三菱『エクリプスクロスPHEV』試乗レポート〜軽快なハンドリングが印象的【諸星陽一】

三菱『エクリプスクロスPHEV』にモータージャーナリストの諸星陽一氏が試乗。ガソリンエンジンモデルとも比較した走行フィーリングをレポートします。電動化移行期にあって、PHEVという選択肢は魅力的です。

三菱『エクリプスクロスPHEV』試乗レポート〜軽快なハンドリングが印象的【諸星陽一】

サーキットで感じたタイヤへの不安は解消

2020年10月にレポート記事をお届けした富士スピードウエイのショートサーキット(という名称なのです。電気系の人だとかなり気になる名称ですが……固有名詞です)で、行われたプロトタイプの試乗会から2カ月強、やっとエクリプスクロスPHEVの試乗会が開催されました。じつは試乗会の前、発表翌日に日本EVクラブ主催のEVフェスティバルにエクリプスクロスPHEVが出展されており、私はその際にも試乗しているので、合わせて感じた印象をお伝えする。

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エクリプスクロスPHEVは、エクリプスクロスのマイナーチェンジに合わせて追加されたモデルだ。試乗会ではガソリンエンジンモデルの試乗も行った。見た目ではほとんど違いのない2車だが、乗ってみるとこれがまるで違うクルマだった。

ガソリン車は150馬力の1.5リットルエンジンを搭載、ボディはPHEVに比べて400kg弱軽く1520~1550kgとなる。PHEVのエンジンは128馬力の2.4リットルエンジンとフロント82馬力、リヤ95馬力のモーターを組み合わせる。乗り比べた印象を一言で言ってしまうと、ガソリンエンジン車は一世代前のクルマという印象。ドライブフィールそのものは楽しいのだが、PHEVのように先進的な軽快さは感じられない。

PHEVはアクセル操作に対するクルマの反応がじつにスムーズで気持ちがいい。今回は箱根のワインディングと東名高速で試乗したのだが、どちらのフィーリングもかなりいいものであった。

ワインディングではまるでスポーツハッチバックに乗っているような感覚を味わえる。前回、富士スピードウエイのショートサーキットでの試乗ではタイヤのプアさを感じたのだが、それは一切なかった。サーキット試乗時は路面がウエットであったことが大きく影響したようだ。ショートサーキットは路面にタイヤのゴムが載った状態で、そこに雨が降ったためにあまりにグリップが落ちたというのが要因だ。EVフェイスティバルでの試乗時も雨だったが、一般道でタイヤのプアさを感じることはなかった。

エクリプスクロスPHEVはノーマル、スノー、グラベル(未舗装路)、ターマック(舗装路)という4つのハイブリッド走行モードをもつ。ワインディングはターマックモードで走るのが楽しい。コーナーに向かってステアリングを切り込んだときにノーズがスッと向きを変え、そのままアクセルを踏み込んで行くと力強い加速を得られる。ターマックモードの場合、駆動力配分がリヤよりになっているので、フロントタイヤの力をコーナリングに使いやすいのだ。

さらにAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)の働きで、コーナーのトレース性能はさらに高いものとなっている。AYCやASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)などの制御はエンジン車でも採用されているが、駆動力の制御をする場合はモーターのほうが圧倒的にレスポンスがよく、制御が緻密にそして正確に行えるので相性がいい。

軽快なワインディングの走りが印象的

最近のクルマはボディが大きくなってきていて、ワインディングなどを走ると扱いにくい印象となることが多いのだが、エクリプスクロスPHEVはその印象が薄い。ガソリンモデルでも同様の印象があったのだが、PHEVはさらに大きさを感じない。それはアクセル操作に対する正確な反応がベースとなった正確なハンドリング性能にあるといえる。クルマが正確に動いてくれるから、道路幅に余裕がなくてもスッキリと運転ができるのである。エクリプスクロスPHEVは全幅が1805mmでそれほど大きなクルマではないが、5ナンバーサイズよりも100mm以上全幅が広い、それでいてワインディングでは5ナンバーサイズのように扱えるのだ。

高速道路では快適な巡航が楽しめる性能を持っている。ACCはボトムのMグレードを除き標準装備となる。先行車との車間距離を自動調整するタイプだが、車線維持は行わず警告のみとなる。同じ三菱でもeKスペース&eKクロス スペースは日産とのアライアンスにより最新のMIパイロットが使われているが、エクリプスクロスは三菱独自システムで一世代前のものとなるが、実用上の使い勝手は悪くない。巡航中に先行車に追いつき、そこから車線変更をして再加速に入る際もよどみなくスムーズな加速が行われる。

今回、充電を試す機会はなかったが、エクリプスクロスPHEVはチャデモ規格の急速充電にも対応している。搭載するリチウムイオン電池の容量は13.8kWh。モーターも含めてアウトランダーPHEVと同様だが、EVとしての一充電航続距離はアウトランダーPHEVが57.6kmであるのに対して、エクリプスクロスは57.3kmとアナウンスされている。アウトランダーよりもコンパクトなボディであるにも関わらず航続距離が少し短くなっているのは、それだけ軽快な走行性能を重視したセッティングとなっている証といえるだろう。

※航続距離はともにWLTCモード。実用に近いEPA値では約40km程度(推計値)。

EVスマートブログをお読みの多くの方は、ピュアEVを求めている方、もしくはピュアEVにお乗りの方が多いことと思う。しかし2020年12月の関越立ち往生事案などを見ると、すべての地域ですべての人がピュアEVに乗るは車両の性能、インフラの整備状況から見てもまだ無理だと感じる。あの立ち往生のなかにEVが紛れていたら大変な事態となっただろう、全台数の数%であったらエンジン車に助けを求めて暖を取れるが、今の性能、今のインフラ、今の救援体制で半数以上がEVであったら想定外のトラブルが起こる可能性もあるだろう。今は地域性も考えてEVへの移行期で、PHEVはそうしたなかで有効な電動車の車種選択肢と言える。

下段のもっとも左のスイッチは走行用バッテリーの冷却ファンのオン-オフボタン。バッテリーが発熱した際にファンが作動するが、その音がうるさいということでオン-オフスイッチが追加された……だからといって、ファンがオフにできるのは……疑問である。

(取材・文/諸星 陽一)

4 thoughts on “三菱『エクリプスクロスPHEV』試乗レポート〜軽快なハンドリングが印象的【諸星陽一】”

  1. 具体的にEVが立ち往生でトラブルにあった事例はあるのでしょうか?
    そもそも、JAFは雪で立ち往生した場合エンジンを切ることを推奨しています。
    https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-natural/subcategory-snow/faq255
    マフラー周りを除雪できる余裕があるぐらいなら避難すればいいですけど、車から出られなくなった状態でエンジン車だったら凍死か一酸化炭素中毒の二者択一ですね。
    EVでシートヒーターがあれば相当の長時間電欠にはならないと思います。
    毛布があれば無敵。
    EVスマートさんなら検証実験してもらえると思ったんですけど。

    1. 真冬もEVで車中泊 様、コメントありがとうございます。そうですね、あまり車中泊に慣れていない方ですと、電気自動車でそのまま暖房入れっぱなしにして、ガソリン車と同じくらいの時間でガス欠・電欠というパターンがありそうです。慣れていらっしゃる方はもちろん適宜シートヒーターと低めの暖房を活用してバッテリーを伸ばしますよね。これができないのもガソリン車の欠点でもあります。またおっしゃる通り、一酸化中毒による死亡者は出ています。
      https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcts/19/1/19_27/_pdf
      8年間で14名の記録がありますね。

      今度、機会があれば試してみてもいいかもしれません。確かTwitterでも試されていた方がいらっしゃいました。でも試さなくても、より長時間、EVのほうが滞在できることは明らかな気がします。問題は、車両を放棄したのちの道路上からの車両の排出方法ですね。これについては、もう少し仕組みの検討が必要かと思います。

    2. 安川様
      返信ありがとうございます。
      本日エンジンがかかったままの車内から犠牲者が発見されたという報道に複数接しました。ご冥福をお祈り申し上げます。
      モータージャーナリストを名乗る方には、正しい知識を広めて頂くようお願い申し上げます。
      元々はK沢氏の記事に影響されたとは思いますが、記事を書かれるからにはご自身で責任を持って検証されることを切に願います。

  2. EVOCブログでよこよこさんが気になる投稿をされています。
    曰くバッテリーの保証が8年16万キロで70%から66%になっているというものです。
    恐らくはアウトランダーPHEVの交換実績から計算し直したものなのでしょうが
    BEVに乗っていると元々の航続可能距離が短いこともあって75%でも実用に耐えないというのが経験値です。
    PHEVの場合はそもそもエンジンで走るのですから劣化に合わせた駆動制御でもやって目立たないようにしているのかな?
    と思うのですが、この辺り機会があればメーカーにインタビューしてもらえたらと思います。

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					諸星 陽一

諸星 陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。国産自動車メーカーの安全インストラクターも務めた。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。自動車一般を幅広く取材、執筆。メカニズム、メンテナンスなどにも明るい。評価の基準には基本的に価格などを含めたコストを重視する。ただし、あまりに高価なモデルは価格など関係ない層のクルマのため、その部分を排除することもある。趣味は料理。

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