初期スーパーチャージャー発表時に挑戦するものになり、さらにヨーロッパのどのプロバイダーのペースよりも速いものになります。2018年5月2日にマサチューセッツ州チコピーの第1号がオープンしてから、Electrify Americaは700以上の充電器と共に160ほどのDC急速充電ステーションを設置しました。さらに100以上のステーション建設が完了しており、電力会社からの電気が繋がるのを待っています。

少なくとも2000以上の充電器と共に、484のステーションが2019年終わりまでにオープンされる計画ができています。Jones氏によると、カリフォルニア内で遅れは出ていますが、他の州では予定より速く建設が進んでいます。ステーションは17の大都市圏に加え、42の州とコロンビア地区の交通量の多い回廊地帯沿いに設置されます。

ほとんどが北東地域とカリフォルニアにある100以上のこれらのサイトでは、テスラ社によって作られた蓄電池システムを採用することになります。これらの電池は電力会社と実量制電力契約をした際に最大需要電力の大きさによって決まる、いわゆる「デマンドチャージ」を減らすことに役立ちます。

関連記事: 『Tesla battery storage going to 100+ Electrify America locations in 2019』

よりスピードの遅いAC240V充電が充電プロバイダーのEV Connect、Greenlots、SemaConnectによりElectrify Americaの職場や集合住宅用に設備のために導入されています。

液体冷却ケーブル
冷却器表
冷却器裏

注釈: Electrify AmericaはElectric Revsとその他のメディアがバージニア州レストンにある本社でのブリーフィングに参加できるように交通費と宿泊費を払いました。

(翻訳・文 杉田 明子)

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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