三菱の新型『エクリプスクロス』正式発表〜主役はPHEVモデル

三菱自動車工業の新型エクリプスクロスのオンラインプレミアが行われ、全国で販売がスタートしました。ガソリンモデルもラインアップしていますが、発表会の主役はPHEVモデル。給電機能など電気自動車としての魅力が強調されました。

三菱の新型『エクリプスクロス』正式発表〜主役はPHEVモデル

オンラインプレミアでは「停まっている時の価値」を強調

10月15日からすでに予約注文が始まっていた新型『エクリプスクロス』。詳細スペックは未発表でしたが、12月4日、オンラインで発表会が行われ、いよいよ日本国内、全国での販売が始まりました。

オンライン発表会では、まず加藤隆雄CEOが、i-MiEVからアウトランダーPHEV(プラグインハイブリッドEV)、そして今回のエクリプスクロスPHEVへと繫がる三菱自動車がもつ電動車の強みをアピール。アウトランダーから受け継ぐツインモーター4WD方式のPHEVシステムへの自信を示し「安定感の高いハンドリングや、胸の空くような気持ちいいモータードライビングを体感いただきたい」とメッセージ。新型エクリプスクロスにはガソリンモデルもラインナップしていますが、注力しているのはPHEVモデルであることが明確に示されました。

加藤隆雄CEO。

約35分の発表会のなかでは、デザインの説明やモータージャーナリストの竹岡圭さんが登場して走りの魅力を解説したのに続き、キャンプ場を舞台に「停まっている時の価値」について丁寧に説明されました。

つまり、アウトランダーPHEVも備えている100V1500Wコンセントの給電機能や、チャデモ急速充電口を介したV2H(ビークル・トゥ・ホーム)機能の価値です。解説に登場した担当社員の方々がそれぞれに「給電機能の使い方は人それぞれ。自分だったらどう使うか考えてみてほしい」、「実際に使うと、いいなと感じていただけるはず」、「ニューノーマルの時代にあって、クルマに求められる価値も変化する。停まっている時間の価値が、人々の生活をより豊かにできる」など、PHEVの「EV」としての価値がとくに強調された内容でした。

締めくくりに再び登場した加藤CEOは「PHEVには電動車のよさが全て詰まっている。現在の環境問題における最適解」とコメント。2030年には電動車比率を50%にする目標を明言し、PHEVが三菱自動車にとって最重要モデルであることを示しました。

価格やスペックをチェック

新型エクリプスクロスはすでにメディア向け試乗会も開催されており、EVsmartブログでも試乗レポートを紹介しています。

今日、詳細な価格やスペックも発表になったので、アウトランダーPHEVと比較しつつまとめておきます。

モデル&グレード価格全長/全幅/全高
(mm)
エンジン形式総排気量モーター形式
(前/後)
駆動用バッテリー
総電力量
EV走行距離
(WLTC)
新型エクリプスクロス
PHEVモデル
M3,848,900円〜4545/1805/16854B12 MIVEC2359ccS61/Y6113.8kWh57.3km
G4,152,500円〜4545/1805/16854B12 MIVEC2359ccS61/Y6113.8kWh57.3km
P4,477,000円〜4545/1805/16854B12 MIVEC2359ccS61/Y6113.8kWh57.3km
新型エクリプスクロス
ガソリンモデル
M2,531,100円〜4545/1805/16854B40 直噴MIVEC1498cc
G2,867,700円〜4545/1805/16854B40 直噴MIVEC1498cc
G Plus Package3,126,200円〜4545/1805/16854B40 直噴MIVEC1498cc
アウトランダーPHEV
G4,364,800円〜4695/1800/17104B12 MIVEC2359ccS61/Y6113.8kWh57.6km
G Plus Package4,637,600円〜4695/1800/17104B12 MIVEC2359ccS61/Y6113.8kWh57.6km
G Premium Package4,991,800円〜4695/1800/17104B12 MIVEC2359ccS61/Y6113.8kWh57.6km
S Edition5,294,300円〜4695/1800/17104B12 MIVEC2359ccS61/Y6113.8kWh57.6km

エンジン、モーター、駆動用電池容量などEVとしてのパワートレイン部分はアウトランダーと同じです。車両重量も1.9トンくらいでほぼ同じですが、一充電でのEVとしての航続距離はエクリプスクロスのほうが少し短くなっているのは、より軽快な走りを重視した、ということでしょうか。

アウトランダーPHEVのEV航続距離は、より実用に近いアメリカのEPA基準では電池容量が増加する前の12kWhモデルで22マイル(約35km)なので、13.8kWhの新型エクリプスクロスPHEVが、電気だけで走れる距離は「35÷12×1.8=約5km」増加として、約40km程度ではないかと思われます。

アウトランダーとの違いは、正直、2台をじっくり乗り比べてみないと何とも言えません。価格は新型エクリプスクロスのほうが少しお手頃。わかりやすいところでは、やや車高を抑えてシャープさを強調したデザイン、ということになるんでしょうね。オンライン発表会では、デザインの特徴として「DARING GRACE=大胆にして優雅」というキーワードが強調されていました。

俯瞰して考えると「三菱自動車の4WD&SUV&PHEVモデルの選択肢が広がった」ということになるのでしょう。

発表会の最後に流れたテレビCMのキャッチコピーは「自然と併走して未来へ」という言葉できた。加藤CEOが仰るように、PHEVが環境問題と持続可能なモビリティの「最適解」かどうかの意見はさまざまでしょうが、日本国内で電動車の選択肢が広がったことは確かです。ますます便利に、より多くのユーザーが気持ちいいカーライフを楽しむためにも、ことに高速道路SAPAの急速充電器増設が進むことを願っています。

エクリプス クロスPHEV「TVCMメイキングムービー」(YouTube)

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)9件

  1. HVも目が肥えたユーザーに対しては経済性よりも静かさといった快適性がアピールポイントですし、このPHEVもそういうタイプの車だと思いますよ
    通勤は静かなEVモード、遠出はガソリンで使い勝手よくキャンプではハイブリッドよりも給電能力高いから使いやすいというね
    BEVはまだまだ不便な事も多いですし遠出が多い人にはおすすめできると思いますけどね

    なんか叩かれてる給電能力もアウトドアでも非常時でも1500wあれば困らないと思いますし、使いたいなら使う時間を分ければ問題ない程度でしょう。エアコンも冷蔵庫も電子レンジも…と欲張りな人は蓄電池買ったほうがいい(日本国内では停電は滅多にないので殆ど無駄になりますけど)

  2. アウトランダーphevは2018年にバッテリーが12kwhから13.8kwhに増量されていますが、なぜかEPA航続距離は35kmのままで変わらず。
    なんでかなと思って調べてみたらアメリカのアウトランダーphevは2020年版でもバッテリーが12kwhのままでした https://www.mitsubishicars.com/outlander-phev/2020/specifications
    アメリカでバッテリーが増量されるのは2020年冬らしいので https://s.kakaku.com/prdnews/amp/cd=kuruma/ctcd=7010/id=96617/ EPA航続距離も更新されるでしょう。
    電費がそんなに変わらなければ40km位には伸びるのでは。
    なのでエクリプスクロスphevも電気だけで走れる距離は40kmぐらいではないでしょうか。

    1. dc42jk さま、コメントありがとうございます。

      貴重なご指摘ありがとうございました。
      記事本文も修正しておきます。

  3. この車のPHEVであることの意味はランエボXなどが引き合いに出されるように
    運動性能の強化のための追加でしょう。
    エコやまして災害時の事は基本的には考えていないと思います。
    セールストークとしての外部給電でしょう。
    日産のノートe-POWERだってそうです。
    運動性能はせっせとアピールしていますが、燃費は相変わらずよくないのが
    私としては残念でした。1500W100Vはあるのかな

    豊田さんは余計な出費をともなうV2Hシステムの利用頻度を考えると
    100Vコンセントがあればとりあえずはしのげるでしょう。
    という判断だと思います。
    その意味ではMiEV Power Boxを10万円以上出してまで1500W100Vx1しか出来ないのでは流石にしんどいですね。
    eNV-200のように標準で1個、オプションで同容量で1個、外部取り出しシステムで充電口からさらに1こがあれば取れればベターですかね。

    兎に角エプリクスクロスPHEVに災害対応はおまけだと思いますよ。
    その分ミラージュEVやRVREVには動力性能よりこっちを向いてリリースしてほしいですね。

  4. クルマとしては素晴らしいとは思いますが。
    EV走行が実質35キロしか走れないなんて!
    それなら、他社のもっと安いハイブリッド専用車でよくないですか?

    三菱カードで25分80%300円でPHEVに急速充電したら21キロしか走れない訳で、ガソリン入れた方が安い気がします。
    家で充電したら135円で35キロ走れる訳ですが、それ以上走るとハイブリッド専用車よりも燃費悪いし、、、このクルマ近距離コミューターでも無い訳で、、、なんか微妙!
    仮にガソリン節約して毎日家充電100%繰り返したら3年でリチウムイオン電池が死にます。ガソリンの節約金額15万円ですが、交換電池代は30万円?50万円?
    災害時なら、トヨタのヤリスクロスハイブリッドだって1500Wコンセントあるし、、、。
    ガソリンで発電したら、2.4Lで発電しても1500w、1.5Lで発電しても1500wです。
    災害時は長時間に及ぶわけで、PHEVのバッテリー給電なんて直ぐ底つきます。
    個人的な考えですが、電動車はハイブリッド専用車かバッテリー容量の大きいBEVではないかと思いますが、何処か間違ってますか?

    1. Farfetchdさん>
      なんかいろいろ誤解があるようで・・・

      >三菱カードで25分80%300円でPHEVに急速充電
      コスパ考えると、PHEVに乗っている人が三菱の充電カードを持つのは、自宅充電ができない人がメインだと思います。そういう人はプレミアムカードを契約するので、こっちなら25分80%で200円です。

      >毎日家充電100%繰り返したら3年でリチウムイオン電池が死にます。

      三菱の見積もりでは、そのケースでも10年で65%は維持できると見ているようです。
      https://mitsubishi-motors.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/93/session/L3RpbWUvMTYwNzQzMjgxOC9nZW4vMTYwNzQzMjgxOC9zaWQvZlV0Nzg0SUR2NUxCcXpUR3V1a0ZaJTdFa05TQUNzV2dsUk81eHBrVEg3bUFKSUMlN0VkJTdFdHBnYm5HZ1lLSlZLVGhVUmlkTWpJSnJvWXR5NU5Fc2ZVRnVldSU3RXpPaTZtc24wUHVMQkdZQ2licHZrNmVTRTFRTTltYjd3bFElMjElMjE%3D

      そもそもバッテリー容量保証で8年16万キロ内に容量が70%切ったら無償で交換してもらえます。

      >トヨタのヤリスクロスハイブリッドだって1500Wコンセントあるし、、、。
      ハイブリッド車の場合は、エンジンを止めた状態で長くは電力供給出来ず、バッテリーの充電状況で時々エンジンが回ります。夜中の場合エンジン音が近所迷惑となる可能性があるので注意が必要かと。

      >災害時は長時間に及ぶわけで、PHEVのバッテリー給電なんて直ぐ底つきます。
      すぐに底をつくかどうかは使い方次第です。災害時に普段通りの電気の使い方をする人はあんまり多くないと思います。
      因みに私は北海道在住で、2年前の北海道胆振東部地震でブラックアウトを経験しています。業務用のフリーザーと冷蔵庫を稼働させる為、両方合わせて900~1000Wの電力供給を40時間程度しましたが、当時ガソリンはタンク2/3程度入っていたので間に合いました。

      >バッテリー容量の大きいBEV
      バッテリー容量の「小さい」BEV  i-MiEV Mは東芝のSCiBを搭載しており、こっちは北海道の低温にも強いと聞き及んでおりますので、個人的にはアリアリと勝手に思っております。

    2. norm007さま

      ご指摘ありがとうございます。
      そう言う生の声が聴きたかったのです。
      ありがとうございます。

      私自身、SCiB搭載車のアイミーブMに乗っておりますが、名古屋の高温には弱いです(40度C以上の炎天下の普通充電スペースで充電が止まる事あります)が、マイナス3度C程度しか経験ありませんが、低温特性は良いみたいです。
      しかし、PHEVより容量の小さいアイミーブMのSCiBは冬は暖房で実質40キロ程度しか走れないのでいつも不安を抱えています。SCiBは0-100%の使い方に耐える(15000サイクルの)電池なので冬は毎日1サイクル消費しています。それでも40年くらい使える計算ですが、PHEVの電池は1000サイクルなので、計算上3年と申し上げました。
      三菱の言う年1万キロなら1日平均27キロなのでPHEVの電池の68%しか使わない事を考えれば、それでよいのかもしれません。電池ダメになっても普通のハイブリッドとして使えますね。

      1000Wの冷蔵庫を「夜間迷惑のかかる」?とされるPHEVのエンジンを稼働させないで40時間も給電できますか?。13時間で底つきますよね?その後はハイブリッド車と同じでエンジンが昼夜関係なく頻繁に稼働していたのではないですか?
      私のアイミーブMなら10時間でアウトでその後は使い物になりません。
      どうせエンジン稼働させるのなら、ハイブリッドで良いのではと言うのが私の考えでした。しかし、確かに使い方次第なので、例えば携帯の充電程度ならエンジン稼働させずに数週間持たせる事も可能ですね。

    3. チャージモードで発電しながら100v使って余剰分はバッテリーにチャージされますよ?
      バッテリーが満タンになれば無くなるまで無音で電気使えますよ?
      システムを理解されてませんね?

  5. 試乗してみたいですね(買えませんが…)。
    アウトランダーPHEVと印象がどのくらい異なるのか気になります。

    ミニキャブミーブバン(10.5kWh)乗りとしては、
    納車前に充電マナーについて(急速充電時の特性など)周知して欲しいと思います。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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