テスラのセミナーでイーロン・マスク氏が「2020年にはロボタクシーを実現」と言及

アメリカのテスラ社が投資家向けのイベント「Tesla Autonomy Investor Day」を開催。自動運転技術などに関する詳細な内容を語るセミナーを展開、YouTubeでライブ配信も行われました。セミナーの中でイーロン・マスク氏は、ロボタクシー(自動運転タクシー)を2020年中に実現、現在生産されているすべての Model S/X/3に自動運転コンピュータを搭載したことなどに言及しました。

テスラのセミナーでイーロン・マスク氏が「2020年にはロボタクシーを実現」と言及

テスラチャンネルの録画配信
(ライブは01:09:30ごろから開始)

(※記事内画像もYouTube動画から引用)

まずはダイジェスト記事でサマリーをご紹介。より詳細な内容は、追って別記事で紹介予定です。

【詳細解説記事】
『100万台のロボタクシーが町を走る近未来〜『TESLA AUTONOMY INVESTOR DAY』で語られた内容を徹底チェック!』

2時間以上に及ぶ詳細な技術説明ライブセミナー

セミナーが始まると、イーロン・マスク氏は自動運転技術を担当する副社長のPete Bannon氏とともに登壇。2016年から開発を続けているというテスラの自動運転技術について詳細な内容を、エンジニアとともに解説していきました。セミナーは全体で2時間半近くに及ぶ長時間&濃密な内容で、エンジニアやマスク氏の語り口は冷静でしたが、自動運転技術の実現に向き合うテスラ社、そしてイーロン・マスク氏の情熱を感じられるものとなりました。

注目すべきポイントをピックアップ

長時間にわたる技術的な内容が中心のセミナーだったので、ここでは注目すべきポイントについてダイジェストでピックアップしてみます。

テスラ独自のカスタムチップを開発

自動運転技術の実現に向けて、テスラでは2016年2月に本格的な開発に着手。2018年7月からは新デザインのカスタムなコンピューターチップを搭載したハードウェアの生産を開始して、まずは従業員向けのテストを実施。2019年3月にはモデルS/Xに、4月にはモデル3に搭載が開始されている。

ボードには2個の独立したコンピューターチップが存在し、DRAM などのメモリー装置もそれぞれに設置。オペレーティングシステムも別々にロードされており、カメラなども両方のチップに接続、それぞれのチップに関連するどのパーツがひとつ故障しても自動運転を継続できる設計となっている。

信頼性の高い冗長な自動運転機能を、コストパフォーマンス高く実現できる点が強調されていました。

人工知能は全テスラ車の「経験」でアップデート

自動運転機能の要である人工知能(AI)については、テスラ社の担当ディレクターであるAndrej Karpathy氏が登壇して解説しました。

カメラなどからもたらされる大量のデータを処理して正しい判断を下すのは、人間の脳が行っているのと同じ機能で、コンピューターチップが判断するためには膨大な実例が必要となる。

テスラではすでに自動運転に必要なハードウェアが搭載されている全テスラ車から収集されたデータに基づいて訓練されていくものであり、多くのテスラ車(ドライバー)が様々な道を走ることによって、オートパイロットはさらに優れたドライバーとなっていく。

セミナーの中では、実際の道路状況などの画像を示しながら、様々な具体例が示されました。

Japanese Spaniel(ちん)の写真を例にした説明も!

2020年のうちにはロボタクシーの承認に自信

さらに2020年中には、テスラの自動運転車による「ロボタクシー」が承認されると見込んでいることに言及。タクシードライバーはテスラ車を用意すれば収入がもたらされ、ロボタクシーはテスラの収益の25〜30%を占めるようになるという見込みを語りました。

100万マイルの寿命をもったテスラ車を!

また、イーロン・マスク氏は現在生産されているテスラ車が100万マイル(約160万キロ)の運用を想定して設計しテストされていることにも言及。

現在、完全自動運転に必要なハードウェアを備えている唯一の自動車はテスラ車であり、2019年の今、テスラ以外の自動車を購入するのは、自動車が普及し始めた20世紀初頭に「馬」を買うようなものだ、という強気のメッセージを発信しました。

記者や投資家からの質問にも丁寧に回答。

(EVsmartブログチーム)

この記事のコメント(新着順)7件

  1. モデレーターより:当サイトでは、記事に関連したコメント投稿をお願いしています。このあといくつかコメントをいただきましたが、関連性がないため、掲載は控えさせていただきます。ご質問以外は、他の読者の利益になる投稿をお願いいたします。

  2. すんません消火器について訂正させてください。
    ネット通販にある車載用二酸化炭素消火器の口コミに「消火器の粉末は車両を錆びさせて車をダメにする」「後片付けが大変である」などと書かれています。
    住宅火災で初期消火に成功しても粉末消火器を使ったあとの粉末掃除が大変だという声が多く、それを踏まえて近年強化液型が増えたとか。
    クルマの場合は粉末もアルカリ液も車体によくないので二酸化炭素というか炭酸ガス薬剤が使われるそうです…ただ皆さんご存知の通り炭酸ガスを長時間浴びると窒息しますのでトンネル内などでは使えません、あしからず。
    (消防設備士の5年毎の定期講習の話を思い出していたら間違いに気がつきました)
    消火器も発火場所によって効果的な機種が変わってくるので奥は深いです…クルマのブログですのでこれ以上は割愛しますがまた調べておきますね。

  3. テスラ車の火災ということですが、リチウムイオン電池は有機溶剤を使う上に負極がカーボン(炭素)ということもあるでしょう。
    それならばカーボンを使わない負極を使えばいい…というのなら、チタン酸化物(LTO)が負極の電池(東芝SCiBなど)を使えばいいだけではないでしょうか!?

    そうなるとむしろガソリン車のほうが火災の危険が大きくなります!!
    今までどれだけガソリン車が追突事故で炎上し、それで亡くなった方も既に数え切れないほど居られるはずです…それを無視してそんな話をされても疑問を抱かずにはいられません(20年以上前にその手の事故で知人を亡くしているから尚更ですが)。
    不謹慎で申し訳ありませんが、こういう不謹慎な話ほど突き詰めれば物事の本質が見えてくるので、僭越ながら言わせて頂きました。

    火災に対する防御が欲しいなら、車載用消火器をクルマに常備するのが一番です(消防設備士の自分が定期講習で聞いた話)。
    ただ消火器も経年劣化があり期限を過ぎて使うと破裂する危険があるため定期的に交換しなくてはいけませんが、ないよりはマシでしょう。
    消化薬剤も粉末や強化液などの種類があり、浸透性を考えるとアルカリ強化液のほうが効きやすいようです。最近の住宅用消火器も粉末でなくアルカリ性の液体へと変わってきましたが、油火災に向くものはガソリン車への常備に向くはずです。
    逆に電気自動車の消火には粉末消火器が最適ではないでしょうか!?近年住宅向けは減りつつありますが、たまにホームセンターにあるので確認してみるといいでしょう。

  4. >>ガソリン車のほうが多いという見方が一般的です。
    統計が十分でないのに、一般的とはどういうことですか?矛盾してませんか?
    ガソリンが引火しやすいというのは同意しますが、問題なのは完全消化の難しさです。

    さらには、ガソリンの場合じわじわと燃えていきますが、リチウムイオンバッテリーの場合一気に燃えます。こんな車怖くて乗れませんよ。https://japanese.engadget.com/2018/06/20/hollywood-couple-tesla-model-s-burns-video/

    1. STR様、コメントありがとうございます!
      そうですね、充分な統計はないのですが、すでに各国の消防当局はリチウムイオン電池を搭載した電動車両に対するガイドラインを確立しつつあります。

      完全消火は、しっかり冷却することが大事です。この点については、もっと冷やしやすくする技術的工夫が必要だと思います。

      リチウムイオン電池火災は、一般的にガソリン車火災より燃え方が緩やかで、例えば有名なカリフォルニアのモデルXの激しい、分岐点のコンクリートバリアへの正面衝突では、ドライバーは一旦助け出され、病院へ運ばれています。ガソリン車であれば一瞬で火が回った可能性が高いです。
      ご参考までに、
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-vehicle-fire-risk/
      このようなレポートもあります。

  5. https://www.businessinsider.jp/post-189639
    テスラが爆発・炎上しましたけど、やはり大量のリチウムイオンバッテリーを積むことによるデメリットは大きそうですね。消化に関しても1万リットルが必要(テスラの推奨値)とのことですから、爆発しない・バッテリー密度が今の10倍くらいにならないと普及しないように思います。乗り物としては最高なんですけどね。

    1. STR様、コメントありがとうございます。これからも、ガソリン車や電気自動車の車両火災は起こると思います。残念ながら、、テスラはNCAを、他社は主にNMCを使っていますが、現時点ではNCAのほうが密度が高く、性能の良い電池となります。しかしNMC陣営も指をくわえているわけではなく、配合比率や成分を変更して、よりエネルギー密度が高く、燃えやすい方向に舵を切っています。
      そういう意味では一定の衝撃が車両にかかり、それが理由で火災が発生する可能性は、まだ統計は充分ではありませんが、ガソリン車のほうが多いという見方が一般的です。それも当然、ガソリンは電池などよりずっと密度が高く、不安定な物質だからです。

      電気自動車は特に下側をぶつけることに弱いです。この特性をよく知り、そういう事故を起こした場合には放置せず、きちんと点検を受ける必要があるようです。
      万が一煙が出たらすぐ車を降りて避難することが重要です。今回の別バージョンの動画を見てみると最初に煙が出てから45秒後くらいに激しく煙が出て間もなく火が出ているので、交通事故の際はとっさに逃げることを覚えておけば助かる確率は上がるかもしれません。
      この動画、なぜかセキュリティカメラをスマホで撮影してたり、動画に埋め込まれているタイムスタンプが19秒あたりで飛んだり、他のバージョンでは人がカクカク車の前を通っていたりと、火災の様子がよく分からないですね。

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