小型モビリティロボット『mibot』お披露目/二子玉の「蔦屋家電+」で実車展示中

独自の小型EV開発を進めるKGモーターズが、小型モビリティロボット『mibot』と名付けた実車をお披露目。先行予約開始は8月23日21時〜と発表されました。二子玉川の蔦屋家電+ で実車展示イベント開催中(8月31日まで)です。

小型モビリティロボット『mibot』お披露目/二子玉の「蔦屋家電+」で実車展示中

遅れていた先行予約開始は8月23日〜

2024年8月8日、広島を拠点に独自の小型電気モビリティ開発を進めるKGモーターズ株式会社が、小型モビリティロボット『mibot(ミボット)』の実車(試作車)をお披露目するメディアデーを開催しました。

KGモーターズCEOの楠一成さん(右)とmibot。左は取締役の横山文洋さん。フォトセッションは楠さん1人の設定だったのですが、偶然、横山さんが見切れそうになっていたので、リクエストしてグイッと写真に入っていただきました。7人のコアメンバーと、60人のプロフェッショナルが力を集結し、mibot発売に向けて突っ走っています。

この小型電気モビリティは、かねて「Minimum Mobility Concept」として開発を進めてきたもので、量産市販へのステップを着実にクリア。2024年5月には発売に向けた正式名称を『mibot』とすることが発表されていました。名前の由来は「ミニマムなモビリティロボット」ということで、今回のメディアデーでは「小型モビリティロボット」というキャッチフレーズがより明確にアピールされていました。

今年3月には量産に向けたロードマップを発表(関連記事)。デリバリー開始は2025年後半からとなるものの、今月のはじめ、8月1日には「先行注文」の受付を開始するとアナウンスされていました。ところが、直前になって予約(販売はオンラインのみで進行中)のための決済システムに不備があったということで延期になっていたのですが……。

今回のメディアデーで、先行予約受付開始が8月23日21時〜となることも発表されました。

二子玉の「蔦屋家電+」で8月31日まで展示中

メディアデーの会場となったのは、東京・世田谷区、二子玉川駅直結の二子玉川ライズS.C. 内にある、「蔦屋家電+(プラス)」です。ショップに隣接したホールのような場所でやるのかなと思いつつ到着すると、ショップ1階のワンコーナー(当然室内)が、実車展示&発表会の会場になっていました。

以前、フランスの家電店に並ぶシトロエン『AMI』を見つけて喜ぶ青山義明さんのレポートを紹介したことがありますが、蔦屋家電に展示されたmibotの存在感もなかなかのもの。室内展示にまったく違和感などがないのもミニマムなEVだからこそであり、「小型モビリティロボット」の面目躍如って感じです。

蔦屋家電+ では、8月31日(土)までmibotの展示イベントが開催されています。展示場所は少し違うようですが、オシャレな品揃えのショップに並ぶmibotの印象を確かめに行ってみるのはいかがでしょうか。

小型モビリティロボットで実現できる未来への思い

「開発エピソードトークセッション」で楠さんとともに登壇した車体開発責任者の久保昌之さん。こういう場所で話すのは初体験らしいですが、衝突実験などのお話、興味深かったです。

発表会では、KGモーターズ取締役の横山文洋さんから会社概要などの紹介に続き、代表取締役CEOの楠一成さんがmibotのコンセプトを熱く解説。車体開発責任者の久保昌之さんと楠さんによる「開発エピソードトークセッション」などが行われました。

楠さんによるコンセプトの説明で強調されたのが、mibotは「誰もが、安全に、快適に、手頃な価格で、自由に移動できる世界」を実現するためのツールになるという点です。

mibotは原付四輪規格のモビリティです。小型軽量で車両価格や税金、保険などの維持費が軽自動車と比べても格安である一方、定員は1名のみという大きな制約があります。開発当初から「1人乗りモビリティなんて売れない」という声が聞こえる中、すでに日本で発売されていた1人乗りモビリティはなぜ売れないのか、何が必要で、何を切り捨てるべきなのかといった検討や試行錯誤を重ね、磨き上げてカタチになったのがmibotであるということがアピールされました。

自動運転やMaaS (Mobility as a Service=ニーズに合わせて提供される移動サービス)への対応もすでに事業ビジョンとして見据えており、質疑応答の中で「2027年くらいには実証実験に入れるよう社内に自動運転の開発チームを立ち上げている」という説明がありました。

自動運転の1人乗りモビリティによるMaaSと言われても今ひとつ具体的なイメージがつかめないという方も多いでしょう。プレゼンテーションの中では、定員が多い大型車による自動運転やMaaSでは、どうしてもコストが高くなり、たとえばバスの本数が少ないなど利便性が下がりやすいのに比べ、KGが提案する小型モビリティロボットであれば、低コストで導入できて、利用したい人がひとりで、自分の行きたい場所へ移動できるなど高い利便性を提供できることが説明されました。

mibotが走る未来の街

また、ことに地方の公共交通ではドライバー不足が懸念されているものの、さらに深刻なのが「乗客の減少」であり、1人乗り自動運転モビリティであればそうした課題を解消できるという説明には、なるほど、と共感することができました。

考えてみれば、1台数千万円で20人乗りのバスを導入して2〜3人のドライバーを雇用するコストや効率を考えると、20台の自動運転mibotが走り回っている未来(自動運転実用化まではシェアリングでいいし)のほうが、リアリティがあって、楽しそうに感じます。

車名とともに公開された「mibotが走る未来の街」のイラスト。広島を代表するクリエイターであり、世界で活躍するイラストレーターIC4DESIGNのカミガキヒロフミさんの作品です。

今回展示されていたmibotはまだ試作車ではありますが、4月に牛久のENEOS次世代SSで見た試作車と比べても、格段に質感や出来映えが進化していました。

現在は、今年12月ごろに試乗などを行える量産プロトタイプ車の完成を目指して日々さらに進化中とのこと。

むむむ、と気になった方は、なにはともあれKGの公式サイトや、YouTubeチャンネルをチェックしてみてくださいね。

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取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)2件

  1. くっすんガレージ時代からのKGモーターズファンですー。
    一人乗りモビリティ、実は電気管理技術者一人親方の間では密かに話題ですー…理由は狭い場所でもスイスイ走れて電気保安の世界ではかなり有用でっせ。そもそも変電所の月次点検なら機材はそんなに要らへんし普段の移動距離も短く、EVゆえに排気ガス問題なし、車両価格が安ければ個人事業の経費計上にも問題なく、少子高齢化には最適やから。
    それに今はお一人様世帯も珍しぅないし(伴侶との別れもままある時代)、複数名乗車も考えにくい…現代社会の粗が見て取れまっせ!?
    あとはデザインの秀逸さ!!…愛くるしいフロントは忘れられへんで!?
    自動運転対応も既に考えられてるから…あとは充電ポート問題ですねん。J1772(3kW普通充電)に対応してれば御の字ですが。

    1. J1772 AC100v出力(変換トランス内蔵)のアダプターをオプション化すればよいと思います。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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