メルセデス・ベンツが日本第2弾の電気自動車『EQA』発売~急速充電は100kW対応

メルセデス・ベンツ日本が『EQC』に続く日本で2車種目の電気自動車となる『EQA』を4月26日から販売開始。オンライン発表会を実施しました。価格は640万円(税込)。チャデモ規格の急速充電は最大出力100kWに対応しています。

メルセデス・ベンツが日本第2弾の電気自動車『EQA』発売~急速充電は100kW対応

日本向きのコンパクトSUVで価格も頑張れば射程圏内

メルセデス・ベンツが日本で2車種目の電気自動車となる『EQA』の発売を開始しました。2019年にブランド初の完全電気自動車として発売した『EQC』は、エンジン車の『GLC』をベースとしたモデルでした。今回の『EQA』はよりコンパクトな『GLA』をベースとした電気自動車です。

ボディサイズはエンジン車モデルとほぼ同等の全長4465×全幅1835×全高1625mm。日本の都市部でも取り回しのしやすい車幅でありながら、車高があるSUVならではの利便性が高いモデルになっています。

搭載するバッテリー容量は66.5kWh。一充電航続距離は日本のWLTCモードで422km、欧州モデルのWLTPモードでも263mi(約423km ※EPA推計約377km)となっています。一般的に高速走行を含まない日本のWLTCのほうが欧州WLTPよりも短くなっていることが多いのですが、EQAのデータではほぼ同じ。詳細な理由はよくわかりませんが、いずれにしても片道300km程度のロングドライブは不安なく無充電で走り切ることができそうです。

今回発売されたのは『EQA 250』の1グレードで、価格は640万円(税込)。お手頃とはいえないものの、エンジンモデルの『GLA 180』が約500万円、『Mercedes-AMG GLA 35 4MATIC』が約700万円であることを考えると、メルセデス・ベンツのSUVとしてはお買い得感のある価格設定。日本の庶民にとっても「頑張ればメルセデスベンツのEVが新車で買える!」という射程圏内に入ってきた印象です。

おもなスペックを、先行して発売された『EQA』、レクサスのSUV電気自動車である『UX300e』、またアウディが先日発表した『Q4 40 e-tron』と比較した表にまとめておきます。

 EQA 250EQC 400 4MATICLEXUS UX300e “version C”AUDI Q4 40 e-tron
駆動方式前輪駆動四輪駆動前輪駆動後輪駆動
車体サイズ
(全長/全幅/全高
4465/1835/1625 mm4770/1885/1625mm4495/1840/1540 mm4588/1865/1632 mm
最高出力140kW300kW150kW150kW
最大トルク370Nm765Nm300Nm310Nm
車両重量1990kg2470kg1800kg2095kg
※欧州モデル参考値
バッテリー容量66.5kWh80kWh54.4kWh77kWh
普通充電
最大対応出力
最大6kW最大6kW最大6.6kW最大11kW
急速充電
最大対応出力
最大100kW(CHAdeMO)最大50kW(CHAdeMO)最大50kW(CHAdeMO)最大125kW(欧州CCS)
航続距離422km(WLTC)
約377km(EPA推計)
400km(WLTC)
約321km(EPA推計)
367km(WLTC)
約268km(EPA推計)
約520km(WLTP)
約464km(EPA換算)
価格640万円895万円580万円〜約620万円〜
※欧州価格(日本未発売)

急速充電は出力100kWに対応

EQAの発表で「おっ!」と注目したのは、日本のCHAdeMO(チャデモ)規格で対応する最高出力が100kWであることです。「輸入電気自動車はなぜチャデモ最大50kW対応が多いのか?」ジャガーのご担当者に質問してみました(2020年11月21日)という記事でもお伝えしたように、テスラ(のスーパーチャージャー)とポルシェ以外の輸入モデルは、チャデモ急速充電に最大50kWまでしか対応しない「流れ」ができつつありました。

メルセデス・ベンツでも『EQC』はスペック比較表にあるように最大50kW対応です。今後、さらに完全電気自動車モデルが増え、本国ではフラッグシップモデルとして専用プラットフォームで開発された『EQS』が発表されて、メルセデス・ベンツ日本としても、最大50kWでは「マズい」ということになったのでしょう。

なぜ、このタイミングで最大100kW対応としたのか。EQCもアップデートされるのか。国内ディーラー網などへの高出力充電インフラは? などといった点について、メルセデス・ベンツ日本に確認してみたいと思います。

上野社長がスガシカオさんとEQCの魅力を語る

4月26日に公開された『新型EQA オンライン発表会』では、メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長自らが千葉県内のゴルフ場敷地内で試乗するなどして魅力を訴求。約30分間の発表会動画の後半では、メルセデス・ベンツがスポンサードするJ-WAVEの番組ナビゲーターを務めるスガシカオさんとの対談で、EQAの魅力をわかりやすく紹介しています。

【オンライン発表会動画】
●新型EQA オンライン発表会(YouTube)

動画のなかでは、上野社長自身の体験として「電気自動車にもう不安はない」ことや、EQAに込められた「メルセデス・ベンツらしさ」などを強調。両手が塞がっていても、リアバンパーの下に脚を入れるとトランクが自動開閉する『フットトランクオープナー』など、お気に入りの装備を実演で紹介されていました。

オンライン発表会動画よりキャプチャ。

先日本国で発表されたEQSの日本導入時期などはまだ発表されていません。でも、EQCに続いてEQAを発売。さらにチャデモ100kW対応への進化をさらりと実現してきたあたりは「さすがメルセデス・ベンツ」という印象です。テスラは「従来の自動車の常識とは違う」価値をさまざまなカタチで具現してくれています。対してメルセデス・ベンツは「メルセデス・ベンツらしい電気自動車」という価値を着実に築きつつあるといえるでしょう。

先月、メルセデス・ベンツがドイツ本国の拠点で2023年からEV用電池の自社生産を始めることが日経新聞で報じられていました。発表された計画は「数百億円の投資でまだ小規模」な工場ということですが、電動化=EVシフトへの加速を象徴するニュースであるといえます。

オンライン発表会では、EQAの性能や魅力ばかりでなく、月々定額のサブスク制で電気自動車を安心して所有できる『メルセデス・スタイル』や、6kW出力の普通充電器(ウォールユニット)を無償で提供し、設置費用(上限10万円)をサポートすること。また、新車購入から5年間または10万kmのいずれか早い方まで、一般保証修理や定期メンテナンス、24時間ツーリングサポートが無償で提供される保証プログラム『EQケア』、さらに全国200カ所以上のアフターサービスネットワークなど、メルセデス・ベンツならではの「信頼感」が強調されていました。

メルセデス・ベンツは、日本でも電動化に「本気」です。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)13件

  1. チャデモ100kW対応は画期的ですね。
    実質的にscの120kW と変わらなくなりますし高出力チャデモの設置へ追い風にもなりそうです。さすがメルセデスですが、日産以外の国産EVのニューモデルたちが貧弱に見えてしまいますね。
    チャデモ対応もとても重要で、scのような排他的なシステムだとテスラ以外のEVが普及するにつれ不合理性が目立ってしまいます。テスラもいずれはscの互換性を認めるのでしょうか?それともscそのものを互換性のあるシステムと統合するかもしれませんね。それまではscの優位性をカードとして温存するのですかね。
    いずれにしろEQAは日本で大化けするかもしれません。国産メーカーにがんばって欲しいです。

  2. EVsmartブログ、時々アクセスして勉強させて頂いています。
    昨年末、直6のICEVはこれが最後、と思い、思い切ってB社G20を買いました。私がメルセデスに乗ることはたぶんないですが、この記事を読んで10年後には世界のかなりの部分が新しいモビリティに切り替わっているであろうと確信しました。
    でもやっぱり超急速充電インフラがどう互換性を維持しながら整備されていくかは結構気掛かりです。

  3. 『片道300km程度のロングドライブは不安なく無充電』って、600km無充電で走れる訳でもないし、一般的に30分縛りのCHAdeMOでは目的地で充電しても満充電にならないし、ハード的には普通充電6kW受入れでしょうが、一般の200V16Aでは片道50kWh使ったとしたら目的地で15時間も普通充電する必要があるとか、意図的に優良誤認するような書き様になっていませんか?

    1. 端的に発表された性能を論評しています。

      RiotNa さんが「600km無充電で走れる」ことが必須とお考えであれば、そういう車種をお選びください。

    2. 寄本様
      論点ずらししないでください。
      私は422kmの航続距離に不満はありません。
      本文に『片道300km程度のロングドライブは不安なく無充電』って書いてあったから質問しただけです。
      『発表された性能を論評』って上野社長は「往復300km」って仰ってますが?

    3. RiotNa さま

      「片道300km程度のロングドライブは不安なく無充電で走り切ることができそう」

      航続距離スペックが「WLTCモードで422km、欧州モデルのWLTPモードでも263mi(約423km ※EPA推計約377km)」であることをご紹介した上で、電欠まで走るのはリスキーなので、実用上でも300kmは不安なく走りきれる、ということです。

      この説明が「優良誤認するような書き様」というご指摘に対して、前段のお答えでした。

    4. あ、コメント再読して合点しました。

      片道300km無充電=往復600kmを無充電ということではありません。

      当初の記事執筆時、あえて「片道」と付記したのは、目的地充電がしっかりできるとか、経路で100kW充電できる施設が増えるといった環境整備が大切だよね、という意図を込めました。

      現状、それが難しいという点では、ご指摘のように片道300kmを往復はできないよ、と理解しておくことが大切ですね。

    1. いもけんぴ さま、ありがとうございます。
      ご指摘の通りです。本文に(のスーパーチャージャー)を追記しました。

      ちょっと話がずれますが、テスラ車はアダプターでタイプ2普通充電サクッとできますが、テスラ車以外はウォールコネクター(テスラデスティネーション)使えないのが口惜しい。クレジットカード登録するので、リーフでもテスラデスティネーション使えるアダプターとか作ってくれないかなぁと、ほろ酔い妄想しているところでした。。

    2. X禁煙車 さま

      そうか! ティネーションチャージャー)はまだ自動課金じゃないですもんね。さすがアメリカ、すでにサードパーティのアダプタがあるんですね。ググってもいませんでした。情報、ありがとうございます!

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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