全国から500名を超えるテスラファンが集結した『2023 TOCJ全国ミーティング』レポート!

2023年5月28日(日)、前年に続き千葉県木更津市で『2023 TOCJ 全国ミーティング』が開催。国内で発表されたばかりの新型モデルS/Xが展示され、多くのオーナーやテスラファンから注目されていました。

全国から500名を超えるテスラファンが集結した『2023 TOCJ全国ミーティング』レポート!

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2023年も前年に続き、千葉県木更津市で開催

TOCJ(Tesla Owners Club Japan)はテスラ社が国内で唯一公認するオーナーズクラブで、オーナー同士の交流などを目的に、年に1回のペースで全国ミーティングを主催しています。2023年は前年に続き千葉県木更津市の「かずさアカデミアパーク」で開催され、多くのオーナーやテスラに興味のある同伴者が参加。今年は木更津市やテスラジャパンが正式に後援となり、冒頭ではテスラジャパンを代表して井上緑斎カントリーマネージャーより挨拶がありました。

井上氏は、世界を追いかけるように国内でも拡大が続く同社について、まずは店舗、サービス網、充電網の拡大を継続。さらにオーナーから頂いている様々な声にも耳を傾けていることを強調し、例としてCHAdeMO充電網の利便性向上に言及しました。

国内では急速充電の標準規格としてCHAdeMOが採用されていますが、近年は高出力化や複数口対応の充電器の設置が進む中、変換アダプターを介して充電するテスラ車は最大出力50kWまでしか対応できず、ダイナミックコントロールが必要な一部の複数口の充電器では最大20kWに制限されています。

同社は最大250kW出力の専用充電網であるスーパーチャージャーの設置を進め、直近の1年間で新たに24箇所を開設、累計70箇所まで増えています。とはいえ、現状では高速道路のSAPAには設置されておらず、まだまだ地域によってはCHAdeMOに頼らざるを得ない場所も存在。そんななか、井上氏はSNS上などでの「CHAdeMOに対してやる気がないのではないか」という指摘に対して「そんなことはない」と否定した上で、「社内で十分問題を認識し、『何ができるのか』『いつまでにできるのか』を日々話し合っている」ことを明言しました。

さらに千葉稲毛サービスセンターのオープニングイベントや、100台を超えるテスラ車で都内を走行した「テスララリー東京」(関連記事)に多くのオーナーが集まったことに触れ、既存オーナーとの強い結びつきやサポートに対して感謝の意を伝え、継続的なサポートを呼びかけました。

サプライズゲストとして水野氏が登壇!

事前の予告はなかったものの、サプライズとして2023年5月までテスラ(米国本社)の取締役を務めていた水野氏が登壇。同氏は2015年から日本で年金の運用に携わり、SRI(社会的責任投資)やESG投資を実践、持続可能な社会への理解がイーロン・マスク氏の共感を得て取締役に抜擢されたのではないかと思われます。2020年に取締役に就任した当時は「世界のどこに行っても、EVが主流になることに疑問を持っている人がたくさん居た」ものの、それから3年が経過して大きく変化。日本国内ではまだ十分とは言えないものの、「世界では、EVが車社会の未来ということを証明できた」ことが、退任を決断した理由のひとつと語りました。

さらに同氏はテスラのオーナーやファンに対し、テスラ社のミッションでもある「世界が持続可能なエネルギー社会に移行する」という目標を達成するための協力を要請。世界で年間1億台販売されている自動車について「仮にテスラ社が目標とする2,000万台を達成したとしても、他社が残りの8,000万台をEVに移行する必要があり、テスラの一社の力では達成できない」と説明しました。

そしてSNSなどにおけるテスラと既存メーカーを対立させる傾向に触れ、「他の自動車メーカーが作るEVも応援してほしい」と訴えました。

結果的に日本でEVが増えれば自然とテスラも増え、より持続可能な社会へ近づくと指摘。「どうせ残りの8,000万台をEVへ移行するならば、海外メーカーではなく日本のメーカーに活躍してほしい」として、今回のイベントに出展したトヨタなども含めて応援している姿勢を示しました。

Youtuberによるトークセッションやオーナーの表彰も!

TOCJ全国ミーティングはその名の通りオーナーズクラブ主催のイベントであり、オーナーが主役であることを感じられるコーナーも。

テスラ系Youtuberによるトークセッションでは「RayDa」「miyata.net_works -シロウトテスラVlog-」「きりんのEVライフちゃんねる。」のチャンネルを運営する4名が登壇し、モデルYについて良かったところ、不便・改善してほしいところなどをテーマにトーク。良かったところはSUVならではの実用性の高さやEVとしての運転の楽しさなどが挙げられた一方で、ワイパーの動作不良や異音、ナビ、振動を改善してほしいとの要望も。さらにこれらの困りごとに対し「このようなイベントやオフ会、SNSなどを通じた情報交換が助けになる」という実用的なアドバイスも聞けました。

【関連リンク】
RayDa:Youtube/Twitter
miyata.net_works -シロウトテスラVlog-:Youtube/Twitter
きりんのEVライフちゃんねる。:Youtube/Twitter

そして前年に続き、スーパーチャージャーを制覇したオーナーへの表彰も。前回は47箇所だったスーパーチャージャーは1年で70箇所まで増加しましたが、それでも3組(うち2組は前年から継続して受賞)のオーナーが全て制覇したというのは驚きです。記念としてTOCJからの表彰に加え、テスラジャパンからもスーパーチャージャー型の特製USBメモリが授与されました。

また、さすがに70箇所は多すぎるということで、今年は特別に50箇所以上に立ち寄った2組にもTOCJから記念品が手渡されました。スーパーチャージャーは2023年の第3四半期までに87箇所(時期未定を含めると89箇所)が開設予定で、テスラジャパンの担当者は「昨年から設置ペースを上げており、早いタイミングで3桁(100箇所)に乗せたい」と、今後のさらなる拡充に期待できる発言もありました。

このほかにもテスラオーナーによるテスラ株や投資にまつわるお話、さらに全国各地で開催されているオフ会の紹介もありました。オーナー主催のオフ会については、今でもテスラインフルエンサーでもあるテスカス氏が運営しているコミュニティで確認可能ですが、今後はTOCJへ申請されたオフ会は公式サイトでも確認できるようになるとしています。

【関連サイト】
テスカス氏のイベントカレンダー
TOCJ公式サイトのオーナーズミーティング一覧

新型モデルS/Xや多様な協賛企業の展示ブース

ステージイベントのほか、テスラジャパンによる新型モデルS/Xの展示、さらに多くの協賛企業によるブースが並びました。最も注目されていた展示は国内への導入が発表された直後の新型モデルS/Xで、ステージイベントの時間帯以外は常に多くの人に囲まれていました。

協賛企業としては充電器関連やカスタムパーツを中心に、国内外の自動車メーカーもEVなどを展示。魅力的なステージや展示が多く見て回る時間が足りないくらいでしたが、今、筆者が最も注目している充電器メーカーであるPowerX社へ、気になっていた疑問についてお話を聞くことができました。

PowerX社は最近では2025年に世界初の電気運搬船を完成させ、2026年から実証実験を開始することを発表し、話題となっていました。一方で、充電器についても(テスラなどの自動車メーカー以外としては)国内で最速となる240kW(最大10分間)での超急速充電を実現する計画として、以前にEVsmartブログでも取材(関連記事)していました。

同社が発表した超急速充電器は、電池内蔵型が最大の特徴。50kW未満の低圧受電でも運用できるため維持費の削減につながるとしていますが、SNSなどでは電池が空になったときの出力低下や電池の寿命についての指摘がありました。

まず、内蔵している電池については320kWhという大容量を採用し、1台あたり60kWh充電しても5台程度までは連続で充電可能。さらに予約制とすることで電池の残量に合わせて利用台数を調整することができ、利便性を大きく損なうことはないとしています。

加えて残量が少なくなってきた際は電力網から50kW、電池から50kWで合計100kWを出力するような動作も可能で、電池の持ちを伸ばせるとしています。それでも不足するような場合は(恐らくキュービクルの設置や増設が必要になるものの)電力の契約を50kWから60kW、70kW、80kWなどのように段階的に上げることで、デマンド(電気代)の上昇を最小限に抑えつつ連続充電性能を上げられるという説明がありました。

電池の寿命については、一般的な車載向けLFP電池が3,000~4,000サイクルと言われているのに対し、約6,000サイクル(15年程度)を想定。技術的な仕様は不明ながら、EVでの使用とは異なり、電池容量に対して充放電の速度が遅い(50kWの入力で約0.16C、240kWの出力で約0.75C)ことが、寿命の長さに関係しているのかもしれません。実際に公称値を達成できるかどうかはオープン後に実証する必要がありますが、まずはこの夏に予定している最初の施設のオープンを楽しみにしたいと思います。

一方で、テスラ以外の自動車メーカーとしてはヒョンデ IONIQ5やBYD ATTO3のほか、国産車である日産アリア(オーナー提供)やトヨタ MIRAIやbZ4Xなども展示。

トヨタはテスラとの資本関係は解消しつつも、このようなEVを盛り上げるイベントでは協力したり、トヨタ博物館では今もイーロン・マスク氏から寄贈された初代ロードスターが展示されていたり、決して絆が途切れていないことを随所に感じました。

次回は愛知県で開催へ!

トヨタつながりという訳ではありませんが、次回のTOCJ全国ミーティングは以下の通り、愛知県で開催されることが発表されました。

日程:2024年4月14日(日)
場所:ラグーナテンボス(愛知県蒲郡市)

同施設内には多くのメディアから取材を受けている独創的な宿泊施設「変なホテル」が併設されているそうで、テスラのオーナーや興味がある方は、この機会に参加&宿泊してみるのも良いかもしれませんね。

取材・文/八重さくら

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					八重 さくら

八重 さくら

現在は主にTwitterや自身のブログ(エコレボ)でEVや環境に関する情報を発信。事務所の社用車として2018年にテスラ モデルX、2020年に三菱アイ・ミーブを購入し、2台体制でEVを運用中。事務所には太陽光発電とテスラの蓄電池「パワーウォール」を設置し、車と事務所のほぼすべての電力を太陽光で賄うことを目指しています。

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