祝! アウディ『e-tron Sportback』テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー受賞〜電動化への思いをインタビュー【吉田由美】

アウディ『e-tron Sportback』が2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。カーライフエッセイストの吉田由美さんが、受賞を祝福しつつ、電動化やカーボンニュートラル実現への思いをインタビューしました。

祝! アウディ『e-tron Sportback』テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー受賞〜電動化への思いをインタビュー【吉田由美】

電気自動車としての高度な技術が高評価!

『第41回 2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)』が決定したのは2020年12月7日でした。私も選考委員の一人ですが、今年は例年以上に魅力的なクルマや個性的なクルマが勢ぞろいで、選考にはとても悩まされました!

2020年を象徴するのがインポート・カー・オブ・ザ・イヤーの『プジョー208/e-208』ともう一台、テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー受賞のアウディ『e-tron Sportback』。共通点は、e-208とe-tron はどちらも電気自動車(EV)であること。これは『EVsmartブログ』的に見逃せません!

電気自動車がCOTYの賞を獲得するのは、第32回(2011-2012)に日産リーフがカー・オブ・ザ・イヤーを受賞して以来の快挙です。しかも、今年はともに輸入車の2台が部門賞を受賞。電気自動車時代の足音がだんだん大きくなっています。

アウディ『e-tron Sportback』が受賞した「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」とは、今年発売されたクルマのノミネート車の中から、最も優秀な技術に贈られます。

受賞理由


高度な回生システムを備えた発電&蓄電テクノロジーを採用。EV特有のノイズを一切排除し、プレミアムモデルらしい快適性を実現した。大型スクリーンを奢ったインテリアやデジタル式の「バーチャルエクステリアミラー」の設定もEV専用車らしい演出。前後輪の電気モーターによる強力な駆動力、実用的な405㎞の航続距離も評価を集めた。

高級電気自動車作りのバランスのいい高度な技術力が高く評価されたことがわかります。

昨年末のクリスマスには、「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したプジョー広報の森さんへの祝福インタビュー記事をお届けしました。

今回は、その喜びの声をアウディ・ジャパン広報部長の丸田靖生さんに伺いました☆

広報部長に直撃インタビュー

丸田さん、ありがとうございました!

由美「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー受賞、おめでとうございます!」

丸田「ありがとうございます! 久しぶりのCOTY受賞でうれしいです。e-tronは車のデキがいいんです。そこを選考委員のみなさんやメディアにしっかりアピールしなければならないと思い、感染対策には万全を期して、9月の最終週に試乗会を行いました。

箱根のワインディングをあえて試乗コースに選び、また回生ブレーキのパワフルさを体感いただきたいと考えました。箱根の乙女峠に新装オープンしたばかりの『FUJIMI CAFE』を試乗会の拠点として、その場所が標高が約850m。御殿場ICが標高約450m。距離は6キロ程度ですが、下りではe-tronは約20㎞ほど回生します。また、自動車メディアの試乗のメッカである箱根ターンパイクの頂上の大観山(950m)から、ほぼ海抜ゼロの小田原口までの約10キロを回生ブレーキを活用しながらワンペダルで走行すると、52㎞分も航続距離が回復しました。

御殿場から東名高速道路で大井松田まで行くと、標高はさらに350mほど下ります。上手に回生ブレーキを活用すれば、ここでも20kmほど距離が延び、電費性能の向上に有効であることを実感していただけたのではないかと思います」

『FUJIMI CAFE』での試乗会にはEVsmartブログも参加しました。

由美「私もその試乗会に参加させていただきましたが、『FUJIMI CAFE』をほぼ満充電の状態で御殿場方面に向かったので、残念ながら回生力はあまり実感できませんでした。でも、COTYの選考委員はもちろんですが、メディア全体の評価は高いですよね」

【関連記事】
舘内端氏のアウディe-tron 試乗インプレッション~エンジンでは到達できなかった究極の自動車(2020年12月30日)

丸田「はい。試乗会でも静粛性とパワートレーンの滑らかさは特に評価が高かったようです。COTYでも、60名の選考委員のほぼ全員の方が点数を入れてくださいました。

1300万円以上もするクルマですが、テクノロジーを評価されたのは光栄です。総合的に見てのことだと思いますが、中でも空力、アウディならではのクワトロなどアウディのこれまでの技術が集約され、それをさらにEV(電動化)で高めたことが評価されたのは非常にうれしいです。

複数のジャーナリストの方から「自動車メーカーが本気で作ると、素晴らしいEVができる」と言われたのがうれしかったです。これまでのクルマ作りの延長として作ったら、速くて静かなクルマができた、ということです。

アウディ本社は「2025年までに販売の3分の1をEVにする」と言っていますが、これはもちろん本気です。この後も、ポルシェ『タイカン』などとも車台を共用する『e-tron GT』やフォルクスワーゲン開発の「eプラットフォーム」を使った『Q4 e-tron』などが登場します。さらに、「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」という次世代の電動車プラットフォームを開発中です。PPEのクルマは今までと全く作り方が変わっていて、車内からデザインしています。電動化と自動運転を前提に、車内でどういう過ごし方をするかを考えて、まずはインテリアから完成度を高めていくんです」

Audi Premium Platform Electric – PPE / アニメーション
(YouTube アウディ ジャパンチャンネル)

由美「なるほどー。クルマ作りも変わりますよね。丸田さん自身は、e-tron の魅力はどの部分だと思いますか?」

丸田「バッテリーテクノロジー、回生、急速充電や冷却システムなど、とにかく綿密に作られています。たとえば回生ブレーキは、発熱は制御しながら最大220kWもの充電性能を発揮します。新しい電気自動車そのもののテクノロジーと、これまでの技術を高めたことでの総合力が、e-tron の大きな魅力になっていると感じます」

由美「受賞してからの周囲の反応などはいかがですか?」

丸田「とにかく喜んでます。コロナの影響で商品が遅れ気味だったりで、新型Q3も2年経ってやっと日本で出せることになったような状況なので、勇気づけられる朗報でした。

e-tronは、ブランドのポジショニングが大事だと考えています。たとえばデザインもアウディデザインの責任者マーク・リヒテのデザインが浸透しています。次の新しい世代に向けての大きなきっかけになるクルマです」

由美「本国ではSUVの『e-tron』のほうが先に販売されていて、私も去年、ドイツで試乗させていただきましたが、日本には『e-tron Sportback』から導入したのは何か理由がありますか?」

丸田「日本ではクーペスタイルの Sportback のほうが受け入れらやすいと考えたからです。これから電動化モデルを広げていくためにも、まずはよりインパクトの強いモデルを導入したということです。

アウディは今、「Future Is An Attitude(未来は考え方次第)」というスローガンをグローバルで掲げています。デザイン、デジタル、パフォーマンス、あらゆる面で万全を尽くしつつ、サスティナビリティをカスタマーが感じられるような、これからの時代にふさわしいエクスペリエンスを提供するクルマを作ります。そして、2025年までに30車種の電動化モデルを投入し、そのうち20車種がEVとなります」

由美「日本ではなぜEVが伸び悩んでいると思いますか?」

丸田「まず挙げられるのは充電環境です。『e-tron Sportback』もチャデモ急速充電は最大50kW対応ですが、欧州のCCS 規格では最大150kWに対応できる性能を備えています。でも、日本にはまだ高出力器がそれほど普及していないので、最大50kW対応としました。出力や高速道路などの充電器の数が、日本はまだまだ不十分なのが現状だと感じています。

また、プリウスのようなストロングハイブリッドがとても強いマーケットなので、一般的なユーザーにEVが必要とされてないのだろうとも感じます。何より、日本で発売されているEVのバリエーションが少ないこと、値段が高いことが高いハードルになっているのではないでしょうか。

しかし「これだったら乗ってみたいな」と思うようなクルマが出てくれば、次第に状況は変わっていくのではないかとも思います。一般の方に「いいクルマ」と評価いただくためには、静かで滑らかな走りであることが大切です。これから、優れたEVの選択肢が広がっていけば、東京などの都市部を中心に多くのユーザーが受け入れやすくなっていくでしょう。

アウディ・ジャパンでは、2021年早々にも、『e-tron Sportback』よりバッテリー容量とパワーを71kWhと300馬力に落として、少しリーズナブルな『e-tron 50』を発売する予定になっています」

Audi e-tron 50 quattro

由美「それは楽しみですね」

丸田「アウディは4年前にアウディA4で初めてインポート・カー・オブ・ザ・イヤーをいただきましたが、今回のテクノロジー賞は非常に意味があると感じています。EVならではの高い質感、ラグジュアリーな乗り心地、ガソリン車には無いパワートレインの滑らかさ。あるジャーナリストの方から「12気筒に匹敵する滑らかさ」とコメントをいただきましたが、本当にうれしいコメントでした。アウディ本社は全世界からレポートを出させるんです。今の新しい本社のトップが開発・モータースポーツ畑から来た人で、プロダクトに対する執念が感じられます。本国でもこの受賞をとても喜んでいたようです」

由美「サスティナビリティへの取組にも力を入れてますね?」

丸田「日本では菅総理が、2050年にはカーボンニュートラルを目指すことを明言したばかりです。EVへの補助金を手厚くしたり、自然エネルギー普及への関心も高まりつつあるところだと思います。

たとえば、アウディ・ジャパンでは、再生可能エネルギ―100%の世界を目指している自然電力株式会社とパートナーシップを結び、アウディディーラーやe-tronのお客様に自然エネルギーの電力をお勧めしています。自然電力は、ドイツの「ユーイット」という風力発電のベンチャー企業と提携しており、地方との繋がりを持って地産地消のハブを繋げて電力を供給して売り上げの1%を地域に還元するという取組を行っています。アウディ本社も、工場での生産時などを含めてライフサイクルトータルでのカーボンニュートラルを目指しています。

私自身もサスティナビリティや環境問題には興味を持っています。2050年までのカーボンニュートラルは、実現すべき目標だと感じています」

由美「まさに『e-tron Sportback』は今年らしい一台、なのかもしれませんね。改めて受賞、おめでとうございました!」

(取材・文/吉田 由美)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. アウディさんの店鋪に、急速充電器が設置されつつあるのは嬉しいけど、50kW以上の出力だったら良いのになぁ。
    せめて90kw。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

執筆した記事