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ジャパンEVオブザイヤー2025 表彰インタビュー【BYDオートジャパン 東福寺厚樹社長】2026年はEV普及のターニングポイント

ジャパンEVオブザイヤー2025 表彰インタビュー【BYDオートジャパン 東福寺厚樹社長】2026年はEV普及のターニングポイント

優れたEVを選んで讃える「JAPAN EV OF THE YEAR 2025」受賞車へのトロフィーをお届けしつつお祝いインタビュー。優秀賞を獲得した「BYD SEALION 7」について、BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長にお話を伺いました。もうすぐ発売予定の軽EV「ラッコ」やCEV補助金の話題も気になります。

目次

「BYD SEALION 7」が優秀賞を獲得

「JAPAN EV OF THE YEAR」は、EVsmartブログと読者がともに、ノミネート車種の中から2025年を代表する最優秀EVを選出するユーザー参加型アワードです。2024年11月から2025年10月までに日本国内で発売されたEV(BEVのみ)を対象に、一般投票とEVの知見を有するエバンジェリスト26名による投票を実施。「BYD SEALION 7(シーライオン7)」が329ポイントで「優秀賞(第3位)」を獲得しました。

SEALの高い走行性能を受け継ぎながら、同価格帯でプレミアムSUVとしての質感と装備を実現。デザインと走行性能の両面における完成度の高さに加え、圧倒的なコストパフォーマンスが高く評価されました。


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BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長にお祝いインタビュー

BYDオートジャパンの本社へ優秀賞のトロフィーをお届けし、東福寺厚樹社長にお祝いインタビュー。一問一答スタイルで紹介します。EV普及への思いや、BYDにとっては評価が厳しい国のCEV補助金についても伺いました。

シーライオン7の魅力とは?

Q. 一昨年ドルフィン、昨年はSEALがグランプリ。今年は優秀賞ではありますが、3年連続の受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。大変光栄に思っています。BYDというブランドがそれだけ少しずつ認知されてきた結果がこの連続受賞につながっているかなと思いますし、シーライオン7という、車自体が持つ非常に高度なEVの性能や仕様、装備といった部分、また出来栄えも我々から言うのもなんですが、価格を超えた高品質な大変質感の高い車に仕上がっていると思いますので、そういった部分が総合的に多くのお客様から支持をいただけた要因だと思っています。

Q. 東福寺社長の愛車もシーライオン7と聞いたことがありました。

そうですね。一番最初はアット3に乗りまして、次にシールのAWDになって、シーライオン7のAWDは1年ちょっと、1万8000kmほど走りました。

Q. 乗ってみて実感したシーライオン7の魅力とは?

非常に高い剛性感とトルクフルなモーター、足回りのカッチリしたフィーリング。また、約2.3トンという重量を感じさせない非常にアジャイルな取り回しの良さなどですね。EVだからというだけでなく自動車として、この高性能車を意のままに操れる、運転して楽しいクルマだと感じています。

Q. 扱いやすさは「EVならでは」の魅力でもありますよね?

もちろんそうですね。アクセルを踏んだ途端にもりもりと湧き上がるトルク感とスムーズな出足、高速走行においても静粛性が非常に高いですし、コースティングしている時の滑らかさなどは、やはりエンジン車では味わえない乗り心地の良さだと思います。全ての面においてシーライオン7はワンランク上の技術がうまく噛み合って非常にお買い得なんですが、どこに出しても恥ずかしくない高性能なBEVに仕上がっていると思います。

日本のEV普及についての思い

Q. なかなか進まない日本のEV普及についての思いをお聞かせください。

ご承知の通り、世界的には少しずつ踊り場はあったりしながらも、バッテリーEVやPHEVがマジョリティになっていく方向で各市場が動いています。日本では総需要に対する比率でも、EVとPHEVの合計でさえ3%未満という状態が続いています。

一方で、トヨタ、日産、ホンダ、スズキといった国内メーカーさんも新しいEVをどんどん投入しつつあります。トヨタのbZ4Xはかなりメジャーなアップデートを行って、お手頃な価格設定で発売して以降、多くの受注が上がっていると聞いています。そうした新しいEVが日本でも路上を走る機会が増えてくると、より多くのお客様にとって「EVは高額な輸入車」というイメージから、誰でも普通に買えて使える商品に変わっていくことが実感できるようになると思っています。2026年は、ひとつの大きなターニングポイントになるのではないかと感じています。

Q. 国産EV車種の増加はBYDにも追い風になる?

追い風にしなければいけないと思っています。販売の現場では、bZ4Xの見積もりを取りました、リーフも見に行きました、ではBYDはどうだろうといったお客様が増えてきています。それだけEVへの関心が高まって、国産EVとの比較対象にBYDも入ってきているというところは、大きなチャンスが巡ってきていると思っています。

日本進出から3年間、限られたモデル、販売拠点数も少ないなかで購入してくださったお客様がしっかり乗って育ててくれたBYDブランドを、さらに大きくできるチャンスだと感じています。

国のCEV補助金は?

Q. CEV補助金額が、BYDには厳しい評価になっていますが……?
編集部注※インタビュー時点ではBYD車への補助金額はおおむね35万円でしたが、2026年3月27日に発表された新年度の制度ではさらに厳しい15万円になりました。

EVへの補助金上限額が85万円から130万円になりました。「銘柄ごとの補助金交付額」は車両性能への評価と、「自動車分野のGX実現に必要な価値」に対する企業への評価で決定される制度(200点満点)ですが、BYDでは車両でも満点が取れておらず、企業としての電動化に向けた社会貢献といった点でも非常に低い評価になっているのが、現在(3月上旬時点)の35万円にとどまっている要因と捉えています。

車両性能としては、自らの商品の性能の評価がそこに至ってなかったということなので、潔く受け入れるしかないと思っています。一方で企業への評価について、いろいろな項目にこちらから回答した内容に対して、最終的に「0点」という評価が返ってくる。我々としても評価項目に関して何もやっていないわけではないし、「どこまでどうやれば何点いただけますか」と問い合わせても回答をいただけないのが、大きなジレンマになっているのが現状です。

先日、新年度の補助金額決定に向けたクエスチョネアがきて、前回同様の質問項目でした。たとえば急速充電器の設置数という項目に対して、BYDの販売拠点数は実働ベースで60カ所くらいですが、そこに設置されている急速充電器の数は当初は8基程度だったのが、40基ほどに増えています。そうした数字を回答して、それでも0点というのが前回でしたから、今回、さらに増えた数字を回答した上で何点になるのか。やはり評価基準を明確に出していただきたいと感じています。

仮に絶対数で評価されて、拠点数の多い企業と比較して相対的に0点しか取れませんでしたということであれば、新規参入している我々には厳しいと感じます。

Q. BYDとして、電動車普及に取り組む姿勢は変わらない?

そうですね。基本的なスタンスは変えることなく拠点を展開して、サービスファシリティを併設し、急速充電器を来店のお客様に開放するといったことはずっと続けています。また、これから新規オープンする拠点も、こうした要件を満たして展開する予定になっています。まだ数は少ないかも知れないですけど、日本の電動化に向けて一生懸命に取り組んでいます。

夏ごろ発売予定の軽EV「RACCO」について

Q. 軽乗用EVの「RACCO(ラッコ)」にも期待しています。

昨年のジャパンモビリティショーでプロトタイプを実際に展示(関連記事)して以降、作り込みが進んでいることや、本当に本気で軽市場に参入するんだということが伝わって、多くの方からお問い合わせなどをいただいています。

今はテストもほぼ完了して、量産のちょっと手前くらいで最終的な品質確認を行っている最中です。先日も、開発責任者の田川(元日産でサクラの開発責任者だった田川博英氏)がラッコを生産する常州工場へ行って、出来映えの部分などについていろいろと細かい注文をつけてきて、量産車に反映できるよう詰めているところです。

BYDとしても初めての日本専用車ということで、日本だけのために中国で開発、生産して日本に送ってくる商品になりますので、日中が本当に連携して、中国の担当者の方たちもものすごく真剣に開発を進めています。当然と言えば当然なんですけど、日本でコケたらどこにも売り先がないので、もう「日本で成功するしかない」という非常に重い十字架を背負っている部分はあるんですが。日本のお客様のために最高の軽EVを作ってお届けしようということで最終的な詰めを行っていますので、ぜひ、夏の発表、発売を楽しみにしていただきたいと思います。

多くのお客様に使っていただかなければ、BYDがブランドビジョンとして掲げている「地球の温度を1℃下げる」という目標を達成することができません。日本のマーケットでは30〜40%の方が軽自動車をお使いになっています。日本ならではの軽自動車のニーズにフィットしたEVを提供することでEV化を推進して、より多くのお客様に「走行時はCO2排出がゼロ」というモビリティを体感していただきたい。そして、日本が目標としている2035年の100%電動化、さらには2050年のカーボンニュートラルという目標の達成に少しでも貢献したいと思います。

Q. 価格がとても気になってます。

正直、価格はまだ決まっていません。もちろん、このぐらいの価格で販売したいという目安はあって、いろんな市場分析や、先に発売されている軽EVの日産サクラやホンダのN-ONE e: といった先輩自動車メーカーの素晴らしいEVはベンチマークしながらになります。より多くのお客様に使っていただくために、スーパーハイト型でスライドドア付きという、一番人気を集めているスタイルでの乗用EVとして初めてのクルマになりますから、お客様からの評価、このくらいだったら払っていただけるのではないかという「しきい値」をいろんな観点から見極めながら、今、価格設定を検討しています。

一方で、中国の本社からは「このくらいの値段で売ってもらわないと採算が合わない」といった話はこれから出てくると思いますので、そこをいかに折り合いをつけていけるか。これから3カ月くらい、集中的に取り組まなければいけないと思っています。

シーライオン7のコストパフォーマンス

Q. シーライオン7への一般投票でも優れたコストパフォーマンスが高く評価されました。
編集部注:動画担当の畑本(テスカス)さんからの質問。

シーライオン7はその前に出したセダンタイプのシールと同じ495万円〜という価格に設定しました。オールドスクールの自動車会社の法則に従うと、SUV代が必ず乗っかってだいたい30〜40万円高いマーケットプライスになるのが通例だと思います。我々も最初はそのように考えていたところもありました。

とはいえ、BYDは日本では「保有ゼロ」からのスタートで、乗り換え需要はありません。他社からのコンケストセールス(乗り換え需要喚起)ですべてやっていかなければいけないという点で、ほかのブランドの別のクルマを凌駕する必要があります。性能や質感に加えて価格、この3つが組み合わされなければお客様の評価を得られないと考えて、SUV代を捨てたプライシングにしました。結果として、シールが発売から2年で1000台という販売台数に比べて、シーライオン7は発売から10カ月ほどで1765台(取材日時点)という実績になっています。

BYDオートジャパンのみなさま、3年連続受賞おめでとうございます。東福寺社長、ありがとうございました!

EVsmartのXで動画も公開しています。


取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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