生産終了後もメンバー数は着実に増加中
Honda eオーナーズクラブは、生産終了(関連記事)後も参加者が順調に増えていて、メンバー数は30人に近づいてきました。普段はSNSで情報交換をしています。愛車に関するニュースの共有、不具合が出たけど解消法は? おすすめのリプレイスメントタイヤは? ……などなど、話題には事欠きません。
そんなメンバーの中で今回、オフ会の幹事をやってくれたのは、旅好きのばにらさん。電気自動車なら壊れずに100万キロ走れるはず、と購入した銀eで、すでに14万キロ走行。この連載にも何度か登場してもらっています。
【関連記事】
電気自動車でWLTC超えの電費を達成〜省電費の奥義は回生パドル活用(2023年8月28日)
オフ会開催に必要なのは、何台ものクルマを停める場所。ばにらさん、最初は別の場所に問い合わせたそうです。そこでは断られたのですが「クルマのミーティングだったら、木曽三川公園センターがいいのでは」とアドバイスしてもらったそうです。
木曽三川公園センター(岐阜県海津市)は、伊勢湾に流れ込む長良川と揖斐川が合流する地点の少し上流部にあります。地図を見ると、木曽川もぐぐっと接近していて、「三川」という独特の地形がよくわかります。岐阜だけれど、橋を渡れば愛知、逆に渡れば三重という県境の施設。ばにらさんは、公園管理者である国土交通省中部地方整備局に、第1駐車場の使用許可を申請しました。
EVオフ会を企画しているみなさんのために共有しておきます。行為の種別は「レクリエーション」、目的は「メンバーの親睦」、内容は「電気自動車のオフ会」で申請しています。届ける台数はだいたいの見込みでよかったそうです。許可条件には、事故防止に万全の措置を講じること、エンジンの空ぶかしや大音量でのカーオーディオの使用は行わないこと、という項目が書いてありました。クルマのミーティングというと、管理者が懸念するのはやはり事故と騒音ということですね。EVにエンジンはありませんけれど。
色違いで6台のHonda e オーナーが参加
開催日の2024年11月16日(土)は、曇り空で小雨もぱらつくかも……という微妙なお天気でしたが、6台が集まりました。ばにらさん(銀e)、カミヤさん(赤e)、前島さん(黄e)、柳瀬さん(白e)、抱さん(黒e)と私(青e)。たまたまですが、全員が色違いで、あとガンメタリックさえいてくれれば、初期7色が勢揃いするところでした。惜しかったです。
エリアは、地元の愛知と三重から3台。抱さんは福井から駆けつけてくれました。柳瀬さんも神奈川から遠路はるばる参加。ただ実家が名古屋だそうで、感覚的には地元だったかもしれません。
参加者のお一人からは「同じ車に乗っている人がなかなかいないので、こうやって話せる機会がすごく貴重です」と言っていただきました。ほんとに同感です。EVに乗り始めてから3年半、いろいろなEVミーティングに参加してきましたが、Honda eはいつでも少数派。それがついに単独オフ会が実施できるようになったとは。並んでいるのを見ているだけで感無量です。
元開発担当者からのメッセージも
じつは今回、Honda e初のオフ会にあたって、開発に携わっていた人見康平さんからメッセージをいただきました。人見さんはご自身も青のHonda eオーナーで、以前にSNSでコメントをいただいたのをきっかけに、クラブの名誉メンバーになっていただいています。開催をお知らせしたところ、ちょっと遠くて不参加でしたが、代わりに写真やイラスト入りのデジタルメッセージを預かりました。
「行きたいー!!」という気持ちの詰まった言葉で始まったメッセージ。開発にあたって「見て(外観デザイン)、乗って(内装デザイン)、走って(走りの楽しさと実用の小回り)」という3つの「WAO(ワォ!)」を実現しようとしたという解説や「とにかく当時のホンダの技術、みんなで頑張って詰め込みました」という言葉に、みんなでうなずきました。「ええっ!」と驚くような開発秘話も披露されました。いや、まさか、そうだったとは。言えないんですけど……。
このメッセージが一番の参加者プレゼントで、あとは企画というほどのことは用意していませんでしたが、せっかくなので、Honda eオーナーズクラブならではの時間は作りたいと思いました。そのひとつがコーヒータイムです。北九州市のHonda eオーナー、上西さんが営む自家焙煎珈琲&キーマカレーのお店「びー玉キッチン」(関連記事)から、おすすめのシングルオリジンコーヒーを取り寄せました。豆はエルサルバドルSMGジュリアの浅煎り。普段使っている手挽きグラインダーとポットを持っていきました。
せっかくなので、お湯をわかすのも電気で。カッコよく「V2L(Vehicle to Load)」といきたいところなのですが、Honda eベーシックグレードには100Vコンセントがついていません(アドバンスグレードには装備)。そこでポータブル電源を持っていきました。ここは「ゼロ・エミッション」にこだわりたいところなので、ベランダの太陽光パネルで満充電に。各地のEVミーティングにお邪魔して、先達のみなさんから学んだ手法です。
ポタ電につないだ電気コンロでお湯を沸かし、「びー玉キッチン」で習ってきた挽き目と蒸らし時間で淹れます。もちろん完璧に再現できるわけはないのですが、野外で飲むコーヒーは美味しいですし、うっかり忘れたドリッパーや足りなかった紙コップを仲間が買いに走ってくれたりとか、そういうことも含めて、格別のコーヒータイムでした。
参加者の愛車のSOHを測定
続いてのプチ企画は、OBD診断ツールとアプリを使っての駆動用バッテリーのSOH(State of Health)測定です。これもまたオーナーズクラブのつながりがあってこそ学べたことのひとつ(関連記事)。SOH測定ができない!とぼやいていたら、メンバーのOさんが、機材から何から手取り足取り教えてくれました。
以前の記事にも書いたように、自己責任の簡易的な測定ですが、手を挙げてくれたオーナーが乗るHonda eのSOHは、次のような結果に。
・8,417kmで92.0%
・15,512kmで94.1%
・20,513kmで89.1%
・65,658kmで84.9%
・140,384kmで85.2%
すでに14万km走行しているばにらさんのeは、めったにない走行距離なので、こちらからお願いして測定。6万km走行の私のeも改めて測ってみたところ、84.9%でした。基本的には走行距離に比例して劣化していくようですが、かなり個体差もあることが比べてみて分かりました。乗り方の違いが大きいでしょうし、多少はいわゆる当たり外れもあるのかもしれません。でもみなさん、それぞれの数値を聞いて安心した様子。とくに14万km走っても85%をキープしている具体例は心強いですね。
ただ、駆動用バッテリーはEVの心臓部ですし、やはり正規ディーラーでSOH測定をできるのが一番だと思います。N-VAN e: も販売好調のようですし、測定してほしいというニーズは今後増えていくはず。相応の費用負担はあってもいいので、点検の時などに希望すれば受けられる仕組みを整えてしっかりアナウンスしてください、とこれはホンダさんへのお願いです。
オフ会ではその後、最近個人的にハマっている「モルック」(木の棒を投げるゲーム)で遊んだりもしましたが、やっぱりトークがメインイベント。駐車場に撤収時刻ぎりぎりまで滞在しても、愛車の話はエンドレス。用事のあった2人を見送った後も別れ難く、4人で夕食をご一緒することになり、近くのショッピングモールで夜の9時まで喋り倒したのでした。
充電カードをどうするかが大きな悩み
そんな雑談のなかで、特記しておきたいのは、急速充電カード問題です。納車以来使ってきたHonda Charging Serviceの充電カードが来年3月末までで使えなくなります。現在、各自動車メーカー系のカードは、他社ユーザーお断りになっているので、素直に移行するならe-Mobirity Powerなのですが、充電の多寡にかかわらず月会費4,180円というのは敷居が高過ぎる、というのは、全員が同意見でした。
会費無料のENEOS Charge Plus、従量制のPower Xなどのほか、まだまだ数が少ない新興充電サービスのことなど……。メリットとデメリットが話し合われました。それにつけても月会費550円(しかも2年間無料でした)で、急速充電30分528円、普通充電1時間99円のHonda Charging Serviceがどんなに格安だったか。改めて確認して、ため息をつきました。急速充電カードのサービス終了は、Honda e乗りだけでなく、N-VAN e:で急速充電オプションをつけた方にも喫緊の課題ですし、ホンダEVユーザー視点であらためて取材したいと思います。
最後にいつもの充電記録を。今回は2泊3日で東京から岐阜を訪ねて、往路は日本海を経由しました。中央道経由で白馬から糸魚川に抜けて、行ってみたかった宇奈月温泉へ(本当に行きたいのは黒部だけど今回はパス)。EV充電の青看板を見つけて立ち寄った宇奈月グランドホテルで、散歩&日帰り入浴中に6kWで充電することができました。その後、富山市内で一泊。翌朝、白川郷に立ち寄ってから木曽三川公園へ、という大回りルート。帰路はまっすぐ伊勢湾岸道から国道23号、1号、途中で仮眠して新東名高速で帰京しました。
【往路】
1. 中央道・双葉SA(13.8kWh、35→87%)
2. 道の駅白馬(16.4kWh、17→81%)
3. 宇奈月グランドホテル(4.8kWh、42→55%)普通充電
4. 道の駅氷見(11.6kWh、24→65%)
5. 福野文化創造センター(10.8kWh、27→68%)コイン式500円
6. 岐阜日産高山店(15.9kWh、9→74%)
7. ENEOS桑名新西方SS(9.1kWh、4→44%)
【復路】
8. セブンイレブン豊橋問屋町店(12.7kWh、9→62%)
9. ファミリーマート島田稲荷店(15.8kWh、10→74%)
10. 東名道・足柄SA(16.0kWh、13→77%)
総走行距離は1,140km、平均電費は8.6km/kWhでした。往路が小刻みで変則的なのは、あちこち観光していたせいです。やばかったのは、東海北陸自動車道の激坂。白川郷からひるがの高原SA(下り)を目指したのですが、ひたすら上り基調で航続可能距離が怪しくなってきます。行くかどうか迷ったあげく、いったん高速を降りて充電に高山市内まで往復。もう一回乗り直しましたが、ひるがの高原SAの手前にある松ノ木峠には「高速道路の標高日本一 海抜1085m」という看板が。無理しなくて正解でした。初めての道で充電残量ギリギリまで走るのはハイリスクですね。みなさんもお気をつけて。
Honda eオーナーズクラブは、随時メンバーを募集中です。楽しそうだなぁと少しでも思っていただけたら、ぜひコメント欄からご連絡ください。
私のHonda e(2021/4/29~2024/11/28)
総走行距離 6万6264km
平均電費 8.8km/kWh
累計充電回数 急速457回、普通123回
取材・文/篠原 知存