クーパーは10年ぶりのフルモデルチェンジ
2024年3月1日、BMWジャパンが日本におけるMINIの量産モデルとしては初となる電気自動車を発表した。まず、プレミアムコンパクトの「クーパー」に『MINI Cooper E 3 Door』と『MINI Cooper SE 3 Door』の2モデル。そして、「カントリーマン」にも『MINI Countryman E』と『MINI Countryman SE ALL4』の2モデルを導入。一気に4モデルのEVをラインナップする。納車は2024年第二四半期以降を予定。
MINIの原点ともいえる3ドアハッチバックの「クーパー」は、日本では10年ぶりのフルモデルチェンジ。日本でも人気が高いブランドである「MINI」は、輸入車のモデル別販売台数で2016年から8年連続でトップを快走中。欧州ではすでに2019年からEVモデルを発売して、ブランドの主力ともなる人気を得ていたが、これからは従来のエンジン車に加えて、いよいよ日本でもEVのMINIが選べるようになる。
発表会ではBMW株式会社営業部長の山口智之氏が「MINIと電動の相性のよさ」を挙げ、何年か後には「MINIは電動がベストと言われるようになると感じている」ことを強調した。
魅力的なEVの選択肢が登場
駆動用バッテリーの容量は、クーパー「E」が40.7kWh、「SE」が54.2kWh。カントリーマンは66.45kWhと大容量になる。価格はクーパーで463万円〜。コンパクトな欧州ブランドのEVとして日本では先行しているプジョーe208(50kWh)が約512万円〜、フィアット500e(42kWh)が553万円である。決して安いクルマではないが、日本で購入できる魅力的なEVの選択肢が加わったといえる。
ルノーが名車「5」をEVで復活させるのは既報(関連記事)の通り。日本のちまたでは欧州のEVシフトが停滞といった論調もあるが、普及の軸となるべきコンパクトなEV車種が着実に充実しつつある。とりわけ、MINIは日本市場でも強力なブランドなので、反響に期待したい。
各EVモデルの仕様などをまとめておく。
MINIクーパー | MINI カントリーマン | |||
---|---|---|---|---|
E 3 Door | SE 3 Door | E | SE ALL4 | |
全長 | 3,860mm | ← | 4,445mm | ← |
全幅 | 1,755mm | ← | 1,845mm | ← |
全高 | 1,460mm | ← | 1,640mm | ← |
ホイールベース | 2,525mm | ← | 2,690mm | ← |
乗車定員 | 4名 | ← | 5名 | ← |
バッテリー 総電力量(容量) | 40.7kWh | 54.2kWh | 66.45kWh | ← |
一充電走行距離 (欧州参考値) | 305km | 402km | 462km | 433km |
一充電走行距離 (EPA換算推計値) | 約272km | 約359km | 約412km | 約386km |
最高出力(前) | 135kW(184PS) | 160kW(218PS) | 150kW(204PS) | 約140kW(190PS) |
最高出力(後) | - | - | - | 約140kW(190PS) |
最大トルク(前) | 290Nm(約29.6kgm) | 330Nm(約33.7kgm) | 250Nm(約25.5kgm) | 247Nm(約25.2kgm) |
最大トルク(後) | - | - | - | 247Nm(約25.2kgm) |
システム出力 | - | - | - | 225kW(約306PS) |
システムトルク | - | - | - | 494Nm(約50.4kgm) |
モーター数 | 前1基 | 前1基 | 前1基 | 前1基、後1基 |
駆動方式 | FWD(前輪駆動) | FWD(前輪駆動) | FWD(前輪駆動) | AWD(全輪駆動) |
タイヤサイズ(前後) | 195/60R16 | 205/50R17 | 205/65R17 | 225/55R18 |
荷室容量 | 210-800L | ← | 505-1,530L | ← |
0-100km/h加速 | 7.3秒 | 6.7秒 | - | 5.6秒 |
車両本体価格 | 463万円 | 531万円 | 593万円 | 662万円 |
仕様はすべて欧州仕様の参考値である。一充電走行距離は欧州のWLTP値だと思うので、より実用に近いEPA換算の推計値を併記した。
充電性能は、普通充電が最大11kW、急速充電は最大130kWに対応している。これも欧州値なので、日本でどうなるかは未知数であるものの、日本国内の高速道路SAPAなどに増えつつある90〜150kW器の恩恵を十分に引き出せる性能になることが期待できる。このあたりは、i3以来、着実に市販EVモデルを重ねてきたBMWグループのEVというアドバンテージもあるので、信頼感は高いだろう。
また、詳細はわからないものの、外部給電機能(V2X)を搭載し、国のCEV補助金では車種別の最高額である85万円(2023年度の場合。給電機能付きで型式認定を取得した車種への補助金額)となることが説明された。
併せて、全国の認定MINIディーラーに、最低でも出力90kWの急速充電器を今年末までに実装することが示された。
機能面ではMINIブランドとして初めてハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援が搭載される(高速道路で60km/h以下の渋滞中に使用可能、カントリーマンのみ)ことも示された。
カントリーマンは「クロスオーバー」から名称を変更
クロスオーバーは、「ハッチバック」、「コンバーチブル」、観音開きのバックドアが特徴の「クラブマン」に続くMINIの4番目のラインナップとして2011年に登場。MINIとして初めてAWDモデルも選択でき、初めて4枚のドアを備えたモデルだった。そして2017年に2代目に進化、今回発売された3代目からは車名をグローバルと同じ「カントリーマン」に変更した。
新生カントリーマンはBEVの2車種よりも先行してガソリンやディーゼルエンジン搭載モデルが2023年11月に発表され、予約受付を開始していた。そして今回BEVモデルが正式に発売された。BMWは2021年に、MINIを30年代初めにはEV専用ブランドにすると発表している。
いよいよ日本のMINIのラインナップにBEVが追加された。来月には3ドアハッチバック(全長3,860mm)とカントリーマン(全長4,445mm)の間を埋める4ドア5人乗りの『エースマン』(全長4,075mm、バッテリー54.2kWh)がワールドプレミア予定。今後もMINIの動向から目が離せない。
【関連記事】
MINIが電気自動車の新型『MINI Cooper E』発表〜バッテリーは40.7kWhと54.2kWh(2024年2月15日)
文/烏山 大輔、寄本 好則
外車は外車です。実際の性能よりもブランドで売っているわけですから高くなります。円安のせいもありますけどね。やはり、フィット、ノート、ヤリスから比べれば100万円以上倍近くも違うわけですから、非課税範囲のパート労働者の年収分違います。ルノー5の記事もそうですけど、安くなった的な印象の記事ですが全く安くありませんねえ。
アンチEVメディアは最近アメリカでのEVセールスの一時的な停滞を理由に、ハイブリッドが正解、EVは終わる的なキャンペーン中ですが、出遅れ中の日本の企業はともかくBYD、HYUNDAI中心に裾野が広がることを期待するばかりです。