上海モーターショーのブースで「Lynk & Co」の世界観を目撃【吉田由美】

2019年4月16日〜25日まで開催された『上海モーターショー2019』を、カーライフ・エッセイストの吉田由美がレポート。今回は『Lynk & Co (リンク&コー)』ブースのインプレッションをお届けします。

上海モーターショーのブースで「Lynk & Co」の世界観を目撃【吉田由美】

2018年には日本でワールドプレミアを開催

2018年10月、日本で、しかも富士スピードウェイでワールドプレミアを行った「リンク&コー」。私は、とあるメディアから連絡があり、「リンク&コーという中国ブランドの発表会があるらしいので、行くのならお仕事をお願いしたい」と。そこで初めて「リンク&コー」の発表会が日本で開催されることを知りました。

しかし日本で開催するというのに日本のプレスはかなり少数だったとか。日本で販売していない中国の会社がなぜ日本を世界初公開の舞台に選んだのでしょうか? 謎は深まります。私はすでに予定が入っていて行けませんでしたが、その頃から注目していた中国ブランドです。

後で参加したという業界関係者に聞いたところ、「輸入したいぐらい欲しい」と言っていた人がいるほどで、今回の上海モーターショーでも私が最も見たかったブースのひとつが「リンク&コー」です。やはり「リンク&コー」の注目度は中国の国内外で高いようです。日本以外、で。

ちなみに富士スピードウェイでワールドプレミアが行われたのはセダンの「03」でした。

「リンク&コー」がどんな会社かというと、2017年に「リンク&コー」として初めての市販車、SUVモデルの「01」を世に送り出しました。これは発売後わずか137秒間で6000台のオーダーがあり、世界最速&最高の自動車販売数ということでギネスに認定されたとか。翌2018年にクロスオーバーモデルの「02」が発売、そして「03」が発表&発売されました。

「リンク&コー」は、中国の自動車メーカー「GEELY(ジーリー=吉利汽車)」とボルボが作った新ブランドです。「GEELY」といえばボルボの親会社であり、「リンク&コー」のクルマたちはボルボのXC40のプラットフォームで作られたとか。第一弾が世界的に人気の高いSUVにしたあたりは、時代をよく読んでいますよね。

ちなみに「ボルボXC40」オーナーの私は、やはり出来栄えが気になります。

上海モーターショーに展示されていた「リンク&コー」のクルマたちを見て、フロントのエクステリアデザインはどのモデルも「XC40」というよりポルシェに似ているデザインだな、と思いました。しかしリアのデザインは、セダンの「03」以外は「XC40」の面影があります。

ブースに展示されていたのは「01」「02」「03」、そしてそれぞれのPHEVモデルがありました。おそらくこの「01 PHEV」「02 PHEV」「03 PHEV」というプラグインハイブリッド勢ぞろいが今回の目玉ではないかと。

インテリアなどはそれほど大きなディスプレイを採用しているわけではなく、10.25インチのディスプレイ。あっ!と驚くようなギミックはありませんが、さすがボルボクオリティ。安定の質感です。個人的には正直、もう少し変わった「しかけ」が欲しいところですけど。

「リンク&コー」のカタログはブックスタイルではなく、黒い表紙にモデル名。そして一枚の紙を折りたたんだスタイリッシュなもの。使われている写真にも世界観が表れていますが、なぜか「02」と「01 PHEV」のパンフレットには一部同じ写真が使われていました。うーん、それはなぜでしょう? 大人の事情でしょうか?(笑)

しかし全部中国語なので、数字とアルファベット。諸元表はなんとなくわかりますが、それ以外は写真と漢字を見て内容を想像する感じです。

 

私が手に入れることができたプラグインハイブリッドモデルのパンフレットは「01 PHEV」だけ。
中を見ると外観のトピックの紹介、インテリア、エンジン&バッテリー、安全装備。裏側のページには諸元表、ホイールやグレードなどの話が掲載されています。

ちなみに「01 PHEV」のグレードは「01 PHEV LITE」「01 PHEV」「01 PHEV Pro」の3つ。

1.5ℓエンジン、7速DCT。
エンジン最大出力 180PS/132kW@5500rpm。
電気モーターの最大出力は、82PS/60kW。
エンジンの最大トルク、265Nm@1500〜4000rpm。
電気モーターの最大トルクが160Nm。
電池容量は9.4kWh。
全長4512×全幅1857×全高1689(mm)。
電池の最大航続距離は51㎞、といったスペックで、動力性能などは3グレード共通、装備の違いがグレードの差になっているようです。

「リンク&コー」で面白かったのはブースのデザイン。ライトはピンクや紫系で、クラブ風。その中に360度動画が撮れるアトラクションや滑り台、大きな玉のUFOキャッチャーがあったりと、まるで大人も遊べる遊園地的。さらにアパレルなども展示されていて、どことなくMINIの世界観と似ています。つまり、「リンク&コー」はそんな世界観なんだろうな、と私は受け取りました。

中国では2019年から全体生産車量の10%をEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)にするというのが義務になっています。「リンク&コー」のブースでは、今回はBEV車は見かけませんでしたが、電動化は着々と進んでいるのと、ボルボのEVブランド「ポールスター」が新型EV「ポールスター2」を今年の3月に発表しているので、その「リンク&コー」版が登場するのも近いのではないかと思います。勢いのある「リンク&コー」なので、そうしたら「01」の137秒間での販売台数記録を更新する……のかも!?

(吉田由美)

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この記事のコメント(新着順)3件

  1. 中国や北欧など、電気自動車の開発は花盛りだと思わせるレポートですね。
    それにひきかえ、電気自動車を多く発売してきた日本は…どうも盛り上がりに欠ける気がしてならないのですが。

    個人的には中国製電気自動車のバッテリーが気になります…まぁ中国のことだからリン酸鉄リチウムイオンじゃないか?とは思いますが。
    リン酸鉄リチウムイオン電池のサイクル寿命はあまりよく分かりませんが…ネットで調べたらオフグリッドソーラー用の電池は2000サイクルで容量残存率70%以上と書かれていました。そうなると電気自動車にしては寿命が短いかな?

    もっともサイクル寿命の話を出すと一万回クラスの東芝SCiBには敵いませんが…最近は日産デイズなど小型ハイブリッド車システム組み込み例が多いから今の生産設備ではBEV用はしばらく期待できないかも?です。おそらく東芝が新工場を作って設備増強すればBEVが増えるとは思うのですが。

    電池生産能力あってこそのBEV生産…ではないでしょうか?それを考えると各国の電気自動車生産能力が推測できるかもしれませんよ!?

  2. 「リンク&コー」は、中国の自動車メーカー「GELLY(ジーリー=吉利汽車)」とボルボが作った新ブランドです。「GELLY」といえばボルボの親会社であり

    →GELLYではなく、GEELYです ほかにも間違いがありますので、気を付けてくださいね。正確な記事をお願いします。

    1. 中国車専門ライター目指して日々精進中さま、ご指摘ありがとうございます。
      EVsmartブログ編集担当の寄本と申します。

      ご指摘いただいた「GEELY」の誤植を修正いたしました。あと、「上海」が「海」になっていることにも気付き修正いたしました。記事内容の正確性には留意しておりますが、今回は大変失礼いたしました。ほかにも、もし気になる点、お気づきの点などあればご指摘いただけると幸いです。

      ありがとうございました。

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					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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