電気バイク『niu U』で「これでいいじゃん」を実感!

ネットで偶然、『XEAM(ジーム)』というブランドの『niu U(ニウ ユー)』という電気バイク(電動バイク)を発見しました。さっそく、販売元のMSソリューションズという福岡の会社に電話してみると、6月26〜28日に東京ビッグサイトで開催される『第14回国際雑貨EXPO 夏』に出展するとのこと。メールでいろいろ質問しつつ、ビッグサイトに行って試乗してみました。

電気バイク『niu U』で「これでいいじゃん」を実感!

福岡拠点の商社が輸入している中国製バイク

原付規格の電気バイクって、出川哲朗さんの人気番組の影響もあり、ほんの20kmほどで電池切れになってしまう「やばいよ! やばいよ!」な乗り物だと思っている人も多いことでしょう。また、「30万円や40万円とか、結構高かったりするんでしょ……」というイメージもあります。

ところが、この『niu U』という電気バイクのウェブサイトを見ると、回生ブレーキも備えていて一充電あたりの航続距離は70km。価格は19万2240円(税込)と20万円以下で買えちゃうようです。


【 niu U(XEAM)の公式ウェブサイト】

な、なんだ、これは! という感じです。ウェブページで紹介されているスペックをチェックしてみました。

niu U スペック

価格:178,000円(税抜)/192,240円(税込)
モーター:BOSCH製(定格出力:500W)
車体寸法:1685×700×1020(mm)
定格電圧:48V
バッテリー:パナソニック製セル(リチウムイオン二次電池)
バッテリー定格容量:21Ah(約1kWh)
バッテリー重量:約6.5kg
車体重量:約58kg(バッテリー含む)
クラス:原付一種(普通免許で運転可能)
最高速度:≦41km/h
航続距離:≦70km
製造国:中国
日本向け企画発売元:MSソリューションズ

中国製というだけで「安全面が心配」と感じる人もいるでしょうが、電池は世界的に定評があるパナソニックのセルだし、モーターはドイツのBOSCH製。前後輪ともにディスクブレーキを備えていて、国際的なプロダクトデザイン賞である「レッド・ドット・デザイン」賞、米国のデザイン賞「IDEA」賞や日本の「グッドデザイン」賞を受賞するなど、世界各地で高い評価を得ています。

航続距離が実用50km程度だとしても、原付の使われ方としてはさほど大きな問題はないでしょう。ウェブページの情報を見る限り、突っ込みどころがありません。

この『niu U』は2019年3月に発売されたとのこと。しかも、それ以前に発売されていた『notte(ノッテ)』というモデルや、シンプルなデザインの『REET』というモデルも、かなり上出来な印象(XEAMウェブサイトの「製品」タブからチェックできます)です。

『notte』

『REET』

発売元が地方拠点の商社で、メディアへの影響力が小さいからでしょうか。日本にはまだ電気バイクのニーズがほとんどないからでしょうか。むしろ、なぜメディアに取り上げられていないのか、不思議に感じるほどです。

もしかして、コレってスゴいバイクじゃないの? と直感し、発売元のMSソリューションズに連絡してみました。

ガジェット企画販売の会社が電気バイクに参入!

会社情報を確認すると、MSソリューションズはもともと「スマートフォン・タブレットアクセサリーの企画・製造販売」が主力の会社。なぜ電気バイクだったのかなど、気になる点をまずは広報ご担当者にメールで質問してみました。

①御社が電動バイク開発に着手するきっかけになった出来事などのエピソードがあれば教えてください。
日本でのEVバイクはまだまだ黎明期ですが、当社代表が中国で行われていた展示会で電動バイクを一目見て「これからは日本も電動バイクの時代だ」と確信し、2017年より本格的にEVバイクの開発・販売に着手しました。

【社長が『niu U』をガチレビュー(YouTube)】

②日本に導入するブランドをXEAMとしたポイントは何でしょう?
当社の電動バイクブランド「XEAM」(ジーム)は「eXperience Electric Auto Mobility」の略で、「電気で動く次世代の乗り物を体験してほしい」という思いから名づけられたMSソリューションズより発売される電動バイクのブランド名です。

③日本仕様として、中国国内仕様から変更した点は具体的にどのようなところですか。
様々な部品を日本国内の法規に合致するように変更しております。具体的にはウィンカーの視認性やライセンスランプの交換、ナンバープレートの取付位置の変更など多岐にわたります。

④中国製のバイク、品質への不安や懸念はなかったですか?
中国製品というと「安かろう、悪かろう」というイメージを持つ方は一定数いると思います。しかし実際の中国の生産工場にはレベル差があり、当社で取り扱っているバイクは導入を検討する段階で、当社の技術スタッフが生産の現場へ赴き、実際の製造レベルをチェック後に判定してから生産を委託しています。

⑤安全性能のテストなどは行われているのでしょうか。
当社が生産委託しているメーカーはすでにヨーロッパ等に輸出経験がある製造元で生産しています。
ヨーロッパへの輸出には多種の安全基準に準拠している必要があるため、当然「安全性能の確認」も実施されています。現在、世界的に法規の統一化が進められており、ヨーロッパの法規に合致した製品は日本でも販売可能になっています。

⑥電池容量が1kWhでこの価格は、安い! という印象です。安さの理由は何でしょう。
中国で製造するメリットは「パーツ」を安く製造できるという事です。電動バイクも多数のパーツから出来上がっていますので部品1つの値段の差が車体価格の差に出てくるのです。

⑦『niu U』について、御社がとくに訴求したい魅力を3つ挙げてください。
たくさんある魅力の中から特に3つ選ぶとすると
①2018年度 グッドデザイン賞に入賞した洗練されたデザイン
②回生ブレーキシステムの導入で航続距離70kmを実現
③コストパフォーマンスの高さ
この3つが挙げられると思います。

⑦発売以来の反響はいかがでしょう。可能であれば販売台数をご教示ください。
2019年は目標出荷台数500台に定め、各種活動を行っております。2019年3月の発売開始からは約34台の販売実績となっておりますが9月10月のバイクのハイシーズンに向け、販路拡大中です。尚、6月末の入荷予定台数は68台になります。

【『niu U』の説明ムービー(YouTube)】

メールでのやりとりをほぼそのまま掲載しました。価格、性能、安全基準などなど、期待以上の正論が返ってきた、という印象です。

これ以上は、やはり実物を見て乗ってみるしか、評価のしようがありません。福岡県内に2カ所ある「XEAMショップ」では試乗できるようで、ウェブで試乗予約の申込を受け付けていますが、なんとか東京で乗れないものか。電話で伺ってみると「6月26〜28日に東京ビッグサイトで開催される『第14回国際雑貨EXPO』に出展します」とのこと。展示会なので試乗は難しいかもしれませんが、とにかく行ってみることにしました。

なんと「オートクルーズ」機能付き! ホールの近くで試乗できました!

6月27日(木)、朝一番でビッグサイトへ出かけてきました。ブースで話を聞かせてくれたのは、XEAM事業部の齋藤彰仁係長。もともとバイクも発売している完成車メーカーに勤めていたそうですが、MSソリューションズが『notte』を発売したことを知り「電気バイクの企画、設計、製造から販売まで、一貫して関わる仕事がしたい」と転職したそうです。

説明してくださった齋藤さん。

今、電気自動車を含む「電動車」の取材をしていると、齋藤さんのような熱い志をもった方と出会える機会が多いのも、とても興味深いところです。

会場には、もちろん『niu U』の実車が展示してありました。想像以上にスマート、というか華奢な車体という印象です。でも、体重80kg≦の私がまたがって、腰を上下させてみましたが、当然ながら車体が軋むようなことはありません。

齋藤さんに説明いただいて、さらに「!」なポイントがありました。

! キーレスで始動可能
スマートキーが採用されていて、イグニッションにキーを差し込むことなく始動が可能。サイドスタンドをしまわないと始動しないとか、安全装備もしっかりしていました。

! バッテリーが、軽い
バッテリー重量は約6.5kg。数値的なことはわかっていましたが、実際に持ってみるとほんとに軽い。ただし、付属の充電器(AC100V仕様)で充電時間は5〜6時間程度かかるそうです。バッテリーには優しいし、家電と重複してブレーカーが落ちるなんてことがないように充電器の出力を抑えてあるのでしょう。とはいえ、通勤で使うようなケースではほぼ毎日充電することになるでしょうから、せめて3時間(出力0.3kW相当)くらいで充電できるようになるといいな、という印象でした。

! エコモード付き
ハンドル手元のスイッチで運転モードを2段階に切り替え可能。エコモードにすると、最高速度が20km/h程度に抑えられて電池が長持ちします。福岡県下の高齢者ユーザーにはこのモードが好評で、「軽快に走れるシニアカー」的に使っている方も多いそうです。

! クルーズコントロール機能付き
なんと、これも手元のスイッチひとつで始動する、クルーズコントロール機能まで装備していました。コントローラーのプログラム設定でいろいろできる、電動車ならではの機能ですね。

! インホイールモーター採用でした
ウェブページをちゃんと見ればわかることではありますが、実車と出会って感嘆したのが、BOSCH製のインホイールモーターを採用していることでした。四輪車では「ばね下重量が……」などの理由で実用化への道はまだ遠い印象のインホイールモーターですが、なるほど、原付程度のバイクならむしろメリットしかありません。ユーザーにとっては、ちょっと地味目な自慢ポイントになりそうです。

さて、一通り話を伺ったところで、齋藤さんに「東京で、『niu U』に試乗できるところはないですかね?」と尋ねてみると……。「あ、スタッフの移動用に走れるヤツも持ってきてますよ」とのこと。これ幸い、もちろん運転させていただきました。

まともにバイクを運転するのは、20年ほど前、イタリア製のおもちゃみたいな電気バイク(25万円くらいだったと記憶してます)をお遊びで購入した時以来。気の利いたインプレッションを語れるほどバイク乗りの知見はないですが。

200〜300mほどの直線道路を何度か往復して感じたのは、まず「軽い!」ことでした。ポップなデザインの印象もあるのでしょうが、取り回しが軽快で扱いやすいと感じます。原付一種規格なのでモーターの定格出力は500Wと控えめですが、そこは電動車、加速の立ち上がりも十二分にパワフルです。ボタンひとつのオートクルーズ(ブレーキ掛けると自動的にオフ)も簡単に使いこなせます。坂道などは試すことができませんでしたが。

結論として私が強く感じたのは「これでいいじゃん!」ということでした。エンジンの原付バイクは排ガスが未だに臭いですが、電気バイクは排ガスなんて出ないし静か。むしろ、エンジン原付に乗ってる人はどんどん乗り換えるべきですよね。

USBポート標準装備でスマホの充電も可能。

現実的に、今、我が家では原付バイクの必要がないので自分で購入予定はないですが、通勤などで原付を使っている人であれば「買わない理由が見つからない」くらい、よく出来た電気バイクだと思います。もちろん、毎日片道50kmくらい走るという人には勧められないですけど、原付でそんなに走る人はなかなかいないでしょ。

さらに強く感じたのが「なんで、日本メーカーはこういう電気バイクを出さないの?」ってこと。出川さんの番組で使っているヤマハの電気バイクのバッテリー容量は『niu U』の半分程度の0.5kWhでしかありません。1kWhにすれば、格段に実用性は向上するはずで、今や、さほどコストも変わらないのではと思うのですが。まさか、バッテリー容量を増やすと番組が成立しなくなることに配慮しているのでしょうか?

齋藤さんによると「充電ステーションの存在」は、『niu U』をはじめとする電気バイクを販売していく中での大きな課題ではある、とのこと。以前の記事『国内4社が電動二輪車の交換式バッテリーコンソーシアム創設。電気バイクの波が来る?』でも紹介したように、国内のバイクメーカー4社が交換式バッテリーとそのバッテリー交換システム標準化の検討を進めていますが、もし標準化がされたとしても、MSソリューションズのように小さなメーカー(発売元)が「コンソーシアムに参加できるかどうかすらわからない」ということでした。個人的には「1日の移動距離は50kmまで」と割り切って使うのが、最も賢明だと思うところもありますが……。

ちなみに、今回、MSソリューションズが『国際雑貨EXPO』に出展したのは、「従来のバイクショップだけでなく、ディスカウントストアや家電量販店、あるいはほかの業態まで含めて、この『niu U』などの電気バイクの販売店を募集するため」とのことでした。興味のある人は、問い合わせてみてください。

【XEAM 販売店募集ページ】

(寄本好則)


One thought on “電気バイク『niu U』で「これでいいじゃん」を実感!”

  1. 貴重な記事、ありがとうございます。
    おっしゃる通り、原付に乗ってる人なら、電動の原付、買わない理由はないと思います。
    自分はEVに乗っています。実際にEVとか乗ったことがない皆さんは、航続距離が短い、充電ステーションが少ない、充電時間が長い、とか心配しますが、実は取り越し苦労なんですね。おっしゃるように、原付で一日50キロ以上走る人はあまりいないんじゃないでしょうか。家に帰ってコンセントに差し込んでおけば朝には満タン。ガソリンスタンドによらなくて済むだけ便利です。まずは高速充電のインフラの整備から、すぐに交換できるバッテリーの開発を急がないと、というような考えは、ガソリンスタンドでしか給油ができないガソリン車モードの考え方で、逆に、じっさい使わないときに充電しておく携帯電話と同じような物だと考えたら、ガソリン車よりも便利だと気が付くはずです。

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