※アイキャッチ画像はテスラチャイナのTweetより引用。
わずか11カ月でデリバリーを開始!
『テスラ社が中国で建設中のギガファクトリー3で起工式、2019年末までにモデル3を生産開始』でお伝えしたように、上海のギガファクトリー3で起工式が行われたのは、2019年1月7日のことでした。
YouTubeの「Flighteye PVG」というチャンネルが公開している動画です。
当時の工場建設地の様子を伝えている動画がこちらです。サムネイル画像は現場事務所みたいな建物に寄っているのでちょっとわかりづらいですが、建設予定地には広大な空き地が広がるばかり。全体像がわかりやすいキャプチャも引用しておきます。
そして今日、テスラチャイナがデリバリーセレモニーの様子を伝えているTweetがこちら。
Tesla will deliver the first China-made Model 3 at Gigafactory 3 plant in Shanghai TODAY. The 15 customers who are slated to get their Model 3s first are Tesla employees. pic.twitter.com/bOTeR8wjUL
— Tesla China (@teslacn) December 30, 2019
真新しい工場で、デリバリーセレモニーが盛り上がっていることを伝えています。
TESMANIANを運営するVincentさんによる、セレモニーの動画を掲載したTweetもありました。
⚠️Important Update⚠️
Tesla Shanghai Gigafactory 3's Made-in-China Model 3 Delivery Event [Photos]
Huge congrats to @elonmusk & all @Tesla team!! WE MADE IT💪🏻✨
Read: https://t.co/xlwjW2VRnF
Thanks @jsrdctz for pix & vid$TSLA #Tesla #China #MIC #Model3 pic.twitter.com/PZudEOsICf
— Vincent (@vincent13031925) December 30, 2019
着工からわずか11カ月で、本当に中国産モデル3のデリバリーが始まりました。
たとえば、日本の注文住宅でさえ、着工から入居まで半年程度は普通にかかります。これだけの規模の自動車工場が、1年足らずで完成して出荷を始めるスピードは、今までの自動車産業の常識ではあり得なかったこと、と言えるのではないでしょうか。
補助金や免税の対象車種にも指定
中国で生産されるモデル3については、デリバリーの開始とともに、中国工業情報省が指定する免税適格モデルリストにも掲載されて、車両価格の10%に相当する「購入税」が免除されることが伝えられています。また、1台当たり最大約2万5000元(約39万円)相当の政府補助金の対象にもなっています。
クリスマスイブの12月24日には、テスラが中国の銀行団から100億元(約1600億円)余りの融資を確保したことが伝えられ、26日にはテスラ株がアメリカの株式市場で一時430ドルを超える上場以来の最高値を記録するなど、テスラにとってはポジティブなニュースが続いています。
上海ギガファクトリー3では「モデルY」も生産
ロイターの報道によると、この上海工場=ギガファクトリー3では「今後「モデルY」も生産し、最終的には年間生産台数25万台を予定」しているとされています。着工当時には「順次製造を拡大して、年産50万台のモデル3を中国の顧客に届けることになるだろう」というテスラ社のコメントも伝えられました。
いずれにしても、次世代エネルギー車普及に注力する中国市場で、テスラのプレゼンスがまた一歩先へ進んだことは間違いありません。
中国国内では電気自動車を生産する新興企業が続々と誕生し、成長を続けています。テスラの現地生産開始が中国国内での電気自動車競争をさらに促し、中国全体として電気自動車生産の気運とレベルが向上していくことにもなるでしょう。
今年2月、『中国製電気自動車 ORA R1 を世界が絶賛! 100万円で200km以上を実現』でお伝えしたように、日本から見ても魅力的な電気自動車も登場してきています。
振り返って日本国内を見渡すと、相変わらず「電気自動車は儲からない」といった様子見の風潮が目立っています。仮に、現状のリチウムイオン電池よりも効率のいい全固体電池などが開発されて、いよいよ日本メーカーも電気自動車開発に本腰を入れるとなったとしても、テスラや中国メーカー、そしてフォルクスワーゲンなど、電気自動車への本気で先行したメーカーは、すでに何歩も先を走っていて、新しい技術もまたたく間に吸収されてしまうことになるであろうことは容易に予測できます。
もうすぐやってくる2020年には、世界各社から続々と電気自動車の新しいモデルが市場に投入されます。自動車産業100年の歴史が、大きく転換する年になるであろうことも間違いありません。
はたして日本は、世界が前進するスピードについて行けるのか? 2019年も押し詰まった年末。「化石賞」に輝いた日本の近未来が、ますます心配になってしまうニュースでした。
(文/寄本 好則)