米カリフォルニアにベトナムEVスタートアップの『ビンファスト』が6店舗をオープン

電気自動車ビジネスに参入するのは、既存の大手メーカーだけではありません。ベトナム初のEVスタートアップ、ビンファストがアメリカへ進出し、6店舗をカリフォルニア州にオープンしました。『CleanTechnica』から全文翻訳のレポートをお届けします。

米カリフォルニアにベトナムEVスタートアップの『ビンファスト』が6店舗をオープン

6 California VinFast Dealers Now Open, 30 More Coming by Raymond Tribdino on『CleanTechnica

北米全土進出へ〜最初の6店舗をカリフォルニアにオープン

パンデミックの最中、何年にもわたり、主にオンライン上で交渉を進めながら計画を進め、ベトナム発の自動車会社であるビンファスト(VinFast)が遂に6つのディーラー(予定では最終的に36店舗)をカリフォルニア州にオープンしました。米国全体への展開を見据えながら、カリフォルニアからのスタートとなります。

ビン・グループの副会長でビンファスト・グローバルのCEOである Le Thi Thu Thuy 氏はメディア向けの声明で「米国で最初の、6つのビンファスト店舗は会社にとって、米国消費者にプレミアムな商品やサービスを届けるためのグローバルな旅路の道しるべとなります」とコメントしています。

以前、CleanTechnicaが行ったビンファストへのインタビューで、顧客に直接ハイエンドなカスタマーサービスを体験させつつ、同社のプレミアムな電気自動車を受け入れてもらえるかが、ブランドが世界進出をする鍵となると分かりました。現時点で、同社は東南アジアの近隣諸国に進出する計画を立てていません(ビンファストに関してさらに知りたければ、私達が最近ベトナム本社に訪れたレポートをご覧ください)。

東南アジアは、他アジア地域に比べてEV普及が遅れています。中国、日本、台湾、韓国では少なくとも自動車販売全体の7%~12%をEVが占めますが(※訳者注:「東アジア」のカテゴリーではこのような数値になりますが国によってばらつきがあり、日本のEV販売は国内販売全体の1%ほどでしかありません)、2025年までに倍、2030年までに4倍になると予想されています。東南アジアでは、税金構造によりEVにかかる高いコスト、政府の販売や流通への後押しの弱さ、また充電インフラが足りていないことがEV販売に影響を及ぼしています。この地域の多くの国は、電気が通っておらず人も住んでいない長距離の道が多くあり、航続距離の不安に拍車をかけています。しかし、日産やShellなどの私企業が主導してディーラーやガソリンスタンドにEV充電ステーションを設置することにより、景色が変わろうとしています。

米国から始めて最終的に北米全体に店舗の拡大を目指すビンファストの戦略は、欧州に50店舗を出すという6月初めの情報に続いて発表されました。この戦略に加え、顧客ごとにカスタマイズした関係性を基盤とするブランド構築もしていきます。ビンファストの電気自動車を購入から所有する過程で、利便性、安心感、信頼性などユーザーが求めるものをまだよく知られていないブランドが確実に提供できるようにするためです。

顧客との関係性構築に努める未来型の店舗運営

最初の6つの店舗は、カリフォルニアの一等地にオープンします。シンプルなオープニングセレモニーは、ロサンゼルスでも最もモダンで、大勢の人が集まる店が揃ったサンタモニカ・プレイス店で行われました。

ビンファストのディーラーは、「1S」、「2S」、「3S」に分けられています。ショッピングセンターの目立つ場所に置かれる1Sでは車両の展示とセールスがあります。3つの中で最も大型の3Sディーラーでは、全ての車両とパーツのセールスとサービスが行われ、大通りの目立つ場所に位置する2Sはパーツとサービスを3Sより小さいスケールで提供し、近くの1S店舗をサポートします。また、2Sの店舗では業種に関係なく近隣ビジネスのサポートもしますが、ビンファストの顧客を優先的に取り扱います。

「未来のモビリティ」を届けるというテーマを持つビンファストの店舗は、未来的でミニマリストなデザインが施され、シームレスな「オンラインtoオフライン」体験のための相互型テクノロジーを組み入れています。広々とした店内は、自然にインスパイアされた東側のヘリテージとビューティにモダンさを混ぜ込み、すべての人のために持続可能な未来を作るというビンファストの目標を視覚的に繋げています。

店内ではビンファストの電気SUVであるVF8及びVF9のインテリアやエクステリアの詳細を見ながら、スマートドライビング・パッケージの一部である最新のテクノロジーを体験できます。また訪れた人はブランドの柔軟で革新的な販売計画を理解し、コンサルタントと一対一で商品やサービスに関して知ることができます。

VF9

Le Thi Thu氏は「私達が所有しオペレーションをする店舗で顧客と一対一で対面しながらビンファストを紹介するのは、顧客との関係を築いてサービスの質を保証するのにベストな方法です。私達は持続可能な世界に向けてEV革命を進めることを誇りに思っています。今日カリフォルニアでその未来へ次の一歩を踏み出し、すぐに米国全土や世界に広がるでしょう」と話しています。

ビンファストはまた、2022年9月30日までにVF8とVF9を予約した顧客向けに「ビンファスト・チャージドアップ・プログラム」のプロモーションをしています。

【1】 1年間のビンファスト・スマート・ドライビング・パッケージ。
【2】 3年間のElectrify Americaの充電ネットワークを無料・無制限で使い放題。
【3】 レベル2(200V対応)家庭用充電器と1,200ドル(約16万円)分の設置費用負担付でビンファストの設置委託業者を紹介。

ビンファスト・チャージドアップ・プログラムでは、上記のいずれかの特典が提供されます。

(翻訳・文/杉田 明子)

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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