ホンダが中国にEV新工場建設を開始〜年間で電気自動車24万台の生産能力

2022年6月21日、ホンダの中国における四輪車生産販売合弁会社である広汽本田汽車有限公司が、電気自動車(EV)の生産体制構築に向け、EV新工場の建設を開始することを発表しました。2024年に年間12万台、中国の2工場合計でEV24万台の生産能力となります。

ホンダが中国にEV新工場建設を開始〜年間で電気自動車24万台の生産能力

広汽Honda 新工場建設で年間24万台のEV生産能力へ

Honda(ホンダ)の中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司が、中国の現地合弁会社のひとつである広汽本田汽車有限公司(以下、広汽Honda)が、2024年の操業開始を目指し、広東省広州市の広州経済技術開発区内にEV新工場の建設を開始することを発表しました。

広汽Honda EV専用新工場。

新工場の敷地は40万平方メートル、生産能力は年間12万台を予定しています。投資額は34.9億元(約709億円)で、太陽光発電を始めとした再生可能エネルギーの活用など、サステナブルな取り組みを積極的に進めるほか、先進的な生産技術を数多く導入することで、高効率、スマート、低炭素なEV工場を目指すとしています。

ホンダでは今年1月、湖北省武漢市の武漢経済開発区に敷地面積63万平方メートル、EV生産能力年間12万台の新工場を2024年の稼働開始を目指して建設することを発表していました。2カ所の新工場を合わせると年間のEV生産能力は24万台となり、ホンダの中国におけるEV生産の基幹拠点となります。

東風Honda EV専用新工場。

Hondaの中国における四輪車 年間生産能力

ニュースリリースより引用。

両社の工場全体で四輪車の生産能力は173万台。新工場で生産されるEV24万台は、四輪車全体の約14%となります。

2030年以降、中国ですべてを電動車にする戦略

「e:N SUV Concept」「e:N GT Concept」「e:N COUPE Concept」

ホンダのEVといえば Honda e ですが、中国では販売されていません。でも、電動化は世界各地の市場に共通した重要課題です。ホンダでは2021年10月に「中国電動化戦略発表会」を開催して、以下のようなポイントの戦略を発表しています。

●2030年以降、中国で新たに投入する四輪車はすべてハイブリッド車やEVなどの電動車とする。
●中国初のHondaブランドEVとなる「e:N」(イーエヌ)シリーズを、5年間で10車種発売、中国からの輸出も視野に展開予定。
●第1弾「e:NS1」「e:NP1」をそれぞれ、東風Hondaと広汽Hondaから2022年春に発売

トヨタが「bZ」シリーズをスタートしたように、ホンダは中国から「e:N」と銘打つ電気自動車ブランドを立ち上げたということです。ホンダ全体としては、2022年4月、中国を含む先進国でのEV・FCV販売比率を「2030年に40%、2035年に80%、2040年に100%」とする電動化目標を発表しています。この目標を達成するためにも、中国では2030年以降、新型ガソリンモデルの投入を行わず、新たに発売する四輪車をすべてハイブリッドやEVなどの電動車とする計画です。

シリーズの第一弾として、2022年4月には東風Hondaから新型EV「e:NS1」を発売、5月には広汽Hondaの新型EV「e:NP1(イーエヌピーワン)」の予約受付を開始することを発表しました。

e:NS1

e:NS1は、東風Hondaのカタログサイトを探ってもバッテリー容量がわからないのですが、航続距離が中国のCLTC基準で510kmということですから、少なくとも50〜60kWh程度のバッテリーは搭載しているのでしょう。価格は17万5000元(約356万円)〜ということで、先進的な運転支援システムも満載されているので、かなりお買い得な電気自動車に仕上がっている、のではないかと思われます。

そういえば、「中国電動化戦略発表会」の発表には「全方位安全運転支援システム Honda SENSING 360 を2022年に中国から適用開始。順次グローバル展開し、2030年までに中国を含む先進国で発売する四輪車全モデルへの適用を目指す」という内容もありました。トヨタの「bZ」シリーズも、bZ4Xに続く次のモデルはBYDとコラボした中国向けモデルになると伝えられています。

広汽Honda 電動車専門店イメージ。

ホンダやトヨタなど日本を拠点とするメーカーであっても、電気自動車シフトの動きは中国優先になるようです。中国の「e:N」シリーズはCATL製バッテリーを搭載するようなので、そっちの条件として中国国内向けを優先するといった事情があるのかも知れません。

とはいえ、50kWhのバッテリーを搭載して300万円くらいで買える電気自動車があれば、日本でも画期的に売れることでしょう。中国電動化戦略では「中国からの輸出も視野に展開予定」とのことですから、e:NS1をもうちょっとかっこよくしたEVや、「スモール・イズ・スマート」を掲げた Honda e に「グッドプライス・イズ・スマート」の理念を加えたコンパクトEVを発売してくれれば私の物欲が発動しそうです。メーカー各社には、ぜひ電池生産や確保の道を広げ、日本でも魅力的な電気自動車バリエーションを展開していただきたい、と希望が募るニュースなのでした。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. 日本の工場は無くなり、中国の工場はどんどん出来ていく。
    EVについて、もはや日本は中国に勝てないような気がします。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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