電気バイク「XEAM」試乗会で感じた「イノベーションが中国からやってくる」理由

2019年11月16日(土)、埼玉県さいたま市の「サーキット秋ヶ瀬」で開催された「XEAM」の電動バイク試乗会へ行ってきました。会場では原付一種の『niu U』と原付二種の『niu M+』に試乗。発売元であるMSソリューションズの塩川正明社長にお話しを伺うことができました。

電気バイク「XEAM」試乗会で感じた「イノベーションが中国からやってくる」理由

原付二種の走りは当然だけどパワフルでした

『電気バイク『niu U』で「これでいいじゃん」を実感!』でお伝えした『XEAM』の電気バイク。サーキット秋ヶ瀬で2回目の全車種試乗会が開催されるということで、取材に行ってきました。

サーキットは河川敷にあり、先だっての大雨でしばらくクローズしてて、営業再開したばかりとのこと。晴天に恵まれて、絶好のサーキット走行日和の中、気持ちよく走らせていただきました。

まずは試乗報告。私が試乗したのは、原付一種の『niu U』と原付二種の『niu M+』の2車種。私は自動二輪免許は持っていないので、原付二種の「M+」を公道で運転することはできませんが、サーキットであればノープロブレム。

一人で行ったので、自分が試乗している写真は撮れませんでした(苦笑)。

まず原付一種の『niu U』は、前回取材した東京ビッグサイトでも少し試乗したことがあります。その際はビッグサイト周辺の路上で数百メートルを往復しただけでしたが、今回のサーキットではフルスロットルにしてさらに軽快な走りを実感。ホームストレートでは40km/hくらいまでスムーズに加速する気持ちよさを堪能しました。

ただし、最高速も「この程度」なので、たしかに幹線道路で大型車と混走するようなシチュエーションだと、少し気をつけて運転する必要がありそうです。とはいえ、そもそも原付本来の制限速度は30km/hですから、いわゆる「身の丈」にあった走りをすれば問題ないよ、ってことなのですが。

原付二種の『niu M+』は、さらに加速はスムーズ。ストレートでは43km/hくらいまで加速できました。スペック上の最高速は45km/h。ただし、原付二種は法定最高速度が60km/hになるので、公道走行時には逆に「もっと速く!」と感じてしまうかも知れません。

この日、試乗用に用意されていた来年発売予定の『niu N-GT』(原付二種)と合わせて、スペックなどを比較しておきます。

車種名種別車重1充電航続距離最高速電池容量定格出力価格(税抜)
niu U原付一種58kg70km41km/h約1kWh500W178,000円
niu M+原付二種72kg120km45km/h約2kWh800W248,000円
niu N-GT原付二種109kg130km70km/h約4.2kWh1000W398,000円

(『N-GT』の車重データを追記しました/2019.11.20)

私が伺った時間『niu N-GT』が充電中だったので、今回試乗はしませんでしたが、『M+』と比較しても電池容量が倍、モーター出力も向上して最高速は70km/h。これなら、幹線道路でも普通に流れに乗れるでしょう。

最新モデルの『niu N-GT』は充電中で試乗できませんでした(重ねて苦笑)。

電気バイクの原付二種は普通免許で乗れるといいなぁ

ともあれ、一種と二種の2台に乗って感じたのは「原付二種でも普通免許で運転できるようになればいいのにな」ということでした。電気モーターはエンジンに比べて爽やかに走れて扱いやすいので、余計にそう感じてしまいます。もちろん、安全と交通の秩序は守られるべき。とはいえ、セグウェイや電動キックボードなどもそうですが電動化によって劇的に変化するモビリティ事情に比べ、日本の制度がちょっとお堅くて対応しきれていないのでは、とも思います。

「XEAM」の電気バイクに限らず、原付二種で魅力的なバイクは日本メーカーからもたくさん発売されているし、これから原付二種相当のEVバイクも増えるでしょうから「普通免許でも講習受ければOK」くらいになってくれると、選択肢が広がってバイクを楽しみやすくなるのではないでしょうか。

欧州のニーズに応えて中国のメーカーが頑張っている

試乗会場には、MSソリューションズ代表取締役社長の塩川正明さんもいらっしゃいました。また、ビッグサイトの展示会でお話しを伺ったXEAM事業ご担当の齋藤彰仁さんと再会することができました。

満充電の方がパワフルな走りを楽しめるので、電池のメンテに気を配る齋藤さん。

まず、齋藤さんに伺った『niu N-GT』誕生の経緯が気になりました。

日本でも人気上昇中の『niu U』ですが、実は日本よりも早くから欧州で人気になっています。もちろん、中国国内でも売れていました。『niu U』の出力であれば、中国国内では電動の「自転車」だったので、気軽に活用できる電動モビリティとして普及していたとのこと。

ところが、『niu U』と同様の原付バイク並みの性能をもつ「電動自転車」が増えすぎたため中国での規制で「電動自転車はペダル付きであること」や「最高時速が25キロ以内であること」といった条件が強化されたのです。つまり、『niu U』は今までのように中国国内で売ることができないモデルになってしまったということですね。

でも、欧州では依然として『niu U』はもちろんのこと『niu』シリーズの電気バイクは人気があり、『niu M+』よりも「もっとパワフルな電気バイクを!」というニーズに応えるために、今回の試乗会で披露された『niu N-GT』が開発された、らしいです。つまり、端的に言うと「欧州のニーズに応えて中国メーカーが頑張って、その実りをMSソリューションズさんが日本に紹介してくれている」という構図です。

前述した電動キックボードもそうですが、歩行支援領域を含めた電動モビリティには、今後ますます、今までの「カテゴリー」には収まりきらないユニークな「ツール」が登場してくるはず。ところが、そうした新しいツールを発想して、製品化して育てるのは、中国や欧州、アメリカなど、日本以外の場所になってしまっているのです。

もちろん、トヨタをはじめとする日本メーカーも電動の小型モビリティには意欲的です。でも、現状で発表されている「ツール」を見渡しても、世界の新たなスタンダードになるべき魅力があるように思えないのも現実です。日本はもう、進化する電動モビリティの「おこぼれ」をいただく市場でしかない、と見ることもできるでしょう。

電動好きな日本人としては、ちょっと切ない「気付き」でした。

電気バイクの良さは乗ってみないとわからない

首元には GO PRO 装備。自らバイクを駆っての情報発信にも意欲的な塩川社長。

塩川社長にもお話しを伺うことができました。以前の記事でもご紹介したように、MSソリューションズが「XEAM」という独自ブランドを立ち上げて電気バイクを扱うようになったのは、塩川社長が中国の展示会で『notte』という電気バイクと出会い「日本にも電気バイクの時代が来ると確信した」ことがきっかけでした。

「XEAM」ブランドではすでに完売した『notte』のほかに、今もっとも人気がある『niu』シリーズや、ちょっとスタイリッシュな『REAT』など複数のモデルを展開しています。

MSソリューションズは商社ですから、独自の工場をもっているわけではありません。複数のモデルをどのように生産しているのか気になって「中国国内の同じメーカー(工場)で生産しているんですか?」と尋ねてみたら、「モデルごとに別々のメーカーと契約して、日本に合わせた品質、仕様にした商品を輸入している」ということでした。

つまり、「XEAM」は電動モビリティのセレクトブランド。塩川社長や齋藤さんをはじめとするMSソリューションズの方々が、中国のさまざまな電気バイクから「これだ!」というモデルを厳選して、それを生産しているメーカーと交渉。日本で通用するクオリティのものだけを日本で発売していくれている、という構図です。

とはいえ、中国の国内や欧州にはすでに大きな市場があるのですから、わざわざ手間を掛けて日本向けの仕様にしたり、何かとチェックが厳しい日本のユーザーが満足する品質を確保するのは大変だったはず。その秘訣を伺ってみると「途中で放り出さずに最後まで丁寧に面倒を見ること。まずは一緒にご飯を食べて、コミュニケーションを深め、日本のニーズを理解してもらうしかないですね」とのお答えでした。

それがビジネスといってしまえば身も蓋もないですが、その苦労のかいあって、日本でも『niu』のようにユニークな電気バイクに乗ることができるのですから、ユーザーとしてはありがたい話です。

「試乗した多くの方が、こんな感覚初めて! 形容する言葉がない! と驚かれます」と塩川社長。電気バイクの良さは乗ってみないとわかりません。「エンジン音もなく風を切る気持ちよさ。風の匂いを感じることができる気持ちよさ。電動バイクは新しい体験を運んでくれるモビリティです。なにはともあれ、ぜひ一度体験してみてください」というのが、社長からEVsmartブログ読者へのメッセージです。

好天に恵まれて、ほんとに気持ちいい試乗体験でした。この写真は私じゃないですが。。

日本での購入に「補助金」が出ない理由とは?

ちなみに、日本で電気自動車などの購入に補助金を出している一般社団法人次世代自動車振興センター(NEV)の補助対象車両には、ヤマハなど国内メーカーのモデルはありますが、『niu』シリーズなど「XEAM」のバイクはありません。

NEVに補助対象車両と補助金の条件を確認してみると、「日本での型式認定を取得していること」が必要で、さらに「補助金の額は同等エンジン車の価格との差額の1/3程度が基準」とのこと。原付であれば型式認定がなくても販売は可能。でも型式認定を取得するには大変な手間とコストが掛かる上、たとえば定価が20万円を切る『niu U』のようにコストパフォーマンスが良すぎる場合、補助金額も小さくなってしまうんですね。

いずれにしても、こうした「面白い」電動モビリティは、中国やインドといった勢いのある国から、MSソリューションズ、塩川社長のように前のめり(失礼!)な熱意のある方が紹介してくれることが、今後ますます増えていくことになるのでしょう。

これからも、応援しています!

【関連サイト】
『XEAM』ブランド公式サイト

(取材・文/寄本 好則)


3 thoughts on “電気バイク「XEAM」試乗会で感じた「イノベーションが中国からやってくる」理由”

  1. niu N-GTの航続距離130㎞についてHP見てみたけど130㎞って数値はなかったけど代わりにこんな文言が

    >*航続距離の数値は乗車環境によって大きく異なります。カタログ値は運転者の体重70kg、環境温度25℃、時速25km/hの環境下で測定した実際の数値です。ただし実際の航続距離は風や路面の影響、運転方法など様々な要素の影響を受け変化します。カタログ値はあくまで参考の値としてご参照下さい。

    またほかのバイクに関しても走行条件の記載がなかったり速度が記載されていなかったりと統一がされてないのでせっかくアピールしているのに評価しようがない。それとも別のところに記載があるのかな?

    1. あああ さま、コメントありがとうございます。

      N-GTの航続距離。試乗会告知の中で提示されていた数値だと記憶しています。
      (今は更新されていて見られませんが)
      表でブランクになっている車重も確認中です。
      詳細スペックに関しては、現在日本発売に向けてもろもろ調整中で、確定していない事項もあるのかと思います。

      また、各モデルのカタログ値などについてのご意見は、読者様からいただいたコメントとしてMSソリューションズさんにお伝えします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です