ヒョンデの第2弾電気自動車『KONA』試乗レポート〜率直な印象として「これはいい!」

Hyundai Mobility Japanは静岡県御殿場市で、11月1日に発売した電気自動車(EV)『KONA(コナ)』のメディア向け試乗会を実施しました。EVsmartブログ編集部も参加して、車の仕上がりを体験してきました。率直な印象をまとめると「これはいい!」です。

ヒョンデの第2弾電気自動車『KONA』試乗レポート〜率直な印象として「これはいい!」

12年ぶり日本再参入の第2弾『コナ』

Hyundai Mobility Japanは11月初旬、再参入した日本市場に2台目の電気自動車(EV)『KONA(コナ)』のメディア向け試乗会を実施しました。試乗時間は2時間半で、静岡県御殿場市のマースガーデンウッド御殿場を拠点に、富士山方面、または箱根方面を回ることができるように設定されていました。

EVsmartブログが試乗会に参加したのは11月6日。当日はよく晴れて、Tシャツで過ごせるという11月とは思えない暖かな日でした。御殿場市の最高気温は22.6度まで上がりました。

試乗会では改めて、ヒョンデの日本市場参入の経緯に続いて商品説明がありました。ヒョンデは、乗用車販売では12年間のブランクがあった一方で、アフターサービスやバスの販売は継続していました。そして今回はゼロエミッションビークルをインターネットで直販する試みに挑戦しています。日本市場への本気度をアピールして、日本ユーザーの理解を広げたいという思いが伝わってきます。

続けて、コナの商品説明があったのですが、EVsmartブログではすでに何度かお伝えしているので、以下の既報におまかせして先に進みましょう。

【関連記事】
ヒョンデのEV第二弾『KONA』11月1日から販売開始~価格は399万3000円から(2023年10月31日)
ヒョンデの第二弾 EV『KONA(コナ)』予約受付開始/48.6kWhで400万円~(2023年9月27日)

コナのグレードとカラーをおさらい

コナには4種類のグレードがあります。今回、EVsmartブログでは、動画撮影も兼ねていたので天井に吸盤でカメラを取り付けることができるサンルーフを備えた『Lounge』を選んでみました。4グレードの価格と航続可能距離、バッテリー容量を再掲します。

KONAのグレード別価格と概要
(車両価格/バッテリー容量/航続可能距離)
・Casual 399万3000円 48.6kWh/456km
・Voyage 452万1000円 64.8kWh/625km
・Lounge 489万5000円 64.8kWh/541km
・Lounge Two-tone 489万5000円 64.8kWh/541km

色は濃いグレーパールで、内装はグレー2トーンです。

なお、外装は全8色が揃っています。日本では、やっぱりというか白(アトラスホワイト)の注文が多いそうです。でも個人的には、黄(ネオテリックイエローとアビスブラックパールの2トーン)や赤(アルティメットレッドメタリック×アビスブラックパールの2トーン)も好きだし、日本の道路がもっとカラフルになればいいなあと思っています。

試乗車のタイヤは、韓国クムホの19インチです。『Casual』と『Voyage』は17インチなので、広報車が提供されたら乗ってみたいですね。試乗会場には17インチを装着したコナが置いてあり、見た目は悪くないと思いました。

ということで、さっそく試乗に出てみました。コースは、御殿場IC横にあるホテルから芦ノ湖の湖畔にある箱根駅伝のゴール地点を経由して、沼津市内にある日産販売店の90kW器で急速充電を少しだけ試すルートにしました。

快適な後席で車の印象が急上昇

バッテリー残量83%からスタート。まずは芦ノ湖目指してワインディングを駆け上る。

最初の運転は、動画担当のテスカスさんです。カメラを付けているので、筆者と寄本編集長は後席に収まりました。

走り出してすぐ、寄本編集長が「後席、いいね!」と感嘆符付きで第一印象をコメント。確かに後席、気持ちいいです。

テスカスさんは背が高い(180cm以上)ので運転席の後ろは狭くなりがちなのですが、まったく気になりません。ヒザの前に、ゲンコツがいくつか入りそうでした。それに膝下もそれなりに高く、脚を自然に降ろすことができます。全長4355mmでこれだけの後席スペースがあれば言うことないと思います。

センター部分が、EVらしくフラットになっているのも高評価です。シートヒーターは後席も左右個別に設定できて、これも高得点が確実です。

後席の背もたれには、少しですがリクライニングする機構もあります。後ろに倒すと自然にヒザが前に出ますが、それでも窮屈さは感じません。これなら長距離もラクそうです。

芦ノ湖までは少し細くて急勾配とカーブが多く、舗装もそこそこの道だったのですが、リアタイヤの突き上げ感もなく気持ちよく座っていられました。エンジン車のように急勾配でウオンウオンと音と振動が大きくなったり、加減速でGの変化が増えることもないので、気持ち悪くなる要因はだいぶ排除されています。

というわけで、今回の試乗でいちばんインパクトが大きかった後席リポートからお伝えしてみました。ぜひ、誰かの運転で体験してほしいと思います。

運転支援システム『HDA2』は優秀

芦ノ湖(箱根駅伝のゴール地点)からは筆者が運転。

次にお伝えしておきたいのは、高速道路でのドライブアシスト(運転支援)「HDA2」の優秀さです。

コナは、上位グレードの『Lounge』『Lounge Two-tone』に、高速道路での車線変更アシスト機能を備えた「HDA2」を標準装備しています。

一方で「HDA2」は、『Casual』と『Voyage』にはオプションでの設定もありません。同じようにヘッドアップディスプレーも、上位グレード2つは標準装備していますが、下位グレードには設定がありません。『Casual』のバッテリー容量48.6kWhというのは、EVに乗り慣れてくるとちょうどいいサイズ感に思えるのですが、装備の違いがあるため、悩ましいところかもしれません。

話を戻すと、標準装備の「HDA2」が、いい感じなのでした。ハンドルに軽く手を添えていれば、車線の真ん中付近をきちんと走ってくれます。東名高速道路の沼津ICから御殿場ICまでの走行では、不安になるような挙動はありませんでした。

筆者は『IONIQ 5』の運転支援システムはあまり細かく体験したことがないのですが、寄本編集長は、「IONIQ 5は右に寄る感じがあったけど、そういうのはなさそうだね」と感心していました。ソフトウエアは2~3年あれば格段に進歩することが実感できます。

「HDA2」だけに備わっている自動車線変更アシストは、ウインカーを出してから2~3回、ピコピコという作動音がした後にすーっと車線を変えていきます。車間距離がある程度広ければ(デジタルに何メートルとは言えないですが)、あまり待つ感じもなくきちんと車線変更してくれました。

夏に韓国でコナの試乗をしたとき(関連記事)には、高速道路の交通量が多いせいか車線変更をしたりしなかったりで、動作が確実ではないのか周囲の条件によるのか、判然としなかったのですが、状況によってはきちんと動作することが確認できました。

軽快かつ安心して長距離を走れそう

試乗で走った芦ノ湖から沼津市内の静岡日産沼津店までは、前半はちょっとしたワインディングロード、後半は市街地走行になります。

コナの回生ブレーキの調整は、ドライバーがパドルシフトを使って4段階でコントロールできるマニュアルと、前の車との車間距離を制御しながら自動で回生ブレーキの強弱を調整するオートがあります。いちばん弱くするとコースティングになります。また、ワンペダルで停止までできる「i-Pedal」モードもあります。

ということで、下りのワインディングロードではアクセルペダルもブレーキペダルもほとんど踏まず、パドルシフトの回生ブレーキだけで下ってきましたが、端的に言って、とても快適です。

天気が良かったことが点数をさらに上げていると思いますが、足回りはゴツゴツしているわけではなく、かといって柔らかすぎてフワフワして気持ち悪くなるわけでもなく、いいあんばいに感じました。韓国で乗ったときにはもう少し硬めだった印象があるのですが、路面の違いなのかどうなのか、今回の試乗ではちょうどいいあんばいのセッティングになっている印象でした。

エアコン操作やドライブモードなどの切り替えなど、スイッチ類もバランス良く配されています。

ドライブモードは、スポーツ、ノーマル、エコ、スノーの4種類です。ヒョンデは日本導入にあたって、ドライブモードの制御を日本の道路事情に合わせて変更したそうです。基本的には、出力の出方を少しゆるめにしているようです。

確かにスポーツモードは、韓国で試乗したときには反応が鋭くて自分で運転していてもちょっと気持ち悪くなるくらいの加減速だったのが、ちょっと緩和されているかもしれないと感じました。

もちろん、今や韓国試乗での印象は薄れているし事前に話を聞いていたのでプラセボ効果の可能性もありますが、少なくともノーマルモード~エコモードは、とても乗りやすい加減速制御になっていて、長距離を走ってみたくなったのでした。

カーナビは拡張現実で案内表示

コナのカーナビでは新たに、AR(拡張現実)で案内表示ができる機能を採用しています。AR表示にすると、通常の地図の代わりに、カメラによる前方映像にグラフィックの矢印を重ねて進行方向や車線を表示します。目で見ている光景と画面の表示がシンクロするので、複数の車線がある都市部ではわかりやすいと思いました。

一方、交差点などで地図の拡大表示が出ないため、複数の横道がある時に少し考えてしまうこともありました。このあたりは慣れもあると思いますが、AR表示はおもしろい試みだと思います。

バッテリーはCATLの三元系

さて、EVsmartブログとしてはやっぱり急速充電の状況を確認したかったのですが、電池残量が70%を超えていたためよくわかりませんでした。SOCが74%で静岡日産沼津店の90kW器につないでみると、充電器に80A、391Vの表示。32kW弱でしょうか。最大では80kWくらい受け入れられるはずなので、だいぶ下がっています。

IONIQ 5はSOCが70%を超えても90kW器でほぼ200Aのフル出力で流れ続けますが、コナの急速充電性能は「IONIQ 5ほどではなくて一般的」という印象です。ちなみに、最大電流は230Aまで受け入れ可能ということでした。

電流値はSOCに応じて次第に下がっていくのですが、メーカーはデータを開示しないので実測が必要です。EVsmartブログでは以前、新電元の協力で150kW器での出力推移のグラフを作ったことがあります(関連記事)。充電器との相性もあるので一概には言えませんが、メーカーによる違いが見えて興味深いだけでなく、充電性能をデジタル値で確認できればEVの性能比較の一助になるかと思います。またいつかやってみたい実験です。

ところで今回、日本市場に入るコナのバッテリーは、CATL製の三元系ということがわかりました。LG製は、チェコ工場で生産するコナに搭載しているそうです。

長くなりましたが、ざっくりまとめると、①後席がとても気持ちいい、②マイルドなドライブモードの味付けは日本で運転しやすい、③ドライブアシストの性能が上がっている、④バッテリーはCATL製、というところでしょうか。

2時間半という限られた時間でしたが、コナのポテンシャルの高さはよくわかりました。リセールバリューを含めて未知数な部分はありますが、今後の市場での動きが楽しみになったのでした。

最後に、以前の記事でご紹介したスペック表を再掲しておきます。

グレードCasualVoyageLoungeLounge Two-tone
全長×全幅×全高(mm)4355×1825×1590
ホイールベース(mm)2660
トレッド 前/後(mm)1590/1600
車両重量(kg)1650173017901770
定員5
最高出力99kW/3800-9000rpm150kW/5800-9000rpm
最大トルク255Nm/0-3600rpm255Nm/0-5600rpm
バッテリーリチウムイオン
総電圧269V358V
総電力量48.6kWh64.8kWh
1充電航続可能距離(WLTC※)456km625km541km541km
急速充電受入可能出力60〜80kW程度(最大230A)
駆動方式FF
タイヤサイズ215/60 R17235/45 R19
ブレーキ 前/後ディスク/ディスク
最小回転半径5.4m
価格399万3000円452万1000円489万5000円489万5000円
※ 輸入自動車特別取扱制度(PHP)を使った輸入のため、テュフラインランド社が試験を実施、オランダのRDWが承認した⾃社測定値

取材・文/木野 龍逸

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 車検とか故障時の保守はどうなるのでしょう。
    情報不足の記事に感じました。

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					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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