ポルシェ『タイカン ターボ』をPECで思い切りスピンさせてきました~150kWのQCも体験

木更津にオープンしたばかりのポルシェ・エクスペリエンスセンター東京。『Taycan Turbo』のドライビングプログラムで90分間、思う存分走ってきました。フル加速&急停止やスピン体験まで味わって。日本初設置の150kWケーブルで急速充電も試してみました。

ポルシェ『タイカン ターボ』をPECで思い切りスピンさせてきました~150kWのQCも体験

90分で6万5500円。はたして何が体感できるのか?

千葉県木更津市にオープンしたばかりの『ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(PEC)』。自らハンドルを握って2.1kmの周回コースやインフィールドに設けられたドライバー育成モジュールで、思う存分ポルシェを走らせる「ドライビングプログラム」に参加してきました。

PECとは、万全の整備を施して用意されたポルシェ最新モデルのスポーツ性能を、思う存分楽しめるフィールドです。ポルシェオーナーであっても、コースを貸切にでもしない限り(料金は確認していませんがコースの貸切は可能らしいです)マイカーを走らせることはできません。

今回私が体験した「ドライビング プログラム」は、マンツーマンでインストラクターのアドバイスを受けながら、90分間たっぷりとスポーツ走行の実践的な体験ができる内容です。料金は車種ごとに設定されていて、私はもちろん電気自動車の『Taycan Turbo』を選択しました。

■「ドライビング プログラム」料金

車種(コース)料金駆動方式/出力など
電気自動車
Taycan 4S51,700 円四輪駆動/390kW
Taycan Turbo60,500 円四輪駆動/500kW
エンジン車
718 Cayman T49,500 円後輪駆動/220kW
718 Cayman GTS 4.055,000 円後輪駆動/294kW
718 Boxster GTS 4.055,000 円後輪駆動/294kW
718 Cayman GT483,600 円後輪駆動/309kW
911 Carrera60,500 円後輪駆動/283kW
911 Carrera 460,500 円四輪駆動/283kW
911 Carrera S77,000 円後輪駆動/331kW
911 Turbo104,500 円四輪駆動/427kW
Panamera GTS55,000 円四輪駆動/353kW
Macan44,000 円四輪駆動/180kW
Macan S49,500 円四輪駆動/260kW
Cayenne Coupé49,500 円四輪駆動/250kW
Cayenne GTS60,500 円四輪駆動/338kW

このほか、ミッドシップの718 ケイマン GTS 4.0とリアエンジンの911 カレラを乗り比べる「Mid vs. Rear」(77,000円)や、911 カレラと911 カレラ4を乗り比べる「後輪駆動 vs. 4輪駆動」(77,000円)。カイエンでオフロードコースを体験する「Cayenne Off-Road」(49,500円)や、カイエンGTSでオンロードを、さらにオフロードパッケージを装着したカイエンでオフロードを楽しむ「Cayenne GTS / Cayenne Off-Road」(60,500円)などのコースがあります。

用意されているタイカンは、「4S」と「ターボ」が各2台ということでした。私が選んだ「ターボ」は4グレードあるタイカンの中で上から2番目のハイスペックモデルで、最高出力は500kW(680PS)、0-100km/h加速は3.2秒、新車価格は2037万円~という、昭和人間の感覚からすると、まごうことなきスーパーカーです。

ラインアップの中で新車価格がお手頃なマカンでも754万円〜、ケイマンTで842万円〜なので、いずれにしても高級スポーツカー。プログラムの料金は「大人の本気のアトラクション」といった感じで、決して安くはありません。

さらに、保険の車両や対物損害への免責100万円が20万円になる「安心パック」が5000円。私は加入したので、6万5500円を支払いました。

とはいえ、サーキットの走行会やドライビングレッスンなどに参加するにも数万円かかることは珍しくありません。90分間、思う存分ポルシェの最新マシンでスポーツ走行を楽しんで、インストラクターにマンツーマンでアドバイスを受けながらテクニックを磨けると考えれば、むしろお得と言えるかも。

というわけで、実際に普通のゲストとして予約を入れて料金を払って体験し、うれしかったポイントや、ちょっとした気付きをレポートしたいと思います。

「コークスクリュー」を思い通りに駆け抜ける快感!

コースを走るクルマへのゲストの乗車は安全のためドライバーのみに限定(デート気分で彼女を助手席や後部座席に、はできません)。コース内での写真撮影などはNGということで、今回はプレスではなく普通のゲストとしての参加だし、カメラはバッグにしまってトランクへ。なので、実際の写真がないのはご容赦ください。
(記事中のコース上走行写真はポルシェ提供の画像です)

まず、90分間のプログラムの率直な感想としては「満足!」そして「なるほど!」でした。

全長約2.1 kmのハンドリングトラックは、サーキットのような見た目ではありますが、コース幅やセーフティゾーンなどがサーキットより狭めの作りになっていて、オープニングイベントでキルシュ社長が説明した通り「制限速度や対向車がないワインディング」という印象でした。

コークスクリュー。

助手席のインストラクターさんは、筑波FJ1600選手権シリーズで年間チャンピオンに輝いたこともあるという元レーシングドライバーでした。アドバイスのポイントは、各コーナーに置かれた小さなパイロンを目印にしてスムーズにクリッピングを繋いでいく感覚や、的確なブレーキングで前荷重にしてのコーナリングと、立ち上がりのアクセルオンでトラクションを掛けていくスムーズな走りをすることでした。

私自身のスポーツ走行歴は、趣味でレーシングカートをやっていた時期があり、マニュアルのアルファロメオ155やEVスーパーセブン、日産リーフなどで筑波サーキットを何度か走った経験がある程度。いわゆる「アウト・イン・アウト」や「クリッピングを掴む」感覚は、まったくサーキットを走ったことはない人よりはできるかなといったレベルです。雪国育ちなので雪道ではたんまり遊んだし、昭和の若者として2TGのレビンとかで峠道のアタックもそれなりに楽しんだりした経験はありますが、誰かにきちんと教わったことはありません。

まあ、そこそこ走れるだろうという自信はありましたから、最初の数周は「タイムも計測してほしいな」とか「カルーセル(ニュルブルクリンクのカルーセルを再現したヘアピン)にもっと限界スピードで突っ込んでみたいな」なんて分不相応なことを考えながら走っていました。でも、ブレーキングやアクセルを開けるタイミングのアドバイスをもらいながら周回を重ねるうちに、自分が思い描いた通りのラインをスムーズに走り抜けることができた時の気持ちよさがじわじわと感じられるようになってきたのです。

どうせレースに出場するわけでもなく。このコースをスポーツ走行の速度でスムーズに走り抜けるテクニックを習得すれば、一般のワインディングでの走りもワンランク上がるだろうなと実感できました。

期待以上に面白かったのが「コークスクリュー(アメリカ・ラグナセカ名物、約15mの高低差を一気に下るS字シケイン)」でした。カルーセルを立ち上がってからのコース取りとブレーキングがポイントで、しっかり前荷重を掛けてコークスクリューに突入。スムーズに下りきってアクセルを思い切り開けるのは、快感! でした。

「ローンチコントロール」のフル加速も体験

ダイナミックエリア。

インフィールドのドライビングモジュールも面白かったです。ことに印象的だったのが、スプリンクラーで水を撒いた低摩擦コンクリートの円周コースで、アンダーステアやオーバーステアをコントロールする感覚を体験する「ドリフトサークル」と、舗装された広大なエリアで、フル加速やフルブレーキング、ジムカーナ的な走行を体験する「ダイナミックエリア」です。

四輪駆動で高度な姿勢制御システムを搭載したタイカンなので、極度に滑りやすい路面の「ドリフトサークル」でも、ちょっとしたアクセルワークだけでそれほどドリフトさえすることもなく円を描く走りが楽しめました。その後、インストラクターさんが「姿勢制御なしにしてみましょうか」とスイッチをオフ。すると、クルマの動きが一変してカウンターステアのスリルを満喫。さらに、またとない機会なので少し荒っぽくアクセルを踏み「安全にタイカンターボでスピン!」を体感しちゃいました。2000万円オーバーのポルシェでスピンって、私の生涯一度きりのエキサイティングな体験になるかも知れません。

そして、ポルシェの「ローンチコントロール」機能をご存じでしょうか。高性能スポーツカーでフル加速をといっても、素人ドライバーが限界いっぱいまでアクセルを踏み込むのはなかなか至難。でも、ローンチコントロール機能を使えば、マシンが勝手にフル加速してくれちゃうのです。「ダイナミックエリア」でのフル加速体験は私が楽しみにしていたコンテンツのひとつだったので、もちろん自分の足での加速を何度も楽しんだのですが。タイカン任せで、まさにロケット発射! のように飛び出すフル加速はこれまた快感。あとでインストラクターの方に「笑っちゃってましたね」と指摘されちゃうほどの楽しさでした。

また、フル加速した後のフルブレーキングも、公道などで試すのは危険です。おそらく、さまざまな電子制御の恩恵だと思うのですが、フルブレーキングしてもタイカンの挙動が滑らかだったのは貴重な気付きでした。

タイカンと911の乗り比べコースがあるといいかも

ドライビングプログラムは、午前2枠午後2枠(日によって変更もあるようです)の完全予約制。私が行ったのは平日でしたが、同じ時間帯に走る方が10人以上集まっていたのもちょっと驚きでした。定員は15名程度に設定しているそうです。

90分間の内容はインストラクターと相談しながら希望に応じて組み立てるので、私はハンドリングトラックの周回と、ダイナミックエリアでの加速&ブレーキングを多めに体験したいと希望しました。とはいえ、10台以上のマシンが同時にコースに出るので、ダイナミックエリアに数台の行列ができていて「時間がもったいないので先にドリフトサークルへ行きましょう」なんてこともありました。

ハンドリングトラックの最初の1周はコース習熟のために左のラインに沿って速度控えめで走ります。2周目以降は自由に攻めてOKですが、コース内は追い越し禁止。コースに入ったばかりのクルマに詰まってしまうこともあるし、「目一杯速く走る」というよりも「速くスムーズに走る」テクニックを学び磨くチャンスと考えておくのが良さそうです。

ともあれ、90分という時間は思った以上にたっぷりです。私も最後は少し疲れを感じたので、5分ほど残してピットに帰還。無理をお願いして、日本で初めて登場した150kWケーブルでの急速充電を試してみることにしました。

インストラクターさんがオフィスに相談に行ってくれて無事に許可。さて、どのくらいの出力で充電できるかとワクワクしながらQCを始めたのですが……。

あんなに周回コースをぐるぐるして、何度もフル加速を楽しんだのに、タイカンターボのバッテリーSOCはまだ88%も残っていて。出力65kWしか出ませんでした。まあ、150kWを初めて使えただけでも貴重な体験でした。

ともあれ大満足の90分間。エンジンモデルでは「Mid vs. Rear」や「後輪駆動 vs. 4輪駆動」という乗り比べコースが設定されています。タイカンと911で「BEV vs. ICE」を乗り比べるコースができたら、また奮発して行っちゃうかも知れません。

名前入りのプレートはゲストへのプレゼント

最後に、PECドライビングプログラムを実際に体験してみたTIPSを紹介しておきます。

私はマイカーの30kWhリーフで行きました。自宅とPECを無充電で往復するのはギリギリです。でも、PECの駐車場にはポルシェターボチャージャー(急速充電器)が1基と、8台分の普通充電器が完備されています。ポルシェターボチャージャーは原則としてポルシェ(タイカン)オーナーのみに向けたサービスですが、普通充電プラグの規格は同じ。確認するとポルシェじゃなくても使っていいということなので、ありがたく充電させていただきました。充電料金は無料。おかげで、海ほたるに寄り道することなく帰宅することができました。

なるほどなぁ、と感じ、思いのほかうれしかったのが、受付すると予約した車種名と私の名前がプリントされたパスが用意されていたことでした。いい記念になります。ゲストの中には1人で2枚のパスを掛けている方もいて。好奇心全開で「2台乗るんですか?」と尋ねると「ドライビングプログラムは1台だけど、シミュレーターも予約してるから」とのこと。シミュレーターの予約でも名前入りパスを用意してくれるんですね。

この日も、ご夫婦や恋人同士らしきカップルの姿がちらほら。でも、前述したようにドライビングプログラムでコースに出るクルマに乗れるのは1人だけ。2人で楽しむには、それぞれ申し込んで別々のクルマを運転することになります。助手席に彼女を乗せて、オレのドラテクを見せてやる! はできないので注意してください。

あと、1階にある『The 956 Café』はドリンクやサンドイッチなどを気軽に楽しむことができますが、2階にあるダイニング『Restaurant 906』は完全予約制です。私はこのレストランでランチをいただくつもりだったんですけど、うっかり予約しておらず。諦めきれず足を運んで「予約なしじゃダメですか?」と確認したけどダメでした。

やむを得ず、Googleマップで近くの美味しそうな食堂を検索。『大衆食堂とみ』というちょっとワイルドな店で串カツライス(850円)をいただきました。PECとは別世界になってしまいましたが、ボリューム満点で美味しかったです。

結論として、十二分に6万円の価値ある時間を過ごすことができました。スポーツ走行に興味があるとか、一度はポルシェを思いきり走らせてみたいという方、オススメです。レストランだけじゃなく、ドライビングプログラムはもちろん要予約なので、公式サイトから予約してチャレンジしてみてくださいね。

【施設紹介&予約はこちら】
PORSCHE EXPERIENCE CENTER TOKYO

(取材・文/寄本 好則)

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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