中国のEVたちが欧州市場を着実に侵略 〜『NIO』『Xpeng』『BYD』など

NIO、Xpeng、BYD、MAXUS、LYNK&CO、AIWAYS、GWM、そしてHongqiなどは、欧州のEV激戦地に乗り込んだ中国ブランドの一部です。世界の他の地域、究極的には米国で欧州市場のように戦いを挑むため、各メーカーは独自のアプローチを採用しています。

中国のEVたちが欧州市場を着実に侵略 〜『NIO』『Xpeng』『BYD』『MG』など

【元記事】Europe gets a “charge” from Chinese EVs by Lei Xing.
※冒頭写真はMGプレスサイトから引用。

ゆっくりと、着実に、中国産EVは欧州を侵略しています。

ノルウェー版NIOアプリで共有された情報によると、NIOは5月12日に同国で500台目の車両を納車し、現地で最初のNIOサービスセンターをオープンして大きな節目を迎えました。 2021年5月6日にノルウェーに進出すると公式発表してから約1年での出来事でした。

2つ目のNIO Houseはベルゲンに作られました。今年の第4四半期にスタヴァンゲルとトロンハイムにもさらに2つのショールームが作られ、5つ目は来年の早い時期にクリスチャンサンにオープンする予定です。

NIOプレスリリースから引用。

NIOの展開は今後3年で25の国と地域に拡大予定

これから3年でNIOは25の国と地域に拡大する予定で、近いうちにドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマークの市場に進出します。実はNIOは2016年から、ドイツ国内用にミュンヘンで車両、パワー・スワップ・ステーション、BaaS(バッテリーアズ・ア・サービス)の準備を始めていました。最新の情報ではNIOは米国で工場を建てていると言う噂ですが、この話はまた別の機会に取っておきましょう。

NIO ES8 Norway Launch Press Conference(YouTube)

NIOがノルウェーで追加のNIO Houseをオープンすると発表したのとほぼ同じ時期に、中国大手自動車メーカーSAIC Motor傘下のSAIC MAXUSは、英国のバーミンガム・モーターショーで電気MPV(ミニバン)のMIFA 9を公開しました。MAXUS発の、世界市場をターゲットにした電気フラッグシップモデルが海外に姿を現したのは5月24日のデビューイベントが初めてで、6月に中国市場で公式にローンチする前のことでした。

欧州市場に乗り込む初の中国ハイエンド電気MPVとして、6シーターMIFA 9はE-MARK(5つ星基準の欧州版新車アセスメントプログラム)など関連する欧州基準をパスしています。航続距離は560kmでレベル2+の運転支援機能を備え、インテリアには10スクリーンのスマートコックピット搭載で欧州ラグジュアリー電気MPVセグメントの隙間を埋めています。

MAXUS MIFA 9(MAXUS公式サイトから引用)

MIFA 9の姉妹モデルでファミリー向け電気MPVのEUNIQ 5は、すでにノルウェーの電気MPVセグメントで4分の1のシェアを占めてスカンジナビア市場で勝利を収めており、MIFA 9もその成功に続こうとしています。電気ピックアップトラックのT90もショーで海外デビューを果たしており、中国ブランドとしては初めて欧州市場に乗り込む電気ピックアップとなります。

SAIC MAXUSは英国、アイルランド、ノルウェー、ドイツ、イタリア市場に参入済みで、欧州へのEV輸出は全世界の約17%となっています。欧州では、MAXUSのセールスの90%がEVです。英国とアイルランドでのMAXUSブランドの販売代理店であるHarrisグループのジェネラルマネージャー、Mark Barrett氏によると、英国では電気小型商用車セグメントシェアの11%をMAXUSが握っているとのことです。

MGも中国ブランドとなって電動化へ躍進中

さらに成功している別ブランドが、他でもないSAIC MAXUSの姉妹ブランドであるMGです。

数年前にSAIC Motorが飲み込んで中国メーカーとなった英国ブランドは、2021年に英国での3万台を除いても、欧州全体で売り上げを3倍に伸ばして21,946台のセールスを記録しました。そして2019年にMGモーター・ヨーロッパが操業開始した際に欧州で電気モビリティへのアクセスを可能にするという目標を掲げた通り、そのすべてがPHEVかBEVだったのです。2021年末の時点で、MGモーター・ヨーロッパは欧州内の16の国に展開しており、400の販売拠点を置いています。

MG ZS EV(MG公式サイトから引用)

MGの欧州での成功は、クオリティや安全性に妥協をせず、価格、設備、テクノロジーにおいて賢い選択をしながらブランドのポジションを確立した成果です。2019年にローンチしたMG ZS EVは、大衆にとって本当の意味で手の届きやすい価格の初の100%電気自動車で、欧州でのニーズにすべて応え、Bセグメントの電気SUVとしては初めて欧州NCAP安全性基準で5つ星を受賞しました。その後MG EHS PHEVとMarvel R Electricも世に出され、最近ではMG5が世界初の純電気ステーションワゴンとして販売が 開始されました。

MGは2022年にもまた3倍を超えるセールスを目指しており、順調に軌道に乗っているようです。2022年の第1四半期にセールスは22,135台(英国を除く)に達し、昨年同期の8,850台から2.5倍以上になっています。また東・中央ヨーロッパにも今年は市場を拡大しています。

今年の早い時期にSAIC Motorは、欧州で年内にMAXUSとMG両方を合わせて12万台のセールスを目指し、その大部分がEVになると示唆していました。社によると英国、フランス、ドイツ、スウェーデンを含む、主要欧州市場での両ブランドの2021年販売台数は7万3,000台で、そのうち4万台がEVでした。

中国のEVブランドが続々と欧州へ進出

eGT(Dongfeng Motor公式サイトから引用)

Dongfeng Motor CorpとJMCは別のビジネスモデルを用いてメイド・イン・チャイナのEVを欧州で成功させています。フランスのパートナー企業であるルノー傘下のブランドで車両の名前を変えているのです。DongfengとルノーのジョイントベンチャーであるeGTは2021年に、ダチア・スプリングを4万7,332台売り、その大半が欧州でのものでした。2022年第1四半期のセールスは1万7,456台で、昨年同期比で約3倍になっています。JMCとルノーのジョイントベンチャーであるJMEVは電気セダンのYiを、ルノーの「モビライズ」プラットフォームを使ったLimoとして欧州に輸出し始めました。

Dongfengのハイエンド・ブランドであるVOYAHもNIOとXpengの足跡を辿っています。もうすぐオスロで電気SUVのFREEをデビューさせ、海外初のフラッグシップストアをオープンし、第4四半期には現地で納車を開始します。将来的にVOYAHは Dongfeng Motor Industry Import & Export Co Ltd と協業してノルウェーその他の欧州市場に拡大する予定です。

Xpeng(Xpeng公式サイトから引用)

Xpengは海外ビジネス部門でシニアマネージャーの交代があり、ノルウェーでのセールスが予想していたほど伸びなかったのですが、欧州での野望が挫かれたようには見えません。最近オスロに自社初のエクスペリエンスセンターをオープンし、デンマーク、オランダ、ノルウェー、スウェーデンなど複数の国でP5の受注を始めました。

本国よりも欧州での販売台数が多い唯一の中国スマートEVスタートアップであるAIWAYSは、純電気SUVのU5の輸出開始から2年が無事に経過し、SUVクーペのU6を第3四半期に発売します。U5は現在欧州内で14の国とイスラエルで手に入れることができます。AIWAYSは大胆なアフターサービスを提供するため、各国でよく訓練されたエキスパートネットワークで顧客へ直接アプロ―チする、革新的な販売モデルにより自社の認知を広め、拡大することに成功しました。

GWM(Great Wall Motor)はEV専用ブランドのORAからファンキー・キャットと名付けられた英国初のモデルのファースト・エディションを、第3四半期から販売開始をして納車もすぐに始めると発表しました。ORA UKは8月にスタートするオンライン販売プラットフォームと同時に、全国区のリテールネットワークを構築する準備もしています。ファンキー・キャットには6,000台分以上の問い合わせがあったということです。

一方でGeely傘下のLYNK & COは、革新的なサブスクリプションモデルを用いて欧州で成功しています。2021年には1万1,602台の01 HEVと01 PHEVを欧州に輸出しており、そのうち5,937台がサブスクモデルを通して納車されました。

ここまでBYDに言及していませんでしたが、e-バスを欧州中に送り出し、中国ブランドとしてEVに関して最も成功しているメーカーです。英国ではADL/ BYD UKパートナーシップを通じ、1,000台目のゼロ排出バスを納車したところです。また2021年12月にはノルウェー市場参入からたった2ヶ月で1,000台のTang EVを納車しました。

BYD Tang EV(BYD公式サイトから引用)

中国税関総署のデータによると、欧州の国々が2021年のEV輸出先としてトップ10のうち半分(ベルギー、英国、ドイツ、フランス、スロベニア)を占めています。またユーロスタットによると、2022年第1四半期に中国から輸入された車両はEVが多勢で、約40億ユーロ(5,664億9000万円)分に達したということです。中国乗用車協会(CPCA)の最新のデータを見ると、2022年の最初の4ヶ月で12万7,000台の新エネルギー乗用車(テスラを含む)が欧州に輸出されており、昨年同期比から134%の増加をしています。

これらの数値はこの先膨らんでいくはずです。

今回触れたメーカーは欧州のEV激戦地に乗り込んだ中国ブランドの一部にすぎません。それぞれ独自のアプローチで市場に挑戦し、究極的には米国など世界の他の部分にも勢力を拡大しようとしています。現地の協力的な政策、地政学的に有利な環境、顧客のオープンな態度、スマート技術機能とローカライゼーション(協業、機能、市場アプローチ)により、中国EVは欧州においてニッチな場所を見つけているのです。

(翻訳/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. テスラは高すぎるので、中国のEVが欧州市場を席巻するのではないかと思います。

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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