新型 日産リーフ「e+」が提示する電気自動車の新しい時代を試乗で体感

横浜市の日産グローバル本社を拠点に行なわれたリーフe+のメディア向け試乗会に参加し、市街地と首都高で試乗した。今回はバッテリーを空にするほどの長距離を走行することができなかったために伸びた航続距離を実感することはできなかったものの、ほぼ全域で大幅にパワーアップしているのを実感。電気自動車が新しい時代へ向けて進化していることを確認できる試乗となった。

航続距離とともにパワーアップを実現

リーフの総電力量については、初代が24kWhを搭載して登場、後から30kWh版が追加された。現行の2代目は40kWhで登場、この度62kWh版が追加された。初代は24kWh版と30kWh版の最高出力や最大トルクに差はなかったが、今回追加された62kWh版は、40KWh版に対し最高出力が45%増しの160kW、最大トルクは6%増しの340Nmとなっていて、初めて「e+」というサブネームが付けられた。

気になる一充電走行距離は、従来のJC08モードで比較すると400kmから570kmへ、新たに導入された、より実態に近いとされるWLTCモードでは322kmから458kmへと向上(EPA基準では243kmから364km)した。ざっくり4割増しだ。日産によれば、走行距離が200kmでユーザーの1日あたりの平均走行距離の95%をカバーし、370kmで99%をカバー、今回の458kmでは99.5%をカバーする。

見た目は従来のリーフ(便宜上、40kWhモデルを「リーフ」、62kWhモデルを「e+」と呼ぶ)とほとんど変わらない。フロントバンパー下部に青いリップスポイラーが付くのがe+の特徴。また充電ポートを開けた際に急速充電側の差込口のフタ部分に専用ロゴが入る。

なにはともあれ乗ってみた。従来のリーフでも発進加速に不満はなく、望めばタイヤのグリップ力の限界に達するほどの鋭い発進することができた。車両重量がリーフのそれに比べ160kg重い1680kgに達するe+だが、リーフと同等か、ややより力強い発進加速を見せた。

その後、50~60km/hに達するまでの時間が明確に短い。リーフは50km/hを境に加速Gが鈍るが(それでも十分以上の速さだが)、e+は70km/hあたりまで続く。静粛性はリーフと変わらない。また、同じスペースにより重いものを詰め込んだわけだから重心の位置はさらに下がっていることになる。実際、重くなったとはいえ、リーフ同様のキビキビとしたハンドリングを味わうことができた。

制限速度80km/hながら実際には100km/h前後で流れている首都高湾岸線の大黒JCTあたりで加減速を繰り返す。リーフに比べ、60km/hあたりから100km/hまでの到達時間が明確に短く、100km/hに達した後も加速感は鈍る気配を見せなかった。ICE車で言えばどの車種と同程度かすぐには思いつかなかいが、60km/hからよーいどんとやったとすれば、マツダ・ロードスターやトヨタ86あたりには負けないはずだ。

あえて40kWh版を選ぶユーザーも

搭載するバッテリーのセル数が192から288へと1.5倍となったにもかかわらず、従来とほぼ同じ容積に搭載し、室内スペースを犠牲にしていないのがe+のトピックだ。正確にはフロアが1cm下がったため、最低地上高を確保するため、車高を1cm上げている。従来8セルを1モジュールとし、モジュール単位でしか場所や向きを変えられなかったのを、セル数を自在に変えられる新しいモジュールを用いることによって、バッテリースペースにほぼ隙間なくセルを詰め込むことができるようになった。またモジュール自体の数も減らせるため、モジュールという枠が占めていた部分にもセルを詰め込むことができるようになった。

総電力量が増えたことで、当然バッテリー容量がほぼゼロから満充電までに必要な充電時間は長くなった。目安は警告灯点灯から80%に達するまでにかかる時間が50kWで充電した場合、約60分間となっている。その代わり日産によれば、例えば容量(SOC)50%から30分間充電した時の充電量は約40%アップしたという。つまり同じ時間充電した際に得られる電力量(航続距離)が多いということであり、事実上「充電時間が短くなった」とも言える。また将来の急速充電器の性能向上を見越して、70kWまでの急速充電に対応した。

価格は廉価グレードのe+Xが416万2320円、豪華グレードのe+Gが472万9320円。40kwh版リーフの同じグレードに比べ、それぞれ73万円、50万円高。デビュー以来、段階的に一充電走行距離性能を向上させ続けてきたリーフだが、その度に「まだ航続距離が短い」と言われ続けてきた。62kWh版の追加に対し、市場はどう反応するか興味深い。

ディーラーへe+を見にきた客が、価格と一充電走行距離、それに自分の用途を考慮したうえで「40kWh版でよいかも」と判断するケースが少なくないという。折しもホンダはジュネーブショーに一充電走行距離200km以上(WLTP)というホンダeを発表した。さまざまなコンセプトのEVがメーカーから提案され始めることで、市場が闇雲に長い航続距離性能を求める時代から、価格と用途を考慮し、自分に合ったEVを選択する時代になり始めたのかもしれない。

【日産リーフ e+ 車両概要紹介動画】

【日産リーフ e+ 車両概要紹介動画(Part2:技術編)】

(塩見 智)

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『日産が62KWHの電気自動車「リーフE+」発表。電池冷却システムは無いが新搭載方法で発熱に対処』(2019年1月10日)
『リーフE+62KWHのバッテリー温度管理の追加情報と、ZE1の充電プロファイル更新』(2019年1月28日)

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