税込100万円で予約受付開始! KGモーターズが小型EVの量産ロードマップを発表

電気自動車の可能性は従来の自動車の代替品というだけではありません。独自の小型モビリティ開発を進めていたKGモーターズが量産に向けたロードマップを発表。価格は目標通り100万円(税込)として予約受付を開始しました。

税込100万円で予約受付開始! KGモーターズが小型EVの量産ロードマップを発表

予約金は3万円。モニター登録者限定で予約受注スタート

2024年3月24日(日)19時から、広島市に本拠を置くKGモーターズ株式会社(以下、KG)がYouTubeで「【重大発表】ミニマムモビリティ量産販売開始までのロードマップを公開!」と題するライブ配信を実施。かねて開発を進めていた『Minimum Mobility Concept(ミニマムモビリティコンセプト ※量産車名は未発表)』の価格は「100万円以下」としていた目標通り100万円(税込)とすることとともに、同日からモニター登録者に限定した予約受付を開始することを発表しました。

量産に向けた進化の一歩目となる試作車「T0」。

Minimum Mobility Concept(以下、ミニマムモビリティ)は、KGが2025年の量産販売開始を目指して開発中の1人乗り電動モビリティ。「小型モビリティで世界を“ワクワク”させる」というビジョンを掲げ、原付ミニカー規格とすることで1人乗りになるものの、取得時や維持のコストを軽減。短距離に特化した超小型モビリティによる「移動の最適化」という価値観を提案するプロダクトです。詳細は後述しますが、EV=電動モビリティの可能性を拓く可能性を秘めています。

まず、発表された「注文受付スケジュール」です。第一弾として、すでに募集されていた「モニター」の登録者に限定して3月24日から「予約受付」を開始します。

その後、2024年8月1日からはモニター登録者以外でもOKの「先行注文」を受付開始。12月までには量産車の仕様に近い試作車「T2」を完成させてモニター検証を始め、12月1日からはすでに決定しているはずの仕様などを見た上での「注文受付」を開始します。

デリバリーは2025年9月のラインオフから開始予定。「予約受付」「先行注文」「注文」の受付先着順に納車されることになります。ただし、2025年度に計画している300台については、メンテナンス網整備などに万全を期すため、広島県と東京都(島しょ部を除く)の居住者に限定される予定です。

「予約したいけどモニター登録していない」という方のために、モニター追加登録のフォームも用意されました。おそらく、期間&人数は限定的だと思うので、「買うぞ!」という方は登録をお急ぎください。ただし、原則としてキャンセルは不可。予約者の都合で正式に注文しなかったとしても予約金の3万円は返金されません。

開発のスピード感と「いいもの」を目指すスピリット

代表取締役CEOである楠一成さんがライブ配信の中でたびたび強調したのが「いいものを作るために」という思いです。ミニマムモビリティの量産試作車のファーストステップとなる「T0」が完成したことで、より広く一般ユーザーのリアルな意見などを反映した開発方針が必要との気付きがあって、今後、量産開始に向けた試作車となる「T1」「T2」「T3M(M=マニファクチャリング)」では、一般の開発ペルソナを選定し、試作車開発に参加してもらうとのこと。

ライブ配信の全体を通じて、目標達成に向けた決断やアクションのスピード感、楠さんやKGスタッフのみなさんが小型モビリティの可能性に賭ける情熱を感じる内容でした。モニター登録したり、予約、注文をするのは、ただミニマムモビリティの「ユーザー」になるだけではなく、心意気として開発に参加するようなものではないかとさえ感じました。

もともとは楠さんのYouTubeチャンネルから始まったミニマムモビリティ開発への経緯と、ライブ動画で発表されたタイムラインを表にしてみました。

時系列トピック
2018年3月YouTube「くっすんガレージ」チャンネル開設
2020年5月小型EVプロジェクト着想開始
2020年10月EV開発拠点「KGファクトリー」操業開始
2022年2月ミニマムモビリティプロジェクト開始
2022年7月KGモーターズ株式会社設立
2023年度コンセプトモデル(T0)1台を制作(完成)
2024年度量産試作車を制作(現在「T1」試作車1台が完成)
量産ロードマップ(受注やデリバリーの計画)
2024年3月24日「予約受付」開始 ※モニター登録者限定
モニター追加登録受付開始
2024年4月8日モニター追加登録者「予約受付」開始
2024年4月28日「予約受付」終了
2024年8月1日「先行注文受付」開始 ※予約者もここで正式に注文
2024年12月1日「注文受付」開始
2024年12月頃量産試作車「T2」のモニター利用開始
2025年9月1日【目標】量産車の工場ラインオフ
第一弾の「予約受付」対象者に先着順で納車開始
2025年度【目標】300台を生産&販売 ※広島県と東京都 (離島を除く)居住者限定
2026年度【目標】年間3000台の本格的な量産を開始
優先エリア以外にも納車を開始

2025年9月の量産開始はまだ先のようにも感じますが、創業当初から、かなりのスピード感でプロジェクトが進展してきていることがわかります。

超小型EVのコムスと比べてみると……

量産モデルの詳細なスペックなどは未発表ですが、コンセプトモデルであるミニマムモビリティの概要はKGのウェブサイトなどで公表されています。

KG公式サイトから引用。

サイズは、たとえば軽自動車の日産サクラに比べて全長が-905mm、全幅-345mm、全高は-190mm。同じ原付ミニカー規格のコムス(P・COM)は全長2395mm、全幅1095mm、全高1500mmなので、ほぼ同じようなサイズ感になります。

定格出力や最高出力もコムスと同等。航続距離はコムスが57km(JC08モード相当での走行パターンによる自社測定値)であるのに対して100kmとなっています。コムスは約3kWhの鉛バッテリーですが、KGのミニマムモビリティはリチウムイオン電池で、未公表ですがバッテリー容量は7.5kWh(計画値)と聞いています(関連記事)。

コムスの価格は、ビジネス用のB・COMが約80万円〜、個人向けのP・COMが約96万円〜と、ミニマムモビリティがやや高めにはなりますが、鉛に比べてリチウムイオンバッテリーはいろいろと高性能なので、走り心地や耐久性もレベルアップすることでしょう。また、コムスにはドアがない(キャンパスドアがオプション)ですが、ミニマムモビリティはちゃんと左右にドアがあってエアコンも装備されるはず。前後シンメトリーでキュートなエクステリアデザインのユニークさも含め、100万円は十二分に魅力的(むしろ採算が合うのか心配になるくらい)な価格といえるでしょう。

充電は、これもコムスと同様に100Vの普通充電のみに対応。一般的な100V15Aのコンセントで1.5kW出力で充電した場合、7.5kWhを空から満充電するには約5時間が必要な計算となります。

7.5kWhで航続距離100kmとすると電費は約13.3km/kWhになりますが。まあ、実用的にエアコンとかも使うでしょうから2割程度減らした約10km/kWhとして。通勤などで1日20kmを走るために必要な電力は2kWh。100Vコンセントでも1時間半足らずで満充電になります。

欲を言えば、J1772タイプ1の200Vで6kWの普通充電が可能なら軽快に日本一周とかもできそうですが……。オプション設定など、今後への期待ということにしておきましょう。

「新しい移動のカタチ」へのチャレンジを

24日の「重大発表」に先立って、3月18日にはENEOSとの協業を発表。また、3月22日にはプレシリーズAラウンドにおける3.8億円の資金調達を行うことを発表するなど、量産&販売に向けた動きが活発になっています。

ENEOSとの協業のリリースでは具体的な協業内容がよくわからなかったので、楠さんにメールで質問したところ、あくまでも「覚書を締結した段階で一方的に具体的な内容は開示できない旨ご容赦ください」とした上で、協業に対しては「メンテナンス網の構築がメインで期待している部分です。また、将来はMaaSの拠点等としても期待しています」という回答をいただきました。

小型電動モビリティとMaaSの可能性については、KGでも昨年リリースを出すなど情報を発信しています。また、昨年夏の「TECHNO-FRONTIER 2023」で、楠さんや、アパテックモーターズの孫峰社長、名古屋大学山本真義教授に登壇いただいて「パーソナルEVの可能性」と題した主催者セミナーを実施(私がモデレーターを務めさせていただきました ※関連記事)するなど、EVsmartブログでもいろいろと注目しているテーマです。

小型電動モビリティには、軽自動車の代わり、あるいは原付バイクの代わりというだけでなく、小型電動モビリティだからこそ可能になる、たとえばレンタカーより手軽で効率のいいシェアリングサービスといった「新しい移動のカタチ」があるのではないかと感じています。

もちろん、マイカーとしてガンガン活用するのも素敵だし、セカンドカーとしてクレバーに使いこなすのもいいですね。いよいよ予約できるようになったKGのミニマムモビリティで、どんな「移動のカタチ」を手に入れるのか。全国各地でどのような具体例が出現するのかと、今から2025年9月が楽しみです。

【重大発表】ミニマムモビリティ量産販売開始までのロードマップを公開!(YouTube)

取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)7件

  1. ガソリンスタンドの不便なチョイと郊外(田舎ともいう)では田畑の保有率が高いので
    こういったクローズドなキャビンよりはトラックが望まれています。
    三菱の電トラに乗って道の駅で充電していると話しかけられないことの方が珍しいです。
    軽バンEVなら在るよと言っても軽トラでないとダメだと言われます。
    よくわかりますよ。
    軽自動車も含めて各社どう考えているのか聞いてみて欲しいと思います。

  2. やはり、4輪の電動原付きで100万円+輸送費は高いと思う。
    維持費が安いと言うのが売りだが、
    エンジン付きミニカーなら30万円位で作れると思うので、電費が安いと言っても差額をペイする前にバッテリーが寿命を迎える。
    そして、バッテリー交換が恐らく数十万円掛かる。
    エアコン付いて無くて良いので30〜40万円で売って欲しい。

  3. 一般用としてみると、充電と一人乗りが課題になりますね。充電を考えると、戸建でないと難しい。送迎もできない。と考えると、コムスのような近場の配達、つまり商用車が向いているのではないでしょうか。

    1. seijimaはんのいわれる通り,これは個人自営業者向きやー思いますー。一般的な企業やと賛否両論で採用困難やー思いますし。
      電気管理技術者の作業車として、試験機材一式と蓄電池を積めればイケますー…移動距離一日80km以下なら途中充電不要、駐車中に2kWh程度の蓄電池から給電すれば+20km、屋根に200Wソーラーパネルをつければ尚よし。
      ※i-MiEV(M)10.5kWh作業車運用実績から充電体制まで考えた。

      業務形態や積載荷物との相性を考えれば個人事業や零細会社など、広告塔にもなる営業車として買われるんやないですか!?かつて日産エスカルゴがお洒落な外観と広告スペースの広さで話題になったように。

      たぶんこれを買う人間には発想の柔軟性が求められてますー。昭和時代の家電で言えばカセットテープ再生専用のウォークマンを使いこなせる人とそうでない(録音機能必須と考える先入観が購入を妨げた)人が別れたように。

  4. 折角100kmはしれるのですから
    エネオスとの協業というならせめて普通充電には対応して欲しいですね。

    1. 元々、長距走行は想定していませんので、コスト高になる普通充電への対応は、利用者のニーズ次第のこと。短距離の利用を想定した設計にそれ以上を求めるべきではない。ENEOSは、整備の拠点としての活用であり、充電ステーションとしての活用は想定していないでのでしょう。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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