世界初! テスラのすべてがわかる「INSIDE TESLA」開催中〜圧巻の展示は今年10月まで

ロサンゼルスのピーターセン自動車博物館で開催中の「INSIDE TESLA」は、テスラ車を一堂に集めた、世界初&唯一の企画展です。興味深い見どころなどを自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんがレポートします。

世界初! テスラのすべてがわかる「INSIDE TESLA」開催中〜圧巻の展示は今年10月まで

ピーターセン自動車博物館とは?

ロサンゼルスにあるピーターセン自動車博物館で開催されている企画展「INSIDE TESLA」を取材してきました。プロトタイプも含めてテスラ全車種が一堂に会する展示は世界初、唯一無二とのことで、2023年10月22日まで見ることができます。筆者は昨年11月末のLAオートショーやSEMAショーの取材でLAに滞在していた時、毎年訪れているピーターセン自動車博物館で、近々INSIDE TESLAという非常にユニークでこれまで例をみないテスラの企画展が開催されることを知りました。広報担当者に尋ねたところプレスデーの設定もあるということで、訪れてみました。

ピーターセン自動車博物館について少しご紹介しておきます。同博物館は1994年6月11日に雑誌出版社のロバートEピーターソン(Robert E. Petersen)と、彼の妻マギー(Margie)によって設立されました。ロサンゼルスのダウンタウンに位置しており、2015年に9000万ドルをかけて冒頭写真のような近未来的な外観に一新。ちなみに、こちらの建物はもともと1960年代に建てられたのですが、その始まりはなんと日本の西武百貨店でした。

筆者は2004年頃から大規模リニューアル工事のために閉鎖されていた時期(2014~2015年)を除いてほぼ毎年訪れています。日本車の企画展もたびたび開催されており、子供向けのクルマ教室やArtCenter College of Designによる研究室などもあります。また、「CAR &Coffee」などのファンミーティングやクルマに関わる映画観賞会なども定期的に開催されています。

展示台数は100台程度(ほかに100台が倉庫にあり)なので規模はそれほど大きいわけではありませんが、非常にライブ感にあふれた「生きた」博物館であり、クルマに関する数々の学びが得られるのも特徴です。展示スペースではボランティアの学芸員が随所に待機してくれていて、質問に対してかなり専門的な内容であっても的確に答えてくれます。

INSIDE TESLAはそのピーターセン自動車博物館にて開催されている期間限定の企画展です。

INSIDE TESLAの見どころは?

展示の見どころやピーターセン自動車博物館でINSIDE TESLAが開催されることになった経緯などをINSIDE TESLAディレクターのブライアン・スティーブンスさんに聞いてみました。

―なぜピーターセン自動車博物館でINSIDE TESLAを企画したのでしょうか?

この展示は博物館とテスラ社との数年にわたる信頼関係から実現したものです。博物館の展示スケジュールとテスラ全車両が展示できる可能性が一致したことで、INSIDE TESLAの開催が可能となるタイミングが2022年11月からの1年間でした。単にクルマを並べるだけではなく専用の展示物を多数製作しました。また、11か月という長期にわたる企画展は、ピーターセン自動車博物館で開催される企画展としても初めてです。企画から実現するまでの準備期間にも約1年の時間がかかっています。

―INSIDE TESLAの見どころを教えてください。

サイバートラックのプロトタイプは、お客様から最も人気のある車種となっています。そのサイバートラック含め、これまでテスラが開発してきたすべてのプロトタイプ車両や発売されたすべてのテスラ車、開発車両や各種のオブジェ、そして充電器やバッテリーの開発ヒストリー、世界各地にあるギガファクトリーの情報、イーロンマスク氏の幼児期からの歩み、さらには、『スターマン』(2018 年 2 月のFalcon Heavyのテスト飛行の際、ダミーペイロードとして機能したテスラロードスターに乗る宇宙服を着たマネキンのこと。スターマンは現在もロードスターに乗って太陽の人工衛星として軌道を回っています)の現在地に至るまで。過去にテスラの特定イベントや発表会で展示されたことはありますが、同じ場所で同時に展示されたことはこれまで一度もありません。今回のINSIDE TESLAの最大のトピックはそこにあると考えています。

―初公開の出展車はありますか?

はい。ロータス・エリーゼ 『ミュール1』(初代テスラ・ロードスターの開発車両に使われ、ロードスターのプラットフォーム車両にもなった)は初めての公開となります。また、初代テスラ・ロードスターの製作のきっかけとなったACプロパルジョン社のtZero(1997年製作)は何年も前にごくわずかしか公開されたことがないと聞いています。」

展示内容をピックアップ!

現地で見ることができた展示の内容をピックアップして紹介しておきます。

tzero

現代のテスラ車のインスピレーションであり、現代のEVへの関心を新たにする革新的なモデルが『tzero』です。GM社の『EV1』を開発したエンジニアのアラン・コッコーニによって開発されています。スタイリッシュで高性能な電動スポーツカーとしてACプロパルジョン社によってロサンゼルスで手作りされました(世界で3台のみの製作という情報もあります)。

tzeroには写真からもわかるようにオプティマ社の鉛蓄電池が多数搭載されています。また、tzeroに取り付けられた画期的なシステム『V2G』(車両→グリッド)はプラグを差し込むとエネルギーを取り出すことができ、家や建物そして地域への電力を供給する機能が与えられています。良く知られるV2HはVehicle→Homeですが、V2GはVehicle→Grid(Homeも含んだ地域全体の電力供給に関わる)を意味しています。

またtzeroにはアメリカでも高い人気を得ている日本のホイールブランド「レイズ・VOLKレーシング」製ホイールが装着されていました。

TESLA Mule 1

今回初めて公の場での展示となったのがこちらのTESLA Mule 1(ロータス・エリーゼ 『ミュール1』)です。テスラが最初に製作したテスト車両でもあり、初代テスラ・ロードスターはエリーゼのシャシーをベースとしたプラットフォームを使っています。Mule 1は2004年にカリフォルニア州サンカルロスの施設で既存のバッテリーをエリーゼのシェルに適合するための改造から開発が始まりました。

2004年10 月にtzeroを作ったACプロパルジョン社から供与されたライセンス技術に基づいて、ドライブトレインコンポーネントの設計を開始し、2005年1月にはカリフォルニア州で公道実験がスタートしています。外見はほとんどロータス・エリーゼなのですが、ノーズとホイールの1つにバッジとして黒い背景に緑色の「T」が付いていることが最もわかりやすい特徴です。

2022年型テスラモデルY(分解展示)

圧巻の分解展示は最新のモデルYで行われていました。まさに「INSIDE TESLA」の名前にふさわしい展示と言えるでしょう。バラバラになったモデルYの各部品が天井から吊るされていてモデルYの構造もわかりやすく、斬新な展示でした。

説明書きには「ガソリン車は約3万個の部品によって構成されていますが、燃料タンク、燃料ポンプ、タイミングベルト、または排気システムなどを必要としないEVはその半分以下の部品数です。ドライブトレイン全体では内燃機関の部品は200であるのに対してテスラはわずか10数個の可動部品で作られています。」と記されていました。

サイバートラック プロトタイプ

2023年に市販開始が予定されているサイバートラックのプロトタイプはトノカバーが外され荷台を開けた状態で、ATV『サイバークワッド』とともに、展示されていました。

筆者は10月に開催されたArtCenter College of Designの同窓会でサイバートラックを見ていましたが、トノカバーが開けられた状態を見たのは初めてでした。なるほど、サイバートラックの荷台はテスラらしい斬新なアイデアにあふれています。テスラではサイバートラックの荷台を「Vault」と呼んでいますが、これは従来のピックアップと違って荷台部分が開放された形状ではないからです。

サイバートラックの「Vault」は強靭なフレームに囲まれていますが、ボタンひとつでスライド式のトノカバーが開閉します。Vault部分には100 立方フィート(約2832リットル)のラゲッジスペースがあり、サイバートラックの最大積載量は3,500 ポンド(約1587 kg)の荷物を運ぶことができます。特徴的でユニークなのはVault にはランプ(スロープ)が組み込まれていることで、写真の赤丸で囲んだ部分がトノカバー兼スロープとなり、リヤバンパー下に格納されていて使用時には引き出します。

このスロープを使うことによってサイバークワッドなどのATVやオートバイなどが容易に積み込めるとしています。荷台に重たいものを積んだとしてもセルフレベリング エア サスペンションによって車高の高さや乗り心地は適正に保たれているそうです。荷台部分はテントや電源、圧縮空気を備えたキャンプユニットに変えることも可能です。

Semi

2017年に発表され、5年経ってやっと2022年12月にペプシ社(最も早くに100台を契約)から納車が始まったEVトラックの『Semi』は、ピーターセン自動車博物館の駐車場入り口に展示されていました。

Semiについては、過去何回もEVsmartブログに出ていますし、12月5日付で池田さんが素晴らしい記事を書かれていますので、詳細はそちらをご確認ください。

INSIDE TESLAは2023年10月22日まで開催されています。テスラオーナーの方、テスラファンの方、テスラをもっと知りたい方はぜひ、春休み、夏休みなどにロサンゼルスまでお出かけになってみてはいかがでしょうか? きっともっとテスラが大好きになると思いますよ。

取材・文/加藤 久美子

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この記事の著者


					加藤 久美子

加藤 久美子

山口県下関市生まれ。大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。95年よりフリー。2000年に自らの妊娠をきっかけに「妊婦のシートベルト着用を推進する会」を立ち上げ、この活動がきっかけで2008年11月「交通の方法に関する教則」(国家公安委員会告示)においてシートベルト教則が改訂された。 一財)日本交通安全教育普及協会認定チャイルドシート指導員の資格を取得し、育児雑誌や自動車メディア、TVのニュース番組などでチャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 愛車は1998年5月に新車で購入したアルファスパイダー(26.5万キロ走行)

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