道の駅に設置する「Hypercharger」の第一弾
2024年7月5日(金)、株式会社パワーエックスが「道の駅 しょうなん」(千葉県柏市)に蓄電式超急速充電器「Hypercharger」を設置して開所式を開催しました。今年4月、一般社団法人全国道の駅連絡会と締結した「全国の道の駅におけるEV充電設備の利用実験に関する協定」では、2024年から2年間で27カ所の道の駅に「Hypercharger」を設置していくとしており、今回が「第一弾」の設置となります。
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「Hypercharger」は岡山県に工場をもつ蓄電池メーカーのパワーエックスが開発&製造&販売(場所によっては運用も)している自社製の蓄電池型超急速充電器です。容量358kWhという大型の蓄電池と2口の充電ストールがセットになっていて、1台だけの充電時は最大150kW(10分間のブーストモード)、2台同時の場合120kW×2口の最大出力で充電することができます。
今まで、EV用急速充電器を設置している道の駅は少なくなかったものの、出力40kW以下がほとんどで、むしろ20〜30kW程度の「中速充電器」が多かったのが実状。しかも設置されているのは1基(1口)のみで、充電待ちリスクが高く使いづらいという課題がありました。
「Hypercharger」は高出力で2口が基本。しかも、専用アプリで予約可能。充電時間にも「原則30分」といった制限はなく、30分、45分、60分から選択することができます。当面は「2025年までに27カ所」ではありますが、「Hypercharger」が設置された道の駅ではEV充電の利便性が格段に高まることは間違いありません。
充電無料の「Try! PowerX」キャンペーンは当面継続
「道の駅しょうなん」は「都心から最も近い天然湖沼」(開所式で挨拶した柏市長、太田和美氏の言葉を引用)である手賀沼の湖畔に位置しており、2021年にリニューアルした大規模な道の駅です。
P1からP4まで、約400台収容の駐車場を備えており、パワーエックスの充電器はP1に入ってすぐの右側、わかりやすい場所に設置されていました。
利用時間は24時間で、駐車料金はもちろん無料。パワーエックスの「Hypercharger」は充電した電力量(kWh)に応じた従量課金制ではありますが、現在は充電料金を無料とする「Try! PowerX」キャンペーンを実施しており、「道の駅しょうなん」の充電器も当面は無料で利用できます。
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充電に行く際は、専用のスマホアプリ「PowerXアプリ」をインストールするとともに、必ずアプリから「予約」してから訪れるのが賢明です。
CHAdeMOに対応したEVであれば誰でも利用可能。ただし、かねてお伝えしているようにチャデモアダプターを使うテスラ車で不具合が発生した例があり、パワーエックス、テスラの両社から「テスラ車での利用は控えるよう」アナウンスされています。
開所式というおめでたい席で恐縮しつつ「テスラ車問題解決の現状は?」と伊藤社長に質問したところ「もちろん、早急に解決したい。でも、両社で協力した検証作業などのアポイントが取れず、メドが立たない」という回答でした。テスラ・ジャパンには話を聞いていないので明確な評価はできませんが、便利な場所にパワフルな「Hypercharger」が増えていくほどに、テスラ車ユーザーにとって悩ましいところでしょう。
補助金頼みのビジネスは考えていない
「道の駅しょうなん」の「Hypercharger」は、パワーエックスが自社で設置して運用も行います。4月に全国道の駅連絡会との協定締結を発表し、その第一弾事例としての実現を急いだこともあり、国の充電インフラ補助金は使わずに設置したとのことでした。
今後、全国の道の駅27カ所(今回の場所を除くと26カ所)への設置も、基本的にはパワーエックスが設置と運用を行うスタイルを想定しており、設置計画やタイミングによっては「補助金を活用することはあり得る」(執行役 EVチャージステーション事業領域管掌の森居紘平氏)とのこと。
とはいえ、伊藤社長は質疑応答の中で「補助金ありきのビジネスは考えていない」と明言しました。
「何よりも充電器を利用するお客様の体験を重視しています。道の駅は人流が多いし、EVライフにおける充電体験としても幸せ度が高い場所。高出力充電は欧米が進んでいるように言われていますが、実際には故障率が高かったりもします。日本でも補助金で使われない充電器、使えない充電器を増やすのは避けるべき。私たちは、蓄電池付きで(多くのEVユーザーが利用しやすい)あるべき場所に丁寧に展開していくことで、一カ所ずつきちんと採算を取っていけるようにしたいと考えています」(伊藤社長の説明を要約)
大容量蓄電池を備えていることで、系統電力からは50kW未満の低圧受電が可能。大容量蓄電池付きなので機器コストは普通の急速充電器に比べて高くはなるものの、高圧受電のために必要になるコストは不要。なにより、高額な月額デマンド基本料金を節約できるのが「Hypercharger」の利点です。幹線高速道路SAPA以外の超急速充電で採算を取るためには今のところ唯一無二の仕組みではないかとさえ思います。
ちなみに、東京電力の料金で試算してみると、低圧受電(50kW未満)の基本料金は約1156円/kWなので、1156×49=5万6644円。契約電力500kW未満の高圧受電では基本料金が約1467円/kWで、2台同時充電時の最大デマンドが200kWになったとすると、1467×200=29万3400円となり、毎月の基本料金には25万円近い差が生じます。
ユニークな製品やサービスへのチャレンジで、超急速充電をビジネスとしてきちんと確立しようとする伊藤社長の明確なビジョンと言葉には、取材していていつも元気をいただきます。
ちなみに、充電無料の「Try! PowerX」キャンペーンについては「年内には終了しようと思っている」とのことでしたが、従量課金になったとしても「非常に競争力のある使いやすい価格」(伊藤社長)にする計画とのこと。期待しています。
充電の待ち時間にはピーナッツソフトがオススメ!
「道の駅 しょうなん」は初訪問。少し早く到着したので施設を見て回っていると、なんと、今年3月にあった「IONIQ OWNERS QLUB」の参拝オフ会(関連記事)の時、集まったメンバーが訪れた館山市の名店「木村ピーナッツ」の支店がありました。
なんといっても、ピーナッツソフトクリームが絶品。ピーナッツペーストの風味が濃厚で、抜群に美味しいソフトです。スタッフのお姉さんに聞いたところ、館山の本店以外のお店は今のところ「ここだけ」みたいです。
同じ建物内にあった「ベーカリーハレビノ」(柏市内で人気の老舗ベーカリー、らしいです)の看板商品である『幸せのバナナパン』も美味しそうだったので買ってみました。充電の待ち時間に、こうした地元名産のグルメを味わったり、地場産品のショッピングを楽しめるのも、道の駅ならではですね。
全国各地の魅力的な道の駅に、手ごろな価格で充電できて便利な「Hypercharger」が増えていくのを楽しみにしています。
取材・文/寄本 好則
EV充電設備のあるみちの駅は那須高原友愛の森に7台くらい充電設備がありテスラ製なので
1番初めではないですね!
ウエハライサム さま、コメントありがとうございます。
道の駅連絡会との協定に基づくハイパーチャージャー道の駅設置、の「第一弾」です。
いつもブログ楽しく拝読しています。
7/3(水)にたまたま立ち寄り見慣れない充電器を発見、早速アプリをインストール、予約に少々手間取りましたが無事充電出来ました。勿論待ち時間中にはピーナッツソフトを美味しくいただきました。今度成田空港に行くのでそちらも利用してみようかと思います。私の車はプジョーe208で充電速度が遅いので、無料期間終了後は従量課金制なのは嬉しいですね。
YOSHIJI さま、コメントありがとうございます。
私のKONAも充電は非力なので、高出力器は従量課金がありがたいに同感です。
eMPの従量課金対応が一日も早く実現しますように、と。
早速利用できないのは残念。
以下回答??
マップ上がグレーになり、予約が出来ない理由に関して以下の理由がございます。
・他のお客様が既にご予約またはご利用中である場合
・施設先の営業時間外が選択されている場合
・充電準備中
・メンテナンス中
空いている時間でご予約、ご利用いただけると幸いです。
とも さま、コメントありがとうございます。
何か不具合があったのかとアプリを確認してみました、が。
予約はいっぱい入っているようですけど、とくに不具合のお知らせなどはなく、普通に稼働しているようです。
蓄電式なので、稼働率が高くなって貯めてる電気が少なくなると、充電しているEVがなくても「充電準備中」で予約不可になることもあるかと思います。