EVに優しいルートインの充電器が6kW出力に!
2023年4月3日、ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社はルートインジャパン株式会社が運営する「ルートインホテルズ」全国214店舗の宿泊者向け駐車場のEV普通充電器を、6kWの普通充電器「EV充電エネチェンジ」にアップグレードすることを発表しました。
ルートインといえば、2014年頃からビジネスホテルチェーンのなかでもいち早く宿泊者用駐車場へのEV用普通充電器導入を進めてきたEVに優しいホテルです。私自身、EV旅で泊まるなら「まずはルートインを探す」ようになっています。IONIQ 5で三重県松阪市まで焼肉食べに行った時に泊まったのは「ホテルルートイン松阪駅東」だし、ID. 4で奈良まで行った時には「ルートイングランティア和蔵の宿 伊賀上野城前」に泊まって充電しました。
今、ルートインチェーンのホテル駐車場に設置されているのは出力3kWのケーブル付き普通充電器2台が基本パターンです。大容量バッテリー搭載のEVでは夜チェックインして翌朝までの時間では満充電にならないことも多く、松阪で充電したIONIQ 5も、夜8時頃にSOC30%くらいで充電を開始したものの、翌朝5時頃までの約9時間(27kWh程度)では満充電にならず、67%のSOCで復路をスタートすることになりました。
これが出力6kWになれば、松阪のケースに当てはめると9時間での充電量は54kWhほどになり、翌朝は気持ちよく満充電でスタートできたことになります。大容量バッテリー搭載&出力6kW以上の普通充電に対応しているEVオーナーにとっては朗報です。
また、エネチェンジの充電サービスである「EV充電エネチェンジ」では、2月にe-Mobility Power(eMP)との提携を発表。4月下旬をメドに、自動車メーカーが発行するeMP提携の充電カードで認証課金(各カード規定の充電料金で)ができるようになります。eMP提携カードでの認証は一部で利用できない充電器もありますが、ルートインの充電器は対応予定。しかも、今年の10月中には計画されている214店舗全ての充電器をアップグレードを終える予定とのこと。ルートインはますますEVに優しいホテルチェーンになっていく、ということです。
6kWの普通充電器受注台数が3000台突破
ルートインの充電器アップグレード! のニュースに先立つ3月中旬。エネチェンジからはEV用普通充電器設置の累計受注台数が3000台を突破したという発表もありました。
日本国内のEV用充電器設置台数は、2014年に1005億円の補助金が用意されるなど国の施策もあって2015年頃まで急増しましたが、2016年以降は伸び悩んでいました。エネチェンジが「3万台の6kW普通充電器を設置する」としたEV充電インフラ戦略についての記者発表会を開いた2022年7月から半年程度、2021年11月のEV充電事業の開始からでも1年4カ月で3000台を突破したというのもまた、EVユーザーにとっての朗報といえるでしょう。
今、EV用普通充電器の拡充に取り組んでいるのはエネチェンジだけではありません。埼玉県住宅供給公社の賃貸住宅で駐車場全区画にEV充電用の200Vコンセントを設置したユビ電の「WeCharge」や、おもに集合住宅の充電設備設置に早くから取り組んでいる「ユアスタンド」。全国各地の自治体と連携した大規模設置計画を進めているテラモーターズの「テラチャージ」など、複数の充電サービス事業者がそれぞれに急ピッチで普通充電器の拡充を進めています。
政府でも2030年までに「公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置」という目標を掲げ、今年は充電インフラ補助金も大幅に増額されました。2022年の設置台数(NeVによる充電インフラ補助金交付台数)はまだ発表されていませんが、2022年以降、ことに普通充電器(コンセント含む)の設置台数が急増していることは間違いありません。
3000台の充電器はどんな場所に設置されている?
はたして、エネチェンジの6kW普通充電器は、どんな場所に設置されているのでしょうか。エネチェンジに確認してみました。
業種 | 割合 |
---|---|
宿泊施設 | 28% |
ゴルフ場 | 15% |
パチンコ店 | 13% |
レジャー施設 | 7% |
小売店(スーパー、日用品) | 5% |
その他 | 32% |
「その他」には集合住宅などが含まれると思われます。宿泊施設やゴルフ場が多いのがEVユーザーとして妥当な場所と感じます。
宿泊施設や長距離を走る目的地に増えて欲しい
さて、普通充電器を設置するのに「妥当な場所」とはどんなところでしょうか。EV充電の基礎知識を少しおさらいしておきましょう。
【EV充電の利用シーンと充電方法】
●基礎充電=普通充電
自宅など拠点ガレージでの充電。
●目的地充電=普通充電
宿泊施設やレジャー施設、商業施設などでの充電。
●経路充電=急速充電
長距離移動の途中で行う短時間の充電。
普通充電と急速充電は、その名の通り、充電速度が違います。普通充電は3~6kW程度の出力で時間を掛けて充電しますが、急速充電はおおむね40~150kWの高出力によって短時間で電池残量を回復させるための方法です。
普通充電にも「基礎充電」と「目的地充電」という利用シーンによる違いがあります。戸建てであればそれぞれがコンセントや充電器を設置すればいいので、充電サービス事業者による妥当な設置場所は、基礎充電のための集合住宅などと、目的地充電の設置場所ということになります。
EVユーザーとしての実感で「目的地に充電器があって良かった」と感じる、つまり最もニーズが高いのは、宿泊施設やゴルフ場など、長距離を走って辿り着く場所です。私は30kWhリーフがマイカーで、千葉あたりへゴルフに行くと往復には少し航続距離が足りず、うみほたるでちょこっと急速充電することがよくあります。うみほたるは混雑していることも多くてそれなりに大変ですが、ゴルフ場に充電器があれば(関連記事)プレー中に満充電にして余裕で帰ってこられます。
つまり、目的地充電設備が「当たり前」に設置されている社会になれば、バッテリーのセグ欠け(劣化)が進んで実質容量は24kWh程度(推計)の私のリーフでも、より便利に使えるEVになります。バッテリー容量が小さなEVでも便利に使えるようになれば、搭載するバッテリー容量を抑えた安価な新車EV車種も増えるはず。目的地充電の適切な拡充は、日本のEV普及にとってとても大切な役割を担っているということです。
エネチェンジをはじめとする充電サービス事業者の、ますますの奮闘に期待しています。
文/寄本 好則
各普通充電器設置店舗ごとの案内に載っている営業時間は店舗の営業時間になっていることがありますが、24h利用可能な充電器は24h表記になっているのでしょうか?
店舗利用客以外にも充電器を解放していたとしても、営業時間の短い店舗(特に店舗営業時間表示のみになっている充電器)は利用しにくいイメージがあり、利用されている様子もあまり見受けられない気がします。
30分/一回が基本の急速充電器と違い、普通充電器は充電時間の幅の選択肢も広いので、設置店舗の営業時間に限定されない利用が可能かどうかや、充電器のみの利用が可能かどうかなどの条件は充電インフラの有意義な活用に必要だと思います。
ENECHANGEで設置した店舗の情報は、設置時に分かりやすく掲載してもらえると利用頻度も上がるのでは?
使用者側の料金がエネチェンジのホームページを見ても、
全然書いてないところに怪しさを感じます。
まさ さま、コメントありがとうございます。
充電料金。4/20以降はeMP提携の充電カードで認証できるようになるので、各カード規定の料金ですね。
充電カードを使わない(使えない)ところではエネチェンジアプリでの課金となり、料金は場所によって異なるのでアプリで確認、ということかと思います。
ただ、各スポットの充電料金がたしかに少々わかりづらいですね。エネチェンジの担当チームに伝えておきます。