BMW『iX』ローンチ・エディションの2モデルが日本国内合計150台限定で先行販売

2021年6月9日、BMWジャパンは今秋正式発表予定の新型電気自動車でSUVの『iX』 の台数限定初期生産モデルを、日本国内でも先行販売することを発表しました。この発表のハイライトをお伝えします。

BMW『iX』ローンチ・エディションの2モデルが日本国内合計150台限定で先行販売

オンラインストア限定で先行販売

『iX』はBMWの次世代電気自動車で、同社が「SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)」と呼ぶSUV。先行発売されるのは「xDrive40 ローンチ・エディション」と「xDrive50ローンチ・エディション」の仕様が異なる2モデルで、車両価格は前者が1,155万円、後者が1,373万円。2021年秋からの納車開始と発表されました。

日本国内へ導入されるローンチ・エディションの台数は、xDrive40が120台(ボディカラー「ソフィスト・グレー・ブリリアント・エフェクト」と「ミネラル・ホワイト」に各60台)、xDrive50が30台となっています。なお、販売はBMWオンライン・ストアのみとのことです。

では、デザインからチェック!

発表された写真などをもとに、まずはデザインから確認していきます。

すでに日本国内でプレオーダーがはじまっているEVセダン『i4』と同じく、センサーやカメラ、レーダーを内蔵した大型のキドニーグリルを採用。

ボディサイズは、全長4,953mm×全幅1,967mm×全高1,695mm。全長と全幅は『X5』、全高は『X6』、ホイールサイズは『X7』と同じとなる堂々たるプロポーション。Cd値は0.25と高い数値を誇ります。

アグレッシブで未来的な印象は、フロントマスクだけでなくリアデザインにも。ボディの構造素材にアルミニウムとカーボンを採用し、軽量化と高い剛性を両立。

ローンチ・エディションのボディカラーは、xDrive40が「ソフィスト・グレー・ブリリアント・エフェクト(左上)」および「ミネラル・ホワイト(右上)」の2種類、xDrive50が「Individualアベンチュリン・レッド(左下)」の1種類の設定。ホイールは両モデルともに22インチのローンチ・エディション限定デザイン(右下)。

特徴的な六角形のステアリングホイールを採用し、2枚の大型ディスプレイを配置。

スイッチ類は大幅に削減されタッチスクリーン上の操作へ集約。

一方、センターコンソールにはシフトやインフォテイメントシステムの操作を行う「iDrive」コントローラー備える。これは内燃機関モデルから継承されたもの。

xDrive50ローンチ・エディションのインテリア・カラー「Suiteレザー・カスタネア」。オーディオは、xDrive40に「harman / kardonサラウンド・サウンド・システム」が、xDrive5には「Bowers & Wilkinsダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システム」を含むテクノロジー・パッケージを装備します。

スペックをチェック!

iX ローンチ・エディションのスペックは以下のとおり。

xDrive40xDrive50
最高出力240kW(326PS)385kW(523PS)
最大トルク630N・m765N・m
駆動方式四輪駆動四輪駆動
0-100km/h加速6.1秒4.6秒
最高速度200km/h200km/h
バッテリー容量76.6kWh111.5kWh
航続距離425km(WLTP)
約379km(EPA推計)
630km(WLTP)
約562km(EPA推計)

xDrive50はなんと111.5kWhの大容量バッテリーを搭載。欧州のWLTPで630km、実用に近いEPA基準に換算しても推計で約562kmの一充電航続距離をもっています。東京から大阪まで、無充電で完走できます。

欧州仕様は200kWの急速充電(コンボ規格)に対応するとありましたが、BMWジャパンでは、この点は未発表となっています。

また、BMW欧州ではiX M60も追加を予定していることを発表しています。これは、BMWのモータースポーツ部門を担う「M社」がチューニングを加えたモデルで、現時点開発途中で仕様が確定していませんが、予測値で最高出力440kW(600PS]を発生させると伝えています。M60がデビューすれば「スーパーEV・SUV」となるに違いありません。

BMW iXについて筆者から二言三言

iXローンチ・エディションが日本国内で発売開始となるプレスリリースを受け取ったのは、BMW『i4』のプレオーダー開始記事の執筆中のことでした。i4は、3シリーズをベースにした4ドア「グランクーペ」のEVで、欧州では正式発表済でしたが、BMWジャパンからプレスリリースが出されることなく、しれっと日本国内でもプレオーダーが始まっていました。「あれ? なんでiXはプレスリリースを打ったのに、i4は打たないのか?」と不思議に思ったのですが……。

日本市場では、セダン(i4はグランクーペですが、便宜上、大別してセダンにしています)は圧倒的不人気。2021年6月12日の日本経済新聞の報道によると、日産は日本国内向けセダン新型の開発を中止したとのこと。あのスカイラインも60年以上の歴史に幕を下ろすことになるという噂が飛び(その後、星野副社長が否定していますが)交いました。セダンが好きな筆者としてはなんとも淋しい状況です。BMWジャパンとしては、圧倒的人気のSUV(BMWでは「SAV」)で新型EVを推したいという思惑があったのではないか、と筆者は勝手に推測しています。

プレオーダーがスタートしているi4とiXを比較すると、iXのほうが華々しいデビューを飾っています。iXは、2021年秋頃の正式発表を予定していましたが、初期生産モデルを台数限定で先行販売させています。また、前述したとおりの豪華装備で「ローンチ・エディション」の名にふさわしいプレミアム感満載です。

車両価格は「xDrive40」が1,155万円、「xDrive50」が1,373万円と、お値段もプレミアム感満載ですが、BMW初のEV・SUVで初期生産限定モデルなら、これを高いと感じない方がいらっしゃることでしょう。納車後しばらくは乗って走って目立つこと請け合いです。日本国内販売台数とされている合計150台はさくっと売れてしまうのではいでしょうか。

iXローンチ・エディションが発表される1週間前の6月8日には、日産の新型EV・SUV『アリア』のローンチ・エディション「リミテッド」の予約注文を開始した発表がありました。アリアの最上級グレード「B9 e-4ORCE limited」は、バッテリー容量91kWhとより大容量で、動力性能的にも「iX xDrive40」と近いスペックで、車両価格は790万円。「iX xDrive40 ローンチ・エディション」の車両価格1,155万円との差は約350万円となります。とはいえ、800万円を超えるようなクルマを購入できる層には、大差のない金額なのかもしれません。

アウディ『e-tron』、メルセデス・ベンツ『EQC』などがすでに発売され、日産アリアが限定ながらも発売開始となり、BMWとしては秋まで待てない、となったのかもしれませんね。

BMWがiXをデビューさせたことで、ドイツ御三家にEVの高級SUVが出揃い、また1台、試乗が楽しみなEVが増えました。試乗会ないしは広報車に乗る機会があり次第、レポートをお届けできればと思います。

BMWオンラインストア

(文/宇野 智)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. SUV嫌いの私としては、どうせなら「e-Z4」を早く見たいところです。
    ドイツ御三家のハイエンド版はまあともかくとして、アリアもかなり高価だし、日本の自動車会社も早く本気で廉価版EVを出さないとヤバいと思います。結局、電池を安く作れる大規模工場を持っていない弱みが出ているのでは?

  2. 欧州仕様は200kWの急速充電に対応、日本仕様でもこれくらいのkWに対応できる仕様にしてほしいなぁ。対応が50kWまでで、家充電できない人が購入してしまうと、不便さを感じてしまうと思う。

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					宇野 智

宇野 智

エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元「MOBY」編集長で現在は編集プロダクション「撮る書く編む株式会社」を主宰、ライター/フォトグラファー/エディターとしていくつかの自動車メディアへの寄稿も行う。

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