NIO Power は NIOの「サービス・パワー」そのものである〜中国EVスタートアップの強み

中国のEVスタートアップであるNIOでは『NIO Power』というモバイル・パワー・サービス・システムを提供しています。はたして、NIO Power はユーザーにどんな利便を提供しているのか。『ChinaAutoReview』元編集長で、アメリカ在住のアナリスト、Lei Xing氏が解説します。

NIO Power は NIOの「サービス・パワー」そのものである〜中国EVスタートアップの強み

【元記事】 NIO Power is NIO’s service power by Lei Xing

『NIO Power』という独自のサービス・システム

6月28日はNIOにとって多くの節目となる日でした。

ちょうど4年前、中国のスマートEVスタートアップが、同社初のモデルであるES8のデリバリーを正式に開始しました。その後4年(2022年5月末時点)で、20万5,000人がES8、ES6、EC6、ET7を購入しました。6月までには21万台近くになりそうです。またES7とET5のデリバリーがそれぞれ8月と9月に始まるので、NIOが最近の勢いを維持してオペレーションに問題がなければ、今年末までには30万台も視野に入るかもしれません。

4年前にES8のデリバリーが始まった同日、NIOはインターネットベースのモバイル・パワー・サービス・システムである『NIO Power(以下、NIOパワー)』も正式にスタートしました。

システムは家充電用のパワー・ホーム2.0、パワー・ホーム・プラスと、外充電用のパワー・マップ、パワー・チャージャー、パワー・スワップ・ステーション、ワン・クリック・パワーから成り立っています。「世界初のスマート・パワー・ソリューション」として、パワー・クラウドで強化されたNIOパワーは、充電、交換、アップグレードが可能なバッテリーを用いた電気サービスシステムで、ユーザーのありとあらゆるシナリオに対応します。

ちょうど4年が経った今、NIOによると社は世界(ノルウェーにある1基を含む)に997のパワー・スワップ・ステーションを作って970万回以上のバッテリー交換を行い、12万人以上の家充電機器、4,795台の急速充電器、4,391台の目的地充電器を設置し、社のユーザーは世界で81万台以上のサード・パーティ充電器にアクセスできるとのことです。

さまざまな充電サービスを提供

NIOパワー・サービスの1つであるワン・クリック・フォー・パワーは2018年6月28日にデビューしました。スマホ上のNIOアプリをワン・クリックするだけで、NIOのサービス・スペシャリストが車を回収してバレー充電をするために自宅まで来てくれます。クラウド・プラットフォームが推奨するベストな充電方法(パワー・スワップ、パワー・モバイル、充電器)を使って、車は最短時間で戻されます。パワー・モバイルでは、柔軟で便利なポータブル電源のように、その場で充電ができるようサービスカーがやってきます。10分で100km程の充電が可能です。

このサービス・ソリューションは色々な場面で使われてきましたが、最近の上海ロックダウンの時ほど重宝されたことはないでしょう。上海でほとんどの人が動けなかった2カ月間は、車も動かせないことを意味していました。EVの所有者の問題は1つ増えるのです。ICE車両と違い、(特に充電量が低い状態から)一定期間EVを放置すると放電して電気がなくなってしまうのです。よって充電が問題となります。

しかしこの状況はNIOパワーの完璧な使い方です。上海では少なくとも1件、そのようなケースが報告されていて、アパートに駐車されて残電気量が少なく、ロックダウンが解除されたら運転できるだけの電気が欲しかったオーナーのNIO車のためにパワー・モバイルが出動しました。パワー・モバイルは入口のゲート越しに充電したそうです。

他のSNS投稿によると、上海の他のNIOユーザーはロックダウン中にグループメッセージを通じてサード・パーティへの(充電)アクセスを許可し、充電してもらえたそうです。車は地下駐車場の、CAMS(フォルクスワーゲン・チャイナとStar Chargeのジョイントベンチャー)が運営する充電器から数スロット離れた場所に駐車されていました。

車はその時点で40日以上停められており、オーナーは元々低い充電量で車を置いていたことからロックダウンが終わるまでに電気がなくなってしまうのではないかと心配していました。地下駐車場にレッカー車やパワー・モバイル車両を呼ぶのは、愉快な経験とはいかないでしょう(そもそも可能なのでしょうか)。オーナーは現場にいる駐車場の管理人に連絡をして、リモート・アクセスで彼の車両を動かすのでCAMS充電器で充電する手助けをしてくれるよう頼んだのでした。

驚くなかれ、オーナーは動画チャットで管理人をガイドして自分の車を見つけさせ、NIO車両に許可を与えてスタートし、管理人は車を充電器のところまで動かして充電ができました。充電器のロック解除や充電の開始はすべて、NIOアプリを通じてリモートで行われたのです。1時間の充電後、管理人は車両を元の駐車スロットに戻す手伝いもしました。

完璧なものなどあり得ないし、このNIOオーナーは喜んで手助けしてくれる人がいてラッキーでしたが、NIOアプリとスマート・コネクティビティ機能無しにはできないことでした。NIOはユーザー企業として誇りを持っており、ユーザーは車両の使い勝手や操作などに関して手厚いサービスを受けています。ユーザーはこのようなサービスが織り込まれており、その価値があると理解しているためにプレミアムな価格を喜んでNIOに支払っており、NIOパワーはその中でも大きな部分です。

NIOパワーとは、NIOの『サービス・パワー』なのです。

(翻訳/杉田 明子)

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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