ID.4日記【004】『ID.4』オーナーが直面する充電サービス2年目問題

EVオーナーのリアルを語る連載企画。4回目のテーマとしてフォーカスするのは、フォルクスワーゲン『ID.4』のオーナーになって2年目を迎えて、大きく変わったのが急速充電事情です。当初加入していた充電サービスの「月会費無料」が終わり、次に選んだのは?

ID.4日記【004】『ID.4』オーナーが直面する充電サービス2年目問題

1年目の充電料金は69,240円ナリ

ID.4日記【001】でお伝えしたとおり、わが家には電気自動車(BEV)用の普通充電器がありません。一戸建てなのですが、建物と駐車場が少し離れているのと、駐車場が狭く充電器が設置しにくいというのがおもな理由です。にもかかわらずBEVに乗るには、充電ステーションに頼るしかありません。

そうなると、何かしら充電サービスに加入しておくのが便利なわけですが、さいわい私が購入した「ID.4プロ・ローンチエディション」という導入記念モデルには、充電サービスの基本料金が1年間無料という特典がついていました。しかも、ふたつも!

ひとつは、「フォルクスワーゲン充電カード」(以下VW充電カード)。フォルクスワーゲンブランドのBEVやPHEVオーナーを対象としたもので、ID.4の場合は「普通・急速充電器併用プラン(急速充電料金90分相当額無料付帯)」に加入が可能です。これがあれば、「e-Mobility Powerネットワーク」(以下eMP)の充電ステーションが、カードをかざすだけで利用可能になります。基本料金は月額7810円ですが、前述のとおり、ID.4プロ・ローンチエディション(ID.4ライト・ローンチエディションも同様)のオーナーであれば、1年間は基本料金が無料です。これは入っておいて損はありません。

もうひとつが、ポルシェジャパン、アウディ ジャパン、そしてフォルクスワーゲン ジャパンによる急速充電ネットワークの「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」です。このサービスに加入すると、ポルシェディーラーの「ポルシェ ターボチャージャー」(150kW急速充電器)、アウディディーラーの「アウディ ウルトラ チャージャー」(150kW急速充電器)、そしてフォルクスワーゲンディーラーの急速充電器(90kW)が、専用アプリの操作で利用可能になります。

他メーカーのBEVは利用できないため、充電の順番待ちが少ないというのもメリットのひとつです。こちらも1800円の月額料金が1年間無料になるうえ、フォルクスワーゲンディーラーでの充電に限り月に60分まで無料。もちろん、迷わずサービスを申し込みました。

それぞれの充電サービスの料金体系は下記のとおりです(金額はすべて税込)。

フォルクスワーゲン充電カード 普通・急速充電器併用プラン(急速充電料金90分相当額無料付帯)

基本料金急速充電料金急速充電無料分普通充電料金普通充電無料分
2023年6月まで7810円16.5円/分90分2.75円/分0分
2023年7月以降7810円27.5円/分90分3.85円/分0分

プレミアムチャージングアライアンス 月額会員プラン

月額基本料金150kW料金90kW料金
1800円75円/分 45円/分

基本的に90kW以上の急速充電器が利用できるPCAは1分あたりの料金が高いのですが、そのぶん充電が早いというメリットがあります。ただ、ID.4プロの場合、90kW充電器で最高74kW程度、150kW充電器でも最高94kW程度の充電能力であるのと、充電時の気温やバッテリー温度、SOCなどによっては充電出力が50kW以下ということがあり、そうなるとコストパフォーマンスはeMPの50kW充電器を利用するのに比べて大きく下回ります。とくに冬の寒い時期は、充電料金の無駄遣いに。料金が時間制でなく、従量制だったら助かるのに……。

それはさておき、2022年12月から2023年11月までの充電料金は、一番少なかったのが、まるまる1カ月クルマに乗らなかった8月の0円。次に少ないのが823km走行した9月の81円でした。反対に一番多かったのが2961kmも走ってしまった11月の15,863円です。

1年分を計算したところ、トータルでは69,240円でした。この間の走行距離は22,371kmです。1カ月あたりの充電料金はというと、クルマに乗らなかった8月を除き、11カ月で割った数字が6,294円になりました。平均走行距離は2,033kmですから、ハイブリッド車にと比較しても十分にリーズナブルな料金といえます。

2023年12月からは「ZESP3」に乗り換え

新車購入から1年間の無料特典が終わるのを機に、充電サービスを見直すことにしました。まずPCAは、eMPネットワーク系のサービスに比べると割高なため、月額会員から月額無料の都度会員に変更し、「いざというときに使う」という位置づけにしました。

プレミアムチャージングアライアンス 都度会員プラン

月額基本料金150kW料金90kW料金
無料200円/分 120円/分

一方、メインのeMPネットワーク系の充電カードですが、料金プランは下記のようになります。

eMPネットワークの充電カード料金比較

基本料金急速充電急速無料分普通充電普通無料分
VW充電カード7810円27.5円/分90分3.85円/分0分
ZESP3 シンプル1100円99円/分0分3.3円/分0分
ZESP3 プレミアム1004400円44円/分100分3.3円/分600分
ZESP3 プレミアム2006600円38.5円/分200分3.3円/分600分
ZESP3 プレミアム4001万1000円33円/分400分3.3円/分600分
eMP 急速・普通併用4620円27.5円/分0分3.85円/分0分

ここから試算すると、VW充電カードは利用時間を問わずに割高となるので、一番に候補から除外。残るeMPの「急速・普通併用プラン」と「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム3(ZESP3)」を比べると、1カ月の急速充電時間により最安となるプランが次のようになることがわかりました。

〜33分……ZESP3 シンプル
34〜150分……ZESP3 プレミアム100
150〜314分……ZESP3 プレミアム200
315〜1160分……ZESP3 プレミアム400
1161分〜……eMP 急速・普通併用プラン

1年目の急速充電時間は1カ月あたり300〜600分でしたので、「ZESP3 プレミアム200」または「ZESP3 プレミアム400」が適当という結論に達し、ZESP3に加入することに。ちなみにこれを決めたのは2023年8月。というのも、従来は日産車以外のオーナーでもZESP3に加入できたのですが、2023年9月以降は日産車以外のオーナーは新たに加入できなくなったからです。

話を戻すと、2023年12月はZESP3 プレミアム200を選択。ZESP3内であれば前の月に手続きを行えばプラン変更も可能なので、必要に応じてプラン変更をするつもりです。実際の料金は、走行距離1,026kmに対して、急速充電が216分で、7,216円。プレミアム400の月額を超えませんでしたので、このプランで正解でした。

2024年1月も走行距離が多くない予想でしたが、実際には想定以上に距離が増えて1,509kmになり、急速充電も348分でした。料金は12,298円で、「もしもプレミアム400だったら11,000円で済んだのに……」と後悔しています。なお、ZESP3 プレミアムの場合、無料充電分の残りは翌月に繰り越せるので、今後はずっとプレミアム400でいこうと考えています。なお、2年目に入ってからは、PCAの利用はまだありません。

1年目は月平均の走行距離2,033kmに対して、料金が6,294円でしたので、この2カ月だけでも明らかに負担が増えているのがわかります。この調子だと、年間の充電料金は1年目の2〜3倍になると予想されます。それでも、ガソリン車で移動するよりは安いです。

心配なのは、この日産の充電プランが、いつまで日産車以外のオーナーでも利用できるのか(すでに3年定期契約割引ではないので今のところ期限は定められていないですが)ということ。ID.4オーナーの私としては、まだしばらく使い続けられることを祈るばかりです。

【関連記事】
EV充電カード「日産ZESP3」サービス内容改定/3年定期割引はなくなります(2023年5月20日)

私のID.4(2024/3/1現在)

総走行距離 2万6300km
平均電費 5.8km/kWh

取材・文/生方 聡

この記事のコメント(新着順)4件

  1. はじめまして、通りすがりで この記事を目にした者ですが、充電情報ありがとうございます。 最近、PHEV車に 乗り換えましたが、
    やはり、自宅での充電施設があると
    EVは、一番メリットがありますね。私は、田舎ですので、自宅で 充電してます。また、EV.go.go.gsというサイトで、出先での充電施設さがして、EV車に、迷惑かけないように、充電してます。今、一番 お得なのは、トヨタウォレットの決済で、ev power standの半額決済ですね 急速でないのが、残念ですが 安いと思います。 また、EVの記事 ありがとうございます。

  2. 今は申し込めない充電プランをこのタイミングで紹介するのってどうなんでしょうね。
    個人ブログじゃないんだからもう少し読者の立場で有益な情報を意識されたほうが良い気がします。
    例えば、まだ充電器が限定されますが基本料金無料のスマホアプリ認証プランとかいくつか出てきているので横断的に比較されたら参考になりますよ?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					生方聡

生方聡

1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職し、システムエンジニアを経験。しかし、クルマに携わる仕事に就く夢を叶えるべく、1992年から「CAR GRAPHIC」記者として、新たなキャリアをスタート。その後、フリーランスのエディター/ライターとなり、現在はモータージャーナリストとして自動車専門メディアに試乗記やレースレポートなどを寄稿する一方、エディターとしてウェブサイトの運営などに携わる。愛車はフォルクスワーゲン『ID.4』。

執筆した記事