お気楽「BEVキャンプ」レポート/V2Lやエアコン使ってバッテリー残量は大丈夫か?

バッテリー容量48.6kWhのマイカーKONAで「EV Summer Camp 2024」に参加してきました。自宅から会場までの距離は中央道経由で約150km。テントは張らず、往路の充電はなしでエアコン効かせた車中泊で過ごす、オール電化のお気楽「BEVキャンプ」計画です。はたして、バッテリー残量は大丈夫か? レポートします。

お気楽「BEVキャンプ」レポート/V2Lやエアコン使ってバッテリー残量は大丈夫か?

73台、141人の大盛況でBEVキャンプの楽しさ満喫

8月3日〜4日の週末。今年で3回目の開催となった「EV Summer Camp 2024」に参加してきました。主催はIONIQ OWNERS QLUB(IOQ)。先日公開した木野さんの速報レポートでも紹介したように、このイベントは2022年に、IONIQ 5 のオーナーズミーティング「IOQ SUMMER CAMP 2022」として初開催。昨年は他社EVなどにも門戸を拡げ「IONIQ ELECTRIC CAMP 2023」と銘打って開催されました。

最終日の朝も富士山の見事な眺望が。日曜夕方、急遽参加を決めた著者陣の篠原知存さんが、Slackで送ってくれた写真です。

主催者からのLINEオプチャへの報告によると、今年の最終集計は参加者141名、車両73台(EV68台、ICE車5台)だったとのこと。初回は納車されたばかりのIONIQ 5が3台、私がエニカで借りた1台、ヒョンデからの1台で計5台だったことを思うと、IONIQ 5を中心とした「BEVキャンプ」の拡がりには感慨深いものがあります。

買い出しもサクッと済ませてキャンプへGO!

電気自動車で楽しむオール電化のキャンプ=BEVキャンプ(「#BEVキャン」のSNSポストなど推奨中)の魅力は、なんといってもお手軽さです。長年愛用しているスノーピークのタープや、コールマンのチェアとフォールディングテーブル、一昨年のBEVキャン参加時に買い足したIHコンロと鍋、IHで焼けるホットサンドメーカー、そして食器や寝袋などの用具をKONAに積み込んだら準備OK。

炭や薪、ガスやバーナー、火起こし関連など、「燃料まわり」の荷物を省けるだけでもお手軽さを感じます。

電源はKONAから室外V2L。

うっかり土曜日の午後に打合せの予定を入れてしまったという木野さんとは、16時(現地集合時間が18時だったので遅刻確定)をメドに明大前の駅前で待ち合わせ。時間がないので、私一人で食材などの買い出しも済ませました。

子供が小さい頃に出かけたキャンプでは、気合いが入りすぎて食材買い過ぎたりもしましたが、オヤジ2人のお気楽BEVキャン。IH鍋で焼いたら美味い! をコンセプトに、エビやホタテ、味付け済みの牛肉などを適度にチョイス。朝のホットサンド用のパンと具材も用意。

あまり念入りな写真は撮ってませんが、夕食のIHバーベキューはこんな感じ。エビもアスパラもシシトウも、そしてもちろんビールと焼酎も、美味しかったです。

朝食のホットサンドも、抜群に美味しかったです。

そしてランチは、夜のバーベキュー用に買ったプルコギ味付け牛肉が余ったのでそれを焼き、ホットサンド用で余ったハムやレタス、ツナなどと一緒にいただきました。

このほか、木野さんの速報レポートにあったように、ヒョンデがEVラーメンやEVかき氷、ノンアルカクテルの屋台サービスをやってくれたので、なんとも豊かな食を楽しむことができました。

キャンプでは「火と戯れるのが楽しい」という方は多いでしょう(私もそうです)。でも、EVのオール電化キャンプには、火と戯れるキャンプとは別の楽しさがあります。

キャンプ場内には参加者が持参してくれたスターリンクのWi-Fiが飛んでいて、土曜の夜は焼酎で酔いどれながらパリ五輪女子サッカーの準々決勝「アメリカ×日本」戦をTVerで楽しみました。車載冷凍庫を用意すれば、氷をふんだんに使えるのも、夏のオール電化キャンプにはありがたい。

今回、私たちは準備不足の言い訳的なお気楽キャンプを実践しましたが、参加者の中にはしっかり設営してゴージャスな食事を楽しんでいる方もいました。次回は、いろんな参加者のBEVキャンスタイルをレポートしたいな、と思っています。

エアコンと純正マルチカーテンで快適車中泊

1年目はファミリータイプのテントを張って、雨予報だった昨年はバンガローに泊まった私でしたが、今年は新たな愛車となったKONAで車中泊でした。一応、掛け布団的に寝袋を用意して。後席シートを倒すだけで寝室ができあがります。

KONA(Casual)の後席シートを倒してできる平面のスペースは、約105(一番狭いところ)×150cmくらい。身長173cmの私が足を伸ばして寝るにはちょっと窮屈かなと思っていましたが、写真に写っているクッションマットをセンターコンソールに掛けて枕にしたら、ちゃんと足を伸ばして寝ることができました。

さらに、ヒョンデのオフィシャルWebショップで新調した「H Genuine KONA マルチカーテン」が出動。4枚のドアには写真のようにかぶせるだけ、前後のウィンドウには吸盤で貼り付けて、遮光&目隠しされた車内空間にすることができます。

また、ドア用のカバーはファスナーで網戸にできるのが秀逸。ずっとエアコン効かせて寝ていたのですが、夜明け前に一度トイレに行ったら結構涼しかったので、エアコン止めて窓を開け、朝まで快適に眠ることができました。快適すぎて、夜明けの富士山写真を撮れずに7時ごろまで爆睡したのはご愛敬です。

マルチカーテンを買った以外はこれといった準備もなく、快適な車中泊を楽しめたのは今回BEVキャンで確かめられた収穫のひとつ。車中泊で取材の旅に出かけてみたくなりました。ただ、IONIQ 5に比べて寝室スペースが狭いことは否めません。この空間で添い寝は嫌だったので、同行した木野さんには1人用のテントを張って寝てもらいました。

そんなこんなで、今回の会場となった「TREE LINE chillax field」(静岡県富士宮市)。ペグは打ちやすくてトイレはキレイ、天気が良ければ富士山の眺望が最高。オール電化のBEVキャンにとって最高のフィールドでした。

無充電で一泊二日は余裕のクリア

さて、搭載するバッテリー容量が48.6kWhと大衆的な私のKONA Casual。V2Lやエアコン使って、一泊二日のキャンプを完遂する電力はもつのでしょうか。本当は念のためにキャンプ場到着前に一度急速充電しておけば安心ではあったのですが、木野ちゃん都合でギリギリの到着予定になったこともあり、「まあ、大丈夫でしょ」という野生の勘で、無充電でキャンプ日程を過ごしてみる(充電は帰路でOKという判断)ことにしました。

キャンプ場に到着してV2Lをセッティングした直後のメーター表示。

結果を端的に紹介しておきます。

出発時/SOC100%(航続可能距離表示422km)
↓ 東京〜キャンプ場の約150kmを走行。
キャンプ場到着時/SOC53%(航続可能距離表示203km)
↓ V2Lクッキングや就寝&納涼でエアコン活用。
キャンプ場出発時/SOC28%(航続可能距離表示94km)
↓ 駿河湾沼津SA(上り)まで約40km走行。
駿河湾沼津SA到着時/SOC24%(航続可能距離表示85km)
↓ 30分間で23.3kWh充電。
駿河湾沼津SA出発時/SOC72%(航続可能距離表示260km)
↓ やや渋滞の中、東京へ。約120km走行。
帰着時/SOCなど記録漏れ
うろ覚えですが、SOC45%くらい残して余裕の帰着。

ポイントを説明すると、まず、上りが厳しい往路約160kmを53%残して走破。そこから2日目の夕方まで、V2Lクッキングやエアコンを遠慮なく使って消費した電力がSOC表示で「25%=約12kWh」だったことがわかります。とくに2日目の日中は猛烈な暑さだったので、車中泊、一泊二日の電力消費量としては最大値に近いのではないか(冬の暖房も電力使うけど、防寒は服装などで対処しやすいし)と思います。

KONAの急速充電は最大230A対応で、150kW器を使いたくなるため、最近、駿河湾沼津SAの充電器をよく使います。

帰着時のSOCなどを疲れ果てて写真記録するのを忘れていましたが、SOCは45%くらいだったはず。バッテリーは50kWh程度のKONA Casualでも余裕をもって富士山麓でのオール電化キャンプを過ごせる(復路の充電1回だけで)ことが確認できました。

もちろん、キャンプ場への距離や、EV車種のバッテリー容量によって使い勝手は変わります。今回の結果は、48.6kWhのKONA Casualの一例として参考にしていただけたら幸いです。たとえば、サクラなどの軽EVや40kWhリーフの場合、もう少し慎重な充電計画が必要でしょう。あ、でも日産のEVは外部機器ないとV2Lできないので、クッキングなどにポータブル蓄電池使えば、駆動用電池の電力消費はもっと減らせますね。

ともあれ、今年も「BEVキャン」の楽しさを満喫することができました。次回が楽しみです!

取材・文/寄本 好則

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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