高速道路の割引プランを活用
三菱『エクリプスクロスPHEV』で女神湖への取材ドライブ。ただ単純に充電しながら移動するのでは何もおもしろくないので、いくつか基本とする条件を決めた。
① 往路はできる限り充電しつつ移動、復路は充電せずに移動する。
② 往路の急速充電はバッテリー走行可能距離表示が「0km」になってから、できるだけすぐに行う。
③ エンジン走行可能なPHEVなのでEVが充電にきた際には充電器を譲る。
都内から女神湖に移動するにはいくつかの経路があるが、私が選んだのは関越自動車道と上信越自動車道を使うルート。練馬インターから関越道に入り、上信越自動車道の東部湯の丸SAにあるスマートインターで一般道に下りる経路を選んだ。復路はこの経路を逆向きに走る予定を組んだ。東京からこのあたりに移動する場合、ちょっとお得になる方法がある。NEXCO東日本が提供している「ウインターパス」というプランがそれだ。
ウインターパスはETC払い限定のキャンペーンのようなものと考えればいい。条件や使い方がちょっとややっこしいのだが、それをクリアすれば高速道路を割引料金で使える。今回のウインターパスは2023年12月1日(金)~ 2023年12月25日(月)と2024年1月5日(金)~ 2024年4月1日(月)が対象で連続する最大3日間が適用になる。日帰りでの利用も可能だ(3/31日は2日間、4/1は当日利用のみ可能)。
練馬インターから東部湯の丸スマートインターまでの平日通常ETC料金は片道が4430円だが、ウインターパスを使うと往復で6600円となる。つまり「4430円×2―6600円=2260円」で2260円の節約になる。私は高速道路は無料になるべきと考えているので手放しでヨシとは言わないが、出費を抑えられるのは歓迎だ。
ただし、事前に申し込む必要がある、出入り口インターエリア外に変更すると無効になるなどの面倒な面も多い。また、今回は平日の昼間というもっとも料金が高い場合であって、休日の昼間のETC片道料金は3440円だから280円分しかお得にならない。また午前0時~午前4時までの深夜割引を利用すると3100円となるのでウインターパスを使うよりも安く利用できる。
急速充電を活用してできるだけEV走行した往路
さてエクリプスクロスPHEVだ。前日に三菱ディーラーにて急速充電し、EV走行可能距離は27kmとなっていた。エクリプスクロスPHEVにはバッテリー残量をSOC(%)で表す機能がなく、残り何kmという表示を頼りに走るしかない。
関越道に入り最初の充電ポイントは三芳SAである。三芳SAに入るギリギリのタイミングで残り0kmとなった。減速しながらSAに入ると回生によって残り走行可能距離が1kmに増えている。ここで最初の充電を開始。30分で走行可能距離は25Kmにまで復活。充電器の表示では6.1kWh充電できたことになっていた。
その後、走り続けると29km走ったところで走行可能距離が0kmとなった。8km先の嵐山PAまでエンジンを使いながらハイブリッド走行。ここでも減速の回生で1km復活。急速充電によってEV走行可能距離は33kmとなった。充電器の充電電力量表示は8.0kWh。
嵐山PAから先は上り勾配がキツいのだろう。22km走行でゼロとなった。次の充電ポイントとなる上里SAまで2kmほどハイブリッド走行し、上里SAで充電した。上里SAでの充電量は7.4kWhで、走行可能距離31kmまで復活した。
上里の次の充電ポイントは上信越道の甘楽PAなのだが、甘楽PA付近ではまだ4kmの残量がある。ルール(といっても決めたのは自分だが)に従い甘楽PAはパスした。EV走行可能距離がゼロとなったのは上里SAから22km走行地点。このあたりはかなり上り坂である。約23kmをハイブリッド走行し横川SAに到着。急速充電でEV走行可能距離は32kmとなった。横川SAの充電器は最新のタイプなので充電容量も表示されるだろうと安心していたのだが、表示されたのちに消えてしまい。見逃してしまったためにここでは充電電力量を確認できなかった。EV走行可能距離は32kmとなった。
横川からはさらに上りが続き、19km走行(59.6kmキロポスト)で電気を使い果たしてハイブリッド走行となった。次のSAPAである佐久平PAには急速充電器がない。しかし、この先の八風山トンネルを過ぎると東部湯の丸PAまでは下り勾配基調となるため、微妙な回生とそれで得られた電力を使いながら東部湯の丸PAに到着。東部湯の丸PAでは、8.1kWh(30km分)を充電した。
東部湯の丸スマートインターで上信越自動車道を下り、途中の上田市丸子にある丸子中央病院に立ち寄り用事を済ませながら、病院利用者専用の急速充電器でEV走行可能距離23km→30kmへと充電。女神湖を目指した。
以降はさらに上り勾配が厳しいコースだったこともあり17kmを走行した時点でEV走行は不可となり、残り16kmをハイブリッドにて走行した。
往路での走行パターンをまとめると、EV走行が141km、ハイブリッド走行が76kmという結果になった。当然のことながら、PHEVのEV走行のみでロングドライブを完走するのは難しい。
ホテルの普通充電環境が大幅に改善!
女神湖畔のホテルに到着し、普通充電器での充電。これが昨年は鬼門だった。課金システムで使うトヨタウォレットの設定がうまく行かず、結局自分のスマホでは認証できず充電ができないという事態に陥った。今年はそうならないように、東京にいる間に設定を済ませてあり、お金のチャージもばっちり。あとはいよいよトヨタウォレットを使って充電……となるはずだったのだが、事態は大きく変わっていた。なんとトヨタウォレットを使わずにTOYOTA(豊田自動織機製)の充電器が使えるというのだ。
ホテル側が依頼したわけでもなんでもなく、充電器の運営側から「パスワードを入力するだけで充電可能となるように設定を変更した」と連絡があったとのことで、EVにケーブルをつないでパスワードを入れるだけでよくなり、トヨタウォレットは不要になったというのだ。なんとも拍子抜けである。
しかもホテルにはパスワードの入力すら不要な充電器が2基追加されており、合計で3基の普通充電器が設置されていた。昨年使いづらかった充電器は場所の関係で使わず、結局つなぐだけでオッケーの普通充電器にて一晩充電することになった。3基の普通充電器はともに宿泊者専用。1泊1000円で利用できる。
一晩明けて取材を終えて、EV走行可能距離が57km(満充電)となった状態で女神湖から東部湯の丸スマートインターを目指す。下り勾配となるため、バッテリーは減らない。これならば、充電せずに東部湯の丸スマートインターを目指したほうが話は面白かったかもしれない。
EV走行可能距離が0kmになったのはインターから上信越自動車道に入り女神湖から47kmを走ったところであった。その状態からでも、回生によって得られた電力を使っているため、ガソリンを使っての総走行可能距離はなかなか減っていかない。EV走行可能距離が0~1kmを行ったり来たりしながら30km強は走れた。女神湖から182kmを走った地点でのガソリンスタンドで給油。ガソリンは19.11リットルが入った。
概算ではあるが、復路のEV走行距離は47km、ハイブリッド走行は135kmといったところ。往復ではEV走行が188km、ハイブリッド走行が211kmとなった。この距離を元にしたハイブリッド燃費は11km/Lとなる。
PHEVで急速充電は面倒だと再認識
さて、冒頭で高速道路を安く利用する方法を紹介したが、往路では高速道路上で5回充電している。この充電に必要だった時間は合計で2時間30分である。高速道路は何のために使うのか? それは時間を節約するために使うものである。にも関わらず充電のために2時間30分を費やしたというのはじつはこれは本末転倒。ちなみにグーグルマップを使って一般道で移動した場合の時間を算出したところ、今回の5回の充電を含む高速道路での移動と同じ5時間という結果であった。
さらに三菱の充電カード(ベーシックプラン)を使ってeモビリティパワーの充電器を30分使うと、1回につきおよそ400円が必要。5回充電で2000円を消費している。ちなみに、たとえば60kWh程度のバッテリーを搭載したピュアEVであれば東京〜女神湖(今回のルートで約210km)は無充電で走り切れるし、急速充電はより速い。
5時間という時間を移動に費やせるなら、なにも高速道路を使う必要はなく、無料の一般道を使って目的地に向かえばいい。もちろん、環境のため少しでもガソリンは使いたくない……というのなら別だが、それなら最初からEVを選べばいい。
今回の移動でPHEVは急速充電には適さないということを再確認できた。いまさらではあるが、PHEVは自宅や事業所などで普通充電ができ、通勤や買い物などの普段使いでは電気を使い、長距離移動ではハイブリッドとして使うのが適している。普段使いなら30km程度の航続距離があれば十分にEVとして機能するし、いざというときはハイブリッド走行も可能だ。
休憩を兼ねて急速充電するパターンは有効だが、高速道路の場合は急速充電器のまわりには飲食施設などがないことが多い。EVならばソケットを差しっぱなしで飲食施設のなかに入って休憩することに躊躇しないが、私の場合はPHEVだとどうしても躊躇してしまい、クルマの近くで過ごすことになる。今回の移動では私が充電しているためにEVが充電できないというようなことはなかったが、どうも落ち着かないのである。ならばPHEVにCHAdeMOの充電口は不要ではないか? という考え方もある。一部は賛同できるのだが、V2Hのことを考えると現状ではCHAdeMOは有効だ。
日本では、なかなかピュアEVに踏み切れない人も多いのもまた現実。ならば、ピュアEVに行くワンステップ前として、PHEVを経験するのはいいことだと感じる。また、もっと軽くエネルギー密度の高い電池が登場し、PHEVのEV走行距離が伸びるとまた使い方も変わってくるはずだ。EVでは使い勝手が悪いと考えるユーザーにとって、まだまだPHEVは有効なモデルだといえる。
取材・文/諸星 陽一
エクリプスクロスPHEVに乗り先日初車検を通しました
私はディーラーの急速充電と自宅の普通充電以外で充電はしたことがありません
なぜなら充電費用が高いからです
高速道路での急速充電は特に航続距離からしたら無駄です
あっという間に充電が無くなります
それなら普通ハイブリッド走行で十分です
そして下道にでは下調べしてあるディーラーで充電するようにしています
そこでの30分はディーラー内で休んでますね
無料で飲み物をいただけますから喫茶店代わりです
エクリプスクロスPHEVの航続距離が短くて意味がないと言ってる人がいますけど、燃費がいいのにわざわざ100万も上乗せしてまでPHEVにする必要はないと思います
しかも急速充電出来ない月会費高い充電費用高い
特に◯PHEVは充電した時点でハイブリッド燃費の方がコスパがいいのです
エクリプスクロスPHEVは暖房や冷房つけなければリッター15キロ走ります
そして急速充電すれば一回165円で40キロ走ります
燃費悪いなって人は燃費だけのメーカーへどうぞです
確かに三菱なら充電料金が安いためPHEVを急速充電器に繋いで駐車時間を有効に活用したくなる気持ちも分かりますが、エクリプスクロスPHEVはバッテリーのみで走れる距離が大変短く、意味無いですね。
航続距離が二倍あるPHEVがマツダにありますが、そちらはそちらで急速充電料金が高くつきすぎて非現実的。
PHEVの急速充電機能はガソリンが手に入らない災害時に使う程度に考えた方が良いのでは。
PHEVであっても順番待ちをして充電している以上後から来たEVにとやかく言われる筋合いはない。
ガソリンより充電の方が安上がりになる価格設定が間違っているのであってドライバーは何も気にすることなく後ろのEVをいくらでも待たせて充電すればよろしい。
悔しければ急速充電代金を10倍に値上げすればいい。
充電しているPHEVが後から来たBEVに対して卑屈になる必要はないというご意見は、その通りですね。30分みっちり充電出来る権利があります。次が居る状態でおかわりはしないで頂きたい事だけ注意ですね。
自分はもうすぐBEVからPHEVへ乗り換えちゃいますけど、自分なら順番待ちしてまで急速充電器に繋ごうとまではしないかな。
4台待ちとかで二時間も車内で待たされるのは、もうこりごりです。(昔は大型連休で普通にありましたね)
複数口有って、自分が繋いでも他に1口でも空きが出来るなら繋ぐようにします。三菱車ならですけど。
三菱以外を選択したならSA/PAでは急速充電自体しません。素直にガソリン入れたいと思います。
長距離移動はガソリン走行と割り切ろう。時間はプライスレス。