第2回「ジャパンEVオブザイヤー 2023」投票速報/EVオーナーキーパーソンの評価は?

2023年を代表する新型電気自動車を選ぶ第2回「ジャパンEVオブザイヤー 2023」では、読者のみなさんからの一般投票を募集中。1月31日(水)の締切に向けて、エバンジェリスト投票の速報をお届けします。今回は、自ら情報発信もしているEVオーナーキーパーソン4名の投票です。

第2回「ジャパンEVオブザイヤー 2023」投票速報

まだまだ投票受付中です!

投票の締切は2023年1月31日(水)。締め切り後には一般投票に寄せられた各車種へのコメントなどをご紹介する記事も予定しています。また、受賞した車種のメーカーにもみなさまの声をお届けします。週末のひとときを活用して、ぜひ多彩なご意見&投票をお寄せください。

【募集告知記事】
第2回「ジャパンEVオブザイヤー 2023」開催〜今年を代表する電気自動車を選ぼう(2022年12月4日)

【特設サイト/投票はこちらから!】
Japan EV of the year 2023

特設サイトの規約などをご一読の上、投票用フォームにご記入ください。

選考対象となるのは2022年10月~2023年10月の期間中に日本国内で発売された電気乗用車(BEV限定 ※編集部選出の商用車を含む)です。特設ページの「選考対象車種一覧」をご参照ください。

なお、三菱自動車工業の『ミニキャブ・ミーブ』は、2022年11月の販売再開によるノミネートであり、2023年11月にモデルチェンジして発売された『ミニキャブEV』ではありません。ご注意ください。

まだまだ投票受付中です!

自らEVに関する情報発信やSNSコミュニティの運営に注力している、EVオーナーのなかでもキーパーソンと呼ぶべき方々に投票をお願いしました。ご協力ありがとうございます! です。

中城基雄さんの投票&コメント

Facebookグループ「Hyundai IONIQ 5 JAPAN」のモデレーターであり、テスラオーナーズクラブジャパンのメンバーでもある中城さんの投票です。

【総評】 日本の自動車メーカーは、有能なトップを中心に、ピラミッド型の「村社会」を形成し、「カイゼン」の名の元に、全体の品質を向上させてきました。半面、このやり方の弊害として、突き抜けた提案に対しては、「そんな事をやって、だれが責任を取るんだ!」の一言で、プロジェクトがなかなか立ち上がらない側面が内在しています。
そのような背景で出来上がった2023年の国産EVを見ると、現在の基準をしっかり守りながら、機能としては必要充分ではあるものの、真面目で無難な仕上がりの物ばかりで、「バッカじゃないの?」「また、こんなもの作りやがった!」と言う日本メーカーのEVは、残念ながら市場に出ていません。
電気自動車の変化は速く、日進月歩です。3年後の市場動向を見据えた上で、オーバースペックかも? と感じるくらいで、ちょうど良いのです。今回の選考は、この「尖った」ものを感じるかどうか? を基準に選んでみました。

テスラ『Model S』/10点
ぶっ飛んだ電気自動車は、EV専門メーカーでなければ、作れない事を証明した車種だと思う。11年前に、実際に4年半、所有していました。久しぶりにplaidに試乗しましたが、全く別のモデルに変化していました。ボディ剛性・各部の組付け精度・塗装など、品質が飛躍的に向上しています。もし、右ハンドルがあれば、再び所有していたかもしれません。
チョットした不具合(例えリコールレベルであっても)は、ネット回線のアップデートでササっと改善してしまう先進性は、未だに他の追従を許していません。これで、衛星ネット回線のスターリンクが、自動運転技術に組み込まれれば、とんでもない未来がやってくるはずです。その車社会の行く末を見届けてみたい……が、現在の私の生きるモチベーションになっています。

アバルト『Abalth 500e』/5点
電気自動車に、「趣味性」や「走る楽しさ」を、イタリア車的に解釈したらこうなった……を具現化したモデル。試乗した時、サウンドジェネレーターのギミックに、思わず「ニヤリ」とさせられました。電気自動車にこういう方向性があっても「いいよね」と考えさせられました。FIAT 500eより、車格的には上位のはずなのに、あえてアダプティブクルーズコントロールを省いてしまう「その潔さ」。そして、その理由が、フロントに「ABARTH」のロゴを設置するために、自動運転用のセンサーを設置できなかった……と言う事を、平然とやってしまうお国柄に脱帽です。例え、航続距離が短くっても、後席が狭くっても、600万円以上しても、この楽しさがハマれば「買い」だと思います。

ヒョンデ『KONA』/5点
ヨーロッパから多くのエンジニア・デザイナーをヘッドハンティングして、電気自動車を「本気」で作ったら…こうなったというモデル。日本の自動車メーカーは、EVなんて、すぐに追いつけるさ。余裕、余裕と思っている内に、既に「2周遅れ」になっている事を、いつになったら気付くのだろうか? 液晶テレビで、スマホで起きたゲームチェンジが、既に電気自動車でも始まっています。この車に試乗すると、その「ヤバさ」が、ヒシヒシと伝わってきます。
KONAの本当の充電性能は、もはや、日本のチャデモでは実感できません。その位、世界的な潮流は進んでいます。実際にIONIQ 5を所有し、V2Hで毎晩充放電を繰り返しても、1年点検のバッテリーの劣化は「0%」でした。韓国のメーカーであることへの変な先入観が無ければ、安心しておススメできるモデルだと思います。

石井啓介さんの投票&コメント

充電スポットのグルメ情報をSNSなどでシェアするコミュニティ「EVごはん」を主宰するテスラオーナー、石井啓介さんの投票です。

【総評】 電気自動車の充電スポット周辺のグルメ情報をピックアップし共有するコミュニティ「EVごはん」をスタートさせて3年弱が経ち、おかげ様で日本全国の1万人を超えるEVユーザーのみなさんと繋がることができました。最新の電気自動車を「評価」するほどの知見や経験はありませんが、EVライフを楽しむユーザー目線で選ばせていただきました。

ヒョンデ『KONA』/10点
今回のノミネート車は、輸入車中心であり、多くがグローバルサイズのボディを持ちます。さらなるEV普及を目指すためには、日本国内で使い勝手の良いサイズのEVがキーになってくると思います。
カップルはもちろん、若いファミリーが、日常の買い物や、休日のドライブに使いやすいサイズで、価格もお手頃。そして、未来のモビリティ感を少し味わえるスタイリングとスペックが魅力に感じました。

BYD『ATTO3』/3点
BYD三兄弟? のトップバッターとして登場したATTO3。日本国内で使いやすいサイズ感と価格。運転支援機能などの先進技術もしっかり装備。国産車と同等以上のクオリティに驚きました。スポーツジムをモチーフにしたインテリアデザインもユニークだと思いますが、個人的にはもう少しスッキリしたデザインが好きなので、KONAの次点とさせていただきました。

BYD『DOLPHIN』/2点
KONAやATTO3よりも、さらにコンパクトなサイズ感と価格。その上、最新EVに備わっている先進技術も装備しており、初めてEVを購入される方に最適な一台だと思います。ファミリーカーとしてオールマイティに使うには、もう少し大きい方が良いと思いKONA、ATTO3の次点とさせていただきました。

アバルト『Abarth 500e』/2点
ここまでくるとバレているかと思いますが、個人的に小さいクルマが好きです(笑)。
FIAT500はICEの時点でも気になる一台でしたが、EV化され、さらにクルマ好きには垂涎の「Abarth」ブランドが付いてしまったら、これは「推し」ます。クルマ好きのエンスーさんにこそ乗っていただきたいEVだと思います! ただ逆に多くの方には刺さらないかな? と思いこのポイントとさせていただきました。

テスラ『Model3』/2点
TESLA Model3(2021モデル)オーナーとしては「推さない」訳にはいかないです。
ただオーナーだからこそ、スタイリング中心ではなく、ギガキャスティングなど中身までもう少し突っ込んで、頑張って欲しかったという気持ちです。愛しているからこその厳しい評価ということで。よりアップデートされたPerformanceグレードの登場を期待して待っています。

三菱自動車工業『ミニキャブ・ミーブ』/1点
なかなかEV普及が進まない日本国内において、軽自動車カテゴリーの商用EVは、一日の走行距離も限られており、エネルギー補給のコストパフォーマンスも良いということで、宅配便などの物流のラストワンマイルを担うモビリティとして大いに期待しています。国産メーカーの多くが開発を進めているといわれる「軽バンEV」の元祖といえるミニキャブ・ミーブには、ぜひ新しい市場をけん引して欲しいと思っております。

辻榮亮さんの投票&コメント

革製品クリエイターにして、Xのコミュニティ「IONIQ情報館」管理人。日産『e-NV200』とヒョンデ『IONIQ 5』のオーナーである辻榮さん(関連記事)の投票です。

【総評】 車としてのインプレや装備情報などは皆さんたくさん見ていると思いますので私は少し違った視点から見た評価をしてみたいと思います。環境配慮や新しい車像へ向かっているか、ここに重きを置きました。各車がそれぞれどのように二つのポイントに取り組んでいるかが評価の基準です。車種ごとの細かいポイントは後述します。KONAとドルフィンは本来もう少し僅差なのですが配点のルールでこうなりました。ASF2.0はとても大切な商用セグメントで導入が進みつつある点を評価、対してミニキャブミーブは再販こそしたものの全くの同仕様という事で悪い意味であえて対比したいが為に1点としています。EQS SUVは今回の高級車クラスの中で唯一の本革採用として選びました。
EV=環境配慮ではないにしてもそれはICEVだからなんでもいいとはなってなかったようにある程度考えられるべき所だと思います。

ヒョンデ『KONA』/10点
私はHYUNDAIという企業が持つ思想に共感しています。当然KONAにもそれが反映されていますのでこの評価になりました。まずは環境面で素材それぞれに最適解になるものを持ってきている。これ自体は自動車各社同じなのですが本革の用意があるか無いか? これは私の中で大きいです。ヴィーガンの方などダイバーシティの観点からも選択肢として人工皮革は必要です。他方、食肉文化がある以上、副産物としての皮は必ず出ます。使われなければゴミになる可能性もあります。今までのものと新たなもの、それぞれを用意している点を評価しています。また訴求していこうとしている層もこれまでの顧客層に加えて、若い世代へ積極的にアピールし車としてだけではなく人生を豊かにするツールとして伝えようとしているところも評価させて頂きました。

BYD『DOLPHIN』/4点
総評でも述べましたがKONAとの差はここまで大きくはなく本来はもう少し上の点数を付けたかったところです。その理由として社名でもあるBuild Your Dreamは「理想の未来を作る」として会社の方向性がまさに表されています。未来を創ろうとする姿勢に共感できます。また、圧倒的に消費者フレンドリーな価格と日本向けにディ-ラー網を作ろうとしている所も良いと思います。私自身は無くていいと思いますがまだまだ日本人には嬉しい販売形態なのではないかと。
一方で本来KONAの対抗馬はATTO3ですが今回は入れてません。それは装備面でやはり本革の選択肢がない点。価格的に割り切るならこのドルフィンで良くなり、それなりに上質さや選択肢の量を求めるならKONAになるので今回はランク外としました。

ASF『ASF2.0』/4点
三菱自動車工業『ミニキャブ・ミーブ』/1点

運輸部門においてのCO2排出量は国内総排出量の約17.4%、うち貨物車で約4割を締めています。※国交省「運輸部門における二酸化炭素排出量」より
ラストワンマイルと言われますがここに直結する商用セグメントへの寄与は計り知れません。現場の声を聴き、繰り返し改善された車両。価格はもちろん企業の導入コスト面で、使い勝手や快適性にも拘り創られた車体は、本来BEVの持つ低振動・トルク特性などと相まってドライバーの負担も軽減します。
ここで出るのが商用セグメントに早くから挑戦していたのに残念な結果になってしまっているミニキャブ・ミーブ。配点差の理由はASF2.0がやってきたこと、すなわち改善してほしい点を変えてこなかったこと。これをしっかりやっていれば……、タラレバになりますがそう考えてしまいます。対比的な面でと言いましたが、加えて期待の念も込めての1点とします。

メルセデス・ベンツ『EQS SUV』/1点
高級車ブランドの昨今のアニマルフリーには少し懸念があります。前述もしましたが「本革不採用」を謳い文句にしてサステナブルをアピールするのは違うと考えてます。多様性が求められる中で本革ではない選択肢を用意することは非常に大事です。それを鑑みてなのかは記述が無いのでわかりませんが少なくとも今回ノミネートされているドイツ御三家の中では唯一「本革」採用されており私の中では一定の評価をするという事で1点としました。

最後に少し、2023年の総括を。選択肢が益々増え、色々な考えの人が買いやすくなってきたEV。しかし国内に限っては充電インフラを筆頭に運用面での不安がまだまだ払拭しきれていないと感じます。車側はほぼ不満の無いレベルで使えるプロダクトになったと思いますが、これから先は公共の充電環境がEVシフトの進展を左右する。諸外国見ていていても当然なのですが、そこが一様に弱いのが気がかりです。ポイントカードのように乱立する充電プランや各社のアプリ、カードにげんなり。イチEVユーザーとしてはこれも改善してもらいたいのが正直なところです。
また一部充電器メーカーは事実誤認(優良誤認)とも取れるようなPRも見受けられますので、その点も今後の業界発展と醸成において不安要素の一つ。色々なものへ求められて久しいですが〇〇リテラシーなるもの、言うなれば普及により様々なEVリテラシーが必要になってきたのが2023年で、2024年はそれがさらに深くなるのかもしれません。


杉本容一さんの投票&コメント

日産リーフZE0とZE1の2台からヒョンデIONIQ 5 を乗り継いできた筋金入りのEVユーザー。杉本容一さん(関連記事)の投票&コメントです。

【総評】 去年は4車種を選び、うち2車種が国産EVで、残り2車種が輸入EVでしたが、今年は、選んだ4車種すべてが輸入車でした。これは、2023年の新車販売に占めるEVの割合が、国産車で2.2%、輸入車では9.2%と言ったこととも関係があるのではないかと感じています。
今回評価の対象とした4車種は、すべて実際に運転したことのあるEVの中から選びました。EVであることが、クルマ選びの選択肢の一つだった時代もあり、静かでスムースな加速を評価していたこともありましたが、今は、選択肢が広がり、乗りたいクルマがEVだったという感じになってきているのではないでしょうか。これから先、さらに選択肢が広がり、手に入れやすい価格帯のEVが増えてくることを楽しみにしたいと思います。

ヒョンデ『KONA』/10点
試乗に際して、自分で乗っている同じメーカーのEVとの違いを、勝手に想像していましたが、実際に運転をしてみると思ったより違いが少ないことに驚きを感じました。価格帯の違い、AWDと、FFの違い、車格の差を、勝手にイメージしていたので、乗り味にはさほど期待していなかったのですが、路面のあまり良くない道路を走ったときの質感が、もう少し上のランクのクルマの乗っているような感じでした。
試乗後に聞いた話では、日本導入にあたり、日本市場向けに足回りなどを徹底的に手を入れて、乗り味を作り込んできたようです。エントリーモデルの価格を、400万円を切る399.3万円からとしている点も含めて、コスパの良さも評価のポイントとしています。

アウディ『Q4 e-tron』/5点
RRの走りの良さが、さすが、Audiの作っているEVだなと感心しました。試乗したのは雨の日でしたが、下りのコーナーをドライバーとして気持ちよく回れただけでなく、リアシートに座っていた妻も、カーブで、安心して乗っていられたと言っていました。
82kWhのバッテリーを搭載して、あれだけの質感、装備のクルマが、599万円からで発売されたのはインパクトが強かったです。

フォルクスワーゲン『ID.4』/3点
VWを代表するEVであり、RWDのクルマの質の高さを感じます。EVらしさや、とんがった特徴というよりは、クルマとしての本質をしっかり作り込んでいる感じは、好感が持てる部分と、感動が少ないという両面を感じました。あの価格のクルマでナビが無いのは残念。

BYD『ATTO3』/2点
58kWhのバッテリーを搭載し、あの装備が標準で用意されていて、なかなか特徴的な機能や、雰囲気を出していて、440万円は、驚きでした。試乗したのは日本発売前のオーストラリアモデルの右ハンドルだったので、日本向けの味付けになっていないからかもしれませんが、乗り味はいい意味で普通でした。

中城石井辻榮杉本合計
KONA510101035
Model S1010
Abarth 500e527
DOLPHIN246
ATTO3325
Q4 e-tron55
ASF2.044
ID.433
Model322
ミニキャブ・ミーブ112
EQS SUV11

4名全員が高得点を配したヒョンデKONAが35点を集めました。

みなさんの評価はいかがでしょうか。投票をお待ちしています!

まとめ/寄本 好則

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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