注目のEVベンチャーが集結
2023年5月12日(金)〜13日(土)、東京都新宿区の新宿住友ビル三角広場で「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2023~自転車・電動モビリティまちづくり博~」が開催されています。主催は「BICYCLE‒E・MOBILITY CITY EXPO 2023実行委員会」で、自転車やモビリティと街づくりをテーマにした隔月誌『Mobility Life』を発行する株式会社ライジング出版が運営事務局。
経産省や国交省、東京都などが後援に名を連ねており、初日の12日には特設ステージのプログラム冒頭で小池百合子東京都知事の祝辞が予定されていたこともあり、朝一番で会場へ取材に行ってきました。と、小池知事は来場できず、ステージでの祝辞は東京都産業労働局長である坂本正彦氏の代読となったのですが……。
このイベントへ足を運んでみようと思った最大の理由は、意欲的に電気商用車を展開する HW ELECTRO(関連記事)や、月額9800円でリース販売を予定している『大熊 Car(OHKUMA)』を発表したアパテックモーターズなど、EVsmartブログ編集部が注目しているEV関連ベンチャーが揃って出展しているからでした。
三角広場のサイズは、野球場のグランドの半分くらいかなって感じで、屋根付きの屋内イベント空間としては広大であるものの、車両などを展示するイベント会場としてはコンパクトです。出展企業はイベントの公式サイトによると71社で、これも決して多くはないのですが……。
実際に会場を訪れてみて、「モビリティ電動化の具体像」に気付かせてくれる密度の濃い内容に感銘を受けたので、急遽、速報レポートすることにしてみたのでした。
明日12日の土曜日も10時〜17時30分まで開催されるので、モビリティ電動化に興味のある方は、足を運んでみるのがオススメです。
【公式サイト】
BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2023~自転車・電動モビリティまちづくり博~
要注目のEVベンチャー3社のブース
「モビリティ電動化の具体像」とはどういうことか。ともあれ、私が注目した出展ブースについて、写真とともに紹介します。
電気商用車『ELEMO』シリーズを展開
HW ELECTRO
3月に先行試乗レポートをお届けした『ELEMO-L』など、電気商用車を意欲的に展開するHW ELECTRO。ウッディーなキャンピングカーに架装したELEMMO-Lなどが展示されていました。ブースが賑わっていてなかなかキレイにクルマを入れた写真が撮れなかったのですが、蕭偉城(ショウ・ウェイチェン)社長の撮影でクリアになったので、横から失礼、でした。
月額9800円の小型EVを大熊町で生産予定!
アパテックモーターズ
日本国内初公開をレポートした、月額9800円でリース販売が予定されているアパテックの『大熊Car』もナンバーが付いた実車を展示。乗り込むことも可能です。
4輪電動ミニバス導入へ前進中
アセンブルポイント
次は、今まさに取材を準備中でまだ記事として紹介できていないのですが、フィリピンの地域交通のために日産OBの技術者が開発したというフィリピン製の4輪電動ミニバスです。アセンブルポイントでは、日本導入に向けて準備中。公式サイトでは、この電動ミニバスを活用したオープンイノベーションパートナー募集も行っています。
ほかにも気になる小型電気モビリティ
今回最も気になっていた3社のほかにも、電気ならではの小型モビリティがいろいろ出展されていました。駆け足で写真とともに紹介します。
原付四輪規格の1人乗りEV、タケオカ『Lala(ララ)』。鉛電池の60V仕様で約116万円〜。
トヨタ車体の超小型EV、コムス。超小型EVのパイオニア的存在ですね。
コムスとララ、ミニキャブミーブとELEMO-K、大熊Carなど、新旧の電気モビリティを一気に見ると、一定の用途におけるモビリティは「電気がいいね」となる時代がすぐそこに迫っていることを、個人的に実感できました。フィリピン製のミニバスを日本に導入というのも、エンジン車ではほとんど考えられなかった出来事だと思います。
適度なモビリティをどう使うか。従来の既成概念から飛び出したところで、新たな社会交通が広がっていく可能性を感じて独りごちていたのでした。
電気バイクなども面白い
続いて、電気バイク、電動アシスト自転車などのモビリティです。
ラスベガスで開催されたCES2023などでも注目されたICOMAの「TATAMEL BIKE(タタメルバイク)」。5月5日から「初回オーダーメイド販売」を開始したとのこと。
電気バイクのように見えるものの、ペダルが付いてて最高速度を抑えた電動アシスト自転車のCOSWHEEL。原付一種&二種の電気バイクバージョンもありました。
多彩な電気バイクを展開、いろんな記事でも紹介してきたXEAM(ジーム)のブース。
電動三輪ミニカーの『GOGO!』。ミニカー登録なのでヘルメット不要、原付バイクで悩ましい二段階右折も適用外です。
漆塗りモデルもある、次世代スマートモビリティ(電動車椅子)、株式会社テムザックの「RODEM(ロデム)」。今回が東京初展示となるそうです。
いかがでしょう。二輪から四輪まで、電動化によってカタチの可能性が広がっていることが実感できます(というか、しみじみ再確認できました)。
個人的なエピソードで恐縮ですが、今年の2月、ドイツのベルリンへ行く機会があって、帰国日の朝、市内観光に電動キックボードのシェアサービスを利用しました。専用アプリで近くにある利用可能なヤツを探して乗って、禁止エリア以外は歩道などのどこでも乗り捨て可能。勢い余って10km近くも利用して、それはそれは楽しい移動を体感することができました。
モビリティのカタチの自由度が増し、交通法規などの仕組みを整えれば、今とはまったく違うモビリティ社会が構築できると実感する体験でもありました。
展示会としてはコンパクトな会場に、密度の濃い電気モビリティ展示が集約されていることで、いつかは日本でも! という可能性を感じる時間になったのでした。
充電サービス企業の出展も
電気モビリティ社会の構築にとって、魅力的な車両とともに不可欠なのが充電インフラです。今回のEXPOには、充電関連企業もたくさん出展しているのが印象的でした。
EVsmartブログの運営会社であるエネチェンジも初出展。
エネチェンジの向かいには、EV充電サービスを始めたエネオスのブースも。
ENEOS Charge Plus のブースには、この展示会が初公開となる普通充電器と認証器が展示されていました。この普通充電器は最大6kWに対応。利用者が認証器で3kWか6kW、出力を選んで利用します。認証器1台で30基程度の充電器に対応可能とのこと。
東光高岳のブースでは、昨年10月に発売された出力15kWのDC中速充電器「HFR1-15B11」シリーズがお披露目されていました。薄型の壁掛けタイプでコンパクト。事業所や工場などでのフリート需要を見込んだ製品です。
充電サービス関連では、ほかにも Terra Motors や、EV充電用のスマートコンセント『Ella』を展開するジゴワッツなどが出展していました。
明日13日の特設ステージでは、11時30分からEVsmartブログ著者でもあるチャデモ協議会広報部長、箱守さんが登壇する「EV充電インフラの現状と展望」。また、15時5分から、HW ELECTROの蕭偉城社長、アパテックの孫峰社長、アセンブルポイントの栗原省三会長が登壇して「新興EVメーカーの可能性」をテーマとしたトークイベントが実施される予定です。
そんなわけで、今年の「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2023」。本来は中心であったはずの「BICYCLE」はすっかり影が薄かったものの、「E・MOBILITY CITY」を想像し理解するには必見の展示会だと感じた次第。ご都合よければ「明日行ってみませんか?」の速報でした。
取材・文/寄本 好則