ABBが「EV用超急速充電器を英国の充電ネットワークに納入」のニュースに感じる「がんばれニッポン!」

電気自動車用充電器の世界的大手メーカーであるABBが、イギリスの充電ネットワーク『GRIDSERVE』に最大出力350kWの超急速充電器を大規模に納入するというリリースを発信しました。海の向こうの、いろいろと羨ましいニュースです。

ABBが「EV用超急速充電器を英国の充電ネットワークに納入」のニュースに感じる「がんばれニッポン!」

複数のネットワークが高出力化を競う、らしい

GRIDSERVE』は、イギリスの再生可能エネルギー関連事業を手がける企業です。公式サイトを確認すると、電気自動車用充電ネットワークサービスだけでなく、ソーラー発電やEVのリースなど、再エネとEVを社会実装していくための事業を意欲的に行っているようです。

リリースでは、ソーラーの電力で充電できる「Sun-to-Wheel」インフラのこともアピールされていました。

今回、ABBが最大出力350kWのDC超急速充電器を納入するのは、GRIDSERVEが構築する『GRIDSERVE Electric Highway』と名付けられた充電インフラネットワーク向けのもの。GRIDSERVEがイギリスで150カ所程度の充電ネットワークをもつ『Ecotricity』を買収し、さらに強化していくというニュースは、先日、翻訳記事でご紹介しました。

【関連記事】
ノルウェーと英国ではEV革命によりサービスステーションが生まれ変わり始めた(2021年7月18日)

このネットワークを強化していくことで、ABBのリリースによると「高速道路ネットワークの85%に加え」50カ所に設置される新しい充電拠点は「ABBの超急速DC350kW充電器によってサポート」されるとのこと。

欧州ではすでに、フォルクスワーゲンをはじめドイツの自動車メーカーなどが出資する充電インフラ企業である『IONITY(アイオニティ)※関連記事にリンク』が、最大出力350kWの急速充電網構築を進めています。ステーション数はまだ15カ所程度のようですが、もちろんイギリスでも設置が進んでいます。

IONITY 公式サイトより引用。

つまり、イギリスではIONITYとGRIDSERVEが鎬を削りながら電気自動車用超急速充電インフラネットワークの構築が加速していく、ということになります。近所に両社のステーションができて競争されてもユーザーにとっては微妙(もっとあちこちに作って欲しいと感じそう)ですが、まあ、そのあたりは上手に計画していくのでしょう。

なんにせよ、EVシフトや再エネ社会構築に意欲的な企業によって高度な電気自動車充電インフラ構築が進んでいくというのが、まず一点目の羨ましいポイントです。

1サイトに6〜12基の充電ユニットを設置

また、ABBのニュースリリースでは、GRIDSERVE Electric Highwayの「各サイトには6~12基の充電ユニットが設置されます」とのこと。つまり、ひとつの急速充電スポット(サイト)に、6〜12基(2本出しの場合はケーブル数かも)の急速充電器が設置されるということですね。

加えて「さらに300基の 60 kW急速充電器が供給され、GRIDSERVEがEcotricityから取得した既存サイト150カ所をアップグレード」とあるのは、Ecotricityがすでに整備してきた充電スポットは「(電源の問題などがあって?)350kW器は設置できないけど、新型の60kW器で使い勝手が向上するよ」ということでしょう。

アメリカはもちろん、イギリスをはじめとする欧州、中国などでも、急速充電器は複数台設置が当然、になっているのです。

ちなみに、2020年8月4日(ちょうど約1年前)には、ABBから「ABBのTerra184充電器が日本のEV充電インフラの最新化をサポート」というリリースが発信されました。このニュースも、EVsmartブログでは記事としてお伝えしています。

【関連記事】
イーモビリティパワーがABBの高出力急速充電器で電気自動車充電インフラ最新化へ(2020年8月7日)

当時の取材によると、最大出力180kWのポテンシャルがある『Terra184』から「最大90kWのケーブルを2本出し、2台が同時に充電できる仕様」になるということでした。

一朝一夕に日本でも急速充電器複数台設置が爆発的に拡大、というのは難しいでしょうから、せめてこの「高出力2本出し」が広がってくれればと期待しているのですが、実装されたというニュースはまだ横浜の公道設置実証実験のケースだけかと思います。

GRIDSERVE Electric Highwayの超急速充電ネットワークがどのくらいのスピードで整備されていくのかもまだ未知数ではありますが、公表されているプランの段階で、「高出力」「複数台設置」、また今回は細かく言及しませんでしたが「従量課金」など、日本のEVユーザーから見ると羨ましいポイントがいろいろです。

GRIDSERVE社のサイトには「まあ、CHAdeMOにも当面は対応を続けるよ」というリリースもありました。がんばれニッポン! です。

はたして、日本の充電インフラ構築を担うイーモビリティパワーは、どのようなビジョンをもち、どのように進もうとしているのか。そろそろ、きちんと取材をお願いしたいと思います。

オリンピックも電気自動車普及も、がんばれニッポン! ですね。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)5件

  1. 「高出力」「複数台設置」「従量課金」が世界のトレンドですよね。
    テスラやドイツメーカー、日産アリアのように、世界で長距離走れて短い時間で充電出来るEVがあって発売も続くのに、日本の高速道路の充電は、進歩が遅々として進まず本当にスローな動き。
    日本は世界でもこの分野は後進国だと思います。

    海外のように競争も無い中で、イーモビリティパワーが、この分野でほぼ独占企業となっており、イーモビリティパワーが、何を考えているのか、知りたいです。

  2. 先日、急遽アイミーブMで高速道路を初めて利用しました。
    サービスエリアに入る前に15分ほど前から利用中とわかっていましたが、走行可能距離は20km程度でとても次のサービスエリアまでは届かない状況で充電器の前に行くと、アウトランダーが充電中で待機場にテスラXが止まっていました。40分待ち+充電時間で1時間を覚悟していたのですがテスラは譲ってくれるように出発していき大変助かりました。アウトランダーはきっちり30分充電して交代させていただきました。
    今回の事で高速の充電状況はまだまだ整備されていないと実感しました。容量の小さなBEVでは絶対そこで充電できなければ次へは行けません。1時間も待っていたのでは高速を利用する意味もありません。また高速充電できるに越したことはありませんが充電時間が短い=短すぎてゆっくり食事休憩などができないので、電池容量の小さなBEVばら6~10kWあたりの充電器で1時間充電中に食事休憩と言う選択肢もあるといいと思いました。

  3. 日本でも政治家や役人が表向きEV推進を唱えますが、
    じゃあ君ら普段EVと巷にあるチャデモ充電器使ってるのかと問いたいです。
    テスラのチャージャーと比べてとにかく遅いし複雑怪奇な課金システムと酷い操作感、頻発するエラー。
    こんな馬鹿げた充電器を補助金出して今更作る意味あるのか、権限のある人達も実際に日常利用して考えて欲しいですね。

  4. >イーモビリティパワーは、どのようなビジョンをもち、どのように進もうとしているのか。
    >そろそろ、きちんと取材をお願いしたい。
    発足から一定期間が過ぎたので、ボチボチ取材をお願いしたいです。
    以前のEVOCカンファレンスで高速道路SAでの複数台設置を代表が発言から少なくとも2年。
    運用開始どころか設置予定すら未だに公表されていないので!

    1. 【独自】高速道のEV充電器、25年度までに2・5倍の1000口に…東電
      https://news.yahoo.co.jp/articles/5c64a0877c4cd9d299d9cbcf1a6e2966b1378a72

      第1弾
      稼働率が20%を超える約30か所のサービスエリア(SA)は、22年度までに現在の「充電器1基1口」から「1基6口」へと置き換える。

      第2弾
      稼働率15~20%の約70か所のSAやパーキングエリア(PA)が対象になる。
      必要な駐車スペースが不足する場合、「1基2口」の充電器を活用したり、隣接するPAに増設したりする。

      上記の具体的な対象施設と運用開始時期を取材してEVsmartブログで公表してほしい!

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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