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「EV丸ごと体験会」に参加して感じた「EV普及は深く静かに進展中」~バッテリー診断がもっと普及してくれますように

「EV丸ごと体験会」に参加して感じた「EV普及は深く静かに進展中」~バッテリー診断がもっと普及してくれますように

電気自動車のバッテリー健全度(SOH)測定器を発売する三洋貿易などが主催して開催された「見て触れる! EV丸ごと体験会」に行ってきました。会場は埼玉県加須市の電装品に強い自動車整備工場。関連企業が協力した小さなイベントではあったものの、日本でもEV普及が着実に進展していることをしみじみと感じる時間になりました。

目次

2日間で電気自動車43台と80人以上が来場

ゴールデンウィーク初日の2026年4月25日(土)、埼玉県加須市で開催された「見て触れる! EV丸ごと体験会」に行ってみました。事前の告知記事で紹介したように、自動車部品専門商社の明治産業株式会社と、EVバッテリーの健全度(SOH)測定機器を発売している三洋貿易株式会社による共同開催。電装品整備を手掛ける有限会社シンコーエンジニアリングの整備工場を会場にしたイベントです。
※冒頭写真は会場に展示されていた東風日産 N7。

「EVオーナーはもちろんのこと、ガソリン車ユーザーにとってもEVの良さを体験できるイベントに」という主旨に、先走ったEVユーザーとして賛同できるし、イベントを少しでも盛り上げて、関連企業による手作りイベントを応援したいという思いで参加してきました。

理屈っぽくなって恐縮ですが、今、日本のEV普及が遅れているのは、「EVを知らない人の拒否反応」が大きな要因ではないかと感じています。EV関連事業を手掛ける会社が力を合わせ、EVへの理解を広げようとするイベントを盛り上げるには、EVユーザーの幸せそうな笑顔が必要でしょ、と考えた次第です。

イベントは4月25日と26日(日)の2日間開催。来場したクルマ(おもにEV)のSOH診断や、タイヤ溝やワイパーブレードなどの車両診断が無料で実施されました。後日、主催した三洋貿易の担当者である田中聡氏に参加台数などを伺いました。

【1日目】
来場台数:22台
SOH診断:20台
車両点検:15台

【2日目】
来場台数:21台
SOH診断:18台
車両点検:18台

家族連れや、歩いて来場した方もいて、来場者数は「概算で80人以上」だったとのこと。

「初めてのイベントのため、実際に何台ご来場いただけるかわからず不安な状況でしたが、天候にも恵まれ40台以上のお客様にご来場いただくことができて安堵いたしました。初めてのイベントで不慣れな点もあり、ご迷惑をお掛けしましたが、キャパ的に対応出来得る台数でお越し頂き、みなさまに無料点検、EV展示、EVへの試乗を楽しんでいただけたのではないかと思います」と田中氏。

「とはいえ反省点も多々あり、展示車両のスペック掲示や、無料点検の際に事前予約を行うなど、次回は改善点を踏まえ、ブラッシュアップした内容で開催しようと思っております」と、次回開催への意欲も語ってくださいました。

マイカーのSOHは「95%」でした

イベントの目玉コンテンツになっていたのが、EVバッテリーの無料健全度診断です。駆動用バッテリーの健全度(劣化度)は「State of Health=SOH」といって、たとえば、私が以前乗っていた日産リーフ(30kWh)の場合、おおむね以下のような目安があります。

日産リーフ「セグ欠け」バッテリー容量の目安

劣化度SOH目安推定総電力量
(30kWhの場合)
推定総電力量
(24kWhの場合)
11セグ15%85%25.5kWh20.4kWh
10セグ21.25%78.75%23.6kWh18.9kWh
9セグ27.5%72.5%21.75kWh17.4kWh
8セグ33.75%66.25%19.9kWh15.9kWh
7セグ40%60%18.0kWh14.4kWh
6セグ46.25%53.75%16.1kWh12.9kWh

一般的に「70%」を下回るとEVとしての実用性が大きく損なわれるとされていて、初期型リーフの場合、保証期間内に8セグになると電池交換の無償サービスが提供されていました。

ただし、バッテリー劣化が著しかったのは、バッテリー冷却などのマネジメント機能を搭載していなかった旧型リーフのエピソード。最近の市販EVは新型リーフはもちろんのことバッテリー温度マネジメント機能を搭載しているので、以前ほど劣化を気に病む必要はなくなってきています。

今回のイベントで、私のマイカーであるヒョンデKONA(コナ)カジュアルのSOHも診断してもらいました。充電プラグのような計測機器を急速充電口に差し込んで待つこと数分、かと思ったら、あっという間に結果が表示されました。診断結果は「95%」で「バッテリーは新⾞時に近い状態を保っています」とのこと。納車から2年半くらい、走行距離約2万4000kmのEVとしてひとまず安心って感じの結果です。

ちなみに、昨年のクリスマス、ヒョンデのカスタマーエクスペリエンスセンター横浜で受けた2回目の12カ月点検の際、確認してもらったデータのSOHは「100%」でした(関連記事)。あれ、定期点検からの4カ月ほどで5%も減っちゃったの? と思いがちですが……。コナが搭載している三元系バッテリーには、使用開始当初に数%程度劣化して、その後はそこそこ現状維持ペースが続く特性があると聞いています。

つまり、初期容量からの減少を掛け値なしに測定した結果は「95%」ではあるものの、コナカジュアルのカタログスペックである「48.6kWh」の容量を基準にすると「100%」(初期劣化を考慮してマージンを備えたバッテリー量を搭載してある)ということなんだろうと理解しています。

中古EV選びではSOHの表示が当たり前になってほしい

わかりにくいですよね。EVに詳しくない方にとっては「なんのこっちゃ?」って感じでしょう。さらに悩ましいことに、たとえばカーディーラーや中古車店などのスタッフの方にさえ、SOHへの理解が広がっているとは言いがたいのが現実です。実際、数年前のこととはいえ、私が中古リーフを購入した中古車店では「SOH」という用語さえ通じませんでした。

もっと困ったことに、バッテリー劣化の懸念が減っているとはいえ、EVを中古で購入しようとする場合、このSOHは事故歴や走行距離以上に重要な指標になります。だって、新車のカタログスペックを見て「300kmは余裕で走れる」と思った中古EVが、実はSOHが70%を切っていて「満充電しても200kmほどしか走れない」なんて思いをするのはイヤですからね。

三洋貿易が発売しているEV・PHEVの駆動用バッテリー専用診断機「EverBlüe Drive ETX010」は、いわゆるコンシューマー向けの商品ではありません。EVの車両診断サービスを提供する整備工場やカー用品店や、中古EV販売業者をターゲットにしています。

EVのバッテリー診断については、この「EverBlüe Drive」だけでなく、オーストリア発の「AVILOO」という製品&サービス(関連記事)などもあります。比較検証したわけではないので、それぞれの優劣を評することは控えますが、日本の健全なEV普及を願うひとりとして感じるのは「どっちでもいいから中古EV選びでSOHを確認できるのは当たり前」になってほしいということです。

BYD SEALのタクシードライバーさんと遭遇

朝一番でイベント会場に到着すると、先だって行われた日本EVクラブの「EV入門塾」(関連記事)のインタビューに登壇いただいた山口太一さんとばったり。山口さんはBYDの電気自動車であるSEALで個人タクシーを営業中。ドライバー仲間にも情報を共有し「都内を中心に、私が導入したSEALをはじめ、SEALION 7、ATTO 3などを導入する仲間が増えていて、今、15台くらいになっている」というお話を聞いていました。

山口さん(左)と高橋さん(右)。

会場には、山口さんの愛車とそっくり(同じ架装業者でタクシーに改造したとのこと)なSEALのタクシーがもう1台。ドライバーの高橋佑司さんはタクシードライバー歴約3年で、山口さんの言葉に触発されてそれまで乗っていたミニバンからSEALへの乗り換えを決断。実際に運用してみると「充電拠点は意外にたくさんあるし、燃料費(充電コスト)は1/4くらいになって、財布と心に気持ちよく仕事ができている」とのことでした。

日本未導入の電気自動車展示や試乗も好評

イベント会場では、日本未導入の電気自動車である東風日産「N7」とXiaomi「YU7」、さらにM Mobility Japanという会社が導入を進めているAION「Y Plus」などの中国製EV展示が行われていました。展示会などでN7やYU7の外観を見ることはありましたが、じっくりと車内に乗り込んで感触を確かめられる貴重な機会。

YouTubeでEV情報を発信しているEV Life Japan(イブジャ)さんとも会場で遭遇。N7の車内でレポート動画を撮影している様子を、横から撮影させていただきました。せっかくなので、イブジャさんがアップしている動画を埋め込んでおきます。

【新車】日産のN7に乗って触って大満喫してきた!日本でも売って欲しい!!(YouTube)

EV普及って、国内自動車メーカーが手頃で魅力的な車種をいっぱい発売してくれたらあっという間に広がるのでしょうが。まずは、今回のイベントのように、多様な人が力を合わせ、EVへの理解や知識を広げていくことが大切。そして、EVを応援するネットワークは着実に広がり、状況が進展していることを、晴天のもと、しみじみと感じる取材となったのでした。

取材・文/寄本好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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