タイカン4Sは1448万1000円〜
6月5日、6月最初の週末を前に、ポルシェジャパンが2つのリリースを発信しました。「ポルシェ初のフル電動スポーツカー「タイカン」国内販売価格を発表」と「ポルシェジャパンが 独自の充電インフラネットワークを展開」についてです。いくつか、さらに知りたい点をポルシェジャパン広報に質問してみました。
まずは、国内販売価格について、です。
ポルシェ『タイカン』日本国内希望小売価格
グレード(車種) | ハンドル | 希望小売価格(税込) |
---|---|---|
タイカン 4S | 右 | ¥14,481,000 |
タイカン ターボ | 右 | ¥20,231,000 |
タイカン ターボS | 右 | ¥24,541,000 |
『ポルシェタイカンの日本プレミア(発表)をテスラオーナー目線でレポート!』でお伝えしたように、日本でのデリバリー開始は「2020年9月以降」を予定しているとのことでした。今回の価格発表を受け、より具体的なデリバリー開始時期が決まっていればと広報に確認してみましたが、お答えは「まだ未定」でした。
上記の価格には、ポルシェモバイルチャージャーコネクト(充電器)が含まれるとのこと。ポルシェモバイルチャージャーとは、出力8kW対応の普通充電器です。日本の一般家庭で使用する場合、200Vで40Aの容量が必要なので、多くのお宅では電力会社との契約容量の見直しや分電盤の交換や手直しが必要になるかと思いますのでご注意を。って、タイカンをポンと買うような方には地蔵に蜂というか、さほど気になることでもないでしょうね。
ちなみに、リーフe+が対応する推奨の6kW普通充電器を設置する場合、ざっくり20〜30万円くらいかかります。
独自の充電ネットワーク計画を発表
ポンとタイカンを買うことはできなくても気になっていたのが、ポルシェ独自の充電インフラネットワークです。11月の日本プレミアでも告知されていた通り、ABB社(本社:スイス)と共同開発した出力150kWの急速充電器を日本各地のポルシェセンターなどに設置することが、計画マップを添えて発表されました。出力150kWは、現状で日本最速の急速充電器となります。
「ポルシェ ターボチャージャー」と名付けられた150kW器は、2020年内に国内21カ所のポルシェセンターに順次設置予定。さらに、東京、名古屋、大阪の公的施設に、1カ所につき2基ずつ以上の150kW器を備えた「ポルシェターボチャージングステーション」を、これも2020年内に設置するとしています。
それぞれの都市における設置場所は、以下の通りです。
<東京>
●4カ所準備中
<名古屋>
●ヒルトン名古屋 地下駐車場内
●ナゴヤ セントラルガーデン 第1駐車場内
<大阪>
●LINKS UMEDA(リンクス ウメダ) 地下駐車場内
●あべのハルカス 地下駐車場内
東京4カ所の具体的な場所は「まだ未定」とのこと。なお、公共施設のターボチャージングステーションは2基ずつ以上の複数台設置が基本ですが、各地のポルシェセンターにも複数台設置するのかという質問には「ポルシェセンターによって設置基数は異なります。利用頻度の多いポルシェセンターは複数基設置する計画です」という回答でした。
デスティネーション チャージング ステーションも設置
さらにホテルや駐車場などの施設に、目的地充電の設備として、出力8kWの普通充電器であるポルシェモバイルチャージャーを備えた「ポルシェ デスティネーション チャージング ステーション」を設置し、順次拡大していくことも発表しました。ポルシェオーナーは無償で利用可能です。
原則無料のデスティネーション(目的地)チャージャーを独自に整備するのはテスラと同様ですが、テスラはテスラ車専用の充電プラグなのに対してポルシェのPHEVやタイカンは「J1772」と呼ばれる汎用規格。出力のコントロールができれば日産リーフなど他社製EVでも利用可能かと思われますが、たとえばNCS加盟の充電施設として他社製EVなどでも利用可能にするかどうかは「未定」とのことでした。
また、タイカンは日本全国に整備が進んでいるチャデモ規格の急速充電器や、200V普通充電器などでの充電も可能。当然、認証&課金システムはNCSを使うことになります。ターボチャージャーなどを含めて、どのような充電料金やカードの仕組みになるのかについても確認しましたが「現在準備中」ということで、まだ詳しいことの発表段階ではないそうです。
ターボチャージャーはチャデモ1.2規格
タイカンのシステム電圧が800Vということもあり、先日、チャデモ新規格についての記事を書いた際、ポルシェがABBと共同開発している150kW器はチャデモ2.0規格に対応するのではないかと推測しました。
でも、今回広報に確認したところ「CHAdeMO1.2を取得しております」とのこと。おそらく450V、330Aくらいの仕様で150kWの出力を確保するのだろうと思われます。とはいえ、300A超えの大電流は発熱などの点で不利。なぜチャデモ2.0(最高電圧は1000V)にしなかったのかを確認したところ、電気事業法の制約があって800Vの機器設置は現実的ではないとのことでした。
せっかく、高電圧の規格があるのに、それじゃあ日本国内ではチャデモ2.0は絵に描いた餅? と気になったので、先日の記事でもいろいろ教えていただいたチャデモ協議会の丸田氏に電話で質問してみたところ、現在の日本の法規制では、450Vを超える高電圧の機器を運用するには、電気管理技術者を配備するといった制約があり、ユーザーが気軽に、勝手に操作して使える充電器にするのが難しい、らしいです。
「国際標準としては、1000Vくらいの機器は大丈夫なんですけどね」と丸田さん。電気自動車を取材しているとあちこちでガラパゴス規格や規制やデマンド料金とかが気になりますが、これもまたなんたることか、という感じです。NCSを引き継ごうとしている e-Mobility Power は電力会社と関わりが深いことですし、電気自動車に理解の深い代議士さんとか官僚の方と力を合わせてなんとかして欲しい! と叫んでおきます。
ちなみに、先日のチャオジの記事に挿入した表には、チャデモ2.0の説明に「ポルシェの150kW器」と入れてましたが、今回の発表と取材に沿って修正しておきます。ポルシェジャパン広報さま、丸田さん、ありがとうございました。
ともあれ、テスラに続き独自の充電インフラネットワーク構築を宣言して実行しつつあるポルシェの取り組みには賛辞を送り応援したいと思います。願わくば、私にもタイカンをポンと買える財力があればよかったのですが。。。
(取材・文/寄本 好則)
あちゃー、ここは電気主任技術者の出番ですかっ!!
電気事業法による高圧/低圧区分電圧は直流750V交流600Vですんで800Vは間違いなく高圧区分、店舗ごとに電気主任技術者の有資格者配置では非現実的といわざるを得ませんな。あと電機メーカーが製作している変圧器も低圧105/210/440Vの上は3300Vの高圧になります。これも特殊な電圧にしにくい要因のひとつ。
ただ直流600/750Vは鉄道(主に路面電車)が採用してます…パンタグラフで充電できれば問題なさそうですが、トロリーバスや電気トラックでもない限り見た目がカッコ悪いやないですか!?どうみてもポルシェが受け入れるとは思えませんよ。
※もし出たとしても嘉門タツオ「あったら怖いセレナーデ」のネタになりますーww
既存技術の流用で済まそうとするとネックは電気事業法ですかぁ。守旧精神の政財官を黒船で「明日を乱す」でもせーへんとアカン…その黒船こそがポルシェでありテスラであり。
モデルX乗りとしては、とても気になる存在ですね。一つ心配なのは、フロントナンバープレートの直下に、色々なカメラなどの計器類が組み込まれている所です。ヨーロッパのナンバープレートでは問題ないのでしょうが、日本のナンバープレートがここに設置されると、下側に出っ張る事で、カメラとの間で干渉しないかどうか?位置的に微妙な感じがしますね。