ボルボが欧州で電気自動車専用モデル『C40リチャージ』の受注を開始〜日本導入は今秋から

ボルボが電気自動車専用モデル『C40リチャージ』の受注をヨーロッパ市場で開始したことを発表しました。日本への導入は2021年秋頃の予定となっています。価格はプレオーダーが開始されたオランダで57,995ユーロ、日本円に換算すると約773万円です。

ボルボが欧州で電気自動車専用モデル『C40リチャージ』の受注を開始〜日本導入は今秋から

ボルボ初のEV専用モデル『C40リチャージ』

2021年6月3日、ヨーロッパ市場で受注が開始されたボルボ『C40リチャージ(Recharge)』は、ボルボとして初めて、電気自動車専用モデルとして開発されました。セダンの「S」、ワゴンの「V」、SUVの「XC」とは異なるクロスオーバーSUVに位置付けられています。

なお、『C40リチャージ』を含むすべてのEVボルボはオンラインのみでの販売となることも発表されました。リリースには「販売店と一緒にオンライン注文することもできます」とあるように、ディーラーで買うにしても注文はオンラインで統一、ということですね。

エクステリアは、緩やかな傾斜のルーフラインと印象的なリアエンドデザインが特徴で、EVボルボを表す新しいフロントフェイス、最先端のピクセルテクノロジーを用いたヘッドライトを採用しています。

インテリアは、ボルボの多くのドライバーが好む高いシートポジションとしており、C4リチャージ独自のカラーやデコレーションのオプションも用意。また、ボルボ初のレザーフリーインテリアとしています。

OTAによるアップデートも採用

インフォテインメントシステムは、Android OSをベースにGoogleと共同開発し、Googleマップ、Googleアシスタント、Google Playストアなど、Googleアプリやサービスの利用が可能です。さらに、データ通信無制限のコネクティビティにより、ソフトウェアを無線でアップデート。工場から出荷された後も、時間の経過とともに改良されていきます。

動力は、前輪と後輪に1つずつ搭載されたツイン電気モーターで構成され、78kWhのバッテリーを搭載。航続距離は約420kmを想定していますが、今後ソフトウェアのアップデートによりさらに向上していく予定です。

さらに、『C40リチャージ』納車の際には、メンテナンスサービス、保証、ロードサイドアシスタンス、保険、家庭用充電器(一部地域を除く)などを含むケアサービスが付属すると発表されています。

ボルボのグローバル・コマーシャル・オペレーションの責任者であるレックス・カーセメーカーズは次のようにコメントしています。

「私たちはこれをボルボの未来と呼んでいます。それは、C40リチャージが単なる新車ではないからです。ボルボ初の電気自動車専用モデルであり、消費者の利便性を高めるためにオンライン化するという計画の重要なステップを担っているからです。つまり、全く新しいボルボなのです」

ボルボ C40 Recharge主要スペック
全長×全幅×全高4431×1873×1596 mm
ホイールベース2702mm
最高出力300kW
最大トルク660Nm
駆動方式AWD
バッテリー容量78.0kWh
一充電航続距離約420km(WLTP)
約375km(EPA換算推計)
0-100km/h加速4.7秒
最高時速180km/h
価格(オランダ)57995ユーロ
(約773万円)

※スペックは、Electric Vehicle Datebaseより一部抜粋
※価格は2021年6月8日時点のレートで計算

一充電航続距離は約420km(WLTP ※EPA換算推計=約375km)を想定しているものの「今後、ソフトウェアのアップデートによりさらに向上していく予定です」とのこと。現実的にソフトウェアの改良だけで20kmとか30kmといった大幅な航続距離向上は難しいでしょうが、電気自動車専用モデルのリリースを機に、ボルボが無線アップデート(OTA=Over The Air)に本気で取り組むという決意は読み取れます。

日本で100kW以上の急速充電に対応するかは未定

78kWhのバッテリーを搭載するボルボ『C40リチャージ』は、欧州では「約40分で80%までの急速充電ができる」と公表されています。つまり、約40分で約62kWh(0からとしての概算ですけど)となり、出力100kW程度の急速充電にも対応できる計算です。

日本における充電環境について、ボルボカージャパンに問い合わせたところ、「現時点で受注を開始した地域もありますが、まだ車の生産が開始されていないため、日本における充電環境(対応)の情報がなく、何もお答えできません。今後、日本での検証をした後に充電情報を公表します」という回答でした。

先だって日本導入が発表されたメルセデス・ベンツ『EQA』はチャデモで出力100kWに対応することが示されました。ぜひボルボも100kW以上のチャデモ急速充電に対応し、日本国内での高出力設置充実への機運を盛り上げて欲しいと思います。

当初100台はサブスクリプションで提供

最初に導入される100台の『C40リチャージ』は、ボルボの新しいサブスクリプションプランで提供されます。

このプランは、ボルボが掲げる個々のニーズを満たせる持続可能で安全なモビリティをユーザーに提供することを目指す「Freedom to Move(モビリティの自由)」を具現化するためのもので、ユーザーのライフスタイルの変化に合わせ、短期での契約終了であっても追加負担なく車を手放すことができるというものです。ただし、詳細は2021年秋『C40リチャージ』販売開始時に発表される予定になっています。

ボルボは2021年3月、プレミアム電気自動車市場のリーダーになることを目指し、2030年までに完全な電気自動車メーカーになることを発表しました。今後ボルボは、EVの販売比率を2025年に35%、2030年に100%と段階的に進めていく予定で、『C40リチャージ』はEVメーカーボルボになるための第一歩です。

C40リチャージは、日本ではおそらく800万円前後の価格設定となることが予想できるプレミアムEVです。とはいえ「40」というモデル名から推察すると、今後は「60」や「90」など、より高級で大型のモデルへと展開していくのかな、とも思われます。

はたして、今後どのようなモデルをリリースしてくるか、完全EVメーカーへの道を歩み出したボルボの動向に要注目です。

(文/齊藤優太)

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この記事の著者


					齊藤 優太

齊藤 優太

静岡県静岡市出身。大学卒業後、国産ディーラー営業、教習指導員、中古車買取を経て、フリーランスへ。現在は、自動車ライター、ドライビングインストラクターとして活動をしている。保有資格は、教習指導員(普通自動車一種・普通自動二輪)、応急救護指導員、運転適性検査指導員。

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