商用車こそEVシフトの本懐。テスラSemiがもたらす業界の大変革

サッカーW杯で日本がスペインに歴史的勝利を飾った12月2日、電気自動車の大型トレーラーヘッド、テスラ『Semi』の納車イベントがオンライン中継されました。最大出力1MWのスーパーチャージャーV4など要注目のトピックスも満載。注目ポイントを翻訳家の池田篤志氏が解説します。

商用車こそEVシフトの本懐。テスラSemiがもたらす業界の大変革

自家用車はスポーツカーやSUV、ワンボックスなど、自らの個性を反映して好きなモデルに乗ることが出来ます。多少燃費が悪かろうが、荷物が運べなかろうが関係ありません。しかし商用車、特に物流業界は、ビジネスだからこそコストや機能がしっかりしていないと事業が成り立ちません。EVトラックは金持ちの道楽なのか? お金の計算ができる人ほど、逆にこれ以外の選択肢はないと感じるでしょう。

Semi納車イベント

FIFAワールドカップ予選で世界中の予想を覆し、日本がスペインを下した試合はイーロン・マスクの目にも止まったようで、おめでとうツイートまで発信してくれています。

そんなサッカーのニュースに隠れて残念ながらほとんど話題になっていませんが、2017年の発表から実に5年の歳月を経て、ついに大型トレーラーヘッド、テスラSemiの納車が開始。ネバダ州スパークスにあるテスラ社の最初の「ギガファクトリー」でデリバリーイベントが開催されました。

Tesla Semi Delivery Event(YouTube)

※記事中画像は公式動画から引用。

全世界で毎年1億台ぐらいの自動車が販売される中で、トレーラーヘッドの割合は1%以下。年間わずか40~50万台しか売れませんが、1日のうち1時間程度しか動かない自家用車と違って稼働時間が長く、排気量も大きく、ディーゼル車であることから、大気汚染の割合で見ると自動車全体の20%、PM2.5などの煤塵は36%も占めています。そのため、大型トラックをEVに置き換えることで、少ない台数で大きな環境保護効果が得られるのです。

Semiはただ環境にやさしいだけでなく、運転が楽で、楽しく、安全でもあります。モーターやインバーター、ヒートポンプなどは、モデルSやモデル3などで改良を重ねた、実績のある部品を流用しているため、性能や耐久性も抜群です。このイベントでは言及されていませんでしたが、カメラシステムもモデル3などと類似したものを使っているため、オートパイロットなどのソフトウェアもSemiは搭載していると考えられます。

イベントではオートパイロットについて一切説明がありませんでしたが、これはもうすぐ発表されると噂されている次世代オートパイロットコンピューター、ハードウェア4(HW4)がSemiにも搭載されていて、今発表してしまうとモデル3などの乗用車と足並みが揃わないからだと私は推測しています。きっと乗用車でも近日中に発表があり、「ちなみにSemiにもこの機能は備わっている!」と説明するのだと思います。

Semiのエンジニアはペプシコなどのドライバーを訪ね、どういった機能が必要なのか、トラックを毎日どのように使っているかなど徹底的に聞き込み、テスラの十八番とも言える素早い学習と改良を重ねました。運行前点検のためのボタン類が備わっていたり、ワンタッチで車高を下げたり、キングピン(トレーラーの連結部パーツ)のロックを解除したりと、様々な便利機能が備わっており、テスラいわく「ドライバーは早く仕事を終えて帰ることができる」そうです。

もう一つドライバーとして便利なのが広大なキャビンです。身長が約185cmのイーロン・マスクでも立つことができ、外が荒天の場合でも室内でカッパやジャケットを着込んでから外に出られるのはありがたいですね。

このような広大なキャビンが可能になったのは、モーターがフットボールぐらいの大きさしか無いため、キャビンの床を低くすることができたためです。乗用車でもEVはパッケージングの自由度がかなり変わりましたが、Semiでもうまく各コンポーネントの位置を変えていて、これまでにないスペースの活用法が編み出されています。

車両総重量37トン(トラックと荷物の合計)の状態で、1回の充電で800km走行することができます。これはテストコースなどの道が整った状況での記録ではなく、サンフランシスコからサンディエゴまで実際の道路で実現しています。下図はバッテリーと走行距離、標高のグラフですが、バッテリー残量97%からスタートして、サンディエゴに3%で到着しているため、実際はバッテリー容量の93%を使って830kmを走行したことになります。途中の大きな峠では標高1260mまで登っていることにも注目です。

実際のルート。

電費は現在の仕様で1060Wh/kmです。テスラモデルXで年式や走り方にもよりますが260Wh/kmぐらいですので、車両総重量2.6トンのSUVの4倍の電費で37トンのトラックが動いていることになります。テスラでは将来的に1000Wh/kmは達成できると見ており、うまくいけば940Wh/kmも狙えるとのこと。

電費と航続距離から逆算すると、駆動バッテリーは恐らく1MWh(モデルS 10台分相当)あり、これを充電するのが、出力が大幅に向上したスーパーチャージャーV4です。ピーク出力は1MW以上で、ケーブルの発熱を抑えるために、導線は冷却液のパイプの中に通しています。(なお、サイバートラックもV4充電器に対応しているとのこと)

【関連記事】
テスラが自社充電コネクター規格を公開し「北米標準」目指す。日本はどうするべきか?(2022年12月2日)

以下の写真ではわかりにくいかもしれませんが、ドライバーが持っているスーパーチャージャーV4のケーブルはV3よりも明らかに太いです。上図右側では同じ直径に見えますが、縮尺が違うようですね。

最後にペプシコの偉い方が壇上に招かれ、黒いカードのようなものを渡されているので、Semiの鍵はどうやらモデル3/Yと同じカードキーだと分かります。この後会場では、イベント参加者がSemiの製造ラインを見学して周るチャンスがあったそうです。

Semiのメリット

納車イベントでは興味深いSemiのあれこれを知ることができました。ここからは、Semiについてのポイントを紹介していきましょう。まずは、Semi のメリットから。

●市街地で排ガスを排出しないため、呼吸器系疾患に関する医療費が下がります。日本ではあまり耳にしませんが、アメリカでは排ガスを吸いすぎると脳機能に影響があると言われて(関連情報サイト)おり、スクールバスをEVバスに置き換える動きも活発化しています。

●Semiは回生ブレーキで減速するため、ブレーキダストも殆ど出ませんし、下り坂でブレーキが効かなくなることもありません。「プロは排気ブレーキを使うよ!」というご意見もあるかもしれませんが、それはそれでエンジンと後処理装置が冷えてしまい、昇温制御のために無駄に燃料を使い、排ガスも悪化するのでデメリットがあります。

出典:NHK 軽井沢スキーバス転落事故

●あと数年でEuro7規制が導入され、後処理装置はますます巨大化し、高価になると思われます。Semiは後処理装置が不要なため、メーカーとしても認証が取りやすく、事業者もメンテナンスコストが少なく済みます。

●暖機運転の必要がないため、近所迷惑にならず速やかに始業できます。また、ドライバーが就寝時などにエンジンをかけっぱなしにする必要もありません。

●6%の上り勾配でも37トンの塊がグイグイ加速していくため、もう登坂車線に用はありません。

●モーターの制御が精密なため、トラクションコントロールも効くし、トレーラーのジャックナイフも防止できます。

●安全で高性能なトラックを導入すれば運用コストが下がるだけでなく、ドライバー不足の時代でもSemiに乗りたい人を雇用できます。Semiをすでに導入予定の企業は、今のうちにモデル3/Yを購入してドライバーに回生ブレーキの使い方など、EVの作法に慣れておいてもらうのが良いと思います。

Semiの疑問点

いくつか、ライブ動画でもわからない疑問点も残りました。

●地上高が低い? エアサスは付いているため、もしかしたら高速道路などは電費向上のために車高が下がり、市街地では高くするのかもしれませんが、下の写真のままだと線路や勾配の変化がきつい道で亀になるリスクがあります。

●インフラはいつ整うのか? 現在はペプシコやフリトレーのヤード内にスーパーチャージャーV4を用意しているため、拠点間の輸送は問題ありませんが、それを外れたルートを通る場合はV3チャージャーに頼ることになり、そうすると牽引したままでは充電器に近づけないため、しばらくは決まったルートだけを走ることになりそうです。

●ミラーを取ったらさらに電費アップ? アメリカでは法律で、メーカーは必ずサイドミラーを装備して車両を販売しなくてはなりません。しかし、オーナーがそれを取り外すのは自由なので、サイドカメラ仕様にして、さらに電費を伸ばすのが定番になりそうです。乗用車ではミラーを取ると最大2%電費が変わるとも言われていたため、Semiも期待できるかもしれません。

●ドライバー監視システムはどうするのか? モデル3などの乗用車でもオートパイロットを騙して手放し運転するためにハンドルに重りを巻いている人がいますが、トラックがこれをやると事故った時にシャレにならない被害が出ます。Semiには特別に厳しい監視システムがつくのか注目です。

●日本の道路にあったサイズのトラックを出してくれるのか? Semiは日本には少し大きすぎます。サイバートラックもそうですが、もう少し道路の狭い国用に、同じコンセプトで少しコンパクトな車両がほしいですね。

トリビアコーナー

私がテスラのイベントを翻訳解説する際に恒例となっている、トリビアを。

●2017年に発表されて以来、著名な科学者やエンジニアに実現不可能だと言われ続けてきたSemiですが、ビル・ゲイツ氏に至っては「大型トラックや貨物船、旅客機の電動化は、バッテリー技術に大きな革新が起きたとしても現実的なソリューションには絶対ならないだろう」と言っていました。ゲイツさん、特にバッテリー技術に革新は起きてませんが、今どんな気持ちですか?

●インターネットの匿名掲示板でまだ「雪道でどうするの?」とコメントしている方がいましたが、バッテリーの大きさに対してキャビンの使用エネルギーは例えばモデル3などとあまり変わらないため、バッテリーが50kWhしかないモデル3で一晩に10kWhも取られると痛いですが、1000kWhもあるトラックから10kWh減ったところで……。

●イベント中に800km走ったことを説明する際、ことさら「Semiは変なことは一切していない」と強調していましたが、これは先日、創業者が逮捕されたトラックメーカー、ニコラのプロトタイプ車両ニコラOneを揶揄したものです。ニコラはまともなEVトラックを開発できなかったため、長く緩やかな下り坂を転がっている様子を撮影し、世間に「どうだ、ウチの開発車両の走りは!」と公開していました。

●ディーゼル車はNOxを大量に出しますが、実は水素エンジントラックもNOxが出ます。これを浄化するために後処理装置が必要ですが、後処理装置をつけると、今度は出力が下がります(水素エンジン車はそもそも出力が低い)。排ガス規制が進むと、どんどんEVとのパワーの差が顕著になっていきます。

いかがでしたでしょうか? お金にシビアな物流業界こそ、Semiの利点が明確に見えるはずです。もちろん会社によってまだSemiでは役に立たないということもあると思います。しかし、1日200kmも走行しないような会社だって山ほどあるため、そういう会社から順にEVトラックにシフトしていき、「おい、EVにしたら経費がすごく浮いたぞ」という噂が出始めると、一気にEV化が進むのだろうと私は予想しています。

(文/池田 篤史)

この記事のコメント(新着順)9件

  1. テスラセミ、キャブオーバータイプのものが開発されれば日本にも入ってくるでしょうね。バッテリー分積載量が数トン減っても燃料代でペイできそうです。
    ただし荷主が1便で載せられる量が減ることに文句つけそうですが、それも時間とともに減るでしょうね。

    実際にトラックに乗っている身からすると2つ疑問がある車両でした。
    1.寝台が無い。
    片道200km(日帰りで車庫まで帰ってこれる限界の距離)を超える中長距離運行する時寝台がないのは致命的です。寝る場所がありません。アメリカでも日本でも仮眠所は殆ど存在しません。
    テスラは寝台付きのバージョンも作ると言ってるそうですが、時期不明のようで、もし寝台のない現在のセミで長距離運行をやれと言われたら私なら会社辞めます。

    2.センター配置の運転席は非常に使い勝手が悪そう。
    バックで止める時は直接窓から身を乗り出して後ろを確認しながら入れるのですが、セミのシート配置だとこれが出来ません。
    カメラやセンサーがあるから不要と言われるかと思いますが、実際の現場ではバックカメラやサイドカメラは雨粒や粉塵によってよく見えないことが非常に多く、またカメラの映像は少し歪むので、狭い現場などでは微調整が効かず結局身を乗り出して直接見ながら入れます。
    また長距離ドライバーはセンターコンソールの上で電気ポットやガスコンロを使って自炊などをする人が結構いるのですが、セミのテーブルは非常に小さくそういう事が出来ません。
    また空気抵抗を低減するためだと思いますが、キャビンが細身で従来のトラックからすると狭いです。収納も少なめ。
    乗用車からすると「中で人が立てるなんて超広いじゃん」と思うかもしれませんが、中で人が立てるなんて大型トラックだと普通のことで、合羽なんかも車内で立って着るのが普通のことなので、テスラのキャビン広いアピールは業界の人間からすると「普通じゃないそれ?」って感じデス・・・。
    見た感じ今のところ日帰りの地場配送トラックとして設計されていて、中長距離はあまり考慮していないのかなと思いました。
    寝台や自炊のためのスペースを備えた長距離仕様のセミの登場に期待です。

    1. daraさん、執筆者の池田です。実際のトラック乗りのかたからのご意見、ありがとうございます。ポイントをかいつまんで、コメントや予測したいと思います。反論じゃなくて素人の意見なので間違ってたらご指摘ください。

      1) 「バッテリー分積載量が数トン減っても」。これは記事でも書きましたが、ほとんどディーゼル車と変わらないそうです。あとは国交省がEVトラックの最大積載量を少し引き上げてくれるかどうかですね。

      2) 「寝台がない」。これはまだ充電インフラが整ってないから寝台付きを出す意味がないんだと思います。高速SA/PAや、下道でも大型トラック用の駐車場に50~100kWぐらいの充電器があると寝台も価値が出てきます。ちなみにアイドリングしなくてもエアコンで快適・静かに寝られます。

      3)センターシートについてはアメリカのトラック乗りも「身を乗り出して見る」という意見が多く出てましたが、ペプシコのドライバーが開発段階で運転しているので慣れの問題かもしれません。相当な数のカメラがついているとも聞いていますが、カメラにはウォッシャーやワイパーをつけると荒天でも見えそうですね。
      画像の歪みについて、予想ですがテスラはカメラ画像から3D空間を再構成するので、モニターに映し出されるのはカメラの映像ではなく、FSD betaの画面のようなものかもしれません。未来のドライバーはその画面とにらめっこしながらバックするようになるのかも?

      4) ディーゼル車でも中で立てる。これはハイルーフ車のことを言ってるのでしょうか?私の知る限りではハイルーフでもちょっと中腰なイメージなんですけど、Semiと同じぐらい天井高があるキャビンも最近はあるんですか?

      5) ポットやガスコンロ。これは日本にキャブオーバーのSemiを導入する際にペプシコのように、日本の大手物流会社さんと協力して意見を吸い上げてほしいですね。ガスコンロはIHコンロに変わりそうです。火事のリスクも減り、一酸化炭素中毒も気にしなくて済みます。ガスボンベも交換しなくていいですね。

      その他にも「こういう機能が欲しい」「日本ではここが気になる」などありましたらぜひ書き込んでください。

    2. ご返信ありがとうございます。

      1)については私は電気自動車の構造に詳しい訳ではないので後学の糧とさせてもらいます。
      アメリカだと1トン、EUだと2トン最大車両重量が緩和されたそうなので、おそらくそのぐらいは違うのかなと。
      内燃機関のトラックは想定運用距離によって燃料タンクの数を変えて最大積載重量が変わるので、イーロン・マスクにはどのあたりのトラックと比較して積載重量が変わらないのかも言及して欲しかったです。
      だいたい日本だと中距離で400Lタンク1つ(満タンでタンクの自重込200kg程度)が標準で、地場配送やダンプなど日帰りで短い距離がメインのトラックは200Lタンクが多いです。
      長距離運用専門のトラックとかは積載量を犠牲にして400Lタンク2つや300Lタンク3つとかつけて航続距離3000km以上とかにしてます。

      2)これはSA/PAのインフラ整備に期待ですね。
      日本の運送業だと4時間に30分の休憩があり、トラックはだいたい80km/hで走行するので(=4時間で320km前後)、渋滞などの悪条件を考慮に入れて(ずっと走っている分乗用車より遥かにそういったバットシチュエーションに遭遇する事が多いので)30分で400、できれば500km分ぐらい充電できれば、十分に実用できると思います。
      ただ現状ただでさえ駐車枠が足りず、ネクスコなども用地買収などをして大型枠の増設をしたりしていますが追いついていない状況なので、充電器を設置するために駐車枠を減らさないことがマストで、ここが一番の技術的なネックかなと思います。
      今のトラックは12時間ぐらいまでならエンジン止めててもエアコンつけられる機能が普及してきてるので新しいトラックに乗ってる人は今でもエンジン消して寝られるのですが、鮮魚輸送などの冷凍車のドライバーさんは荷物のためにエンジンつけっぱなしにしないといけないので、休憩中に充電出来る環境ができればかなり労働環境が改善されると思います。

      3)ペプシコの運用を見ていとおそらく製品工場から物流センターまでの基幹路線便という運用に見えます。
      こういう運用はルートや配送先の配置も決まっていて自動化がし易く、配送先も設備が整ってトラックが汚れないので、路線便から始めたのはテスラは非常に賢いと思います。
      私が行っているのはフリー便という毎回行き先が違うチャーター便のような運用(長距離はこっちがメイン、路線便はジョイント輸送などで1台の担当距離は400kmぐらいの中距離までが多いです。)だと、砂場など悪条件の場所に配送することが多く、バックカメラにウォッシャーもついているのですが、砂塵や粉塵で一瞬で曇ってしまい結局役に立たねえと身を乗り出すことになります。現場によってはなんと運転支援システムのレーダーや超音波センサーなどが粉塵で蓋されて作動不能になり警告メッセージが出ることもあるんです。(いちいち拭いてたら仕事にならないので積み下ろしが終わって出発するまではシステムオフにして無視します。)
      あとは毎回違う現場に行くので、積み下ろし地についてから現地の人と窓から身を乗り出して「お疲れ様です、どこ入れればいいっすか?」「あそこにバックで入れて下ろしてくださーい」みたいなやり取りするのでそれが出来ないのも地味に不便です笑
      ペプシコのような路線便だと行き先も下ろし方も決まっていてそういうやり取りもなく汚れにまみれることもないでしょうからその辺の課題が全部省けたんじゃないかなーと思います。
      悪いことでは無くまず出来るところからやっていくというのは合理的な考えだと思います。

      4)長距離運用だとフルキャブハイルーフのトラックが多いです。
      中にはショートキャブの標準ルーフ(よくてルーフベッド)で長距離運用をやらせるブラック企業もありますが、そういうとこは速攻で人が辞めるので少数派です。
      ハイルーフだと現行車は寝台の上で身長178cmの私が普通に立って着替えが出来るのでだいたい190cmぐらいはあるかなと思います。
      シートのエアサス一番下まで下げてその上に立てば2mはあると思います。
      エンジンが床下じゃなくて前方のボンネットの中にあるアメリカ型のトラックは元々空間に余裕があるので向こうの人が背伸びして手を伸ばしても天井に届かないぐらいの高さはあるみたいです。

      5)自炊はIHやガスなど人によって様々ですが、多分大手物流会社との提携ではこの辺の知見はまず手に入らないと思います。
      何故かというと大手物流会社が自社のドライバーにやらせるのは日帰りの地場か、ペプシコのような物流拠点間の中距離(片道400kmぐらいまででギリ一日で到達できる程度)までの路線便だけで、大抵の場合大手の物流拠点は仮眠室が完備されているのでトラックの寝台を使ったり中で自炊したりする必要が無い事が多く、こういう知見が得られるフリー便や長距離運用は傭車と言われるいわゆる下請け事業者に投げてしまうか、そもそもそういった仕事は受けないからです。
      なので長距離便は大手から傭車に振られるか、最初から長距離をやってる大手より小さい会社に依頼が来ます。
      そして大型トラック全体の殆どはこうした傭車なので、大手と組むと逆に長距離運用を無視した実情にそぐわない知見が得られてしまう可能性が高いと思います。
      なのでテスラは本気で長距離運用までカバーする気があるのであれば、ペプシコや日本でいうとヤマトのような大手とだけ提携するのではなく、中小零細企業とは言いませんがせめて長距離運用をやっている準大手か中規模ぐらいの運送会社とも組むべきだと思いました。

      欲しい機能としては・・・床下カメラが欲しいです!
      前にコンビニでの休憩が終わって発進しようとしたらトラックの後ろで子供が遊んでいたので下りて「動かすからどいてなー」ってどいてもらったのですが、後ろから戻ってドアを明けて運転席に上がろうとしたまさにその時、トラックの床下からボールを持った子供が二人這いずり出てきたんです!
      多分這い出てくるのがもう数秒遅かったら気づかずに発進して轢き殺してました・・・。
      一応かがんで床下は見たのですが、それでは見えないぐらい奥の方に居たみたいです。
      床下カメラはすぐ汚れてよく見えなくなるでしょうけども、明瞭に見えなくても「何か居る」だけでも分かれば下りて確認出来るので、是非欲しいです。

    3. 間違えました、400Lタンクは満タンで自重込400kgぐらいデス・・・。

  2. >駆動バッテリーは恐らく1MWh(モデルS 10台分相当)
    モデル3、Yのバッテリパックは440kg(75Wh)との事ですので
    https://www.youtube.com/watch?v=6pW4eZxWPCg
    バッテリパックだけで約6トン(最大積載量の約15%)。
    更にキャビン、フレーム、タイヤホイール、モータ、架装とかかる訳で
    37トンの中で実際に積み込める商品の重量はどの程度になるのでしょうか?
    国内トラックメーカの設計者の方いわく
    「バッテリ積めば航続距離は伸ばせるけれど
    その分何トンものバッテリを運ぶ事になる。
    輸送車両が商品品以外のものを大量に運ばなければならないというのは
    完全に目的を見失っている。」
    国内メーカが(特に大型)EVトラックに消極的なのは
    企業哲学にも関わる問題なのかもです。

    1. 執筆者の池田です、コメントありがとうございます。
      まずバッテリーパックが6トンという話ですが、私はもっと軽いと思っています。
      Semiは4680バッテリーを使っており、エネルギー密度は272-296 Wh/kgと予想されます。1MWhのバッテリーだとすると、セルだけで3.4トンぐらいの重さです。これにケーシングや冷媒などが入りますが、4680はシャシーの一部も兼ねられるため、ディーゼルよりもシャシーが軽く済みます(ここは未確認情報です)。これにモーター3つと最小限のトランスミッションを足して、全部で4トン強ぐらいではないかと私は予想しています。

      一方、大型ディーゼル車のエンジン・ミッションで大体1.7トン、プロペラシャフトや後処理装置など、EVトラックに不要なものを全部足していくと2トンぐらいになります。そして過去の記事でも書きましたがヨーロッパはEVトラックの総重量制限を2トン増やしています(アメリカは1トン)。実際、イーロン・マスクも「積載量を犠牲にすることはありません」と言っています。

      テスラは「完全に目的を見失っている」のではなく、どうすれば目的を達成できるのか必死に考え、答えを出しています。その「国内トラックメーカーの設計者」は出来ない理由探しをしちゃっていませんか?

    2. >池田様
      いつの間にかコメントが反映されておりましたので追記させて頂きます。

      >出来ない理由探しをしちゃっていませんか?
      ICEとBEVの両方に対応しなければならないので
      簡易計算して現実的でないものについてはやりたくない
      というのは多分にあるのではと思います。
      (客先はEU北米だけでは無いので。)
      既存トラックメーカさんも
      「決まっちゃった以上はその範囲内でやります」
      のスタンスでミルクラン向け中小型がメインとも聞きます。

      semiの重量に関しては
      テスト車両の写真から約12トンだろうという説がありました。
      https://insideevs.com/news/624326/tesla-semi-weight-no-load/
      現行の大型トラックですと大体9-11トンですので
      法規で下駄を履かせてもらってトントンですね。
      ちなみに
      >EVトラックの総重量制限を2トン増やしています
      については
      EVトラック限定では無く代価燃料1トン、ZEV2トンの重量増加を認める事であってますよね
      https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A01996L0053-20190814
      頻繁に安全装置等の追加で車両本体の重量が増えてゆく中で
      いかにして積載重量の減少を最小にしようと頑張っているのに
      ZEVだけ重量UPはOKとなったら
      ICE担当者がイラっとするのは理解できます。
      (そもそも積載重量が規定されている理由は?と思わなくは無いですよね。)

      また
      今回のテスラsemiの発表からは
      現行大型トラックの代価としては未完成であるとも受け取れます。
      >800km走ってバッテリ残は3%
      との事から
      ①1年後の通常バッテリ劣化の数%で800km走れる可能性は大変低くないですか?
      ②バッテリ性能低下が10%近い寒冷地では新車でも800kmを走れますか?
      についてどうでしょうか。
      今の所は
      ・ミルクランにしか使用しない
      ・環境対策に理解がありますというイメージが欲しい
      大手向けでしょうか。
      ペプシコが導入したのも
      1540万ドルの州補助金+1台につき4万ドルの連邦補助金
      があったからとの事ですので
      一般は様子見でしょう。

      トラックについて語るのであれば
      トラックショーの来場者の方々に取材してみてはいかがでしょうか。
      購入予定者であり会社経営者であり運転手の方がたくさん来場しております。
      生活かかっているのでものすごく保守的ですよ。

  3. 大好き池田さんの記事。youtubeも作ってほしいけど。
    「Semiのエンジニアはペプシコなどのドライバーを訪ね、どういった機能が必要なのか、トラックを毎日どのように使っているかなど徹底的に聞き込み、テスラの十八番とも言える素早い学習と改良を重ねました。」
    って、こんな情報どこに書いてあったんだろう?

    1. shibata様、いつもコメントありがとうございます。そして動画作りサボってて申し訳ありません。
      発表の後半46~47分あたりで「設計チームはリサーチをし、(クライアントのトラックに)相乗りをさせてもらい、徹底的に調べた」「コップや鞄のCADモデルを色々作って、車内のどこに配置すると最適なのかや、ドライバーが毎日どのようにトラックを使っているのか調べ、より効率よく仕事ができるようにした」と言っています。テスラが学習と改良が早いのは、私の意見です。

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この記事の著者


					池田 篤史

池田 篤史

1976年大阪生まれ。0歳で渡米。以後、日米を行ったり来たりしながら大学卒業後、自動車業界を経て2002年に翻訳家に転身。国内外の自動車メーカーやサプライヤーの通訳・翻訳を手掛ける。2016年にテスラを購入以来、ブログやYouTubeなどでEVの普及活動を始める。

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