BMW『iX3』と『iX』が日本デビュー/電気自動車で「持続可能な駆け抜ける歓び」を

BMWジャパンが東京・渋谷で開催したイベントで新たな完全電気自動車である『BMW iX3 / iX』の日本発売を発表しました。イベントではBMWが脱炭素に真摯に取り組んでいることを紹介。本格的な電気自動車の投入によって「持続可能な駆け抜ける歓び」の提供を目指すことが示されました。

BMW『iX』と『iX3』が日本デビュー/電気自動車で「持続可能な駆け抜ける歓び」を

2車種の完全電気自動車がいよいよ日本デビュー

公式動画より引用。

2021年11月4日、BMWは東京・渋谷の会場で新型電気自動車『BMW iX』と『BMW iX3』を公開。いよいよ日本で発売することを発表しました。『iX』と『iX3』はともにエンジンは搭載していない完全な電気自動車です。BMWとしては2014年に日本発売された『i3』以来となるBEVであり、BMWが「2030年のEV販売比率50%」を実現するための大きなステップとなるニューモデルです。

イベントで登壇したBMW JapanのBMWブランドマネジメントディビジョン本部長の遠藤克之輔氏は、BMWがサプライチェーン、製造、運用など自動車のライフサイクル全てにおける脱炭素に真摯に取り組んでいることを紹介し、『iX』と『iX3』は「EV市場を拡げるだけでなく、EVのリーダーシップを担う」新型車であることを強調。ことに『iX』は、BMWの新たなフラッグシップとして「新時代のモビリティを象徴」するSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)であることをアピールしました。

日本に導入されるのは、『iX3』はまず『BMW iX3 M Sport』というグレードのみ。『iX』は、バッテリー容量76.6kWhの『BMW iX xDrive40』と112kWhという超大容量バッテリーを搭載する『BMW iX xDrive50』の2グレードです。まずは、おもなスペックを紹介しておきましょう。比較対象としてはテスラ『モデルX』が妥当かとも思ったのですが、日本では新型『モデルX』のデリバリー開始はまだまだ先になりそうなので、アウディの『Audi e-tron 55 quattro S line』と並べておきます。

 BMW iX3
M Sport
BMW iX
xDrive40
BMW iX
xDrive50
Audi e-tron 55
quattro S line
全長/全幅/全高4740/1890/1670mm4955/1965/1695mm4955/1965/1695mm4900/1935/1630
車両重量未発表2380kg2530kg2580kg
駆動方式後輪駆動全輪駆動全輪駆動全輪駆動
最高出力210kW(286PS)240kW(326PS)385kW(630PS)300kW(408PS)
最大トルク400Nm630Nm765Nm664Nm
総電力量80kWh76.6kWh112kWh95kWh
航続距離(発表値)461km450km650km423km
EPA(推計)航続距離約409km約369km約546km約350km
許容充電出力(AC)11kW11kW11kW8kW
※純正充電器出力
許容充電出力(DC)150kW150kW150kW50kW
価格¥8,620,000〜¥9,810,000〜¥11,160,000〜¥12,560,000〜

リビングのようなコックピットが象徴的な『iX』

BMW iX xDrive50
BMW iX xDrive40

イベントで新車種のプレゼンテーションを行ったBMWブランドマネジメントディビジョンの佐伯要氏は、エンジン車から電気自動車への進化を「VHSビデオからDVD」への進化に喩えつつ、『iX3』はまさに「VHSからDVDに移行したと評することができる」とした上で、『iX』は「ただの電動化ではなく、まったく新しい価値観を提供できるブルーレイへと、大きく進歩して進化を遂げた」と説明しました。

「xDrive50」の112kWhという大容量バッテリーと、650km(実用的なEPA換算推計値は約546km)という圧倒的な一充電航続可能距離はもちろん大注目ポイントです。安全機能や運転支援システムも最先端がてんこ盛り。コネクテッドサービスも、さらに便利になっています。

佐伯氏がとくに強調したのが、従来の自動車のアナログな常識に囚われず、「ラウンジやリビングルームのような」というコンセプトに基づいたインテリアです。メーター・パネルとコントロール・ディスプレイを一体化させるなど次世代車にふさわしいインターフェースを追求し、多くのボダン類を廃止、送風口をスリム化するなど、見た目の印象が大きく進化しています。

エンジン車を「改造」した電気自動車では、いかに高級車であってもエンジン車のインターフェースや操作性を引きずっていることが多かったといえますが、『iX』は、インテリアの雰囲気や操作性でも、まったく新しい価値の創出にチャレンジしているということでしょう。エンジン車の常識を端からぶっちぎったテスラ車とはまたひと味違う、自動車を知り尽くしたBMWというメーカーが提案する電気自動車の新たな価値は、多くのオーナーが「買ってよかった」と幸せを噛みしめるポイントになりそうに思います。

『iX』は発表された11月4日から販売を開始。納車開始時期は、「プレオーダー受注車は2021年秋ごろ〜、今後のオーダー分については未定」(カスタマーセンターに電話で聞いてみました)とのことでした。

『iX3』はハンズ・オフ運転支援機能を標準装備

BMW iX3 M Sport

『iX3』は、エンジン車である『X3』の電気自動車モデルとして「iX3 M Sport」というグレードがラインナップされました。11月4日から発売開始で、納車開始は「11月以降」ということなので、年内にはスタートすると思われます。

インテリアなどは『iX』ほど徹底的に斬新ではなく、エンジンモデルのアナログっぽさを残しています。とはいえ、先進機能は満載で、運転支援システム「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」や「パーキング・アシスタント」などを標準装備。BMWが国内認可取得モデルとして初めて導入した「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」も標準装備されます。

『iX』よりもコンパクトで安価な価格設定(十二分に大きくて高価ですけど)なので、日本ではむしろ『iX3』に興味があるというユーザーが多いかも知れません。

車格としては『iX』の下、になるのでしょうが、バッテリー容量は『iX xDrive40』の76.6kWhを超える80kWhを搭載。461km(EPA換算推計値は約409km)という一充電航続距離は、高級EVとしてのカーライフを楽しめる十分な性能と評価できます。

150kWの急速充電は、どこでやりましょうか?

発表されたスペックを見て、EVsmartブログとしての注目ポイントは、やはり150kWの超高出力急速充電に対応している点です。日本デビューからまだ1年ほどしか経っていない『e-tron』が最大50kW対応であることを思えば、ほんの1年で、日本でも電気自動車と急速充電に対する理解や考え方が大きく進んできたということでしょう。アウディ、またCHAdeMOは最大50kW対応となっている他の輸入高級EVメーカー各社にも、早急にマイナーチェンジなどの機会を作り、せめて90〜100kW対応にアップデートしていただくことを期待します。

一方、新型の2車種ともに150kW対応であることを発表したBMWですが、今のところ各地のディーラーに急速充電器は数カ所にしか設置されておらず、直営ショールームである『BMW Tokyo Bay』に設置されているのも90kW器。『iX』と『iX3』を購入したユーザーが、150kW急速充電の性能をフルに活かすことはできません。早々にオーダーして納車されたことを喜ぶオーナーさんに「で、どこで150kW充電できるの?」と突っ込まれたらどうするのか、ちょっと心配です。

テスラは独自規格でスーパーチャージャー網を拡げています。タイカンを導入したポルシェや、高出力対応のe-tron GTを発売したアウディなどは、オーナーのために150kW出力の充電インフラを整えていくことを表明しています。はたして、BMWはどうするのか。急速充電インフラにどう関わっていくのかも、近いうちに未来に向けた明るいニュースを期待したいところです。

写真は欧州仕様車。

ちなみに、iX3は公式情報をみても80kW対応と150kW対応という説明が混在しているので確認しようと思うのですが、広報部の電話が朝からずっと話し中のため未確認です。「改良後のモデルを日本発売」という情報があるので、おそらく、150kW対応だと思われます。

渋谷でのアンヴェールイベントは動画で視聴可能

冒頭で紹介したイベントでのプレゼンテーションで、遠藤氏は満を持して登場した電気自動車である『iX』と『iX3』によって(欧州などではすでに『i4』も発売されていますが)BMWが「持続可能な駆け抜ける歓び」を提供していくという決意を示しました。

渋谷でのイベントでアート作品を制作した安藤政信さん、レスリー・キーさん、佐々木香菜子さんらが出演するトークセッションを含めた、『iX』&『iX3』お披露目イベントの様子は、YouTubeの「BMW JAPAN」チャンネルにアーカイブされています。

【BMW】FEEL THE iX / iX3 @SHIBUYA~ 次世代モビリティに出会う。感じる。触れる。~

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)3件

    1. Brownie さま、コメントありがとうございます。

      はい。カタログだけなくプレスリリースにも80kWと明記されているのですが、昨日のプレゼンテーションでは150kWと明示されていたので、確認しているところ、です。
      判明次第、記事を修正なり追記なりします。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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