「EVは航続距離が不安」という方はまだ多いはず。でも、日本のEVは進化しています。カーライフエッセイストの吉田由美さんが一充電走行距離「670km」の新型リーフB7Gに約一週間試乗。横浜や都内中心のドライブで一度も充電が必要なかった便利さ実感レポートです。
世界のEV普及を牽引してきた日産リーフ
2010年、日産リーフは量産型電気自動車(EV)のパイオニアとして誕生し、2025年に登場した3代目に至るまで、EVの普及を牽引してきました!
初代リーフは、「ゼロ・エミッション社会の実現」を掲げて颯爽とデビュー。丸みを帯びたデザインと、5人の大人がしっかりと乗れるパッケージングが特徴で、バッテリーの電力を住宅に供給する「Vehicle to Home(V2H)」を世界に先駆けて導入するなど、クルマが移動手段以上の価値を持つことを提案しました。
2017年に登場した2代目リーフは、日産の先進技術「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」を象徴し、自動運転技術の「プロパイロット」や、アクセルペダルのみで加減速できる「e-Pedal」が搭載され、2020年にはグローバルで累計販売台数50万台を達成。
そして2025年に登場した3代目リーフ。2026年1月には55kWhのバッテリーを搭載するエントリーモデル「B5」グレードが追加となり、本年3月からデリバリー開始。
今回は搭載するバッテリー容量が78kWhの「B7G」に、8日間(実質6日間)試乗しました。
3代目新型リーフはEV性能が大きく進化

3代目リーフは、15年間のEV開発で培った知見を投入し、「アリア譲りのEV専用プラットフォーム」と「進化した熱マネージメント」によって、2代目までの弱点を克服したことをアピール。
おもな技術的進化は4つ。
まずは、アリアと同じEV専用のプラットフォーム「CMF-EVプラットフォーム」を採用し、バッテリーを床下に効率よく配置して、足元の出っ張りがない広々とした室内に。また、車体のねじり剛性が86%向上し、ステアリングの応答性や乗り心地も向上。

2つ目は、「統合熱マネージメントシステム」の搭載で、モーターや車載充電器から出る排熱をバッテリーの加温や暖房に再利用したり、ナビとの連動によって目的地に急速充電器を設定すると、到着に合わせてバッテリーを最適な温度に自動調整、外気温を問わず最大急速充電性能の150kWを発揮してくれる(バッテリー残量などの状況によって受け入れ可能な充電出力は変動します)ようになりました。

3つ目は、モーター、インバーター、減速機を一体化した最新ユニット新開発「3-in-1 EVパワートレイン」を搭載したこと。ユニットを10%小型化しつつ、最大トルク355Nmの力強い加速を実現、しかも振動を75%低減させています。
そして4つ目は、次世代運転支援「プロパイロット2.0」(オプション)によって、高速道路でのハンズオフが可能に。また、ナビにGoogleマップを標準搭載し、充電状況の空き情報や、バッテリー残量を考慮したルート案内がスムーズになりました。
エクステリアは従来のハッチバックから大きく方向転換し、SUVテイストを取り入れたクロスオーバーへとスタイリッシュに大変身!
全長4360mm、全幅1850 mm、全高1625mm 。2代目と比較すると、全幅は+60mm、全高も+85mm拡大していますが、全長は-120mmのサイズダウン。全体的に「大きくなったな~」という印象ですが、全長はむしろコンパクトになって扱いやすさを維持しつつも、見た目的にはダイナミックに。
全幅と全高が大きくなったことで、SUVらしい力強いシルエットとなり、視界も高くなって運転もしやすくなっています。全長が短くなったことで、都市部での駐車や狭い道での運転がさらにスムーズになり、ホイールベースが+75mm伸びたため、とくに後席の足もとの空間が広くなっています。
Cd値0.26と空力性能も高く、高速域での伸びの良さを感じたのはそのせいかも。
一充電走行距離がすごく増えました
そして、なんといってもうれしいのが「一充電走行距離」の進化です。新型リーフにはバッテリー容量78kWhの「B7」と、55kWhの「B5」という2グレードが用意されています。各グレード別のカタログスペック(WLTC)一充電走行距離はこんな感じです。
●B7 X:702km(687km)
●B7 G:685km(670km)
●B5 S:521km
●B5 X:469km(461km)
●B5 G:469km(461km)
※( )はプロパイロット 2.0装備車。
B7 Xはなんと700km以上。バッテリーが小さいB5でも460km以上です。「これなら安心」ですね。
いい機会だから「8日間無充電」を目指してみます!

とはいえ、我が家は試乗車用の駐車スペースはあるものの、普通充電設備はありません。当然、EVを試乗で借りると、ほとんどすべての充電は外部での急速充電器を利用しています。
今回の試乗車はB7 Gなので一充電走行距離のスペックは670km。試乗中に遠出する予定は入ってないし、もしかすると「充電しなくても大丈夫かもしれない」と気がつきました。というわけで、今回は約8日間、普段使いをしつつ、無充電を目指します!
【1日目】
横浜の日産グローバル本社でピックアップして横浜市内の自宅へ。
【2日目】
横浜~表参道(往復約60km/一般道)
自宅駐車場から静かにスタート。最初の印象は、とにかく滑らか。アクセルに足を乗せた瞬間から、モーター特有のトルクがスッと立ち上がってスマート。
市街地ではe-Pedal(ワンペダル)が大活躍。一般道のルートを選んだので信号は多いですが、アクセル操作で減速をコントロールできるので、運転がシンプルになります。ブレーキに足を移す回数が減ることで、自然とリズムカルに。表参道に着く頃には、この車の静けさにすっかり魅了されていました。外界の音が完全に遮断されているわけではありませんが、和らぐ感じで、居心地がいい。
【3日目】
横浜~東京・麻布台(往復約60km/一般道)
この日は、少し交通量の多い時間帯の走行ですが、ストップ&ゴーが続く中で、新型リーフの完成度の高さを実感。とくに印象的だったのは回生ブレーキの自然さ。アクセルオフの時の減速Gが滑らか。ありがちな「カックン」という挙動がなく、ドライバーの意思に沿って減速してくれます。
車内では、横に広がるディスプレイが見やすくて◎。エネルギーフローやバッテリー残量などは直感で操作できるので、自分の電費がわかりやすい。
表参道のような都会的な風景にも、新型リーフのクリーンなデザインは似合います。主張し過ぎないのに洗練されている、そんな佇まいです。
【4日目】
横浜~横須賀(往復約50km/一般道)
この日感じたのは、低重心の恩恵。78kWhのバッテリーを床下に搭載していることで、コーナリング時の安定感がいい! ロールも抑えられ、車体の動きがフラット。ステアリングの応答も自然で、切った分だけ素直にノーズが向きを変える感じ。前輪駆動ですが、フロントの入りが自然~。
乗り心地も、改めて完成度の高さを実感。細かな凹凸をしなやかにいなしつつ、大きな入力はすぐに収まります。優しい足回りで、長距離も疲れにくそう。
【5日目】
横浜~東京・六本木(往復約55km/一般道)
この日、帰りは夜のドライブ。改めて感じたのは、静粛性の高さと空間の上質さ。ロードノイズや外の音はしっかり遮断されています。
そうそう。オプションの調光パノラミックルーフが、この時間帯には特に印象的。光の入り方をコントロールすることで、車内の雰囲気がガラリと変わります。東京タワーをガラスルーフ越しに見上げるのも楽しい。装備というより「空間演出アイテム」。時間を楽しむツールですね。
【6日目、7日目】
この車に乗らず
【8日目】
大黒PA経由 日産グローバル本社ビルへ返却
試乗した広報車の返却時には洗車が必須。私はなるべく自分で洗車するようにしています。そうすると、車のデザインへの気付きがあったり、傷などの発見ができるので。改めて見ると、リアがちょっとだけ高くダックテールになっていて、後ろからのデザインもカッコいい。

そして最終日は、高速道路での走りをチェック。合流でアクセルを踏み込むと、モーターの力強さが一気に立ち上がり、加速もスムーズ。息継ぎがなくて気持ちいい~。
巡行に入ると、Cd値0.26の空力の高さが効いてきます。速度が上がっても空気の抵抗感が少なく、静かにスピードを維持できます。風切り音も抑えられ、長距離でも疲労が少なそうと感じました。
「航続距離への不安」を克服していることを実感
新型リーフとの約一週間。合計308km走行し、バッテリー残量は65%減って35%になりました。メーター表示の航続可能距離としては「345km」分の電力を使用。平均電費は5.9km/kWhでした。
というわけで、目標通り充電の出番はなし。余裕で無充電でした。そして、まだまだイケる! という事実に、新型リーフは航続距離への不安を克服していることを実感。都市部の一般的な自動車ユーザーの日常使いであれば、バッテリーが小さいB5(軽いから電費は良くなるはず)でも「充電は週に一度でOK」という方がほとんどではないかと思います。
新型リーフはよくできた「日常車」でした! そして、ちゃんと楽しい! 最上級グレードであるB7 Gの価格は599万9400円(税込)+オプション価格。B5の普及版であるSグレードなら、438万9000円(税込)〜です。129万円(2026年5月現在)のCEV補助金を活用すれば、実質約310万円で新型リーフが手に入ります。

取材・文/吉田由美






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