電気自動車購入のリアル~ヒョンデ『KONA』納車でわかった「うれしい誤算」

先日の「リーフを買い替えるぞ宣言」記事で報告したように、1月21日(日)、ヒョンデのコンパクトEV『KONA(コナ)Casual』が納車されました。EVの新車、さらにオンラインで自動車購入は初体験。注文から納車までのステップで感じたことや、意外だった気付きなどをレポートします。

電気自動車購入のリアル~ヒョンデ『KONA(コナ)』納車でわかった「うれしい誤算」

もう少しフレンドリーな購入体験を希望

2022年春、電気自動車『IONIQ 5』を携えて日本再進出を果たしたヒョンデ。私が購入した『KONA(コナ)』は、ヒョンデが日本で発売した2車種目の電気自動車で、いわゆるBセグメントのコンパクトSUVです。日本再進出に当たり、ヒョンデは全国へのディーラー網展開は行わず、テスラと同じようなオンライン販売のみで展開しています。

私にとっては、EVを新車で購入するのは初めてで、オンラインで自動車という大きな買い物をするのも初めてのことでした。初めて尽くしの「注文から納車まで」がどうだったのか。端的にレポートしたいと思います。

まず、オンラインでのオーダーは「なんだかあっけない」というのが正直な感想でした。手順は簡単。Hyundai Mobility Japanの公式サイトで、自分のアカウントを登録してログイン。好みの車種やグレード、ボディカラーなどを選んで見積もりを作成した後で「購入」ボタンをクリック。支払い方法などを選んで先へ進んでいきます。

私が正式に注文したのは11月17日の金曜日。今回、残価設定型のローン支払いを選択したので申込金(5万円)の支払い方法は銀行振込しか選択できませんでした。と、まずはこのあたりで「なぜクレジットカード決済できないの?」って疑問を抱き、カスタマーセンターに問い合わせ。「ローンの場合、申込金をカード支払いにすると一定期間債務が重複するから」的な回答をいただきました。

ま、規則であれば仕方ないですが、マイページに表示されている情報だけでは理由などがよくわからないのはいかがなものか。銀行振込で申込金を払って受理されるまで、週末の2日間をとてもじれったく感じたのでした。

その後も「コレって、どうなんだろう?」的な疑問を抱く場面が数回あって、カスタマーセンターに問い合わせました。自動車の購入は金額が大きく手続きも多いですから、わかりにくさを不安に感じて注文をキャンセルしてしまう方もいるのでは? と思ったほどです。

オンライン注文オンリーとはいえ、たとえば、注文が完了したらヒョンデ側の担当者が決まり、同じ人と気軽に電話やメールでコミュニケーションしながら手順を確認したり先に進んでいける、そして、マイカー購入に浮き立つ心を微笑みで受け止めてくれる担当者がいるような、もう少しフレンドリーな仕組みになるといいのにな、と感じます。あと、ネット環境によるとも思いますが、見積もりページなどの動きが時々ちょっと重いのも気になりました。

納車場所は、自宅に持ってきてもらうのは有料だったので最初はHyundai Mobility Lounge 丸の内を選択。が、電話で納車日を急かした時にHyundai Customer Experience Center 横浜(CXC)にすれば数日早くできるということで、CXCにしました。結局、最速で可能といわれた17日(水)は都合が合わず21日(日)にしてもらったので、どちらでも良かったものの。CXCのデリバリースポットで大画面のお祝い映像や、私の名前を出して祝福してくれるセレモニーがうれしいやら照れくさいやら。

新横浜へ訪れやすい地域の方にとっては、CXCはとてもユーザーフレンドリーな場所だと思います。

下取りはなかったのでリーフは買取に出しました

次に、今まで乗っていたリーフについて。ヒョンデにオンライン注文する手順の中で「下取り」に関する内容はありませんでした。ヒョンデにはまだ中古車販売の仕組みがなく、下取りは行っていないようです。これもまた、自社が販売したEVの残価を支えるためにも、ヒョンデ・ジャパンに前進を望みたいポイントだと感じます。

納車当日、リーフをOZに届けました。

ということで、納車日を「なんとか年内に!」と推測しながら買取(売却)先を探すことにしました。とはいえ、EVのことをよく理解していない普通の中古車店にリーフとリチウムイオン電池を任せるのはイヤだったので、見積もりを取ったのは初期型リーフのバッテリー増量交換サービス(関連記事)を行っていて、最近、EVアプルーブドカーサービスを始めたOZ Motors(オズモーターズ)と、車検などをお願いしていた近所の日産ディーラーの2店のみ。

見積もり額はまったく同じだったので、代表の古川さんが長年のEVクラブ仲間でもあるオズモーターズに買取をお願いすることにしました。買い取っていただいたお金は、補助金と合わせて数年後の残価精算費用にしようと思っています。

リーフとの惜別を前にバッテリーをチェック。ちょうど商談で日本セールス担当の方がOZを訪れていた「AVILOO」のバッテリー診断システム(プロトタイプ。正式にローンチされたらレポートしますね)で75点。リーフスパイで古川さんが計測してくれた結果のSOHは73.24%でした。目安として、あと1%落ちたら9セグって状況ですね。

余談ですが、OZのオフィス&ファクトリーはCXCのすぐ近く。リーフを引き渡した後、CXCまで古川さんのモデルSで送っていただき、納車のあれこれを見てみたいということで、ずっと同席。出発シーンなどの撮影までしてくれました。古川さん、ありがとうございました。

納車セレモニーを終えて出発! Photo by 古川さん。

車両登録が完了して国と東京都の補助金申請

車庫証明や車両登録の手続きは、ヒョンデ指定の行政書士が有料で行ってくれます。「車庫証明くらい自分で取りに行くよ」と思いましたが、オンライン注文の手順で、そんなわがままを受け付けてくれる仕組みはありませんでした。おとなしく、所定の手順を踏んでいきます。

ローン手続き(残代金支払い)も完了して、車両登録が完了したのは年明け、1月11日でした。またまたカスタマーセンターに電話して、車台番号やナンバーの情報を送ってもらい(すぐにマイページで車検証記載事項書類などがダウンロードできるようになりました)。さっそく、国のCEV補助金と東京都のZEV購入補助金の申請をしてみることにしました。

大量のややこしい書類に記入とかしなきゃいけないのかなぁと思っていたのですが、国も東京都も申請はWEBサイトで比較的簡単に行うことができました。東京都への申請には住民票が必要で、私のマイナンバーカードはコンビニで住民票発行とかできるようにする手続きをしていなかったから区役所へ取りに行く手間が掛かったけど、あとは注文書や車検証、領収証など、ヒョンデから送付された書類を所定の申請ページからアップロードすればOK。まだ正式な申請受理の知らせ(問題や間違いがあれば連絡が来るはず)は来てないですが、たぶん、問題なく申請できたと思います。

なんと、任意保険の金額は中古リーフとほぼ同じ

続いて、任意保険の車両切り替え手続きです。私は長くソニー損保を利用しています。これもウェブサイトのマイページから変更の手続きを、と思ったら、ヒョンデのKONAはまだ車両のリストに登録されていなかったようで、電話での手続きが必要でした。

もしかすると「車両保険は引き受けられない」みたいなことにならないかと少し心配しましたが、電話でいくつかの確認を経て無事に切り替えることができました。

驚いたのは、車両保険を70万円に設定していた中古リーフと、車両保険420万円で新車買替特約を付けたKONAの保険金額がほぼ同じだったことです。細かい話になりますが、自動ブレーキの有無が未登録だったため追加で1,900円カード決済したものの、数日後、「Casual にも自動ブレーキがあることが確認できたので割引が適用されます」と連絡があり、1,930円返金されることになりました。

車両価格が高くなるんだから「任意保険料が年間数万円は上がるんだろうな」と覚悟していましたが、うれしい誤算です。その理由は、損害保険料率算出機構が算出している車種ごとの「料率」で、リーフのほうがリスクが高いとされているからでした。

具体的に、保険始期2023年1月1日~12月31日で比較すると……

<リーフ AZE0>
対人賠償責任保険/11
対物賠償責任保険/10
人身傷害保険/9
車両保険/10

<KONA Casual(SX2STD)>
対人賠償責任保険/6
対物賠償責任保険/7
人身傷害保険/9
車両保険/11

数字が小さいほうが保険料は安くなります。車両保険はKONAが少し高いものの、保険金額が無制限の対人や対物の料率はリーフのほうが高いので、任意保険全体の金額としては「ほぼ同じ」(18等級で年額7万円くらい)になるというカラクリでした。

この料率は毎年更新されます。KONAオーナーのみなさま、大きな事故を起こさないようお互い気をつけていきましょう。ちなみにソニー損保では、メーカー名「ヒュンダイ」の車名「ヒョンデ」でKONAを登録しちゃっているようで、おそらく証書(ペーパーレスだけど)にはそのように記載されると思います。KONAオーナーの一人として、できれば早めに修正してくれるとうれしいです。

乗り味や電費は想像以上で、すごくいい!

KONAはコンパクトSUVですが、乗り味や先進運転支援機能、静粛性などはかなりラグジュアリーです。購入前、CXCやメディア向け試乗会では上位グレードの「Lounge」しか試乗しておらず。Loungeのタイヤサイズは「235/45 R19」に対して、Casualは「215/60 R17」と小径で扁平率が高いので、あまりシャキシャキ走れないのかもと案じていましたが、まったく問題ありません。むしろ、タイヤが分厚い分だけ路面からの突き上げなどを吸収してくれるので乗り心地はCasualの方が上質かもって感じ。ルックスもそんなにもっさりとは感じてなくて好印象です。

サイズは「全長4,355×全幅1,825×全高1,590mm」で、以前のマイカーだった日産リーフAZE0の「全長4,445×全幅1,770×全高1,550mm」と比べて、全長が9cmほど短くなって、全幅と全高は数cm大きいものの、取り回しなどのサイズ感はそんなに変わらない印象です。高さが1,550mmを超えるのでタワーパーキングに入れないケースが増えるだろうとは気になりつつ、まあ、大きな問題ではありません。

納車後の朝、メーターの電費データを確認すると累積情報が「4.2km/kWh」(走行距離はこの時点で82.3km。納車時は50kmくらいでした)とあまりにも非効率な数値で、航続可能距離も短め表示になっているようです。実際の電費を確認がてら、累積データを上方修正するために、平日の昼間、ランチを兼ねて海ほたるまで(片道約37km)ひとっ走りしてきました。

フードコートで、イワシやアサリが載った「ち〜ば丼」をいただきました。

結果は、ECOモードで走った往路が「8.8km/kWh」、NORMALモードにした復路が「8.0km/kWh」と、SAKURAかよっ! と勘違いしそうな電費を叩き出してくれました。タイヤ幅が「215」と控えめなことも、電費に貢献しているのだと思います。累積データも電費は「5.4km/kWh」(走行距離は157.4km)まで改善しました。リーフのECOモードはかなりレスポンスが落ちてしまうのであまり使ってなかったですが、KONAの場合はいい感じ。当面はECOモードを多用して、電費向上を図りたいと思います。

やはり、チョイ乗りの電費は伸びないですね。

あと、トノカバーを外すこともなく、ゴルフのキャディバッグがサクッと積めたのがちょっとうれしいポイントでした。KONA Casual、「想像以上で、すごくいい!」かも、です。

来週は、愛知県への長距離取材を予定しています。また、レポートしますね。

取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)4件

  1. 1/1からのキャンペーンで1/2 KONA Casualを購入しましたが、2/3納車でとりにいきましたがスマホの登録ではなぜか2/5納車になって、100%まで普通充電したら356kmまでしたかいかず、キャンペーンのPayPay10万円分が3/1現在いまだにもらえてません。

  2. おめでとうございます。
    先日、実車を見たのですが思ったより大きく、「カバさん」という印象でした。実用性も高そうなので、売れる予感がします。
    ところで、オンライン販売は具体的にどんな感じですか? テスラとの比較をしていただけると有り難いです。

  3. 納車おめでとうございます。
    素敵なEVライフが続くことを祈念いたします。
    ちなみに私もヒョンデの試乗会に参加したことがあるのですが、たしかに無機質さというか素っ気なさは感じましたね。
    もちろん、担当者の方は笑顔で礼儀正しく応対してくれますが、車への愛情というか、質問したときの商品知識も含めて、どこか物足りなさがありました。
    対応された方々はヒョンデの社員ではなく業務を委託された会社の方で、物腰は柔らかいものの車に対する質問の回答については歯切れ悪く、むしろこちらのほうが詳しかったりしたため、営業は苦労するかも、、、とも思いました。
    逆に食いつくような営業が苦手な方はむしろ良いのかもしれませんので今後に期待ですね。

  4. 納車おめでとうございます。

    実際に所有されてのレポートを楽しみにしています。
    今週末BYDにドルフィンとATTO3の試乗に行ってきますが、
    ネット上で軽く知れた「警告音がうるさい」等の、実際に所有されて気づく点などを
    教えてもらえると非常に参考になります。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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