テスラ『モデル3』が大破事故〜運転手は現場から軽傷で立ち去る

アメリカで酩酊状態の運転手がテスラ モデル3で事故を起こし、車が大破してバッテリーが飛び散る大惨事になりました。しかし運転手は軽傷で済み、皮肉にもモデル3の安全性を身をもって証明しました。モデル3の安全性にフォーカスした記事を、CleanTechnicaから全文翻訳でお届けします。

テスラ『モデル3』が大破事故〜運転手は現場から軽傷で立ち去る

元記事:Tesla Model 3 Gets Absolutely Demolished, Driver Walks Away With “Minor Injuries” by Zachary Shahan on 『CleanTechnica

車は道路から90メートル吹き飛ばされる

今週初め、オレゴン州で酒に酔い、マリファナでハイになった状態で時速160キロメートルのスピードを出しながらテスラ・モデル3を運転していた人物が車のコントロールを失いました。車は電柱や数本の木、配電箱に激突して大破しました。アスファルト(道路)から90メートルほど吹き飛ばされたそうです。

バッテリーパックに納まっていた小さなバッテリーも飛び出し、近くの家や道路に散らばりました。ドライブ・テスラ・カナダは「事故の衝撃で多くのセルが近くの家に放り出され、そのうちの1つは室内に座っていた人の足に着地し、また別のセルはベッドに落ちて、シーツに火を点けました」と報じています。コーバリス市警はFacebookで「衝突の際にタイヤが破裂して近くにある集合住宅の二階横壁にぶつかり、中にあった水道管を破裂させました。このせいで風呂場が破壊され、下の階が水浸しになりました」と投稿しています(最近のプレスリリースはこのように発表されるようですね)。

コーバリス市警の写真を見ると、事故の様子がよく分かります。

運転手はそれでも現場から逃げることができる状態にあり、後ほど発見されました。軽傷で済んだそうです。

私はテスラがここまで破壊されたのを見たことがありません。運転手が軽傷で済み、ましてや事故現場から歩き去ることができたなんて、度肝を抜かれました。自分達が所有するモデル3で事故に遭わないように願うところ(特にここまでひどいものには)ですが、車が中にいる人を守るのにそこまで効果的なのかを確認しておきたいですし、しばらくやっていませんでしたが、これは私達が過去に何度もカバーしてきたトピックでもあります。この車は安全性の魔法使いなのです。

私達がモデル3を買った4つの理由のうちの1つが、その安全性でした。2人の幼い娘持ちとして、できるだけ安全な車を買わない選択肢はありませんでした。またテスラのCEOであるイーロン・マスク氏は、社が車の設計をする際に1番優先するのが安全面だと言い続け、最近のニュースでも繰り返しています。

モデル3の安全性に関する詳しい情報は、以下2つのテスラのブログ投稿で紹介されています。1つ目は米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)のテストで、モデル3が歴史上最も怪我をする確率の低い車とされた(ちなみに2位がモデルS、3位がモデルXになっています)後に出された投稿で、2つ目は2019年9月に米国道路安全保険協会(IIHS)のトップ・セーフティ・ピック賞を受賞したあとに出されたものです。

●テスラ公式の投稿その1
Model 3はNHTSAの安全性試験でこれまでにテストされたあらゆる自動車の中で負傷する可能性が最も低い車と認定されました

●テスラ公式の投稿その2
Model 3が2019 IIHSトップ セーフティー ピック+賞 (TOP SAFETY PICK+) を受賞

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)7件

  1. 酷い事故ですね。自動車衝突に関わる仕事をしておりテスラ車も調査したことがあります。モデル3はフロア構造が従来車では見たことが無い特殊な構造で非常に強固です。これによってバッテリーを保護する思想となっていました。当然、その上に座っている乗員も強固に守られるという構造です。ただし、この壊れ方を見るとドライバーが無事だったのは”当たり所が良かった”というのもあります。おそらく最初にオフセット衝突して助手席側が大破(ここで運転席側が当たっていたら無事にはいられません)、その後に柱状物体に衝突するポール即突の形態ですね。従来車で同じ事故を起こした場合、ドライバーが無傷で済まないのは間違いありませんが。

  2. 図らずも安全性が証明された
    ということですが、
    本来なら酩酊で車を運転するような
    行為自体の問題を論じることが必要ではないかと思います。

    今回の事例では単独事故で
    軽症ということが幸いしていますが、
    他者(他車)を巻き込んでしまうことも可能性としてはあり得ますので

    メーカーが車両を暴走させない仕組み(例えば飲酒検知して走行不可にするなど)を構築してくれるとありがたいです。

    ※異論反論あるかと思いますが個別のコメントへのお返事は差し控えさせていただきます。

    ーーーーーー
    話は変わりますが、
    海外で充電中の車両発火があり
    リコールが出ているようですが
    そのようなトピックにも触れていただけたらと思います(駆動用電池の安全性やマネージメントについてなど)。

  3. 今年も2020年度のカーオブザイヤーの季節になりましたが昨年の事ですけど、日本発売されたModel3が最終ノミネートされていないのを思い出してしまいました。このような極めて乗員にとって安全な車なのに審査員の選考対象にもならないこの国のマスメディアのあり方に疑問を抱いてしまいます。

  4. 珍しくテスラの事故を記事にしてますね、本日見た「米運輸当局、テスラ車を調査、サスペンションに不具合」も取り上げてもらえるとありがたいです。

    1. 恣意的な扱いしてませんか 様、コメントありがとうございます。過去にも事故や火災の記事は取り上げていますよ。

      NHTSAのリコール調査などは随時拝見しています。現時点では(私の車も疑い例だと思いますが)、日本国内でも散見はされているものの、リコールまではされておらず、Technical Service Bulletin(サービスセンター入庫時に交換する)扱いになっているようです。

  5. 安全性を語るときに乗り手の安全性だけを語るのは不十分であるように感じます。
    事故を起こした時に周囲に与える影響も考慮すべきではないのでしょうか。
    できれば,運転手が異常な時を判別して運転を中止させるセンサーを取り付けるとか,万一事故を起こしても周囲に被害をもたらさない車作りを目指してほしいと思いました。

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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