搭載するバッテリー容量が35.5kWhと小さい電気自動車のHonda eで「つぎはぎ日本一周」にチャレンジする企画の第3日。都道府県単位で各地を訪ねる計画ですが、選んだのは初回の千葉県とつながる茨城県。県南部の景勝地を巡ります。
今さら気付いた「みだれ打ち」の難しさ

千葉県からスタートした日本一周。一気に回るのは無理なので「みだれ打ち(不規則な区切り打ち)」にしたのですが、今さらながら気づいたことが。日程的には楽ちんでも、距離的には面倒が増えそうです。単純な話、日本一周ルートには入らない往復のアプローチが必要になるわけです。東京都内の自宅から茨城県境まではノーカウントということですね。
茨城へ向かうのに、千葉編での最後の立ち寄り&充電スポットだった成田国際空港を経由しました。周遊前にしっかりチャージできるし、妥当なルート設定です。でも茨城県境で、東京都内の自宅からの距離97.8kmを示すトリップメーターをリセットしながら、あれれ、と。
今回は約100kmだったけど、このアプローチはどんどん長くなっていくわけだよね。いずれ九州や北海道になったら……いやいや、先のことを考えるのはまだ早い。旅は始まったばかりです。
風車の音を聴きながら電気のことを考えた

最初に目指したのは、神栖市の「1000人画廊」です。県の東南端にあたります。防波堤の壁面に一般公募で選ばれた市民が絵を描いています。取り組み自体はそう珍しいものではありませんが、フォトジェニックなのは背景に立ち並ぶ巨大な風車群とのツーショット。最初の「EV×絶景」スポットとして訪ねてみました。
鹿島灘(太平洋)に面した神栖市は、風力発電の適地だそうです。市のHPによると、28基の風力発電施設があって総発電出力は56,500kW(2025年11月現在)。単位が大きすぎてよくわかりませんが、中規模の火力発電所ひとつ分ぐらいだとか。風力だけでそんなに作れるんですね。
「電力」という社会インフラについていろいろ考えるようになったのは、東日本大震災がきっかけです。その後、EVに乗るようになって、関心はますます高まっています。
EVシフトによって温室効果ガスを抑制することは、カーボンニュートラルを達成するために大切な戦略のひとつですが、電力を再生可能エネルギーへ転換することも大事です。石炭や石油を燃やすかわりに、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどで発電すれば、その分だけ温室効果ガスの削減は進みます。
中長期的にはエネルギー自給率を上げることにつながるでしょう。メガソーラー建設のために森林を伐採したりすることには違和感を覚えますし、風力発電にも、騒音や耐久性など、解決すべき課題はあるものの、再エネ拡大に取り組むことはきっと次世代のためになるはずです。そんなこんなで、風力発電所の風車がぐるんぐるん、と回っているのを見ると、なんだか気分が良くなります。

あと、ダムとか吊り橋とか、たいていの巨大建造物が好きで、とくに自然の中にどかん、と作られたやつが好みなので、風力発電所もマイフェイバリット。そのうちに風力からダイレクトにチャージできるような充電スタンドを作ってもらいたいものです。もしできたら、多少遠回りになっても立ち寄ります。
ランチ中に普通充電器でちょい足し充電

風車群を満喫してからドライブをスタート。県南の名所として欠かせないのが日本三大神宮とも呼ばれる鹿島神宮。ここは旅の安全を祈願する神社でもあります。写真は西の一之鳥居で撮影。水上鳥居として日本最大級だそうです。
出発が遅かったので2カ所巡ったところでお昼時。和食ファミレス「ばんどう太郎」を探しました。茨城を中心に北関東エリアに店舗がある地元系レストランチェーンです。検索してみたら鹿嶋店が近かったので、そこを目指します。

地元の味を楽しみたいのに加えて、普通充電器が設置されているのが決め手。食事中のちょい足し充電は、EVドライブの楽しみです。自分が食事をしている間にマイカーもチャージしているというのがなんかうれしい。それと「いま充電中」だと、気持ちが焦らないんですよね。注文したものがなかなか出てこなかったり、混んでいて入店待ちだったりしても平気です。今回はすんなり入店できたし、食事も待たされませんでしたけど。
駐車場に設置されていたのはDMM EVの6kW充電器。専用アプリでQRコードを読み込んで充電スタートする方式です。何度か使ったことがあるので、迷うことはありません。今回は約50分で4.9kWh充電。走行距離は45km分ぐらい伸びたことになります。
昼食後に向かったのは牛久大仏です。全長120m。ずいぶん離れたところから見えてきますが、スケール感がズレてしまうほどの大きさです。これも一種の巨大建造物ですね。青銅製仏像として世界最大。

山登りの前にパワーエックスで急速充電

続いて霞ヶ浦。日本で二番目に大きい湖ですね。湖岸沿いの道路は1.5車線で対向車には要注意ですが、交通量が少ないので快適に走れます。広い風景をのんびり楽しんだら、筑波山に向かいます。

山に登る前に、BMW / MINIつくばのパワーエックスでしっかりチャージ。従量料金制なのがありがたいです。Honda eの充電速度は最大50kW程度で、気温などの条件にも左右されますがバッテリー残量(SOC)が70%を超えるとかなり低下して20kW前後でしか入らなくなります。なので時間料金制だと、どんどんコスパが悪くなってしまうのです。
その点、充電した電力量だけ支払う従量料金制は合理的。今回の旅でも、千葉編から急速充電5回のうち4回がパワーエックスという高頻度。すっかりパワーエックス頼りの様相です。筆者はファースト会員(月額900円)なので30分縛りもなくて、3日前から予約もできちゃいます。さすがにそんなに早く予約したことはありませんが、ドライブ中にポチッとすれば充電渋滞の心配をする必要もありません。この先もお世話になりそうです。
ほぼ満充電の96%にしてから筑波山を登ります。筆者は関西出身で、約20年前に東京で暮らし始めたころの違和感が「山が見えない」ことでした。関東平野が広すぎて、ポツンと遠くに眺められる富士山と筑波山が目立ちます。
じつはそれほどの高山ではない(877m)のに、筑波山が古くから霊山とされてきたのは、そういう存在感の強さからでしょう。ケーブルカーやロープウェイがあって気軽にアプローチできますし、筆者も子連れで何度も登っています。

今回は参拝や登山は省略。展望を求めてロープウェイ乗り場のあるつつじヶ丘駐車場まで登りました。県道236号(筑波スカイライン)を走っている途中で、空が色づいてきたので、目についた駐車場に車を停めます。紫やオレンジ、ピンク、青を混ぜ合わせた複雑なグラデーションが空に広がっていきます。山中のマジックアワー。絶景でした。
明日は、夜明け前に訪ねたい場所があったので、スマホで宿を予約。すっかり暗くなったスカイラインを下って、再び海岸線をめざします。
みだれ打ち日本一周の記録③
<充電スポット>
【05】成田国際空港第1ターミナル駐車場/42%→87%(25分)
【06】ばんどう太郎鹿嶋店/51%→66%(49分)
【07】BMW / MINIつくば/25%→96%(45分)
<走行距離>
茨城県内 248.5km/アプローチ 97.8km/総計:939.6km(3日間)
<茨城編の平均電費>
9.4km/kWh
取材・文/篠原知存






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