トヨタが2025年までに60GWhの電気自動車用リチウムイオン電池生産に向けて急加速

英国ロンドンを拠点とするリチウムイオン電池原材料のシンクタンクである『Benchmark Mineral Intelligence(ベンチマークミネラルインテリジェンス社)』が、トヨタが2025年までに60GWhの電気自動車用リチウムイオン電池生産の計画を進めていると報じました。まずは、リリースの全文を翻訳でお届けします。

トヨタが2025年までに60GWhの電気自動車用リチウムイオン電池生産に向けて急加速

※冒頭画像はイメージ写真です。

【記事原文】
『TOYOTA TURBO CHARGES EV PLAN WITH 60GWH OF LITHIUM ION BATTERY CAPACITY BY 2025』(英語)

Benchmark Mineral Intelligenceからの発表です。トヨタが2025年末までに60GWhのリチウムイオンバッテリーを確保するようになります。これは100万台以上の55kWhサイズバッテリー付き電気自動車を製造できるセル容量になります。

計画はまだ初期段階ですが、リチウムイオン電池自動車ではなく、燃料電池技術に関心を向けていると批判されてきたトヨタにとって大きな改革になります。

燃料電池から完全に撤退するということには必ずしもなりませんが、この決定は電気自動車計画への大きな起爆剤になり、2020年2月に発表されたパナソニック及び2019年11月に発表されたBYDとの共同事業における具体的な内容が出てきたことになります。Benchmarkは60GWhのバッテリーセルのほとんどがこれら2つの共同事業から供給されるものと予想しています。

特にトヨタとパナソニックの関係は、世界最大の自動車メーカーとして60GWhの容量を保有するのに重要な役割を果たすでしょう。

トヨタの新しい電気自動車戦略の中心には、日本から加西と姫路の2つの工場、中国からは大連にある新し目のセル工場が据えられます。

トヨタの数値が意味するところは

今日の時点で、世界の企業ごとの保有バッテリー容量の大きさを見ると、60GWhを持つトヨタはLG化学とCATLの次に位置し、60GWhは2019年の世界電気自動車需要の、50%を少し切る大きさになります。

しかし2025年時点でのトヨタの計画はバッテリー産業を牽引する企業から見ると控え目な域にとどまります。Benchmarkのリチウムイオン電池バッテリーデータベースを見ると、このままの供給計画で行けばLG化学は209GWh、CATLは280GWhの容量を持つことになります。

そうは言ってもトヨタの容量目標は、フォルクスワーゲンとPSAのバッテリーメガファクトリー計画の供給目標である2025年に16GWhという数値を超えてきています。

Benchmarkはトヨタの60GWh容量を作るために必要な原料は、大体コバルト14,000トン、リチウム52,200トン、ニッケル40,200トン、グラファイト72,000トンと見積もっています。

(翻訳・文/ 杉田 明子)

トヨタからは明確な発表はありません

トヨタでは、2019年6月に『電気自動車(EV)の普及を目指して』というメディア向け説明会を開催。ハイブリッド車を中心に、2025年までに電動車の販売台数を550万台にする目標を発表していました。壇上で寺師副社長は「(550万台のうち)EVとFCVで100万台程度」という見方も示しています。

FCV(燃料電池自動車)とEV(電気自動車)の割合などに言及はありませんでしたが、仮に年間100万台のEVやPHEVを生産するためにも、今回ベンチマークミネラルインテリジェンス社が報じた「60GWh」という膨大な電池調達(生産)量には納得できる、というか、有言実行のために必要不可欠な量といえるでしょう。

ちなみに、Benchmarkのリリースでは「2025年時点でのトヨタの計画はバッテリー産業を牽引する企業から見ると控え目な域」と評しています。でも、たとえばテスラのギガファクトリー1の年間生産量は約30GWh(目標は35GWh)程度と伝えられていますから、いわばギガファクトリー2つ分。工場の建設などにも時間は掛かりますから、5年後に向けた計画として、簡単な数値ではないでしょう。

Benchmark Mineral Intelligenceがリリースしている内容は、現段階でトヨタからの発表は何もありません。念のため広報部にも確認してみましたが「まだ何も発表していないし、発表の予定もない」という回答でした。一応、Benchmark Mineral Intelligenceに「何かニュースソースはありますか?」と問い合わせてみると、「We are the source!」という答えが返ってきました(苦笑)。

なにはともあれ、日本と世界で本格的に電気自動車が普及していくために、「トヨタの本気」は重要です。PHEVの車種を増やして電池を使ってしまう(PHEV用はHV用電池を供給している別ルートかも?)より、トヨタならではの魅力的なEVをぜひ日本でも本気で発売してほしい! 期待しつつ、今後のトヨタの動きに要注目です。

(文/寄本 好則)


9 thoughts on “トヨタが2025年までに60GWhの電気自動車用リチウムイオン電池生産に向けて急加速”

  1. もしやFCVEVで最終形でしょうか。 いつも充電待ちを待ちしているたびに「もうEVはやめる」と言い続けて6年。ほんとFCVEV欲しい。ほぼEVでいいので、充電混んでる時はFCV程度の勝手でいいので!トヨタさん頼みます!^_^

    1. くまぐるま様、コメントありがとうございます。
      各自動車メーカーは、充電スタンドの設置台数を真剣に検討すべきだと思います。
      私は月2000kmほど通勤も合わせて走行しますが、実はほとんどチャデモは利用しません。もちろん充電待ちはゼロ。たどり着いて充電してる方がいらっしゃるときはありますが、その時は充電しません。
      たった全国20か所程度のスーパーチャージャー充電網だけで、「ほとんどチャデモ使わなくて済む」というのは驚きじゃないですか?実は、どの自動車メーカーでも、ちょっとの投資でできちゃうんです。
      今、もう一度考え直すときに来ていると思います。
      ※最初にこのコメント投稿した際は、「月2000km」を「年2000km」と書き間違えていました。訂正いたしました。

    2. FCVは充填準備に時間がかかるので
      一番早くて1時間前に要電話予約ですよ

      ※コンプレッサーを回して30分です

      あと、使用状況にかかわらず
      未使用でも15年でガス容器は寿命で要交換です。

  2. 安川さん、月2,000km走行の間違いですよね?
    僕は、モデルXとモデル3を所有していて月二台で3,500kmは走りますが、安川さんと同じようにスーパーチャージャーと家充電だけでほとんど用が済むことがわかり、テスラ充電カードを解約して1年経ちました。
    年5〜6万支払っていた事がバカみたいなほど、チャデモを使用する事もありません。
    特にモデル3に乗ってからは、電欠感覚が完全になくなりました。
    ちなみにモデルXに乗っていた時は頭のどこかには「電欠」というキーワードが無かったと言ったらウソになる感覚でした。
    このブログは大変に勉強になります。
    EVに乗っていない人ほど、充電カ所が少ないとか言いがちですので、これからも現体験からの正しい情報を内燃機関乗りの方達のみならずEV乗りの僕達にも発信してください。

  3. 全個体電池はどうなったトヨタ?
    全個体電池できるまでEVやらないんじゃなかったのでは?
    充電場所よりも充電放置15とテスラのお替り充電。
    充電なんか、15分もすればその日の走行分が賄える。
    30分充電なんて時間の無駄。50kWhの充電器各ディーラー2台設置あれば十分です。

  4. トヨタは今まで絵空事つーか絵に描いた餅のような話ばかりしてきたので今も半信半疑でございます。むしろ小さなメーカーでも手を抜かずコツコツやってきたテスラや三菱を見習えともいいたいですが。
    もっともトヨタは創業者から引き継いだ佐吉電池にこだわりすぎて動きが鈍くなってますが、グローバル時代にその拙速では残存可否すら不明でしょ。
    あと自動車メーカーが完全に自社内製の電池を作るには材料確保や設備以外に人材育成も生産技術も必要、5年の短期間で必要量作れるか甚だ疑問です。日産なんか電池メーカーを設立してリーフの電池を確保しましたから比べるべくもないでしょう。
    佐吉電池の理念(225kgで100ps/36h使える)に近いものができればトヨタも一気に動く気がしませんか!?候補のひとつが全固体電池というだけで。
    東芝が次世代SCiBを完成させればトヨタが使う可能性ありますよ。問題はその東芝に体力がないことだけであって(原発で低迷したのは言うまでもなし)。

  5. 天下のトヨタですからね。
    まだまだろくな電池しかないEVも
    充填ステーションに難のあるFCVも
    まだまだ本命にかならない。
    鳴り物入りで晴らし建てている全個体電池が
    現在のリチウムイオンを乗り越えるコスト力を得るには
    更に相当の年月がいる。
    一昨年 プリウスに更新したがAC1500w電源を加え
    物置に備蓄ガソリンを
    20L携行缶2缶用意しているだけで当分必要十分だ。
    数日の遠出旅行時は10L携行缶を持参で十分。
    来年には 太陽光発電のFIT期間が切れるが
    単純リーフクラスのEVはコスパが悪すぎる。
    日本でのEVは 軽自動車かトヨタコムス程度が最適。
    或いはマツダのロータリーエクスパンダ付きがよかろう。

    1. どらのすけ様、コメントありがとうございます。
      コストはプリウスとリーフはほぼ同じところまで来たかなぁと思います。悪すぎるってほどではないかなと。少なくともランニングコストはリーフのほうが安いと思います。メンテナンスも。
      問題はもっと小さい軽自動車・小型車クラスや、もっと大きいミニバンクラス。これ以外の大型の車ではコストはすでに電気自動車安くなっています。

      2022年位まではこんな感じになると思いますが、量産規模が大きくなっていけば、コストは逆転するでしょうね。

      携行缶は危険ですし、事故の際には保険会社が難色を示すリスクもありますから、車に継続的に積載されるのはお辞めになったほうがよいかと。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です