速報!GMが次世代バッテリー「アルティアム」とEVプラットフォームの詳細を発表

General Motors(GM)がジャーナリスト向けに開催した「EV Day」で、次世代バッテリー「Ultium(アルティアム)」と、第三世代グローバルEVプラットフォームを発表しました。イベントにも参加した『ClenTechnica』の記事を、全文翻訳でお伝えします。

速報!GMが次世代バッテリー「アルティアム」とEVプラットフォームの詳細を発表

元記事:Breaking! GM Shares Battery (Ultium) & EV Platform Details During EV Day Event — CleanTechnica Field Trip by Loren McDonald on 『CleanTechnica
※冒頭画像はマリー・バーラCEO。

2025年までに年間EV販売台数100万台を目指す

ミシガン州ウォーレンにあるGMのテックセンターのデザインドームで、約50名のジャーナリストを対象に2時間にわたって中身の濃いイベント「EV Day」が開催されました。CEOマリー・バーラと社長のマーク・ロイスは「我々は電気自動車の時代が来ると信じており、このEVの波に乗るべく、GMのすべての力とアセットを動員します」と繰り返し強調していました。

このイベントの目玉となったのがGMのEV戦略の中心となる2つの施策、モジュール化された駆動系と独自開発のアルティアムバッテリーによる非常に応用の効く第三世代グローバルEVプラットフォームです。組み合わせの自由度が高いモジュール化されたバッテリーとパワートレインにより、GMは複数のブランドとセグメントで新型EVを北米と中国の両市場に投入することができます。このプラットフォームでGMは2025年までに全世界の年間EV販売台数100万台を目指しています。

「温暖化は本当に起きていると思います。そのため2025年までに可能な限り多くのEVを生産する予定です」とバーラ氏は参加者に宣言しました。その証拠として、GMは2020年から2025年までの間にEVと自動運転技術、インフラ整備に25億ドルを投資します。さらに、GMの充電インフラチームの今後の計画によると、EVの販売と消費者の理解を推進するために住宅や職場、公共スペースの充電インフラを作るとのことです。

GMの各ブランドや部署のトップ十数名との会話からは、EVシフトによって従業員やブランドに期待感が高まっていることが伝わってきました。

マーク・ロイス社長

「これは我々にとって非常に大きなチャンスです。間違いなく、当社にとってこれまで見たこともない最大のチャンスの到来です」(マーク・ロイス社長)

GMの最高マーケティング責任者(CMO)デボラ・ワールとキャデラックの社長スティーブ・カーライルはCleanTechnicaのインタビューに対し、EVへのシフトはキャデラックブランドの一新に絶好の機会だと語っています。また、カーライル氏は、キャデラックは100年の歴史を誇るブランドで、世界が馬車から自動車に切り替わる時代に産声を上げ、そして今、化石燃料の時代の終わりとともに2030年までに電気自動車に完全に移行するだろうとも述べています。

今後、GM製EVの動力源となるアルティアムバッテリー

GMが本拠を置くミシガン州で新開発されたアルティアムバッテリーは大型のパウチ型セルを採用しており、セルはバッテリーパック内で水平、または垂直に積み重ねることができます。この柔軟でモジュール化されたフォーマットのおかげで様々な組み合わせが可能になり、ハマーではパウチを垂直に並べて24モジュールを、そして全高がそれほど高くないキャデラックやビュイック、シボレーのクロスオーバーモデルにはパウチを水平に積層したモジュールを6、8、10、または12個組み合わせることができます。

現在、シボレー・ボルトに搭載されているバッテリーは1kWhあたり145ドルですが、LG化学とのジョイントベンチャーで開発したアルティアムバッテリーはバッテリーセルのコストを(2025年までに)$100/kWh以下に下げられるでしょう。アルティアムのバッテリーセルはコバルトの使用を抑えたケミストリーで、GMは技術面、製造面での革新技術により、さらにコストを引き下げる方法を見つけられると予想しています。

年間100万台のEVを販売するには、鉱物資源から製造までバッテリーの供給網が必須です。GMは現在のバッテリーに採用しているNMCケミストリーからNMCA(ニッケル・マンガン・コバルト・アルミニウム)への移行を急務としており、最終的にはコバルトの使用量を7割削減するとのこと。そしてコバルト依存からの脱却の鍵を握るのがアルミニウムの増量です。バッテリー需要が10倍に跳ね上がったため、GMはニッケルやリチウムなど、可能な限り多くの鉱物資源を北米で確保しようとしています。

バッテリーの製造はオハイオ州のLG科学/GMの新しい工場で行われ、まずは年間30GWhを目指します。GMが目標に掲げる(2025年までに)年間100万台のEVの生産を達成するなら、バッテリーセル単位で見た時に年間2億5000万個の製造を意味します。

モジュール化された駆動系と、アルティアムバッテリーを搭載したグローバルEVプラットフォームにより、GMはエントリーレベルの車から商用車、ハイパフォーマンススポーツカーまで、あらゆるセグメントのEVを作ることができます。

アルティアムバッテリーとパワートレインの主な特長は以下のとおりです:

  • バッテリー容量50~200kWh。
  • 満充電で640km以上の航続距離。(訳注:NEDCではなく、より厳しいEPAの数値と思われます)
  • ほとんどの車種が400Vのバッテリーパックを採用し、急速充電は最大200kW。
  • GMのトラックプラットフォームで作られたEVは800Vのバッテリーパックを採用し、急速充電は最大350kW。
  • 0-60mph加速(0-96km/h)は最速3秒。
  • 200Vおよび急速充電対応。
  • GM独自設計のモーターは前輪駆動、後輪駆動、AWD、ハイパフォーマンスAWDに対応。

GMのEVローンチ計画

GMのデザインドームでは集まったメディアにだけGMの次世代EVが披露され、そこで各モデルのデザインチームが担当車種の解説を行いました。GMは傘下の様々なブランド名からEVを発表する予定ですが、経営陣はハマーとボルト以外の車種について発表の時期を「2025年までに」とし、明言を避けました。バーラ氏やその他の役員は、今披露した車は全て本物で、近い将来にテストまたは生産に移行する予定だと何度も強調していました。ラインナップは以下のとおりです:

●GMCハマー
2021年にSUT(スポーツ・ユーティリティ・トラック)とSUVを発売。
●キャデラック
将来のキャデラックの標準装備となる32インチワイドディスプレイを備えた大型CUV(クロスオーバー・ユーティリティ・ビークル)リリックと、名称未定のエスカレードサイズのSUV。
●ビュイック
新型の中型クロスオーバー2車種。ビュイックは中国とアメリカの両方で販売されるグローバルプラットフォームです。
●シボレー
ビュイックと同じプラットフォームを使った中型CUV。なお、シボレーのピックアップトラックは展示されておらず、GMの役員も生産スケジュールに詳しく触れませんでしたが、動画の中にコンセプトイメージは登場し、筆者の目にはとても好印象に映りました。
●シボレー・ボルトEV
現行ボルトのフロントグリルとインテリアを刷新して、2020年後半に発売。
●シボレー・ボルトEUV(エレクトリック・ユーティリティ・ビークル)
より大型の、SUV風のボルト。2022年モデルが2021年夏にローンチ予定。ボルトEUVはGMのハンズフリー運転支援技術、スーパークルーズをキャデラック以外のブランドで初めて採用するモデルです。GMはスーパークルーズを2021年までに10車種、2023年までに22車種に展開します。

スケールメリット

これまで大手自動車メーカーはテスラやリヴィアンなどの新興企業と比べてハンデを背負っていると考えられがちですが、GMはEVへのシフトにおいて逆にいくつかのアドバンテージがあると考えています。

●資本効率
GMはEV事業を拡大するにあたって、土地や建物、ツール、生産設備(車体や塗装のライン)といった既存のアセットを利用できるため、資本支出を低く抑えられる。
●構造の簡素化
GMは車と駆動系をセットで開発しているため、現行のEVやエンジン車プラットフォームよりも構造を簡素化できて、部品点数も減らせます。例えばGMではバッテリーとドライブユニットの組み合わせをまず19種類予定していますが、エンジン車のパワートレインを見ると、現在550種類もの組み合わせが存在します。

本日のイベントについて、まだ触れていない情報がたくさんあるため、追って紹介してまいります。ただはっきりしたのは、GMのゼロ・エミッション化への取り組みが本気だということです。

訳者あとがき

今回の記事で取り上げられたアルティアムバッテリーですが、パウチでもプリズム型でも、用途に応じて組み合わせて使えるとのことで、柔軟性があって良いと感じました。また、急速充電も200kWまでサポートできるなら冷却系もしっかりしているだろうから、バッテリーの寿命も長そうですね。

自動運転や充電インフラに関する今後の記事も見逃せません。

(翻訳・文/池田 篤史)


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