高速道路のEV用急速充電スポットがとても便利になったことは、先日「VISON」のレポートでもお伝えしました。一方で、e-Mobility Powerの「ビジター利用料金」が高くなり……。ビジターの場合「高速を下りて充電するほうがお得だよね?」を実践検証。利便は変わらず「30分間で660円」の節約になりました。
スズキ「eビターラ」で浜松へ日帰り取材
2026年5月某日、静岡県浜松市へ日帰り取材に行く機会がありました。EVsmartブログ著者陣のジャーナリスト、諸星陽一さんと一緒に、スズキ初の電気自動車「eビターラ Z 4WD」の長距離試乗を兼ねた日帰り取材です。

駿河湾沼津SAにて。この写真を撮ってクルマを一般駐車区画に移動。トイレ休憩だけで先を急ぎました。
eビターラ Z 4WDのバッテリー容量は61kWh。カタログスペックの一充電走行距離(WLTCモード)は472kmです。同行したジャーナリストの諸星陽一さんに広報車手配をお願いし、諸星さんは自宅充電ができないこともあって、東京出発時のバッテリー残量(SOC)は89%。メーター表示の航続可能距離は「337km」でした。新東名浜松SA(下り)までの距離は約230km、取材先はSAのスマートインターから10kmほどだから、余裕をもって走破は可能。帰りのこともあるから「少し早めに到着してどこかで急速充電しておこう」という計画です。
スズキの充電カードで高速SAPAの充電器は認証不可
ここから、少しややこしい話をします。まず、スズキでは初めての市販電気自動車であるeビターラの発売に合わせて「スズキ充電サービス」を開始。今回の広報車にも充電カードが用意されていました。でも、スズキの充電カードは「エコQ電に対応している公共充電器をご利用いただけます」となっていて、高速道路SAPAの充電器の大半を占めるe-Mobility Power(eMP)とは非連携。eMPの充電器は「ビジター充電」で利用することになります(関連記事)。
このビジター充電が曲者で、充電の度にクレジットカード番号の入力が必要といった手間が掛かるのが現状(eMPでも改善を検討中とのこと)です。
同じeMPの充電器でも高速道路は割高
さらに、3月の記事でご紹介したように、eMPでは「kWh課金」導入とともに高速道路の充電料金を改訂しました。簡潔にいうと、eMPの同じ出力の急速充電器であっても、一般道より高速道路での充電が割高になりました。

eMP公式サイトより引用。
eビターラの急速充電性能は「おおむね最大90kW」です。たとえば、出力90kWの急速充電器を利用する場合、上の表では「50kW超〜100kW以下」に該当するので、一般道は「77円/分」に対して、高速道路では「99円/分」になります。
8口がズラリと並んだ浜松SAの充電スポットには感謝しています。でも、スマートインターチェンジから高速を出て、近くに急速充電スポットがあれば、充電料金を抑えることができるじゃないか! という当然の事実に気付き、実践してみることにしたのでした。
SAから約5kmのeMPスポットで快適に充電

浜松SA。充電器は左折の案内看板をスルーしてETC出口へ。
EV充電エネチェンジのアプリで浜松SA付近の急速充電器を検索してみると、案の定、結構な数があります。今回は出力90kWを優先条件と考えて、SAから5km弱の距離にある「カインズ浜松都田テクノ店」の充電器を選択しました。

写真奥側の入り口から駐車場に入ると、案内看板などもなく充電器の場所が見つけにくかったです。南側の入り口脇にあります。
念のため、スズキの充電カードをかざしてみると、このように「認証エラー」が表示されて充電できません。

ビジター充電を始めるには、スマホで充電器に表示されているQRコードを読み込んでウェブサイトにアクセス。プロフィールとクレジットカード番号を入力します。

実は、私は日産ZESP3(eMP連携)の会員で、ビジター充電は長年ほとんどやったことがありません。10年前にはもっと面倒でもあったので、進歩の過程ということなのでしょうが、やっぱり、激しく面倒臭いです。
ともあれ、無事に充電できて、30分間でSOCは13%から61%まで回復しました。90kW器で30分間の充電ですから、一般道の充電器を使った今回のビジター利用料金は「77円×30分=2,310円」です。もし、浜松SA(高速道路)で充電していたら「99円×30分=2,970円」なので、660円節約できたことになります。
ちなみに、SOCから概算すると充電電力量は約29.3kWh。従量課金に換算すると「約79円/kWh」でした。eMPが対応を進めている「kWh課金」(対応充電器のビジター充電のみ)では一般道が「110円/kWh」なので、それよりは安上がりでした。
カインズの充電器は取材先に向かう(ほぼ)ルート上にあったしスマートインターからの距離も近かったので、SAで充電するのと利便性は変わりませんでした。ロングドライブ時の急速充電はなんといっても高速道路SAPAで済ませるのが楽ちんではありますが、eMP連携の充電カードを所有していないケースでは「高速を下りてから充電する」のもひとつの賢明な選択肢であることを実感できました。
ついでに、ENEOSチャージプラスで追加充電

近くの中華料理店でランチを済ませ、集合時間までまだ少し余裕があったので、取材先近くの「ENEOSチャージプラス」の急速充電器を利用してみました。ENEOSチャージプラスの急速充電器はおおむね最大出力が50kWではあるものの、独自の会員料金のほかに多彩な認証&決済システムに対応しているのが特長です。

スズキ充電カード(エコQ電連携)で無事に認証されて充電がスタート。充電器の表示によると30分間で20.554kWhを充電。60%だったSOCは東京まで余裕の無充電で走り切れる93%になりました。
ところで、今回充電したのは「ENEOS 浜松赤松坂SS」だったのですが、「エコQ電カードが使えるスポットを探してみよう」と思い立って検索したら、ENEOSチャージプラスの急速充電スポットがものすごく増えてて驚きました。

公式サイトから引用。
「Mercedes-Benz Charging Hub」で締めくくり充電

東京への帰着時にもSOCは30%ほどあって、翌日の車両返却にも十分ではあったのですが……。自宅の近くに開設されたのは知っていたものの、まだ利用したことがなかった「Mercedes-Benz Charging Hub 駒沢」で締めくくりの充電をしておきました。Mercedes-Benz Charging Hub はメルセデス・ベンツが独自展開するハイパワー急速充電ネットワークで、パワーエックス製の独自充電器を採用しています(関連記事)。

さすがはメルセデス・ベンツ(MB)、なんといっても充電器がカッコいいのが特長です。しかも、デザインがおしゃれなばかりでなく、ケーブルが吊り下げ式(そのデザインもカッコいい)になっていたり、液晶表示が大きくて充電中の電圧値、電流値、出力、充電電力量などをわかりやすく確認できます。
MBの充電カードをもっている、つまりMBのEVオーナー向けの施設ではありますが、他社EVのビジターもパワーエックスアプリで利用可能。アプリからのビジター利用料金は「100円/kWh」とややお高めではありますが、利用するだけでちょっとセレブ感を味わえる充電スポットなのでした。

お試しで5kWhだけ充電しようと思っていたのに、撮影などしていてうっかり超過。充電器表示は5.68kWhの充電電力量になっていますが、アプリで確認した充電量は5.67kWh、請求額は567円(税込)でした。
個人的には日産「ZESP3」の契約を保持する決断
前述のように、私は以前リーフオーナーだったこともあり、日産の充電カードサービスである「ZESP3」の会員です。今はEVをヒョンデに乗り換えたけど、加入した当時は他社EVでもOKで、2023年5月末までは私が利用している「プレミアム100」のプランで、月額4,400円が2,750円になる「3年定期割引」が利用できました。
その後、他社EVでの加入はNGとなり、3年定期割引も廃止。私の契約はこの5月末で自動更新になるのですが、月額料金は割引なしの4,400円になります。
ここで悩んだのが「ZESP3の契約を続けるかどうか」でした。「プレミアム100」のプランには、「100分/月」の急速充電と「600分/月」の普通充電料金が含まれています。とはいえ、自宅にはEV充電用のコンセントがあり、30kWhのリーフから48.6kWhのコナに乗り換えてから外で急速充電する機会が激減。GWやお盆など遠出が重なる季節を除くと、毎月100分の急速充電枠を消費するのに四苦八苦という実状だったからです。
「eMP認証を利用しないロングドライブ」を実践してみたのは、eMPのビジター充電や他社サービスの急速充電だけでEVライフを送るかどうか、判断するためのお試しでもありました。
今回のレポートに登場したエコQ電、ENEOSチャージプラス、Mercedes-Benz Charging Hubをはじめ、パワーエックス、Audi charging hub、フラッシュなど、eMP以外の急速充電サービスのネットワークが拡充されています。
とはいえ、eMP連携しているZESP3の会員であれば、高速道路SAPAに設置されているeMPの急速充電器を、出力に関係なく割安(詳しく説明すると長くなるので割愛するけど、プレミアム100の定額超過分は「44円/分」。eMPの会員料金は「27.5円/分」)な会員料金で利用することができます。
月額料金が1,650円高くなるのが少々気がかりではあるものの、高速道路の150kWをビジター料金の「121円/分」で1回30分使うとそれだけで3,630円になってしまいます。さらに、ビジター料金としては最安である一般道50kW器のビジター料金「55円/分」で計算しても、プレミアム100のプランに付帯している100分間の急速充電料金は5,500円です。
ということで、私としては3年定期契約満了後も日産ZESP3を継続することを決断した次第です。他社EVのオーナーになってしまった今でも契約を自動更新してくれるのは、日産のご厚意と感じて、深く感謝しています。
それにしても、EV充電の仕組みはやっぱりややこしいですね。この日、3回の急速充電で3種類のアプリ(専用サイト含む)を使いました。
これからEVオーナーが激増する時代に向けて、わかりやすく、使いやすい充電サービスに進化していくことを期待しています。
参考/e-Mobility Power会員料金

eMP会員の月額料金4,180円を高く感じて充電カードをもたないEVユーザーが増えているとも聞き及んでいます。会員数が1/4になってしまうより、たとえば、月額を1/4の1,000円にして会員数が4倍(充電器の稼働率も上がるはず!)になったほうが、みんなハッピーだと思うのですが……。
取材・文/寄本好則






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