電池研究者・雨堤徹さんの連載「さよならモデルS」に興味しんしん!

テスラが「18650」というPC用電池採用を決める際のキーマンともなった電池研究者の雨堤徹さんが、自身のブログで「さよならモデルS」と題した連載をスタートしました。アメリカで衝動買いして日本に運んだレアな一台。今だから話せる裏話にも興味しんしんです。

電池研究者・雨堤徹さんの連載「さよならモデルS」に興味しんしん!

自身の会社のブログコーナーで連載開始

雨堤徹さんは、元三洋電機でリチウムイオン電池の開発に携わった研究者です。2010年に退社後、自らが代表取締役となって淡路島に電池開発などを行う『Amaz技術コンサルティング合同会社』を起業。今も第一線で自動車用大容量電池などの研究開発に取り組んでいます。

昨年11月には、雨堤さんへのインタビューをまとめた『電気自動車の進化に必須といわれる「全固体電池」は実用化できない?』が、EVsmartブログでも大反響。スムーズな自動車電動化に向けて、問題を提起してくださいました。

さて、その雨堤さんは2012年に購入したテスラ「モデルS」のオーナーなのですが、このモデルSがちょっと、というか、かなりの変わり種。当時、ロードスターの開発などでテスラと深い交流があった雨堤さんは、現地アメリカでモデルSをほぼ衝動的に購入。自分で船便を手配して日本に運び、車検を通して乗っていたのです。

納車から7年ちょっと。走行距離10万kmを超えたモデルSを手放す決心をしたことを機に、「車検の切れる5月中旬までに15~20回に分けて週2回程度のペースでアップして行く予定」で、テスラやモデルSとの出会いと出来事を記事として残しておこう、ということです。

すでに、何本かの記事がアップされています。

【雨堤さんの『さよならモデルS』記事一覧】

第1回●モデルS 100,000㎞到達/「さよならモデルS」連載の案内
第2回●TESLAとの出会い
第3回●PC用電池で車が走るのか?
第4回●モデルS注文
第5回●モデルS納車
第6回●モデルS輸送
第7回●ジャンプスタート
第8回●車検の準備
第9回●ヘッドライト改造
第10回●リアコンビネーションランプ改造
第11回●登録
第12回●充電Part 1
第13回●充電Part 2
第14回●マイナーな不具合
第15回●廃車後の運命と次の車
第16回●最重要インシデント
第17回●メジャーな不具合(故障)
号外●電池の評価内容公開
第18回●走行による容量チェック
第19回(最終回)●廃車へ

生き証人ならではの濃密エピソードが次々と!

連載序盤から、テスラ黎明期からの生き証人ならではの濃いエピソードがいっぱいです。

第三回で語られている「PC用電池で車が走るのか?」を検証する際には、舘内端さんが設立した『日本EVクラブ』が深く関わっていました。18650を大量に搭載したダイハツ『ミラ』のコンバートEVで、東京〜大阪無充電走行チャレンジの際には、私(寄本)が公式サイトの編集制作を担当しました。確認してみると、当時のトップページはプラグインの関係かうまく表示されなくなっていたので、内容ページへの直接リンクを貼っておきます。

【関連ページ】
『東京~大阪途中無充電ミラEVの旅 そんなに走ってどうするの』

うろ覚えですが、当時は「Dreamweaver」とか使ってサイトを作っていたような。ウェブメディア作りもEVも、10年で様変わりしました、ね。
(ソースを確認したら、Movable Type でした。今は使ってませんけど。。。)

『車両紹介』のコーナーにもあるように、このミラEVは三洋電機の18650を8320本、74kWhの電池を搭載して、東京〜大阪間555.6kmの途中無充電走行に成功しました。大阪へのゴール後には、淡路島の三洋電機洲本工場、当時の雨堤部長の元へ表敬訪問もしています。当時、電気自動車の無充電走行はテスラロードスターによる313マイル(約504km)が世界記録だったので、見事に世界記録を更新。今も、日本EVクラブのオフィスにはギネスの公式認定証が飾られています。

この無充電チャレンジを行ったのは2009年11月のこと。雨堤さんにとっては、ミラEVに大容量バッテリーを搭載して走らせるのが、テスラに18650を供給するにあたり、電池の接続やBMS(バッテリーマネージメントシステム)などの機能を確認するための実証実験でもあったんですね。

さらに、このミラEVは翌2010年5月、茨城県の筑波サーキット内にあるオートレース選手養成所のオーバルコースで一充電最長航続距離記録に挑戦。時速約40km/hで1003.184kmを走行することに成功して、これまたギネス世界記録に認定されました。

ちなみに、私が雨堤さん&モデルSと初めて対面したのは2013年の10月、『EVスーパーセブン 急速充電日本一周の旅』で淡路島を訪問した時のことでした。実は、改造EVであるEVスーパーセブンも車検規則の変更などに翻弄されてナンバー取得に手間取りました。2012年にアメリカから車両を持ち込んだ雨堤さんのモデルSもいろいろあって、車検通過はEVスーパーセブンとほぼ同じ時期(2013年の夏)。当時、研究所から近い『高田屋嘉兵衛公園』の急速充電器まで、笑顔いっぱいの雨堤さんがモデルSで先導してくださいました。

まだ真新しいモデルSとともに。左から、私と雨堤さん。右端はこの日、旅のパートナーだったモータージャーナリストの石井昌道さん。

雨堤さんや舘内さんなど、本気でEV普及を目指した先駆者たちのちょっと無茶なチャレンジが、今、世界のEVシフトへと繫がってきたんだなぁと、感慨深いものがあります。私自身、いろんな無茶に関わりながら、少しでもお手伝いしてこられたのは、とても有意義で愉快なことだったと思います。ただし、EVシフトの本格化をもたらしたのは、ミラEVで協力してくださったダイハツなど日本の自動車メーカーではなく、テスラの躍進を通じて、というのがちょっと皮肉な感じもあるのですが。

第二回の「TESLAとの出会い」のエピソードなど、当事者として書けないこともいろいろあるのだとは思いますが、行間を推測しながら読むとなんともいえずエキサイティングです。

車検の苦労や「次のクルマ」についても書く予定

アメリカで購入したモデルSを、日本でどのように車検を通したのか、また、ファームウェアなどは問題なく使うことができたのかなど、雨堤さんのモデルSには、マニアックな興味をそそられます。

雨堤さんご本人に電話で確認したところ、車検や日本の状況に合わせた改造の苦労、故障しちゃったことなど、これからじっくり書いていく予定とのこと。モデルSを手放して、「次に買うのはタイカンですか?」と尋ねてみたのですが、まだ秘密。そのあたりも今後の記事で語ってくださるそうです。

いかに雨堤さんでも、次はさすがに、日本仕様のクルマを、日本で買うと思うのですが。。。

「EVは航続距離が〜」とか「充電インフラが〜」などと言いつつ、吊るしのクルマを便利に乗れればいいという方にとってはアンビリーバボー、というかどっちでもいい話かも知れません。でも、雨堤さんが注いだような「熱意」が積み重なって、今の電気自動車事情があるということをリアルに伝えてくれるのが、今回の雨堤さんの連載だと感じています。続編、楽しみにしています!

(取材・文/寄本 好則)

2 thoughts on “電池研究者・雨堤徹さんの連載「さよならモデルS」に興味しんしん!”

  1. 紹介いただいたブログを全部拝見しました。

    やはり何某大手自動車メーカーは邪魔をしていたようですな。
    いちいちエビデンスは挙げませんが、この会社は日本の充電インフラ拡充やEV普及でも足を引っ張っていてその都度悔しく思っていたので、他でもやっているだろうと予想していましたが、「やっぱりな」という思いです。
    顧客に対しては、日本で一番健全でクリーンなイメージを植え付けていますが、裏ではあざとい事を平気でやる企業なんですね。トップの社長は熱い善い人なんですが。
    下町ロケットを彷彿とさせます。

    妨害にめげずにテスラが成功して良かったと心の底から思います。

  2. 記事・ブログ・サイト等、拝見させて頂きました。
    日本の某大手自動車メーカーはテスラと決裂した会社と判断。理想の電池を追い求めすぎて電気自動車が後手になっている感なきにしもあらずです。しかも自分たちで作らず他社に丸投げとかもうね買う気なくしますよ…三菱とてGSユアサと手を組んでi-MiEVを作ったくらいですからね。
    電池開発は「やってみる」もの…EVではないが有名な軽自動車を開発した某社開発主査に「やってみなくちゃわからないだろ」名言があるくらい、実物で実践しないことには始まらないですよ。PC用セルでEVを走らせるノウハウを身に着けることが重要…ブログを見て思いました。
    安価に大容量電池のEVを作るテスラの意思に応えるには信頼ある品物で…基本ですよね。実践したのはテスラのみ!?
    電気自動車は「電池が命」だと改めて思わされました。いい記事有難うございましたm(__)m

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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