氷上電動カートレースにEVsmartブログチームも挑戦!〜室内でモータースポーツを楽しめる

2020年10月3日(土)、横浜市の新横浜スケートセンターで一般社団法人日本EVクラブが主催する氷上電動カートレースが開催されました。メディア対抗のトーナメント戦に『EVsmartブログ』チームも出場。スケートリンクでレーシングカートを走らせるエキサイティングな体験を楽しみました。

氷上電動カートレースにEVsmartブログチームも挑戦!〜室内でモータースポーツを楽しめる

電動だから室内のスケートリンクでも爆走!

『第1回 SDGs ERK on ICE 〜氷上の電気レーシングカートの祭典』は、一般社団法人日本EVクラブが提言している新しいモータースポーツです。「ERK」というのは「Electric Racing Kart」、つまり電気レーシングカートです。

告知記事でもお知らせしたように、大会は特製スパイクタイヤを履いた電気レーシングカートが屋内のスケートリンクで競い合う、8チームによるメディア対抗戦。各チームはモータージャーナリストとメディア代表が2名1組で走ることになっており、EVsmartブログからはチームリーダー(アユダンテ社長)の安川さんと、モータージャーナリストの津々見友彦さんのチームで参戦しました。

EVsmartブログチームは残念ながら敗者復活トーナメントを含めて2連敗という結果になってしまいましたが、氷上電気レーシングカートの楽しさを満喫。新たなモータースポーツの可能性を感じることができました。

EVsmartブログチームは、モータージャーナリストの津々見さんとチームリーダーの安川さんで参戦。(写真/荒川正幸)

はたして、氷上ERK(電気レーシングカート)はどのくらい楽しいのか。津々見友彦さんからのレポートをお届けします!

氷上カートの醍醐味

レポート/津々見友彦

およそ動くものなら、何でも楽しい! 手軽なのが自転車。遊園地のエンジンカートや電気気自動車! ローラースケート。水上ならボートにヨット。空ならウルトラライトプレーン。フレームの先に椅子がありそれに座る原始的な飛行機だ。雪上ならスキーにそり。スノーモービル。そしてアイスバーンではスケート。そのアイススケート場のERK(電動カート)。路面も、舗装路よりダート。ダートより雪上やアイスバーン。これが特に面白く、楽しい。いずれも全部体験しているのだが、要するにコントロールが難しければ難しいほど楽しいのだ。

大昔、私がまだ小学生の頃。父に衣料品の問屋さんに買い付けに連れてって貰った時。当時、まだ珍しい“パチンコ”の台が一台置いてあり、“無料”で遊ばせてくれる。勿論球が出ても別に景品はない。最初は珍しさに夢中になるが、実はすぐに飽きてしまった。その問屋さんに買い付けに来るお客のためのホスピタリティなので、実によく入るように設定してある。球を打てば必ず失敗なく、ジャンジャン出る。本来は楽しいはずなのだが、すぐにつまらなくなった。この時小学生ながら初めて知った!“簡単だとつまらない!”と言うことを。

このパチンコの通り、人間は簡単に出来ることにはスグ飽きてしまう。難しければ難しいほど面白いのだ。ゴルフもそうだろう。また山登りも。だから、ヒマラヤとか冬季のマッキンリーなど敢えて難しい難題にアタックするのだろう。

ERK(電動)カートだから……。

一般社団法人日本EVクラブ代表理事の舘内端さんがこの新しいモータースポーツの仕掛け人。(写真/荒川正幸)

実はアイスバーンのERK(電動)カートはそれに似ている。もちろん、エンジンカートでもアイスバーンの面白さは変わらない。スパイクを打ってあると言っても、所詮本数が少ない。ちょっとタイヤのグリップ限界を超えると一気に滑り出す。

だから、舗装路(ターマック)に比較するととても難しくなる。ターマックでも、タイヤと路面とのグリップ力のコントロールをするところが“ミソ”だ。フロントタイヤはハンドルで。リヤタイヤはアクセルでコントロールする。

このコントロールはタイヤのグリップ力が高いターマックではやりやすいが、グリップ力の低い、アイスバーンでは難しい。云うまでもなく、アイスバーンをフツーの靴で歩く時のあの、“ネコ足”のようにソーッと歩く、あの繊細な感覚だ。

ガソリンエンジンでは……。

ガソリンエンジンカートの場合、アイスバーンでも比較的操作しやすい。アクセスレスポンス、つまりアクセルを踏んでからの応答が大人しめ。エンジンの特性で、エンジン回転が低いときにはトルク(グイッと一瞬出す力)が低いからだ。アクセル操作とタイヤの駆動の応答が急ではない。これは荷物をゴム紐で引っ張るときにちょっと似ている。ゴム紐では引っ張ってからちょっと遅れて荷物が動き出すが、これを棒切れに変えて押すと、ダイレクトに荷物が動き出す。このゴム紐と硬い棒との関係にも似ている。

ゴム紐で引っ張るイメージのガソリンエンジンカートだとアクセル操作に対してタイヤにかかる力が一般的にERKより弱く、またエンジン回転が上がるに連れて徐々に力強くなる。なので、ある意味ではグリップ力の低いアイスバーンのような低ミュー路(グリップが低い路面)ではガソリンエンジンが扱いやすい。とも言える。

EVカートでは……。

一方、ERKの場合は、停止状態からのトルクが最も高い。元々力持ちが、“エイッ”と硬い棒で押すため瞬発力のあるトルクがタイヤにバシッと掛かるからだ。ガソリンエンジンで言う、“ツキが良い”応答だ。

だからアクセルがとても敏感! チョッイとアクセルに触れるとピシッとタイヤが反応する……。レスポンスが抜群に良い(時には良すぎる)のだ。

こう書くと、“エッ! 向いてないのか!”と思うが、そうではない。モーター出力のコントローラーの設定で、穏やかにもセット出来る。ドライバーは“欲しい時に欲しいトルク”が貰えるのがEVの最大のメリット。なので、セッティングが決まるとガソリンエンジンよりは遥かに扱いやすくなる。

コーナリングではリヤタイヤを流して……、 これが、アイスバーンでのセオリー。ガソリンエンジンでも同じだ。

アクセルレスポンスの良いEVカートは圧倒的にこの点が有利なのだ! コーナーに来ると、ステアリングだけでは曲がらない。ここぞというタイミングでアクセルを少し強く入れ、グリップバランスが取れて安定しているリヤタイヤにトルクを掛け、氷面に食いついているタイヤをわざと滑らせる。一旦、軽く滑らせると、遠心力がかかっているリヤはヌルリと横に滑り出す。滑りすぎないようにアクセルをコントロールするとレスポンスの良いERKのお陰でバランスの取れたテイルスライドを連続的に維持して、滑らかにコーナリングに入る。この時に多少リヤが流れすぎた時はフロントタイヤをカウンターステアーで巧くバランスが取るのだ。この一連の動作が決まると“快感”になる。

このあたりのコントロールこそERK独特の醍醐味だ。

大失敗、2戦目の大スピン。

今回の氷上のメディア対抗戦はERKによるパシュートだ。私は“EVスマートプログ”の安川洋さん(とても上手だった)とチームで走った。

最初のEVカートはチューニングがとても良く出来ていて、私の感性にピッタリ! アクセルを開くと欲しいトルクが欲しい時に出てくれ、実にコントローラブル。自分の身体と一体になって動いてくれてすこぶる楽しい。 コーナー手前で、ここぞと言うときに、アクセルを入れると穏やかにテイルが流れ出し、狙い通りにラインが通れる。

こうなったらシメたもの。楽しい走りにすっかり陶酔した。

が、第二ヒートではガラリと事態が変わった。運悪く?この日、最強のERKに当たったのだ。実は練習で乗りたかったマシンだが、

それこそ、運悪く練習が出来てなかった。前に乗ったあの乗りやすいマシンのつもりで、アクセルに触れるが動かない。アレっと少し深めに踏込むと今度は突然、強烈なトルクが出る。まさに暴れ馬だ。スタートして第1コーナー、第2コーナーは何とかゴマカシてして通過。そして第3コーナーでテイルを流すのに少しアクセルが入りすぎたみたい! 突然テイルが暴れ大きくスピン。

不覚だった!

最近カートから離れていたせいもあるが、技の引き出しが全く出てこない。引き出しさえ開けられたら暴れ馬は抑えられるのだが、それが出来なかった。悔しいが大スピンをやらかした。が言い訳は出来ない、なぜなら、この暴れ馬を上手に手懐けた他のモータージャーナリストは何人も居たのだから。惨敗の後、よく考えると幾つか引き出しが見つかった。それらを使って次は巧くコントロールしたいものだ。

ERKは抽選で使いまわし。2戦目で津々見さんが乗ったマシンはハイパワーのため、それまでのレースで中央のスパイクが抜けていたという不運があった。

逆に言えば、チャレンジする目標が出来、次は是非このモンスターマシンを乗りこなしたいものだ。

初心者、シニアにピッタリのモータースポーツ。

実はもうすぐ80歳に手が届くが、悔しいことに“動体視力”が低下してしまい、60km/h以上で走る“ターマックのサーキット”でラップタイムが出なくなった。なので、残念ながらターマックサーキットの参加は全て辞退した。

だが、このアイスアリーナのアイスバーンサーキットは、最高速は恐らく出ても40km/h程度だろう。絶対的にスピードは遅い。それだけに高齢の私にでも若い現役と対等に走れる。

この速度なら“動体視力”のハンディも感じない。まさに高齢の私や、初心者にもピッタリ。それは最高速が低いので安全性が高いからだ。

そんな低速なのに、実はターマックのサーキット並みのドライビングセンスが求められる。サーキットで120km/h以上のコーナリング中のドリフトをわずか10km/h前後の速度で体感出来るのだ。ドリフト中の速度も低い。ターマックなら一瞬にスパン!と流れ、何が起きたのか理解できない現象を、アイスバーンでは“ズルーッ”とゆっくりとその現象を観察し、理解出来る。ドリフト中の動きがスローモーション映画のように体験できるから初心者には基礎トレーニングが出来るのだ。

私の小学5年生の孫が生まれて初めてERKでアイスバーンを走ったが2周めではもうカウンターステアーでコーナリングし、スピンもなく、360度ターンも熟せた。まさにドライビングの基礎トレーニングにはピッタリ。

もうひとつはERKの最大のアドバンテージがある。公害源がないこと。一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素化合物(NOx)、粒子状物質(PM)、二酸化炭素(CO2)などの排気ガスが一切出なく、室内の空気を綺麗に保てる。勿論匂いもなく、酸欠もなく安全性が高いのだ。

インドアにふさわしいのは、そればかりか、さらには音が静かなこと。室内でガソリンエンジンのカートが走ると、酸欠と騒音に悩まされるが、それがない。クリーンで静か。観客席に赤ちゃんがいても安全だし疲れない。

ガソリンを使わないので発火の危険もなく、屋内でも走れるわけだ。

それに、これらのアイスアリーナーは都市部に位置し、足場も良い。車は勿論、電車ですら移動出来る。

年齢、性別に関わらず、老若男女誰もは手軽に楽しめのがこのERKなのだ。

次は必ずあのモンスターを乗りこなし優勝するぞ!90歳の誕生日までには必ず!

(津々見さんのレポート、ここまで)

とてつもなく楽しいモータースポーツであることを確認

通常の勝ち上がりと敗者復活を勝ち上がったチーム同士で決勝レースを行うという変速トーナメントで開催された記念すべき第1回の大会は、敗者復活で決勝に進出した『driver』チーム(ジャーナリスト齋藤聡さんと、編集部の大庭柊子さん)が優勝しました。

見事に敗者復活から優勝を遂げた『driver』チーム。(写真/荒川正幸)

EVsmartブログ編集長の私は、実は日本EVクラブのスタッフでもあり、この日はレースや一般来場者向けの試乗会が終わった後で氷上ERKの走りを体験しましたが、いや、ほんと、マジで楽しいです。

次回以降の開催はまだ未定ですが、日本EVクラブ代表理事である自動車評論家、舘内端さんの目論見としては全国のスケートリンクで『ERK on ICE』を開催し、老若男女、たくさんの方にこの新しい、そして持続可能な氷上モータースポーツの楽しさを知ってもらいたいとのことでした。

来場者のみなさま、そして津々見さん、お疲れ様でした!

【関連ページ】
インドアで楽しめるゼロエミッションのモータースポーツ『SDGs ERK on ICE』

『EVsmart』はHondaとともに今回のレースに協賛しました。

(取材・文/寄本 好則)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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