発売前の「ホンダe」がカーシェア『EveryGo』に登場! とか、気になるアレコレ

国内発売が発表された電気自動車『Honda e(ホンダe)』。まだ発売前ですが、ホンダのカーシェアサービス『EveryGo』にすでに登場。買うには楽観的想定より高かったけど、魅力的な新型電気自動車。気になるアレコレをご紹介します。

発売前の「ホンダe」がカーシェア『EveryGo』に登場! とか、気になるアレコレ

全国10カ所のステーションに順次登場

2020年8月27日、10月30日に国内発売されることが正式に発表されたホンダe。発表を伝える記事『Honda e(ホンダ e)日本発売〜国内販売計画台数は年間1000台だけ』は、販売計画台数の「少なさ」と、先行発売されている欧州と比べても価格が「高い」ことにフォーカスして、自動車評論家の御堀直嗣氏、そしてEVsmartブログ編集長である寄本からの、ちょっと涙目のレポートとなりました。

とはいえ、誤解のないように言っておくと、値段が高すぎることを除けば、ホンダe がとても魅力的な電気自動車であることは間違いありません。販売計画台数があまりに少なく、自社ディーラー網への充電インフラ整備や電池リサイクルへの取組姿勢がまだ不明瞭であることを除けば、シティコミューターとして画期的な電気自動車を世に出してくれたホンダには賛辞を送りたいと思っています。

ACコンセント装備の「アドバンス」はざっくり500万円。これじゃ買えないよ〜、と思っていたら、ホンダのカーシェアサービス『EveryGo』の車種ラインアップに、すでにホンダeが登場しています。青山(東京都港区)の青山ウエルカムプラステーションではすでに貸し出しがスタート。これを含めて東京(6カ所 ※代官山T-SITEステーションはイベント期間限定)、神奈川(1カ所)、大阪(2カ所)、福岡(1カ所)と、全国10カ所のステーションを皮切りに、順次配置されていくようです。

【関連サイト】
ホンダ『EveryGo』
ホンダ『EveryGo』車種(ホンダe)紹介ページ

料金は15分200円からで、基本的にはエブリゴーで利用できるほかの車種と同じなのがうれしいところ。「ちょっと乗ってみたい!」って思えます。

さっそく会員登録してみましたが、青山ステーションはすでに9月末まで予約がいっぱい。10月1日からは空いていたので予約しようと思ったら、予約できるのは1カ月前からのようで、まだ予約できませんでした。

桜新町店ステーション、港店ステーションなどは9月上旬スタートとのこと。こまめにチェックして予約を抑え、試乗レポートをお届けしたいと思っています。

【追記】今日(9月1日)見ると、桜新町ステーションも予約開始されていたので、早速予約しました。来週には試乗レポートをお届けできるかと。(寄本)

発売発表のオンラインイベントで新プロジェクトも発表

8月27日の午前10時に始まったオンラインイベントでは、まず「ホンダe」の開発責任者、一瀬智史さんが車のスペックを紹介。冒頭にまず、ホンダeの3つのコンセプト「シームレスライフ」「ダイナミックパフォーマンス」「ヒューマン・マシン・インターフェース」について説明していました。

公式動画から引用。

このうちの「ダイナミックパフォーマンス」は、読んで字のごとく、ホンダeのスペック紹介で、例えばモーターは「アコードPHEV」のモーターを利用していることや、後輪駆動にしたことで回転半径が軽自動車並に小さくなっていること、都市型コミューターとしては十分な航続距離を備えていることなどの説明でした。

クルマそのものの紹介は今回の記事では割愛します。それよりもこのイベントの目的は、車の紹介に続いて行われた「”with”Project Honda e」と銘打つキャンペーンの発表なのでした。

“with” Project Honda e オンライン発表会(YouTube)

鎌倉、東京、金沢で長期イベントを実施

キャンペーンの紹介は商品ブランド部 商品企画課の河津健男さんでした。河津さんはまず、「暮らしとホンダeがつながると、どんな未来になるのか。それが『”with”Project Honda e』です」と話し、予定している4つのプロジェクトについて説明をしました。

説明によれば、プロジェクトは以下のようなものになります。

1.「もしものときも with Honda e」
ホンダeを活用した避難生活の紹介や、ホンダがもっている防災グッズなどの展示をしました。(開催期間は8月28日から30日の3日間でした)

2.自分らしい働き方 with Honda e

プロジェクトメンバーに「ヒトノコト」代表の渡辺みさきさんを迎えて、ホンダが、自分らしい働き方を見つけるための活動の支援をするプロジェクトです。渡辺さんは、鎌倉に拠点を持つ企業間で連携し、人事を通して地域の幸福度を高めるなどの活動をしています。

東京から在来線で約1時間の距離にある鎌倉市は、独自に運営するテレワーク・ライフスタイル研究会を通して、通勤時間の考え方の見直しに取り組んでいます。

「自分らしい働き方with Honda e」プロジェクトの詳細は改めて発表されますが、オンラインイベントでは河津さんが、ホンダが鎌倉市への移住を考えている人に車と住むところを貸し出す形で、鎌倉市の取り組みを支援することを考えているという説明がありました。ホンダが、車と人がシームレスにつながるような枠組みを提供していくということのようです。

渡辺さんはプロジェクトについて「非常に歴史のある街である鎌倉に新しい電気自動車が取り入れられて、新しいものと古いものが融合して、何かまた違う新しいものが生まれてくるのを期待しています」とコメントを寄せています。

3.はじめての地元 with Honda e
金沢市に2020年6月に開館した私設の現代アート美術館、「KAMU kanazawa」の林田堅太郎館長をプロジェクトメンバーに迎え、歴史と伝統の街、金沢市で地元の魅力を再発見する取り組みをしていきます。

プロジェクトの詳細は後日発表される予定ですが、今のところ、ホンダが金沢市や周辺スポットで地元の人にホンダeを無料で貸し出し、地元を回るマイクロツーリズムのようなものに活用してもらうことを想定しています。2020年11月から12月に実施予定です。

林田さんは、「ホンダeを運転して、アートという視点で新しい金沢を再発見してもらえればと思っています。今回の取り組みでホンダeとアートという視点からどんな金沢の魅力が出てくるのか、すごく楽しみにしています」とコメントしています。

4.未来のクリエーター with Honda e
ライフスタイル雑誌「Pen」と共同で、美術を学ぶ学生や専門学校生から募集した作品を募集し、8月29日~9月13日に代官山で開催される体感イベントに参加してもらってホンダeを体験してもらうプロジェクトです。イベントでの体験を通して作品を制作してもらい、その一部を10月末から11月にかけて、Pen本誌やホンダの特設サイトで紹介する予定です。

プロジェクトメンバーには、東京建築賞(主催:東京都建築士事務所協会)の優秀賞を受賞するなど活躍中の建築家、永山祐子さんが参加。永山さんはプロジェクトについて、「明るい未来、楽しい未来を想像させるような自分たちが住まう町を想像させる作品を期待しています」と話しています。

なお、代官山のイベントは以下のスケジュールで行われています。

・期間:8月29日(土)~9月13日(日)
・時間:10時~18時(予定)
・会場:代官山T-SITE GARDEN GALLERY(所在地:東京都渋谷区猿楽町16-15)
・内容: Honda e試乗体験・作品制作展示
・入場料:無料

適地適車と、Honda e

代官山の「未来のクリエーター with Honda e」以外は詳細が未発表ですが、いずれも、シティコミューターとしてのホンダeの特性を最大限に活用して、一極集中ではない地域共生や地方都市の活性化を狙ったものになっています。

電池の性能が今ほど向上する前は航続距離にかなりの制限があったEVですが、見方を変えると、ガソリンスタンドよりも世界に広く普及している電気のコンセントを利用できることや、構造が内燃機関ほど複雑ではないことから、現代の車が普及しにくい場所でも使えるのではないかという考え方がありました。市民団体の日本EVクラブの舘内端代表はこれを、適材適所ならぬ『適地適車』と表現していました。使い方、使う場所、場面によってはEVの活躍範囲が非常に広くなり、生活が向上するという考え方です。

ホンダeが目指している、人と車をシームレスにつなぐという考え方を聞いて、僕自身はこの『適地適車』という言葉を思い出しました。確かに価格設定には疑問がわき出てくるものの、車のスペックに関しては、生活の創造と併せて使い方を最適化することで、地域に溶け込むポテンシャルがあるのでは、なんていうことも思うのです。とはいえ、日本国内で年間1000台の販売目標ではいかんともしがたいのですが。

なんにせよ、車のデリバリー開始は10月末です。すでに予約して11月(希望的予測)納車を心待ちにしている(予約実録レポートにリンク)自動車評論家の片岡英明さんが、この週末、ホンダディーラーで出会った方は、ホンダeの予約に来たけど納車は3月以降になるといわれたと嘆いてらしたそうです。トヨタのRAV4PHVが予想を超える売れ行きのため発売から数週間で受注停止になったのは記憶に新しいところですが、ホンダeもどうやら大人気。大変なことになるかも知れないですね。

(文/木野 龍逸)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 電池容量による航続距離と車輌サイズからテスラとは違い、ちょい乗りのカーシェア向きの車と考えております。是非京都などの観光地での移動手段にピッタリかと。狭い道とかの通行に使えそうです。

  2. ほうほうカーシェアに電気自動車ですね判ります。
    実は日産もカーシェア[e-シェアモビ]があり価格もほぼ同額、当然リーフも対象車種…ここはカーシェアサービスを比べてもよさそうですな。
    テスラ車も高額ですが、イーロンマスクは将来のカーシェア対応も考えているとかいないとか。仮にテスラカーシェアが日本で実現すればもっとテスラ車が増えるかもしれません…このあたりはいかがお考えでしょうか!?少なくともホンダeはテスラ3/Yあたりと競合する可能性があると踏んでますので。

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					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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