かわいいのにレアなEV「Honda e オーナーズクラブ」設立へ〜発起人たちのEVトーク

EV放浪記2.0【009】 愛車のHonda eを走らせつつ電気自動車関連の話題をレポートする連載の第9回。ジャパンEVラリー白馬をきっかけにHonda eオーナーのグループが発足する運びに。発起メンバーになってくれたモータージャーナリストの片岡英明さんとスマホジャーナリストの石川温さんによるEVトークをお届けします。

かわいいのにレアなEV「Honda e オーナーズクラブ」設立へ〜発起人たちのEVトーク

ちょっと愚痴っぽい? Honda e オーナー談義

篠原 片岡さんも石川さんも本ブログに購入の経緯などを寄稿されていますが、あらためてHonda eオーナーになったきっかけから聞かせてください。

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片岡 最初のEVはセカンドカーとして乗っていたBMW i3のレンジエクステンダーモデルです。アルミシャーシーとカーボンファイバーのボディーで、まさにレーシングカー。それを破格の値段で買えるというのが魅力でした。
日本EVクラブでイベントのお手伝いをしていたので、EVに興味もあった。モーターの鋭い瞬発力と群を抜く静粛性の高さを知ってしまうと、ちょっと戻れないところがありますよね。僕はターボのついてる車が大好きなんだけど、EVはターボ車と似たような楽しみ方ができる

篠原 そのi3をHonda eに乗り換えたんですね。

片岡 Honda eが発表されてすぐ注文しました。決め手はデザイン。それとリア駆動であること。i3は最初のEVだったこともあってレンジエクステンダーを勧められて、発電用エンジンが付いていて300kmぐらい走れた。でも一充電200kmぐらいでも平気かなと。最近は航続距離の長いEVが増えていますが、運動性能の面ではバッテリーという重りを積んでいるのと同じ。個人的には小さい車がいいと思っています。

片岡さん(左)と石川さん(右)。

篠原 石川さんはどうしてHonda eを選んだんですか。

石川 私はスマートフォンの取材をして記事を書いているんですけれど、何年か前にアップルやグーグルやソニーといった会社が、次はモビリティーだって言い始めて「おやおや?」と思ったんです。これは車の世界を知っとかないといけないのかなっていう気になりました。それまで車は持っていなかったんですが、ちょうど子供が生まれたり、妻が怪我をしたりということもあって、家族で移動するのにあってもいいとも思えました。自宅の駐車場が小さいのでコンパクトカーしか置けないということもあって、色々考えていたところ、そうだ、Honda eがあるじゃないかと。
そもそも新しいもの好きですし、F1も好きでしたし、コンセプトカーみたいなものをそのまま出しているのもすごいと思いました。それに子供の頃、親が乗っていたのがシビックだったんですよ。ちょっと近いものがあるでしょう。運命的なものをHonda eに感じましたね。

篠原 電気自動車に慣れていた(惚れ込んでいた)片岡さんと違って石川さんはEV初体験だったわけですが、戸惑いませんでしたか。

石川 EVって、自分としては、昔のスマホみたいな感じなんですよね。すぐ電池なくなるよねって(笑)。いつも電池のこと考えてる。でもそれは受け入れられたんですよね。

片岡 これまでで一番遠くまで行ったのはどれぐらい?

石川 仙台ですね。それとも鈴鹿でしょうか。でも常に、次どこで充電しようかって考えてますよね。いつも高速充電ナビ(高速道路SAPAの充電スポット満空状況がリアルタイムでわかるアプリ)を起動していて、どこ空いてるかな……って。

片岡 たしかに、どこで入れようか、充電がかちあったらどうしようか、っていつも考えてるよね。

石川 ジャパンEVラリー白馬もそうでしたけど、EVのイベントがあると、みんな集まってくるわけだから、ちょっと時間をずらして移動したりとか。この車は、経路充電で30分ずつ継ぎ足すパターンに突入すると、だいたい100kmから120kmぐらいごとの充電が必要になりますね。

片岡 しかも我々(片岡さんと石川さん)のHonda e アドバンスは、純正装着タイヤがハイグリップタイプのミシュランのパイロット・スーパー・スポーツ(17インチ)で、走りの楽しさ優先だから一充電航続距離が伸びないんですよ。まさか冬にスタッドレスタイヤに履き替えた時の方が電費がいいとは思わなかった。ベースグレード(16インチでヨコハマ・ブルーアース)は設定自体がなくなってしまいましたが、エコかスポーツが選べるようにしてもいいと思います。

石川 充電が面倒くさいとかいう人もいますけど、僕はあんまりそうは思わない。高速に乗ってる途中で、30分充電してる間に、トイレに行って、休憩して、そんなに苦痛ではないです。充電含めて楽しいっちゃ楽しい。

篠原 そもそもロングドライブでは定期的に休憩した方がいいですしね。

片岡 僕は内燃車の時は一気に500キロとか普通に走っちゃっていたんですよ。仙台から東京までノンストップで帰ってきたりとか。一緒に乗ってる人には文句を言われるけれど。だからEVになって家族は喜んでますよ。ちゃんと休憩してくれるからって(笑)。経路充電の30分は短いですけどね。レストランでちゃんとご飯を食べられない。45分ぐらいならちょうどいいのに、と思います。

石川 そうですね。終わる時間を気にしなきゃいけないのは、なんとかならないんでしょうか。

片岡 150kWとか90kWとかの高出力充電器は30分制限でもいいですが、40kWとか50kWとかの出力しかない充電器はもう少し長く充電できるとか、出力によって変えるような制度でもいいですよね。

篠原 充電といえば、ホンダ・チャージング・サービス(e-Mobility Power提携カード)が2025年3月末で終了しますね。Honda eユーザーには青天の霹靂でした。

石川 終わったらどうすればいいんでしょうね。

片岡 誰でも入れるeMPカードに切り替えるしかないのかなぁ。

石川 いきなりメールが来て終了しますって、それはないでしょうと思いませんでしたか?

片岡 雑誌にも少し書きましたけれど、ベーシックモデルも急になくなったし、イエローとシルバーも設定がなくなったでしょう。ホンダは日本では売る気がないんじゃないの、と勘繰ってしまうよね。

石川 アプリも使えなくなりましたよね。ダウンロードして使えるよと言ってたのが、今年3月末でサービス終了しました。あまり使っていませんでしたが、アプリセンター自体が無くなるっていうのはどうかと思います。だって、これはHonda eの示していた世界観じゃないですか。

篠原 おっしゃる通りですね。充電カードもアプリもサービスを前提にして購入したわけですしね。

片岡 ナビの不具合もひどくなかったですか。ブラックアウトしたり、フリーズしたり、一回アップデートされましたけど。

石川 そういうことを考えると、ソニーと組むのが正解なのかもしれないですね。具体的にはまだこれからの話ですけれど。

片岡 ああ、なるほどね。

篠原 いろいろな意味で楽しませてくれるHonda eですが、乗り続けますか。

片岡 まだ3万キロぐらいしか走ってないですしね。製造過程のCO2も回収できていないし、もう少し乗らないと。

石川 画期的なものがでてきたら考えるかもしれません。それこそソニー・ホンダのアフィーラとか、どんなモビリティーなのか気になりますね。デリバリーが2026年からですか。

片岡 そのぐらいになるとEVの選択肢も増えていると思いますよ。大きいのから小さいのまで結構出てくるのでは。スマホと同じように、電池だって進化していくと思いますよ。

石川 Honda eの後継車種は出ないんでしょうね。

片岡 SUVとかそういう方向になっちゃうかもしれないですね。デザイン優先の車じゃなくて。

オーナーズクラブへの参加希望は……?

このあと、エアコンがどれぐらい電費に影響するのか、目的地充電のあるべき姿は、などなど……EV談義が続いたが、本日はこのへんで。同じ車に乗っているという縁だけで、メンバーになることを快諾してくれて、気さくに話してくださったお二人に感謝です。

7月下旬に長野県白馬村で行われたジャパンEVラリー白馬2023。各地からEVオーナーが集まる会合で、普段あまり見かけることのないHonda eのオーナー数人と会うことができて、「オーナーズクラブを作りましょう!」と盛り上がりました。早速SNSで繋がったものの、何をすると決めたわけでなく、どんな組織にするかも未確定。とりあえずは、どこかで集まれたらいいね、というぐらいのことを考えています。できれば全色揃ったところが見てみたい!

今回のトーク、やや愚痴が多めだった気もしますが、それもEVライフを楽しんでいるからこそ。あちこちで行われているEVオフ会に時々参加させてもらうと、オーナー同士の情報交換って、まさにこういう雰囲気。一例として読んでいただいてもいいかもしれません。

Honda eに乗っている、あるいは候補として情報を集めている、こんな企画がやりたい、そんなみなさんのご参加をお待ちしています。この記事コメント欄へ参加希望のコメントをいただければ、メールで連絡させていただきます。

取材・文/篠原 知存

この記事のコメント(新着順)6件

  1. 三重県で白のHonda e 乗っています。3年で3万キロ走りました。この前は三菱i-Miev乗っていたのでEV歴は長めです。EVのオフ会とかは行ったことないですがクラブがあって情報交換出来ると良いですね。

    1. きむらさん
      コメントありがとうございます!
      ぜひ情報交換させてください。差し支えなければ、メールで「asobou524(アットマーク)gmail.com」にご連絡いただけないでしょうか。いまのところメンバーの多くはLINEで情報交換しています。時期などは未定ですが、ミーティングなどもやりたいと思っています。

  2. EV バッテリーの プラス積載可能(100km)が欲しい、いざという時に利用するタメ。

    1. 石川逸大さん
      コメントありがとうございます。

      Honda eユーザーさんでしょうか。あと100km、お気持ちはすごくわかります。当プログでも紹介していますが、ベルエナジーさんが「Roadie V2」というポータブル急速充電器を販売しています。バッテリーユニット2個で7kWh充電できます。50kmぐらいは航続距離を伸ばせるはず。ユニット4個でプラス100kmです。

      私もこれを知った時、レンジエクステンダー的な使用法を考えました。ただ、CHAdeMOユニットとバッテリー2個で90kg弱、4個なら150kg超。片岡さんもおっしゃられているように、軽快さと引き換えなので、そこをどう考えるかですね。

  3. honda eアドバンスに乗っているものです。
    数こそ少ないですが、そのぶん愛が強いオーナーさんが多い車だと思っていますので、オーナーズクラブできないかな〜と考えておりました。

    まだアイデアはないですが、ひとまず参加候補者として、手を挙げさせてください。

    1. hondaの客寄せパンダさん

      こんにちは。ありがとうございます。早速の参加希望、めっちゃうれしいです!
      お手数なのですが、X(旧twitter)かインスタグラムのアカウントをお持ちでしたら @ev_hobo 「EV放浪記」を検索していただけないでしょうか。DMをいただければ、みなさんとおつなぎいたします。
      メールでしたら「asobou524(アットマーク)gmail.com」にご連絡いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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