HWエレクトロの小型商用EV『ELEMO』が晴れて補助金対象車種に! 認定獲得へのウラ話を聞いてみた

小型商用電気自動車ベンチャーのHWエレクトロが日本に導入した軽自動車規格の『ELEMO-K』と小型車の『ELEMO』が、今年度からCEV補助金の対象車種として認定されました。認定獲得までの過程について伺いました。

HWエレクトロの小型商用EV『ELEMO』が晴れて補助金対象車種に! 認定獲得へのウラ話を聞いてみた

ELEMOも補助金の対象車種に認定

EVを買った際には様々な購入補助を受けることができます。各地方自治体ごとの補助制度もありますが、全国共通で活用できるのが、『クリーンエネルギー自動車(CEV)補助金』(執行団体は一般社団法人次世代自動車振興センター)です。経済産業省の予算で、EVのほか、プラグインハイブリッド車(PHEV)や燃料電池車(FCEV)なども車両購入費用の補助対象になっています。

HWエレクトロでは、昨年7月に発表した小型商用車EVの『ELEMO-200』と、11月に受注を開始した軽規格の『ELEMO-K』について、CEV補助金の補助対象車種とするための手続きを進め、今年度から晴れて対象車種に認定されたのです。

補助金額は、給電機能が標準装備の『ELEMO-200』が55万円。軽自動車の『ELEMO-K』は、給電機能付き(オプション)が41万〜44万3000円、給電機能なしのモデルで32万〜34万4000円となっています。

ちなみに車両の価格は、2022年5月から新販売価格となって、バッテリー容量25.92kWhの『ELEMO-200』が323万4000円(税込)〜。13kWhの『ELEMO-K』が267万3000円(税込)〜となっています。

ELEMO-200

ELEMO-K

価格はすべて税込(公式サイトから引用)

補助金対象車種になるにはどんな審査が?

EV購入促進のための補助金支給は世界の主要国で実施されています。今年度は日本のCEV補助金額が大幅に増額されたのは、すでにお伝えしている通りです。

【関連記事】
EV普及へ大前進! 電気自動車などの購入と充電設備設置への国の補助金最新情報【2022年4月更新】

フランスやドイツなどの最大補助金額はおおむね80万円以上(イギリスでは今年6月に突然補助金打ち切りが発表されるなどの動きもありましたが)。今年度は日本のCEV補助金も最大85万円となり、EV普及で先を行く欧米に追い付くかたちとなりました。

日産サクラ&三菱eKクロスEVの好調が伝えられていますが、小型商用EVのELEMOでも、ちゃんと補助金が活用できるようになった、ということですね。

蕭(ショウ)社長、HWエレクトロのみなさん、おめでとうございます。

昨年11月20日、東京で開催された日本EVフェスティバルで受注開始を発表した『ELEMO-K』と蕭社長。

ところで、CEV補助金の金額はどのように決まるのでしょう? また、そもそも補助金の新しいクルマが補助金認証を受ける場合、どのような審査が行われるのでしょうか?

新しいEVが発売されたら自動的に補助金の対象車両になる……、程度にしか考えたことがなかった筆者ですが、HWエレクトロに話を聞くと、実は申請から認証を得るまで想像以上に時間と手間がかかることがわかりました。ELEMOの場合、必要な走行テストなどを実施して、申請から補助金額が決まるまで、約6カ月を要したそうです。

さらに理解を深めるために、いくつか素朴な疑問に回答をいただきました。

そもそも何のためにテストをするのでしょう?

走行テストは日本の算出基準(WLTCモード)において、一充電あたりの走行可能距離や、燃費(EVの場合は電費)を計測するために行います。また、補助金を申請するための、エビデンスデータとしても必要となります。

補助額の算出は以下の方法で行い、航続距離や電費係数、外部電源の有無などによって車種ごとの補助金額が決まります。

【EV購入の補助額算出方法】
普通車(給電機能あり)=(航続距離-160km)×電費係数×0.4万円)+5万円
普通車(給電機能なし)=(航続距離-160km)×電費係数×0.3万円)+5万円
小型・軽(給電機能あり)=一充電走行距離×0.3万円)+5万円
小型・軽(給電機能なし)=一充電走行距離×0.225万円)+5万円

※2022年3月4日、原油価格高騰に対する緊急対策の際、一律5万円の増額となった。
※普通車の上限額は85万円(外部給電あり)・65万円(外部給電なし)。小型・軽の上限額は55万円(外部給電あり)・45万円(外部給電無し)。

弊社のELEMOの場合は下記の算出方法が適用となっています。

一充電走行距離×0.225万円+5万円(外部給電なし)
一充電走行距離×0.3万円+5万円(外部給電あり)

補助金対象車種となるための大まかな流れを教えてください

まずは補助金申請業務を経済産業省から受託している『次世代自動車振興センター』に連絡します。

次世代自動車振興センターの担当者様にも弊社のことや、ELEMOのことを理解していただく必要がありますので、いくつか質問をいただき、それに対して説明を行いました。その後、会社概要、商品説明資料、その他申請に必要な書類一式を提出します。基本的には、申請に必要な書類一式が不備なく月末までに揃っている場合、翌月に開催される審査委員会(毎月中旬ぐらいに開催)にて認定可否が判断されるという流れになります。

とても時間が掛かったとのことですが、その理由は?

初めての申請だったということもあり、正直、最初はどこに連絡すればいいのか? という状況でした。

また、弊社は立ち上げたばかりのベンチャー企業でもありますので、これから本格的に販売していくにあたり、ユーザーマニュアルの整備や、販売フロー、サービス、メンテナンス体制の構築、WLTC基準での走行テストの実施など、同時並行でいくつも進めていたので、そのあたりの調整に予想以上に時間がかかりましたね。

とくに大変だったのはどんな過程でしたか?

どれも時間と手間(コストも)がかかりましたので、全部です……。

その中でも走行テストは筑波のJARI(一般財団法人日本自動車研究所)で行ったのですが、走行テストの日程も繁忙期? だったのか、なかなか予定が空いていていなくて、実施までに少し時間がかかりました。また、走行テストと言っても、1日目の車両搬入から、2日目の放電テスト、3日目の走行テスト、4日目の充電テストまで、4日間の工程で行われるのでそれなりに大変でした。

補助金認証が完了する前に購入したELEMOはどうなりますか?

2022年4月度に補助金認定された場合は、2022年2月16日以降の登録車両でも補助金の対象になるという特例があると事前に次世代自動車振興センターの担当者から聞いていましたので、4月度の審査会に間に合うように申請書類を提出しました。

弊社の場合は、2022年3月末から納車を開始しましたので、上記の特例が適用され、遡って補助金の対象になります。

実際にどんなテストを行うのですか?

補助金対象のEVとしての航続距離や電費性能を確認し、補助額を決めるために、走行テストを行ってその数値を出します。走行テストは茨城県つくば市にある一般財団法人日本自動車研究所(JARI)で実施されます。(JARIだけではなく、全国に数カ所、走行テストができる施設があります)

走行テスト風景。

走行テストの日程は4日間で以下の工程で実施されます。

1日目⇒車両搬入
2日目⇒放電テスト
3日目⇒走行テスト
4日目⇒充電テスト

このうちの2日目(放電テスト)と3日目(走行テスト)の結果を簡単にご紹介しておきましょう

【ELEMO-200】放電テスト
●走行抵抗の設定およびシャシダイナモでの放電(電池残量が0%になるまで60kmでの走行)。
●今回は、60km/hで放電を実施し、60km/h±2km/hを乖離したら、その時点で放電計測終了。
●上記終了後、3日目の走行テストに向け100%まで充電。

なお、放電走行は60km/hの一定速度で実施しており、放電走行の中止基準は規定された規定速度トレース許容量を超え、それが4秒以上続いた時点で終了。

その後、普通充電器に接続し供試車両に充電。充電中は実験室温度23℃の環境下で今回は、15~18時間ソーク(放置)した後に交流電力量消費率試験を開始しました。

試験は低出力車(class 1)用サイクルであるL+M+Lで行い、中止基準である規定された規定速度トレース許容差を超えて、4秒以上続いた時点まで連続走行を行い、その後、普通充電器に接続し充電に要した交流電源の充電電力量を求めて交流電力量消費率を算出します。

【ELEMO-200】走行テスト
ELEMO200のWLTC class1での走行可能距離は244.67kmでした。終了間際の経過は以下のような状況でした。

220km過ぎてから徐々に車線に追従できなくなる。

4秒以内にルートに復帰したので継続。

234km付近でも車線を逸脱したが4秒以内にルートに復帰、SOC19%になり、黄色の充電マーク点灯とエラーコード1042表示される(SOC低下アラート)。

244km過ぎに車線を逸脱してルート復帰できず、4秒経過したので、ここで走行テスト終了。終了時のモニター表示SOCは16%。

終了後に100%まで充電を行い、その充電量(交流)で交流電力量消費率、いわゆる電費を算出する。

【ELEMO-K】走行テスト
ELEMO-KのWLTC class1での走行可能距離は130.56kmでした。

130km過ぎに車線を逸脱してルート復帰できず4秒経過したので、ここで走行テスト終了。終了時のモニター表示SOCは19%。

終了後に100%まで充電を行い、その充電量(交流)で、交流電力量消費率、いわゆる電費を算出します。

【総評】
●ELEMO-Kのほうが車両重量が軽いため、kWhあたりの走行距離は相対的に高い結果となった。kWhあたりの走行距離についてはピッチに関係なく、ほぼ同じとなった。

多彩なパートナーとの協業にもチャレンジ!

HWエレクトロの蕭偉城(ショウ・ウェイチェン)社長にとっても、CEV補助金対象車種認定は念願のステップでした。

「少し時間がかかりましたが、この度、無事に補助金対象車両として認定され一安心しています。また、カーボンニュートラルの実現に向けて、国も各自治体もクリーンエネルギー自動車の普及促進に力を入れて頂いていますので、弊社としても補助金を活用してELEMOを導入いただけるよう頑張っていきます!」(蕭社長)

HWエレクトロは、2021年12月には東京都港区南青山にショールームをオープン。2022年2月には「EVによって変革される社会の実現」ラウンドテーブルと題して、ELEMO活用に向けた協業を進める、花キューピット、ソフトバンク、DeNA SOMPO Mobility などのキーパーソンと蕭社長によるオンライン発表会を開催するなど、小型商用EV普及拡大へのチャレンジを続けています。

南青山ショールーム前にて。ラウンドテーブル登壇者のみなさんがチャレンジへの決意を示す! の図。左端が蕭社長。

EV軽トラを待ち望んでいたユーザーは多かったようで、HWE社によると、発表からちょうど1年経った現在「受注台数の8割はELEMO-K、小型車サイズのELEMO BOXと、ELEMOピックアップが1割ずつくらい」とのこと。EV普及のために、小型商用EVであるELEMOの可能性は大きく、EVsmartブログもそのチャレンジを応援しています。「うちでも使えるんじゃないか?」と感じた企業やショップのご担当者の方、まずは、問い合わせてみてください!

【関連ページ】
HWエレクトロ株式会社 公式サイト
ELEMO 公式サイト

※冒頭写真はELEMO 公式サイトより引用。

(取材・文/加藤 久美子)

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この記事の著者


					加藤 久美子

加藤 久美子

山口県下関市生まれ。大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。95年よりフリー。2000年に自らの妊娠をきっかけに「妊婦のシートベルト着用を推進する会」を立ち上げ、この活動がきっかけで2008年11月「交通の方法に関する教則」(国家公安委員会告示)においてシートベルト教則が改訂された。 一財)日本交通安全教育普及協会認定チャイルドシート指導員の資格を取得し、育児雑誌や自動車メディア、TVのニュース番組などでチャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 愛車は1998年5月に新車で購入したアルファスパイダー(26.5万キロ走行)

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